2019年12月25日

最近のarXivから:spinor-helicity形式の質量化(massive deformation)

PC関連の作業現実逃避の読書で後回しになっていましたが、最近とても興味深いプレプリントがいくつか出ています。著者名、タイトルを割愛してリンクだけ紹介すると

https://arxiv.org/abs/1912.03324
https://arxiv.org/abs/1910.13407
https://arxiv.org/abs/1909.10551
https://arxiv.org/abs/1905.11433
https://arxiv.org/abs/1902.07204

です。これらは2017年の論文

https://arxiv.org/abs/1709.04891

に触発される形で、散乱振幅の計算手法の発展を現象論的に興味深い模型(特に、ヒッグス機構を含めた電弱理論)へ応用しようという試みです。最近の散乱振幅計算の発展は以前も触れたように2次元共形場理論の理解と密接に関わっているため対象となる粒子は必然的に質量ゼロのボソンとなります。ただ、現実的には当然、質量のある粒子(ヒッグス粒子やクォーク)を取り扱う必要があります。その為には、散乱振幅の計算で用いられているspinor-helicity形式の質量化(massive deformation)を考えなければなりません。散乱振幅を計算するに当たりファインマン図の内線にあたる仮想粒子(virtual particle)が現れるのでそのような質量化は以前から知られていましたが、2017年の論文では代数的な手法を用いてこの質量化が簡素に表示されることが示され、その表示法のもとでヒッグス機構が記述されました。

2017年当時、私も興味深くフォローしていましたが数値的に予言能力があるのかどうか不明なままでした。その前に、まず以前の reference spinor を用いたspino-helicity形式の質量化とどう関係しているのか明らかにしなければと思いながら、別の研究(の泥沼)にはまり込んでどうしようもなくなっていました。今回、上記2番目の論文 1910.13407 でそのあたりのことがクリアにされているようなので、今度時間を見つけてホロノミー形式の研究に戻りたいと思います。

2019年12月23日

最近読んだ本:想像力は知識よりも強い、空海の生涯

最近の土曜日は子供の習い事の付き添いに行くことが増えました。その空き時間に本屋によって偶然目にした『眠れないほど面白い空海の生涯』(由良弥生著)


を立ち読みしたところ面白そうだったので先週購入して、昨日読み終わりました。由良さんの作品は初めてでしたが、女性らしい直感を信じる大胆さと緻密な文献渉猟力に感服しました。特に空海の生涯を丹念に調べ上げて、読者を飽きさせない大河ドラマ風の伝記に仕上げる筆力には圧倒されました。空海が生きた時代の時代背景や空海の手紙の内容を詳細にわたり解説している部分については学術的にも貴重な資料ではないでしょうか。私はどちらかというと物語性よりもこれまで知らなかった歴史資料に興味があったので、とても勉強になりました。文献紹介だけなら無味乾燥な読み物となり、文庫として世に出るのは難しかったかもしれませんが、そこは、筆者が本文中でいみじくも述べているように「想像力は知識よりも強い」(34頁)という信念のもと興味深く楽しい読み物に仕上がっています。想像力を羽ばたかせて書かれた部分と知識を伝える目的で書かれた部分が織り交ざって、その配合が上手くいっている部分とそうでない部分が気になりはしました。特に終盤はどうしても歴史的事実の羅列になってしまいがちで読み進めるのに苦労しました。しかし、全体的に文献紹介のレポートとして割り切って考えると非常に良くまとまっているので空海、真言宗について興味のある方は是非手に取ってみて、自分なりの空海像を想像してみてはいかがでしょうか?

由良さんの本を読みながらこういったジャンルの本は以前読んだなあと思い返してみると阿刀田高さんの有名な知っていますかシリーズでした。

  

大学生のころに立て続けによんでとても勉強になった記憶があります。「アイヤーヨ!」でアブラハム、イサク、ヤコブ、ヨセフを覚えるというのは今でも頭に残っています。宗教について一般向けに本を著すのはいろいろな意味で大変だと思いますが、教養としての宗教を知識として楽しく正しく軽妙に伝えてくれる本が今後も著されることを期待します。

2019年12月17日

Dynabook T652 メモリ増設、SSD化

今のノートPC Dynabook T652/58FBK


を購入したのは2012年の夏なのでもう7年半前のことですが、未だに現役で使っています。

CPU Core i7
Display 15.6型ワイドHD(LED液晶)
Memory 8GB (4GB$\times$2) DDR3-1600
HDD 750GB 5,400rpm
OS Windows7 (64bit)

Win7のサポートが終わるらしいですが利用しているソフトの関係でバージョンアップせずに頑張ってます。ウイルスバスターのサポートが2022年まであるのでそれまで様子見ようかと考えています。ただ、最近特に起動が遅い(4,5分かかる)ので、リソースモニタで調べてみると、メモリが常に70%以上でハードフォールトが頻発していることが分かりました。そこで、以前から気になっていたメモリ増設をすることにしました。カタログによると最大16GB (8GB$\times$2) とのこと。折角なので最大限まで増設しようと思い早速



を購入(6,780円)。このときはじめてノートPCを解体しましたが、このサイトがとても参考になりました。取り付けたのが12/13(金)。メモリ増設後、物理メモリの使用率は30%ちょっとになり確かにPCの動きは早くなりましたが、思っていたよりも起動時間は短縮されませんでした。そこで、調べてみるとHDDをSSD (Solid State Drive)にすると起動時間が劇的に速くなり、サクサクと動くそうなので恐る恐る試してみることにしました。

2019年12月11日

ピクセラのテレビチューナーが起動しなくなった件

以前こちらで紹介しましたが、我が家では自作PCに「ピクセラ Windows10対応 PCIe接続 テレビチューナー」


を入れてテレビを視聴・録画しています。上の子が10歳ぐらいまではテレビを見ない生活を続けていましたが、最近はちょっと見過ぎなぐらいです。子供たちが勝手に好きな番組(ドラマやバラエティ)を録画してみているので良くないなあと思っていたら、先週12/5に都合よくテレビチューナーに連動している Station TV X というアプリが起動しなくなりました。ダブルクリックすると「録画情報管理ツールで[復元開始]をクリックしてください。」といったエラーメッセージが表示され、指示通りに復元開始をしても全く何も起こらず、再度 Station TV X を起動しても同じことの繰り返し、PCを再起動してもどうにもならなかったのでこれを機会にTVを見るのをやめることにしました。

一週間ほどTVなしで問題なく過ごせましたが、折角受信料払っているのにTVを見ないのは勿体ないし、そろそろ高校駅伝も始まるのでどうやって修復するのかネットで調べてみました。すると、

https://plaza.rakuten.co.jp/kinchan07/diary/201606280000/

というとても親切で参考になるサイトが見つかりました。2016年から同じ現象が起きているのですね。 想像通り復旧するには録画情報管理ツールで[録画情報削除]するしかないようです(サーポートセンターの回答)。ただ、「STVLERec」フォルダの中のフォルダ「StationTV_X_Bk」の名前を変更して Station TV X を起動すると直る場合もあるとのことで、一縷の望みを託して私も同様にファイル名を変更して起動してみましたがダメでした。

2019年12月4日

シングルス市民大会

去年も同じでしたが市民駅伝の次の週にテニスのシングルス市民大会がありました。去年はケガの影響もあって一回戦負けでしたが、今年は嬉しいことに2回勝つことができました。今年から45歳以上のシニアのカテゴリで出場できる資格があったのですが日程の都合で参加できなかったため去年同様Aクラスにエントリーしました。1,2回戦ともテニス関係者(テニススクールのアシスタントや兼業テニスコーチ)の若者でしたが、何とか年の功で勝つことができました。相手のバックハンドにボールを集めてバックを意識させて逆を突いたり、チャンスボールを攻めるという基本戦術が上手くはまりました。あと、フラットサーブを無理に打たないことを意識したのが良かったです。いつもサーブからリズムを崩すことが多いので今年はそうならないように注意しました。三回戦の相手はレベルが違いました。バックハンドが非常に上手くフラット気味でショートクロスにもダウンザラインへも打ち分けられるため私の戦術が全く通用しませんでした。途中からフォアハンドを攻めたり、サーブアンドボレーを混ぜたりして単発でポイントは取れましたがストローク戦で完全に押されたため成す術がありませんでした。1-6で完敗でした。試合後に反省した点は以下の通りです。

1.序盤で相手のバックハンドがいいことが分かったのだから、もう少し早めに戦術を変えるべきだった。(サーブアンドボレーをしたのは0-3になってからだったし、せっかくポイント取れたのに続けなかったのは良くなかった。相手は再度ストローク戦になったので楽だったでしょう。)
2.サービスエースをねらうショットが足りなかった。サーブは2回打てるのだからストローク戦で分が悪い相手にはファーストサーブはエース狙いでリスクを負わないとサービスキープが厳しい。
3.相手を前後に揺さぶることができなかった。ドロップショットや前に出してからのロブなど当然試すべきショットを打つことができなかった。バックハンド攻撃への意識が強すぎて、通用しないときの対処法まで事前に想定していなかったのが原因。

来年からはシニアで出場予定ですが、今回の反省点を活かしてまだまだ通用するようならAクラスでもう少し頑張ってみたいと思います。

高次元共形場理論がすごい!

近刊の紹介です。中山優著『高次元共形場理論への招待 3次元臨界 Ising 模型を解く』


です。結論から言うと、とにかく素晴らしい解説書なので最近の理論物理学の発展に興味ある方はぜひ手に取ってみてください。タイトルにあるように招待されるがままに読み始めると流れるようなナラティブに引き込まれ、一気に読み進めました。途中からテクニカルな部分は飛ばしながらでしたが、読みながら著者の明快な解説に納得しきりでした。特に後半部分は知らなかったことばかりでとても勉強になりました。また本文だけでなく脚注のコメントも機知に富み楽しめました。「こういう本が読みたかった!」と物理の教科書を読んで久しぶりに感動しました。

以前のエントリーで紹介したナイアのエッセイでも言及されている通り、最近の理論物理学の成果として3次元イジング模型の臨界指数が共形ブートストラップの手法で精度よく求められることが知られています。水の臨界点に代表される相転移現象は、一般に臨界現象の普遍性 (universality) から3次元イジング模型を用いて解析できるのでこの成果は画期的なことです。2次元の場合は臨界点での臨界指数を2次元共形場理論で分類できることが知られていましたが、3次元の場合も同様に共形不変性から臨界指数を求めることができるという最先端の話を共形場理論の基礎から分かり易く・楽しく解説されています。特に、(3次元以上の)高次元共形場理論の基礎的だけど難解で敷居の高い内容(例えば、4点相関関数の導出、共形代数の表現論、共形ブロックなど)を扱う日本語の教科書は(私の知る限り)本書が初めてでしょう。これらの準備を踏まえて最終的に共形ブートストラップの手法が丁寧に解説されています。具体的には、$\mathbb{Z}_2$対称性を持つ3次元共形場理論の4点相関関数の自己無撞着条件から3次元イジング模型の臨界指数(の存在可能範囲)を数値的に求めるプログラムを紹介しています。この分野の第一人者の一人である著者でなければ書けない内容ばかりではないでしょうか。若い研究者、学生さんは是非この本で高次元共形場理論を勉強してください。

なんといっても我々が普段目にする自然現象が3次元の共形不変性から数値的に説明できるというのは驚きです。相転移と臨界現象については歴史的な側面も含めて田崎・原著『相転移と臨界現象の数理』


で詳しく解説されています。中山さんの近著はこれら伝統的な臨界現象の理解と共形ブートストラップを使った最先端の理解との間のギャップを埋めることを目標にして著されたそうですが、見事にその目標を達成されています。

2019年11月24日

アニメ映画、市民駅伝

去年もこの時期に似たようなエントリーを行いましたが、今年も恒例の市民駅伝が無事終了しました。去年と同じ1区を走ることになったので、前回の反省を活かしてスタートから飛ばしましたが初めの500mほどで失速してその後は我慢のレースになってしまいました。後半はヘロヘロになり一気にペースが落ちてしまいました。ただ、距離が前回から400m短くなったので何とか目標タイム以内に収めることができ、他のメンバーに迷惑をかけずに済みました。1区の区間距離2.9kmが正しいとするとキロ4分7秒ペースで走ったことになります。前回は4分16秒ぐらいだったので少しは良かったのでしょうか。練習ではこのタイムでは走れなかったのでやはり本番のレースでは気合が入って無茶しているようです。毎年レース後に来年はもう少し練習しようと思うのですがいつも10月になって焦り始めて何とかごまかしごまかしで走っているので改善しないといけないですね。とはいえ、あまりプレッシャーになるのも良くないので体調管理もかねて気長に取り組みたいと思います。走り過ぎるとケガの危険もあるので。

駅伝の後は子供が楽しみにしていた『アナと雪の女王2』を家族で見に行きました。前作はDVDで子供と何度も見たので興味深く見ました。子供も大人も楽しめるアニメミュージカルでした。個人的には前作よりも面白かったです。ミュージカルと言えばCATSの映画が近日公開されるそうです。アニメではなく実写とのこと。もし機会があれば観てみようと思います。とはいっても最近は子供が見たいものしか劇場では見ていませんが。先月は去年同様、子供のお友達のパパにチケットを融通してもらってプリキュアの映画を子供2人パパ2人で観に行きました。去年は歴代のシリーズキャラクター全員集合の豪華版だったので圧倒されましたが、今年は何故か途中で眠くなって寝てしまいました。チケットもらったのに悪いことしました。ただ、子供たちは楽しかったようで良かったです。来年は小学生なのでプリキュアの映画に行くことはもうない気がします。

2019年11月20日

Lotus Sutra (法華経):法の下の平等思想

NHKの『100分 de 名著』が再放送されています。最近は小松左京の作品や大江健三郎の『燃え上がる緑の木』などが紹介されていて興味深く拝見していましたが、今月は法華経が取り上げられています。

https://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/75_hokekyou/index.html

指南役の植木雅俊さんは、サンスクリット語の原典を読み込んで正に人生をかけて法華経の思想を理解した方だけに、その解説は素晴らしいものでした。早速本屋で近著


を購入しました。さすがに全文は読み切れていませんが、序文と各章の『解説』を読むだけでも法華経の真髄に触れることができるはずです。本来なら人生を掛けて修行しないと得られないような教えがこのような貴重な本のおかげで知識として得られるとは非常に有り難いことです。

Wikipediaによると法華経(Lotus Sutra)は大乗仏教(Mahayana)の代表的な経典であるとのことですが、植木さんの解説(75ページ)によると法華経は小乗仏教、大乗仏教にある差別思想を越えてより一般に誰もがブッダになることができると説いています。この点で法華経は原始仏教の平等思想への回帰を目指していると強調されています。植木さんの解説で特に印象深かったところ(274ページ)を少し長くなりますが引用します(下線筆者)。
 仏教では人間からかけ離れた絶対者的存在を立てない。中村元先生は「西洋の絶対者(=神)は人間から断絶しているが、仏教において絶対者(=仏)は人間のうちに存し、人間そのものである」(『原始仏教の社会思想』、261頁)と言われた。決して個々の人間から一歩も離れることはない。仏教は、人間を原点に見すえた人間主義であり、人間を”真の自己”(人)と「法」に目覚めさせるものであった。
 「人」は具体的な人格的側面、「法」は普遍的な真理の側面を捉えたものである。これは、人間と真理との関係を捉える仏教独自のものの見方だと言えよう。仏教は、「人」と「法」は一体であるべきだと説いた。「法」は宙ぶらりんの状態では価値を生じない。「人」の生き方に具現されてはじめて価値を生じる。原始仏典に「私(釈尊=人)を見るものは法を見る。法を見るものは私を見る」(『サンユッタ・ニカーヤ』)とあるように、その「法」を覚ったことで釈尊という「人」はブッダ(目覚めた人)となった。その「法」は、釈尊が発明したものでもなく、専有物でもない。誰にも開かれている。その「法」を「人」に体現して、「真の自己」に目覚めることが仏教の目指したことであった。 
「法」とは普遍的な真理つまり自然を記述する理論(物理理論)と解釈すると、人間の内面を自然と一体化することが、原始仏教の目指したゴール(の一つ)であり、その自然を象徴するものとして蓮の花(lotus)に仏教の教えが託されたのであろうと感じました。

2019年11月18日

Mathematical Review 104: light-cone quantization 雑感

久しぶりにMathematical Reviewsに寄稿しました。内容はこちら。いまや歴史的な存在の感のある光錐(light-cone)座標についてでした。シンプレクティック構造を用いた量子化(シンプレクティック量子化というらしい)を使って、light-cone座標での量子化を提案するという(モチベーションとしては)素朴なものでしたがこのあたりの基礎論的な内容は少しオールドファッションのようであまり人気はありません。確かに、使う座標が違っても物理的には同じことをしている訳なのだからフォーマルなことにこだわらなければスルーするような内容かもしれません。個人的には複素構造も加味して幾何学的量子化にまで言及してくれた方が話がすっきりしていいのになあという感想を持ちました。

Light-coneと言えば弦理論の量子化が初めて行われた座標ということで有名です。その第一人者の一人であるミチオ・カク先生はニューヨーク市立大学でお世話になりました。カク先生は早くから超弦理論の教科書を執筆されていて、私もその教科書で弦理論をかじっていたので大学院の授業でもてっきりカク先生が教えているのだろうと思っていましたが、実際には先生は執筆活動やテレビ・ラジオでの普及活動に忙しく、大学では学部生向けの天文学の授業しか講義されていませんでした。一度、その天文学の授業のティーチングアシスタント(TA)になって、授業を垣間見たことがあります。ベストセラーになった先生の著書


が参考図書になっていて充実した内容かつエンターテイメント性もあり学部生への講義のお手本のような授業でした。私がTAをしたころはVISONSをちょうど書き終えた頃でどちらの本も興味深く読みました。どちらも分かり易く書かれていてお勧めです。Hyperspaceのほうは弦理論に関連付けた多次元世界の解説、VISIONSのほうは素粒子理論家による未来予測といった内容だったと記憶しています。

2019年11月1日

有給休暇取得日数の自動計算

以前に作ったシステムを再利用することになったので一部紹介します。有給休暇は労働基準法で認められた労働者の権利です。最大限利用しましょう!有給休暇の取得日数の計算は例えば


例として社員のメールアドレスが uid@example.biz で与えられているとしましょう。ここで、uidは社員のユーザーIDです。有給休暇の計算は入社日が分かれば計算できるのでmysqlのデータベースに以下のコマンドで yukyu_usr というテーブルを作成します。
-- データベース: `intra_example`
-- テーブルの構造 `yukyu_usr`
CREATE TABLE IF NOT EXISTS `yukyu_usr` (
  `id` int(11) NOT NULL AUTO_INCREMENT,
  `uid` varchar(120) COLLATE utf8_unicode_ci NOT NULL,
  `name` varchar(120) COLLATE utf8_unicode_ci NOT NULL,
  `start_date` date DEFAULT NULL,
  `hold` decimal(3,1) DEFAULT NULL,
  `used` decimal(3,1) DEFAULT NULL,
  `status` int(1) NOT NULL DEFAULT '0',
  PRIMARY KEY (`id`)
) ENGINE=MyISAM  DEFAULT CHARSET=utf8 COLLATE=utf8_unicode_ci AUTO_INCREMENT=1 ;
start_dateには入社日を設定します。ステイタスが"1"の場合を有効とします。

あとは毎月1日にこのデータベースを更新すればいいだけです。作成したファイルは以下の通りです。


このファイルを例えば毎月1日の午前1時20分に起動させる場合はcrontabに

20 1 1 * * root php -q /var/www/html/intra_example/yukyu_auto01.php

と記述します。cronの設定については


などを参考にしてください。

2019年10月22日

即位礼正殿の儀

今日は天皇陛下の「即位礼正殿の儀」の祝日でした。めったにない機会なのでテレビ(NHK)で興味深く拝見しました。関係者は緊張の連続でしたでしょうが、滞りなく執り行われたようで傍観者ながら一安心しました。安倍首相が寿詞(よごと)を無事に上奏されたのを見届けたときには、思わずガッツポーズが出てしまいました。令和の世を幸先よくスタートできたので良かったです。

以前のエントリーで上皇陛下の御在位三十年記念式典でのおことばを引用したので、今回も天皇陛下のおことばを宮内庁のサイトから引用します。

即位礼正殿の儀の天皇陛下のおことば(令和元年10月22日)
さきに,日本国憲法及び皇室典範特例法の定めるところにより皇位を継承いたしました。ここに「即位礼正殿の儀」を行い,即位を内外に宣明いたします。
上皇陛下が三十年以上にわたる御在位の間,常に国民の幸せと世界の平和を願われ,いかなる時も国民と苦楽を共にされながら,その御心(みこころ)を御自身のお姿でお示しになってきたことに,改めて深く思いを致し,ここに,国民の幸せと世界の平和を常に願い,国民に寄り添いながら,憲法にのっとり,日本国及び日本国民統合の象徴としてのつとめを果たすことを誓います。
国民の叡智(えいち)とたゆみない努力によって,我が国が一層の発展を遂げ,国際社会の友好と平和,人類の福祉と繁栄に寄与することを切に希望いたします。

ついでに英語の文書も引用します。

Addresses by His Majesty the Emperor (October 22, 2019)
Having previously succeeded to the Imperial Throne in accordance with the Constitution of Japan and the Special Measures Law on the Imperial House Law. I now perform the Ceremony of Enthronement at the Seiden State Hall and proclaim my enthronement to those at home and abroad.
I deeply reflect anew that for more than 30 years on the Throne, His Majesty the Emperor Emeritus constantly prayed for the happiness of the people and world peace, always sharing in the joys and sorrows of the people, and showing compassion through his own bearing. I pledge hereby that I shall act according to the Constitution and fulfill my responsibility as the symbol of the State and of the unity of the people of Japan, while always wishing for the happiness of the people and the peace of the world, turning my thoughts to the people and standing by them.
I sincerely hope that our country, through our people’s wisdom and unceasing efforts, achieves further development and contributes to the friendship and peace of the international community and the welfare and prosperity of humankind.

Rugby World Cup 日本代表の皆様おつかれさまでした!

先日の南アフリカ戦で日本代表チームの敗退が決まってしまいましたが、これまで素晴らしい戦いぶりで感動をありがとうございました。選手の皆様、おつかれさまでした!ゆっくり休んでまた4年後に向けて頑張ってください。

先日の試合は前半を観た感じでは充分に勝機があると思いました。むしろ、日本のペースではないかと思ったほどです。というのも、これまでの戦いぶりからフィットネス・持久力では日本に分がありそうだったので後半になって日本が先にトライを取ればそのままボールをキープして勝ちきれるのではと期待しました。後半の強さは4年前の南ア戦も記憶に新しく悪いイメージはありませんでした。しかし、ベスト4の壁は厚かったです。4年前はグループリーグの初戦だったので日本は万全の態勢で臨めましたし、南アには油断もあったでしょうが、今回は全く状況が違いました。まず、日本はグループリーグでの連戦で主力選手が万全の状態ではなかった点、特にこれまでフル出場していた田村選手、姫野選手が途中交代を余儀なくされたのが痛かったです。一方、日本より長い準備期間のあった南アチームの気力の充実ぶりには目を見張るものがありました。前回の反省を生かして充分に日本チームの分析・対策を練っていたことが分かりました。プレーが止まるごとに日本選手に突っかかってきたり、反則ギリギリのプレーをしている様子から今回は絶対に負けないという気持ちが前面に出ていました。特にMVPを取ったスクラムハーフ・デクラーク選手の動きが良かったです。前半は日本もそんな相手に真っ向勝負で充分に対応しており、得点ではリードされていたものの試合内容では互角以上でした。前半の日本のペースの時間帯にトライを奪えていれば全く違う試合になったと考えると悔しいですね。南アの日本対策の一例として今泉清さんが専門家らしい素晴らしい解説をされています。

審判さえ欺いた南アの出足、経験差に泣いた/今泉清

後半の試合は悪夢を見ているようでした。前半キープできたボールを尽く奪われて観ていて歯がゆかったです。南アはフレッシュな強力フォワードを投入して力勝負に持ち込み、密集でのボール奪取力が向上しました。フィジカル勝負のモールで長距離を押し込まれトライを取られた辺りから日本としては成す術がなくなってしまった感があります。観戦していてやはりラグビーはフィジカル勝負のスポーツなのかと何故かモヤモヤしたまま試合終了となりました。そのモヤモヤの原因は

1.なぜ後半になってラインアウトを立て続けに奪われたのか
2.なぜ相手を走らせてフィットネス勝負に行けなかったのか
3.なぜ試合の流れを途中で変えることができなかったのか

という疑問が全てフィジカル勝負で負けたからというので片付けられるのだろうかと感じたからです。もちろん世界のベスト4に入るようなチームは圧倒的なフィジカルが必要であることは承知していますが、今回の敗因はそれだけではないと個人的には感じました。単なる1ファンにすぎませんが素人考えで分析してみます。

2019年10月17日

Rugby World Cup 日本!

先日のスコットランド戦は素晴らしかったです。20日の準々決勝の南アフリカ戦が迫ってきました。ドキドキしますね。選手の皆さんには全力を発揮してもらいたいと思います。 All Out! 今回のエントリーでは、ラグビーについての断片的な印象を雑記風に書き残しておこうと思います。

まず、ラグビーというのは非常に特殊なスポーツです。プレーするためにトレーニングを充分にしていないと大怪我をすることになり、一瞬の気の緩みで身体的に一生を台無しにしてしまうような危険性があります。その意味でラグビーの導入にあたってはラグビースクールに通って専門家による指導を受けるのが望ましいと思います。それには家庭の協力、特に親御さんが子供にラグビーをさせたいという意思がないと難しいのではないでしょうか。私達のころは中学高校から部活でラグビーを始めることがほとんどでしたが今ではどうなのでしょうか。ラグビー指導の知識のある学校の先生は限られていますし、少子化の影響、子供に危険なスポーツをさせたくないという保護者の意見などからラグビー部の数は減っているはずです。私の通っていた目黒十中でも私が入学したころはラグビー部がありましたが、2年生の時に顧問の先生が異動になりラグビー部は(部員の強い存続希望を無視して)廃部になりました。その時の顧問の先生は十中の卒業生でラグビーで有名な目黒高校を出てその後ニュージーランドで指導者の勉強をしてきたという素晴らしい先生だったそうです。友人の話によると中学のラグビーの試合でも骨折、脱臼は当たり前で中には失明しかけた人もいたそうです。また、妻の話によると大学医学部のラグビー部の知り合いが試合で大怪我をして半身不随となり一生車椅子生活を余儀なくされたという悲惨なケースもあるようです。今回のラグビーブームでラグビーをする若者が増えると予想されますが、安易な気持ちで始められるスポーツではないことはよくよく理解しておかないといけません。中高生の場合、血気盛んなので年長者による適切な指導がないと相手をケガをさせるようなラフプレーに走ることもあるでしょう。ラグビーはとても魅力的なスポーツですが、しっかりしたマインドとフィジカルがない限り基本的にプレーしてはいけないエリートスポーツであることを誰もが認識する必要があります。

ラグビーについては私は専ら観戦するだけですが、小学生のころ一度(か二度)実際にラグビーボールを使ってラグビーをやったことがあります。昔の神戸外大のグラウンドで野球をして遊んでいたら近くの中学生ぐらいのお兄ちゃんたちがラグビーボールを持ってきていて、一緒にラグビーしようということになり、メチャクチャでしたがとにかくボールを後ろに回したり、見よう見まねでタックルしたり、3人対3人のスクラムを組んだりしてとても楽しかった記憶があります。ちょうどスクールウォーズのドラマが放送されていたころでオープニングの「ヒーロー」の曲に合わせて縄跳びを学年全員でとぶという演目を小学校の運動会で行ったのが妙に記憶に残っています。スクールウォーズは中学生の時に再放送で見て感動したのですが、ラグビー部の激しさを垣間見ていたので実際にラグビーをやろうとまでは思いませんでした。

生身の体がぶつかり合い、力と力の勝負をする。これがラグビーの醍醐味ですが、ラグビーではポジション別に運動能力の異なる15人のプレーヤーがいるのでテクニカルな戦術・スキルで魅せる華やかな部分もあり、エンターテイメントとしても素晴らしいです。そして何よりもそのようなフィジカル・テクニカルな面を下支えする最も重要な要素としてメンタル面、熱く冷静な気持ち、が挙げられます。技術うんぬんよりも気持ちが大事と言われる所以(ゆえん)です。観ている方にもそのような気持ちが伝わり自ずと力が入り、白熱した試合では特に盛り上がります。このような魅力的なスポーツはなかなかありません。

2019年10月11日

PHP5.3, CakePHP2.x に LineWorks 導入あれこれ

昨日のエントリーの続編です。集合要請時にメールだけではなく2017年2月からはLineWorksでも通知できるようにしました。当時はWorksMobileという名前でしたが、今では社名はそのままでサービス名はLineWorksとなっています。使用するAPIは

https://developers.worksmobile.com/jp/document/3005001?lang=ja

です。2017年時点ではネット検索してもあまり解説が見つからなかったため、上記の公式ガイドなどを読み込んで実装した記憶があります。上記URLの最後に書いているように
HTTP リクエストでパラメータを渡すときは、application/json 方式を基本とします。Header と body すべて application/json 方式を遵守しなければなりません。パラメータの形式は、各 API の説明にて確認してください。
とのことです。application/json 方式を遵守(じゅんしゅ)ということなのでリクエストパラメータを次のように設定します。

\$request = array('header' => array('Content-Type' => 'application/json', 'ConsumerKey' => 'xxxx....xxxx', 'Authorization' => 'Bearer xxxxxxxxxxx...xxxxxxxxxxxx') );

ここでConsumerKey, Authorizationコードはこちらで解説されているもので、その発行は Developer Console で行います。登録に必要なURLは2017年2月時点では

\$url_reg = 'https://apis.worksmobile.com/{API ID}/message/registerBot';

でした。API IDは上記のDeveloper Consoleで最初に発行されるものです。その後、2017年の10月にはこのURLが

\$url_reg = 'https://apis.worksmobile.com/{API ID}/message/registerBot/v2';

と変更になり、今では

\$url_reg = 'https://apis.worksmobile.com/r/{API ID}/message/v1/bot';

になっています。こういうのはコロコロ変更してもらっては困りますね。登録時に渡すパラメータの設定も変更されています。以前は、

\$params_reg = array(
'name' => 'サービス名',
'photoUrl' => '画像ファイルのあるURL',
'url' => '',
'extras' => '',
'adminEmail' => '管理者メールアドレス',
'status' => '1'
);

という形式でOKでしたが、今ではこれではダメで

2019年10月10日

PHP5.3, CakePHP2.x に Twilio 導入あれこれ

以前紹介したシステムtwilioを導入して、集合要請時に携帯電話に自動通話を行いメール確認を促す仕組みを作ることになりました。メールだけでなく電話も来たら急かされるようで鬱陶しいと個人的には思いますが、人命にかかわる緊急事態なので仕方ないのでしょう。twilioについては以前SMSメッセージを送るスクリプト(例えばこちらを参照)を作ったことがあったので通話発信も同様にやればいいだろうと考えていましたが、早速つまずきました。以前と同じようにこちらなどを参考にスクリプトを書いたのですが500番エラーが出てどうにもなりません。エラーログにversion, upgradeなどの単語が入っていたのでテスト用のサーバがPHP5.3と古いものなので読み込むTwilio PHPライブラリーのバージョンが問題なのかと見当をつけ、手動ではなく昔よく使ったPEARでインストールすることにしました。

https://docs.microsoft.com/ja-jp/azure/partner-twilio-php-how-to-use-voice-sms

を参考にして

[root@xxxxxxx ~]#  pear channel-discover twilio.github.com/pear
[root@xxxxxxx ~]#  pear install twilio/Services_Twilio

とすると

[root@xxxxxxx ~]# pear install twilio/Services_Twilio
Unknown remote channel: pear.survivethedeepend.com
Did not download optional dependencies: channel://pear.survivethedeepend.com/Mockery, use --alldeps to download automatically
twilio/Services_Twilio can optionally use package "channel://pear.survivethedeepend.com/Mockery"
downloading Services_Twilio-3.12.6.tgz ...
Starting to download Services_Twilio-3.12.6.tgz (85,763 bytes)
........done: 85,763 bytes
install ok: channel://twilio.github.io/pear/Services_Twilio-3.12.6

となり上手くインストールされたようですが、エラーは消えませんでした。PHPパッケージのインストールは今ではPEARではなくcomposerというのが主流のようで、公式サイト


でもサーバ環境にあったパッケージを自動でインストールしてくれるcomposerを推薦しているので


を参考にしてまずcomposerをインストールしてみると

[homepage@xxxxxxx ~]# php composer-setup.php
Downloading...

Composer (version 1.9.0) successfully installed to: /home/homepage/composer.phar
Use it: php composer.phar

Some settings on your machine may cause stability issues with Composer.
If you encounter issues, try to change the following:

Your PHP (5.3.3) is quite old, upgrading to PHP 5.3.4 or higher is recommended.
Composer works with 5.3.2+ for most people, but there might be edge case issues.

となりPHP5.3.3はかなり古いよ!との警告が出ました。とりえず無視してtwilio/sdkをインストールすると

[root@xxxxxxx ~]# composer require twilio/sdk
Using version ^5.19 for twilio/sdk
./composer.json has been created
Loading composer repositories with package information
Updating dependencies (including require-dev)
Package operations: 1 install, 0 updates, 0 removals
  - Installing twilio/sdk (5.19.3): Downloading (100%)
Writing lock file
Generating autoload files

無事インストールされたようです。twilio/sdkのパッケージリスト


によると現時点で最新のバージョンは5.36.1でPHP5.5以上に対応しています。PHP5.3に対応している最新版が5.19.3なのでしょう。

これでバージョン問題は解決したはずなのですがまだエラーが解消しませんでした。エラーログにversion, upgradeなどと出ていたのでてっきりPHPパッケージのバージョンが問題なのだと勘違いしていましたが、試行錯誤の末たどり着いた解決策は

2019年10月2日

乾徳山 月見岩まで

火曜日は研究日ということにしているのですが、ここ最近は全くやる気が起きないので思い切って乾徳山まで行きました。子供の保育園の送迎があるので9時出発17時帰りという時間制限があるため登頂は諦め、月見岩まで登って帰ってきて何とか間に合いました。川沿いの登山道から入り、登山口に着くまで一度間違えたかと思って数百メートル引き返してしまったのは失敗でした。




地図を持参したのですがこの道じゃない気がして
一度引き返してしまいました。

ここが登山口!


駐車場を出たのが11時前でここまで30分ぐらいかかってしましました。この時点で登頂は難しいかなと思いながらとりあえず13時まで登って13時過ぎには下山することに決定。

2019年9月27日

ILC誘致:10月、学術会議の決定はいかに?!

以前のエントリーでILC誘致に向けての「今後の流れ」をまとめましたが、その中で
今年10月に学術会議がマスタープランの候補プロジェクトの選定を行う。(そこでILCが候補に入らなければ誘致は断念せざるを得ないでしょう。)
と書きましたがその10月が迫ってきました。ILC誘致について最近は全くフォローしていなかったので最新情報をこちらで確認しました。

9月15日の産経新聞、論説委員・中本哲也さんの記事
 約50カ国の物理学者らが、東北の北上山地への建設を目指す次世代加速器「国際リニアコライダー(ILC)」は、暗黒物質の正体に迫る実験施設だ。素粒子物理と宇宙物理の距離をさらに縮め、「新しい物理学」の扉を開く可能性がある。
 日本と欧米だけでなくロシア、中国などの参加も見込まれる広範な国際協力プロジェクトでもある。政府は誘致の判断を先送りにしてきた。国際社会から日本への期待と信頼を損なう「遅延行為」に等しい。
 30年後の日本が国際社会から必要とされ、尊敬される国であるために、政府は早急にILC誘致を表明すべきである。(なかもと てつや)
と結ばれています。私もおおむね賛成ですが、政府(文科省)のギリギリまでの折衝努力をもう少し評価してあげてもいいのではと感じました。せっかく柴山大臣が頑張ってくれていたのに大臣が代わってしまい引き継ぎは大丈夫なのか少し心配です。萩生田大臣の座右の銘は"One for all, All for one"だそうなのでその精神でILC誘致へ向けリーダーシップを発揮してもらいたいです。

もう一つ気になった関連情報として日刊サイゾーによる山下特任教授へのインタビュー記事があります。最後の質問とその答えは以下の通り。
ーーでは、山下さんはILCがつくられることによって、どんな未来が待っていると思いますか?
山下:世界の人が集まれる知のフロンティアができることがまず第一。きっと人類の歴史に残る大発見がある。そして技術の波及と国際的な人材の宝庫になることが2つ目。何万年もかかる核廃棄物の処理も、超電導加速器を使って100年単位に短くなる可能性があるし、原子核を変えて新しい物質を作り出すことで、がん治療などにも効果を発揮することが期待されます。また、インターネットを普及させた基盤技術WWW(ワールド・ワイド・ウェブ)も、粒子線がん治療もPET診断も、もともとは素粒子物理学の分野から生み出されたもの。ディープラーニングの前のニューラルネットワークも20年以上前から使ってきたし、超電導の大規模施設の初めての実用も米国の加速器施設です。新しいものを開発することだけしかできない研究者が何千人も集まることによって、副次的にもさまざまな先端技術が生み出されていきます。
 それに、ILCの建設は、技術的な面だけでなく、日本人の心理的な面にも大きな影響を及ぼすでしょう。世界でも最先端の施設が生み出されることによって、新しいことにチャレンジしていくマインドが生まれます。科学技術は何よりも、人の気持ちを変えるもの。ILCによって「日本はすごい!」という自信を持つことができ、「これもできるんじゃないか?」と未来への希望を生み出すことができれば、日本人のメンタリティは大きく変わっていくはず。ILCを通じて、日本人を、どんどんチャレンジをしていくメンタルに変えていきたいですね。
若者向けの(ゴシップ)雑誌にILC誘致の話題が取り上げられるとは意外でした。山下先生も堅苦しい表現は避け、若者にも分かり易くILC誘致の意義を説かれているようで概ね共感しました。WWWやニューラルネットワークについては以前から誇大広告のように感じていましたが、サイゾー向けなら仕方ないでしょう。それよりも「何万年もかかる核廃棄物の処理も、超電導加速器を使って100年単位に短くなる可能性がある」との言葉に原発処理の問題も誘致の交渉カードとして使っているのではと勘ぐってしまいました。もちろん東北に誘致するのだからILCの科学的な役目が充分に果たされた遠い将来には原発の廃炉処理や核廃棄物の処理へ転用されうることは理解できますが、もしそうする可能性があるのなら、誘致の段階から情報公開しておいて欲しいです。

2019年9月5日

Mathematical Review 103: higher spin theory 雑感

久しぶりにMathematical Reviewsへ寄稿しました。これまでのレビューリストはこちら。今回の寄稿内容はこちら。これまで話だけは聞いていたスピンの数が大きい粒子(higher spin あるいは infinite spin と呼ばれる粒子、以下では「高スピン粒子」と呼ぶ)の理論についてです。この論文では質量ゼロの高スピン粒子をツイスター変数で記述することによって、高スピン粒子の場の方程式を具体的に書き出し、これらの場が以前から知られている高スピン粒子の${\cal N}=1$超対称代数の表現を与えることが示されています。

4次元上の質量ゼロの粒子はツイスター空間上で定義されるツイスター変数を用いると2次元のワイル・スピノールで表現できるため、スピン1のグルーオンやスピン2のグラビトン(重力子)の散乱振幅を計算を飛躍的に簡素化できることが知られています。(その背景や詳しいことはこちらを参照ください。)この論文ではそれらの発展に刺激されて無質量の高スピン粒子のダイナミクスをツイスター変数で記述・解析したものです。高スピン粒子については全く専門外で良く知りませんでしたが、ツイスター変数を用いた散乱振幅についてはいくつか論文を書いていたため私に寄稿依頼が回ってきたようです。式だけ追っていてはなかなか全体像が分かりませんでしたが、とりあえず関連論文も参照しながらレビューしました。

この論文の結果は数学的には興味深いものですが、そもそもスピンが2より大きい高スピン粒子は自然界に(これまでの観測では)実在しないので物理的なモチベーションには欠けます。高スピン粒子の場あるいは波動関数が議論されていますが、個人的にはこれはグルーオンの多粒子系の状態関数と関係づければもう少し面白くなるのではと思いました。グルーオンの多粒子系ではそのような状態関数は(古典レベルでは)共形性をもつので2次元の共形場理論の情報から4次元のゲージ理論を解析できるという面白い関係性がありますが、高スピン粒子の理論では共形性はどうなっているのでしょうか?高スピン粒子を定義する拘束式の形からは共形性は見て取れませんでした。調べてみると共形性をとりこんだ高スピン理論(Conformal higher-spin theories)というのが既にあるそうです。ただ、これも数学的には興味深いでしょうが、物理理論としては抽象的すぎる気がします。以上、あまり建設的でない雑感でした。

2019年8月30日

最近読んだ本:多摩エリアが舞台のミステリー

先週、久しぶりに駅前の本屋に寄ったところ高村薫の新刊


が平積みになっていました。2017年の夏から1年間の新聞連載小説をまとめたものということで、分量もあり時間がかかりそうなので一旦敬遠しましたが、小説の舞台がなじみ深い野川公園およびその周辺の多摩エリアだったので気になってしまい、後日、駅前のオオゼキでの買い物の前に購入しました。三鷹市のテニスの団体戦や市民大会が調布飛行場脇の大沢総合グラウンドで開催されるので野川公園へは定期的に訪問しています。特に、テニスコート裏の壁打ち場はよく利用しています。野川公園はもともと近くのICUのゴルフ場だったため正門がゴルフのクラブハウスへの入り口のような格好になっています。公園内もゴルフ場の名残がありフェアウェイのように見晴らしのいい部分とそうでない部分が織り交ざっており公園としては不思議な印象です。春に桜が満開になるととても奇麗です。

2013年3月30日の野川公園

2019年8月23日

夏の甲子園終了、選手の皆様おつかれさまでした!

今年は長女が中学に入って一年目の夏なので家に居ることが多く、私も在宅の折は例年よりも熱心に甲子園をテレビ観戦しました。下の子が夏風邪をこじらせて家で看ないといけなかったこともあり、おそらくこれまでで最も多くの試合を観戦しました。春の選抜準決勝を見に行ったときの印象から習志野が決勝まで行くのではないかと予想していましたが、なんと2回戦で山形の鶴岡東に負けてしまいました。鶴岡東の試合は1回戦の高松商業戦から観ていたのですが、思いがけない(失礼!)チーム力の高さに親子ともどもファンになってしまいました。残念ながら3回戦の関東一高戦で敗退しましたが、その試合は今大会のベストゲームのうちの1つでした。鶴岡東だけでなく、ベスト8に入った八戸光星、仙台育英といった東北勢の体格の良さには驚きました。相当ウェイトトレーニングをしているのでしょう。東北勢の優勝も時間の問題のような気がします。

子供と観戦していてファンになったもう一つのチームは富山の高岡商業です。1・2回戦では私はこれまでの先入観から対戦相手の私立の強豪校の方が有利だと予想していましたが、高岡商業の打者一人一人がこれまたガタイが良く振りがシャープなのには驚きました。準優勝校の星稜は言うに及ばず、福井の敦賀気比も含めて北陸の選手たちも総じて筋力トレーニングを充分に積んできた体格をしていました。一方、これまで野球王国とされてきた四国九州のチームや東京のチームには昔ながらの細身でセンスのあるタイプの選手が比較的多かった気がします。金属バットの高校野球ではやはり筋力をつけた方が有利なのでしょう。往年の徳島池田高校・やまびこ打線を思い出します。今ではネットの普及で野球技術向上のための情報収集に地域格差がなくなり、全国どこからでも甲子園優勝を狙えるチームが出てきていますね。

さて、今年は一回戦から注目して観戦しましたが、初戦から広島対岡山という隣県対決や関東勢同士の対戦などがあるのは興醒めでした。対戦する選手もやりにくいはずです。折角の全国大会なのだから初戦は同じ地域同士で当たらないようにするのは当然の配慮だと思います。101回も開催されているのにこのようなことが起きるのは不思議でなりません。主催者にとっては毎年の行事かもしれませんが選手にとっては一生に一度のことなので最大限の配慮をしてもらいたいです。

私が応援していた明石商業は見事にベスト4まで勝ち上がりました。選抜大会の時に指摘したバントのミスがなくなり、そつのない野球をする素晴らしいチームでした。大会を見ていて感じたのは勝ち上がるチームはパワフルな打撃力があるだけでなく、しっかりセオリー通りにバントでミスなく送れるチームだということです。連打が出るのは確率的に低いわけだからノーアウトあるいはワンアウト1塁(or 1、2塁)のときは確実にバントで送るのが鉄則です。積極策で打たせてダブルプレーになる確率を考えれば、甲子園のような短期決戦で人生がかかっているような重要な試合では、ダブルプレーを避けてバントで送って次のバッターのタイムリーに賭けるのが得策です。バントをする際にもカウントによってサインを変えるような中途半端なことをせず、ファーストストライクを一発で遂行させることが重要です。その方が攻撃のリズムができ、自然と相手にプレッシャーを与えることができます。いくら積極策で勝ち上がってきたと言っても、甲子園に出てくるようなチームのピッチャーからそう簡単に連打を打てるものではありません。ダブルプレーという最悪の事態をリスクヘッジしつつ、走者を確実に得点圏に進めるバントは甲子園で勝ち上がるには必須の戦術だと思います。優勝した履正社もあれだけの打撃力を誇りながら確実にバントを行っていました。

2019年8月22日

最近のarXivから:1908.04115

最近発表されたプレプリント arXiv:1908.04115 [hep-th] についてです。タイトル "Notes on anomalies, elliptic curves and the BS-D conjecture" を見てとうとうarXiv[hep-th]にもにBSD予想に関連する論文が出るようになったかと興味深く読みました。標準模型と同じタイプの$SU(N) \times SU(2) \times U(1)$ゲージ理論におけるアノマリー相殺の計算を楕円曲線の3次式と関連付け、その階数の計算から$U(1)$ハイパー電荷にどのような制限がかかるかを議論したものです。

標準模型ではカラー自由度が$N=3$で与えられ、(弱い相互作用を受ける)左巻きのクォーク・レプトンは$SU(2)$のダブレット(2重項)表示されるが、この論文では先月発表された arXiv:1907.00514 [hep-th] を参考にして、$N$を任意の自然数にとり左巻きのクォーク・レプトンを$SU(2)$のマルチプレット($q$重項)表示されると仮定して、標準模型の類推からアノマリー相殺の関係式を導出し、$q=3$の場合にこの関係式が射影平面$\mathbb{P}^2$上の非特異な平面代数曲線(楕円曲線)とみなせることを示している。このような仮定($q=3$)は現象論的に現実的ではないため、素粒子論としての応用はあまり期待できないものの、楕円曲線の階数は数論において重要な研究対象なので物理的なアプローチから階数の解析がなされるのは興味深い。

楕円曲線はMordell-Weil群と呼ばれるアーベル群 $E( \mathbb{Q} )$ と関連付けられ、これは$E( \mathbb{Q} ) = \mathbb{Z}^r \oplus T$と表される。ただし、$T$はねじれ(torsion)群と呼ばれる有限部分群であり、$r$は階数(rank)である。この論文の主要な結果は、「上記アノマリー相殺の関係式から導かれる楕円曲線の階数は$N=3,9$のとき$r=0$となり、それ以外の$N$では$r>0$となる」というものである。アノマリー相殺の関係式に還元すると、これは「スケール因子を除くと$U(1)$ハイパー電荷が$N=3,9$の場合にはユニークに決まるが、$N \ne 3,9$の場合はハイパー電荷は無限に選べる」と言い換えられる。

これらの結果を補足・確認するのに楕円曲線のデータベース

http://www.lmfdb.org/EllipticCurve/Q/

が用いられている点も面白い。私も以前からこのLMFDBで遊んでいましたが、実際に物理の論文で使われているのを見ることはありませんでした。この論文ではLMFDBを用いて、実際に$N=3,9$に対応する楕円曲線がランク0($r=0$)であること及び$N<34$の範囲では$N\ne 3,9$に対応する楕円曲線は$r \ge 1$であることが確認されている。

2019年8月18日

2015年夏の北海道家族旅行:知床半島から釧路湿原

もう4年前になりますが家族で道東を旅行したことがあります。これまで家族で国内を色々とドライブしましたが長女が言うには知床が一番よかったとのことです。ただ、下の子はまだ1歳9ヵ月だったので全く覚えていないそうです。折角行ったのに記憶にないというのも残念なので分かる範囲で記録を残しておきます。(将来子供が大きくなったら見つけられるように。)

上の子の小学校の一学期の終業式が終わった午後に出発。羽田から女満別に。夏の時期の羽田空港の駐車場はすぐ埋まるので一か月前から予約準備をしました。夜に到着して21時にルートイン網走チェックイン。網走駅の目の前でした。翌朝、早めに朝食をとり能取岬へ。




2019年8月16日

2015年夏の雲取山 20ヵ月児おんぶ登山

半月後に迫った北海道家族旅行に羅臼岳登山を組み込んでもらったので、その準備として地元の雲取山に行くことに。奥多摩には上の子と何度か通ったけど、雲取山までは足を伸ばせていませんでした。父が学生の頃友人と登ったそうですがその時誰かが道を間違えてえらいことになったと聞いていたので子連れでは難しいかと思ってましたが、まだ一歳半の下の子をずっとおんぶして行けばいいトレーニングになると考え決行しました。朝4時過ぎに下道で奥多摩まで。女子サッカーのワールドカップオーストラリア戦を途中までラジオで聞きながら、小袖乗越の駐車場到着。群馬県から一人でいらっしゃっているご婦人がいて驚きました。子供のオムツを替えて、家で練習してきたとおり抱っこひもで子供を背負い胸にリュックをかかえて出発。体重は10キロもなかったはずですが、久しぶりの本格登山で歩いているとだんだん辛くなってきて、なかなか眺望も開けないので途中で何度か引き返さないとダメかなと不安になりましたが、ブナ坂を過ぎたあたりで行程がハッキリしてきたので頑張れました。









2016年夏の両神山 七滝沢ルートで下山

夜明け前に関越に乗り花園ICまで。大泉インターへのアクセスにもだいぶ慣れてきました。秩父の朝は何度来てもいいですね。小鹿野町のコンビニで食糧調達してから登山口へ。日向大谷バス停脇の駐車場に停め両神山荘で記名、500円払いました。下調べによると七滝沢コースは危険とのことで人気の清滝小屋のコースで登りました。



 緑豊かで水も澄んでいて気持ちいいところです。名前の通り神様をお祭りする山で山頂近くに狛犬ならぬ狛狼の鎮座する両神神社があります。ただ、この神社を過ぎてもなかなか展望は開けません。いつ着くんだ~などと思うのはまだまだ信仰が足りないからかも。



2019年8月9日

2016年夏の瑞牆山・金峰山 日帰り登山

先週の赤岳がよかったので日帰りで行ける百名山を探して登ることに。百名山リストがなければおそらく知らない山々でした。百名山の弊害を聞くことがありますが、私は単純な性格なので良い山を教えてくれてありがとうとしか思いません。百座制覇したいというのは自然なことだし、個人的には、人生有限なので生きているうちに(家族の了解が得られれば)いろいろな山に行ってみたいです。

瑞牆山荘へのアクセスは須玉ICから増富ラジウムラインを北上、名前の通り温泉地を抜けてなだらかに登って行きます。以前、長女の保育園のお友達4家族と一緒に川上村に行った際、ナビに従ってこの道を通りましたが、途中からかなりの山道になり何人かの子供が気分を悪くしてしまいました。その後、川上村に行く際は清里ラインを使っています。増富ラジウムラインはそれ以来。2時半起床、夜明け前から一人で運転していることもあり瑞牆山荘まで長く感じられました。日の出後に駐車場到着、先ずは瑞牆山へ。山頂付近は急斜面、岩山登りのようでした。

山頂から富士山を望む
八ヶ岳方面


2019年8月7日

2016年夏の八ヶ岳 日帰り登山

今では何故八ヶ岳(赤岳、横岳、硫黄岳)に登ろうと思ったのか忘れてしまいましたが、山行自体は忘れられないものになりました。日帰りなので深夜2時過ぎに出発、日の出前になんとか赤岳山荘の駐車場に停められました。美濃戸口あたりに野生のシカがいました。南沢コースをとって行者小屋までは比較的楽でしたが文三郎道がきつかった。







2019年8月2日

市原ぞうの国、養老渓谷で川遊び

今週の水曜日に2014年以来5年ぶりに市原ぞうの国に行ってきました。以前は長女と2人で行ったり、長女の保育園のお友達家族と団体で行ったりして楽しみましたが、今回は5歳の次女と2人だけです。平日ですいていたので満喫できました。小さかった赤ちゃんゾウの「ゆめ花」(ゆめか)が立派なゾウに成長しているのには驚きました。ゆめ花の後にも4頭の赤ちゃんが誕生したそうでにぎやかになっていました。



タイからの調教師の方々と共に「象ファースト」な運営がなされており、そのため象と人間の距離がとても近く直接触れ合うことのできる貴重な動物園です。これからも益々発展してほしい施設です。

ゾウさんショーの後は車で養老渓谷に移動しました。猛暑だったので移動中にセブンイレブン(市原高滝店)で昼食を取り、涼むことができてよかったです。養老渓谷までのドライブは快適で子供はぐっすり休んでくれました。途中、話題の「チバニアン」(地球磁場逆転地層)の看板を見つけましたが子供を起こすのもなんだし、勝手に入場していいのかよく分からなかったのでスルーしました。中瀬キャンプ場の駐車場(500円)から降りてすぐの所で川遊びをしました。


キャンプ場沿いに川原の奥のほうまで行ってみましたが、遊泳禁止だったため手前まで戻って浅瀬で川遊びをしました。長閑な所でとてもよかったです!

帰りは予想通りアクアライン、首都高中央環状線、4号線で渋滞にはまりました。行くときもそうでしたが、高井戸ICから東八道路までの片側2車線の立派な道路が開通していて感激しました。今年の6/8に開通したそうです。開通区間の詳細についてはこちらにすばらしい記事があります。16時に出発して帰宅したのは19時前でした。すいていたら2時間弱で行けるのでまた機会を見つけて房総半島に足を伸ばしたいと思います。

2019年7月23日

最近読んだ話題の本

春の関西日帰り旅行の際に長女が『フォルトゥナの瞳』という本を読んでいたので気になって覗いてみると作者は百田尚樹さんでした。『フォルトゥナの瞳』以外にも『永遠の0』という小説が映画化され、『カエルの楽園』が話題となったベストセラー作家ですが、映画化されるような人気作家の作品にはあまり興味がなく敬遠していました。ところが、最近ネットメディア(ツイッターや虎ノ門ニュース)での積極的な発信に接し、気さくな関西弁で言いにくいことをズバズバと発言する人柄に触れることができ、今は亡き勝谷誠彦さんを彷彿とさせるようで、毀誉褒貶はあるでしょうが、個人的には好感を持ちました。そこで、最近話題になっている近刊2冊を読んでみました。


以前のエントリー

https://yasuabe.blogspot.com/2018/08/blog-post_9.html
https://yasuabe.blogspot.com/2018/08/blog-post_10.html
https://yasuabe.blogspot.com/2019/01/blog-post_17.html

でも紹介したとおり最近は日本の古代史に興味を持っていたので、日本の歴史を古代から現代まで通史としてまとめられているこの本は個人的にはタイムリーなものでした。文系の方で大学受験で日本史を学んだ(暗記した)人には知っていることばかりだったかもしれませんが、これまでこのような本が無かったこと自体が不思議です。確かに、近現代史のなかには事実確認が取れないものも多分にあるでしょうが、状況証拠などから専門家や職業作家が著作として自分の意見を問うのは全く問題ないはずです。むしろ、一般人には渉猟する時間も手段もない文献を読み込んだ筆者によるこのような通史が(その筆者の思想に関わらず)これからも活発に出版されれば、国内で歴史観についての議論も活発になり、海外に行っても信頼される日本人が育つと思います。本書では、戦後のメディア特に朝日新聞について痛烈に批判していますが、朝日新聞側からハッキリした反論がなされないのは不思議です。黙殺するつもりなのでしょうか?ただ、一般読者としては、本書だけでは判断しきれない部分もあるので一つの歴史認識(百田史観)として本書をとらえるのが妥当だと思います。今後は例えば磯田道史さんや呉座勇一さんといった歴史の専門家による日本通史が著されることを期待します。

日本の近現代史はやはりアメリカの占領政策の分析を抜きには語れないと思います。私がニューヨークに住んでいたころ同居していた中国人の留学生とその友達がアメリカ陸軍士官学校があるWest Pointに行きたいというので、レンタカーでWest Pointまで紅葉を見に行ったことがあります。West Pointの紅葉は有名で私は以前にも行ったことがあったので運転手役として頑張りました。というのも、私以外は皆中国人(男2人女2人)でどうしても中国語で盛り上がってしまうので道中私は蚊帳の外気味だったからです。そんな中、私に気遣ってくれたルームメイトによると中国の学生の間ではWest Pointは人気の観光スポットなので来れて良かったとのことです。中国の若者にはWest Pointがアメリカの豊かさの象徴として映ったのかもしれません。広大な敷地に風光明媚な環境、充実した施設。こんな所で学ぶことができれば立派な軍人になるだろうと容易に想像がつきました。マッカーサーもここ出身なんだなと思いながら資料館を見学していると第二次世界大戦で日本が調印した降伏文書が展示してあり当時全権大使の重光葵外相の署名が目に飛び込んできました。英文の中にドーンと毛筆の漢字で書かれていて、あぁ負けたんだなというのが教科書の歴史としてではなく実感として受け止めることができました。マンハッタンでミュージカルを楽しむのももちろんいいですが、日本人なら一度ぜひWest Pointに訪れてみてください。アメリカの強さ、豊かさが感じられると思います。

その数年前、確か2001年頃に親しくしていた別の中国人のルームメイトがメリーランド大学に移動するというので観光がてら付いて行ったことがあります。そのときメリーランド大学に居た知り合いに図書館に入れてもらったのですが資料の圧倒的な多さに驚愕しました。文書だけでなく古い日本の映画を含めた映像資料も大量に保管・公開されていました。また、当時ちょうど閲覧可能となった戦後の対日政策などを含めた外交資料も公開されていました。日本の学者・ジャーナリストにとってはとても貴重な資料であるはずです。これらの資料から戦後アメリカの対日政策を分析することは、今後の自立的かつ互恵的な日米関係を構築する上でもとても重要だと思います。それにしても、これらの機密資料を保管して、一定期間後に一般公開するというアメリカの度量の広さには感服します。日本では戦後、占領前に官僚たちは内部資料を一斉に焼却処分したそうですが折角作成した資料を燃やす官僚たちは無念ではなかったのでしょうか?それとも、保身から処分せざるを得なかったのでしょうか?公文書に対する彼我の意識の違いからも国力・文化力の差を感じざるを得ません。

2019年7月17日

2019年夏の北海道家族旅行:31年ぶりの奥尻島再訪

3連休を挟んで昨日まで7/12~7/16の行程で北海道に行ってきました。私は西日本、広島・長崎に行ってみたかったのですが妻が東京から新函館北斗までの新幹線の切符を購入してくれたので道南に行くことにしました。函館に行くのは1988年以来なんと31年ぶりです!その時、私は中学2年生。「家(うち)は子供が中2になったらゴールデンウィークに同性の親と2人で旅行することになってるから」と母が突然宣言したため、父と2人でその年の春にちょうど開通したばかりの青函トンネルを利用して北海道旅行にいきました。学校の先生には嫌な顔をされましたが、母が考えた「予め計画していた社会見学」という名目で連休中日の授業を休みました。ちなみに、3年後、妹が中2のときは母と長崎のハウステンボスに行ったそうです。

31年前は今はもう廃止された寝台特急八甲田に乗りました。その時、寝台車の中で矢野健太郎先生の新潮文庫シリーズ、たしか『数学ふしぎ・ふしぎ (新潮文庫)』あたりを読んだのはいい思い出です。当時はトンネル内に海底駅(竜飛・吉岡両駅)がありましたが、2014年に廃止されたようです。私は付いて行くだけだったので当時の行程はだいぶ忘れてしまいましたが、函館では湯の川温泉のホテルに宿泊しました。大沼でサイクリングをしたり、朝市でイカを食べたあと、今は廃線になった江差線に乗って江差に行き、奥尻島へのフェリーに乗船するまでの空き時間に江差のニシン御殿や江差追分の記念館を見学しました。奥尻島到着後はフェリー乗り場近くの民宿で豪華な夕食を頂きました。翌日はあいにくの曇り空でしたが半日ほど島内をハイヤーに乗って巡りました。観光案内にも記載されていましたがハイヤーの運転手さんが阪急ブレーブスの佐藤義則投手が奥尻島出身だと言うので、父も私も何故かすごく感心してしまいました。フェリー乗り場のある奥尻地区から南下して青苗、さらにその先の奇岩のあるところまで案内してもらいました。まだ道が繋がっていなかったので島内一周はできませんでした。江差到着後、確かバスで木古内のほうへ向かっていたのですが、途中で父が必死の形相で姿勢よく座っていたので、奥尻でのうに・あわび尽くしでお腹にきたのかと不安でしたが、なんとか休憩場所まで持ちこたえてくれたのでほっとしたというエピソードがとても印象に残っています。

それから5年後の1993年7月12日に北海道南西沖地震で奥尻島は津波で大被害にあいました。あれからもう26年、1995年の阪神・淡路、2011年の東日本大震災の衝撃があまりにも大きくて奥尻島の震災のことを覚えている人は少ないかもしれませんが(実際、妻は良く覚えていませんでした)、私は実際に行ったことのある青苗地区が瓦礫と化して火に包まれている映像に衝撃を受けたことを今でもよく覚えています。今ではとっくに復興しているであろう奥尻島にもう一度行ってみたくなり今回の旅行に組み込みました。行程の概要は以下の通り。

2019年7月3日

最近の話

最近は惰性で生活していてあまり書くこともなくどうしたものでしょう。先月来シジュウカラが巣箱に戻ってくれるかと期待していましたが今年は来てくれませんでした。冬にヒマワリの種をやったり、巣箱を掃除したり新しい巣箱を作ったり楽しみにしていたのに残念でした。巣箱が複数あると来なくなるようなのでそのせいでしょうか。巣箱の入り口の向きを少し変えたのも良くなかったかも。それでも最近は周りで盛んに鳴いているので寂しくはありませんが、巣箱に居ると居ないとでは距離感が全然違いますね。またいつになるかわからないけど気長に待つことにします。

先月初旬に妻がセルビアに行ったのでついでにジョコビッチの店に寄ってもらうよう頼んでおいたら、お土産に帽子を買ってきてくれました。今年は楽天オープンにジョコビッチが初参戦するそうなのでその時かぶって行こうかな。今年は久しぶりに決勝見に行くか。ちなみに、以前は予選は無料で観戦できたのでお得でした。2年前行ったときは1500円掛かりましたがそれでもお得です。有明はオリンピックに向け整備中なので今年の会場はまだ決まってないようです。

オリンピックと言えばチケットの抽選に全て落選しました。5歳の子供がいるので「みんなで応援チケット」(1枚2020円)をメインに申し込みましたがさすがに競争率が高かったのか全敗でした。サッカー(1次ラウンド)、体操(予選)、競泳(予選)、陸上(予選)、馬術(予選)、テニス(1回戦、決勝)すべてダメでした。(テニスの決勝以外は全て2020チケット)平日夜開催の馬術ぐらいは当たるだろうと期待していましたが甘かったです。せっかく東京でやるのだから都民としては是非見に行きたいと思っていましたが、残念でした。

この時期、毎年恒例行事となっている三鷹市テニス協会主催の団体戦に参戦しました。去年、一昨年と5部、4部で優勝しているのですが、今年は残念ながら(編成の都合で3部ではなく)4部で優勝できず昇格なりませんでした。来年は昇格目指して頑張ります。

下の子の保育園生活も残り9ヵ月。6月は面談、保育参観、夏祭りの行事がありました。夏祭りもこれが最後かと思うと感慨深いです。夏祭りは父母会と保育園との共催で、花火は父母会の担当です。父母会では子供たち(卒園児や近隣の子供たちも含めて)におもちゃの配布も行っていましたが今ではやっていません。父母会の活動自体も保護者の負担になっているようなので今後は花火もどうなるかわからないなあなんて思いつつも、来年以降は関係ないからあとは好きにしてもらえばいいかと諦観とまではいかないものの、ある種の寂しさを感じました。

なんだかネガティブなエントリーになっていしまいました。もしかして最近の生活が惰性に流れているのもこのような気分が原因かもしれません。このエントリーを機に切り替えたいと思います!

2019年6月24日

中性$K$粒子系と弱い相互作用での$CP$対称性の破れ3:ナイアの教科書から

前回のエントリーの続きです。2回に渡り長々と$K^0 \bar{K^0}$系の弱い相互作用に現れる$CP$対称性の破れについて議論してきましたが、最初のエントリーの冒頭でも触れたように「$CP$対称性の破れは理論上は存在してもおかしくない反物質がなぜ我々の世界には見られないのかを説明する有力な手掛かりとなっている」のでその点について今回は、以前こちらで紹介したナイアの最近の教科書


の該当箇所を翻訳する形で紹介したいと思います。

弱い相互作用の$CP$対称性の破れは1960年代の素粒子物理学が理論・実験共に黄金時代を迎えていたころに発見されたものですが、その頃の素粒子物理学を牽引していたジャイアンツの1人で「クォーク」という用語を命名したマレイ・ゲルマン (Murray Gell-Mann) が先月亡くなられたそうです。ゲルマンと言えば大学生のころに


読みましたが、内容は今では良く覚えていません。ゲルマンが晩年に研究していた複雑系の話が多く、ノーベル賞受賞に至った素粒子物理の話は期待していたほど載っていなかった印象があります。素粒子物理の黄金期のころの話はゲルマンが生い立ちから晩年の研究に至るまでの回想を語った貴重なインタビュー動画


のなかで様々に語られています。ストレートな語り口で面白かったです。また、ゲルマンの学生の一人で同僚でもあったスティーブン・ウルフラム(Stephen WolframMathematicaWolfram Alphaの創始者)が個人的なエピソード交えた感動的なメッセージをこちらに公開しています。このなかでウルフラムが素粒子物理学の黄金時代(ゲルマンが八面六臂の活躍をした1960~1970年代)に成された重要な発見が人口に膾炙されていないことを嘆いています。興味深かったので原文を引用します。
At the time, it seemed to me like the most important discoveries ever were being made: fundamental facts about the fundamental particles that exist in our universe. And I think I assumed that before long everyone would know these things, just as people know that there are atoms and protons and electrons.
But I’m shocked today that almost nobody has, for example, even heard of muons --- even though we’re continually bombarded with them from cosmic rays. Talk about strangeness, or the omega-minus, and one gets blank stares. Quarks more people have heard of, though mostly because of their name, with its various uses for brands, etc.
To me it feels a bit tragic. It’s not hard to show Gell-Mann’s eightfold way pictures, and to explain how the particles in them can be made from quarks. It’s at least as easy to explain that there are 6 known types of quarks as to explain about chemical elements or DNA bases. But for some reason --- in most countries --- all these triumphs of particle physics have never made it into school science curriculums.
And as I was writing this piece, I was shocked at how thin the information on “classic” particle physics is on the web. In fact, in trying to recall some of the history, the most extensive discussion I could find was in an unpublished book I myself wrote when I was 12 years old! (Yes, full of charming spelling mistakes, and a few physics mistakes.) 
確かに物質を構成する基本粒子としてクォークとレプトンを知識として教えるのは化学元素やDNAの核酸塩基について教えるのと同じぐらい重要だと思います。現在のカリキュラムでは大学の物理学科に入らない限りクォーク模型について授業で習う機会がないのは人類の未来にとって残念なことです。ウルフラムも指摘するように今や「古典」ともいえる1960~1980年代の素粒子物理学の成果がネット上であまり共有されていないのはショッキングなことと言えるでしょう。そのような思いもあり今回の一連のエントリーでは昔のノートを取り出して$CP$対称性の破れについての復習過程をブログに公開することにしました。

最後のまとめとして以下では上述の通りナイアの教科書の議論を紹介します。標準模型の枠組みで$CP$対称性の破れを記述するにはクォークが3世代ないと説明つかないこと(小林・益川モデル)についての議論の後に続く部分(252~255ページ)の意訳です。

ブログ アーカイブ