2019-02-26

天皇皇后両陛下在位30年、おつかれさまでした!

週末2/24に政府(内閣)主催の天皇陛下御在位三十年記念式典をテレビで観ました。政府インターネットテレビで全編


が公開されているので、見逃した方はご覧ください。式典の様子はこちら


でも公開されています。政府主催とのことで三権の長(内閣総理大臣、衆参議院議長、最高裁長官)の祝辞がありました。おそらく十分に調整されたのでしょう祝辞の内容は似たり寄ったりでした。そんな中でも両陛下は熱心に耳を傾けられている御様子で感服しました。天皇陛下・作詞、皇后陛下・作曲の「歌声の響」も披露されました。私は初めて聞きましたがとても素晴らしく感動しました。両陛下もことのほか熱心に聴き入っていたようにお見受けしました。

その後、天皇陛下からのお言葉がありました。宮内庁のページに全文が公開されているので引用します。

在位三十年に当たり,政府並びに国の内外から寄せられた祝意に対し,深く感謝いたします。
即位から30年,こと多く過ぎた日々を振り返り,今日(こんにち)こうして国の内外の祝意に包まれ,このような日を迎えることを誠に感慨深く思います。
平成の30年間,日本は国民の平和を希求する強い意志に支えられ,近現代において初めて戦争を経験せぬ時代を持ちましたが,それはまた,決して平坦な時代ではなく,多くの予想せぬ困難に直面した時代でもありました。世界は気候変動の周期に入り,我が国も多くの自然災害に襲われ,また高齢化,少子化による人口構造の変化から,過去に経験のない多くの社会現象にも直面しました。島国として比較的恵まれた形で独自の文化を育ててきた我が国も,今,グローバル化する世界の中で,更に外に向かって開かれ,その中で叡智(えいち)を持って自らの立場を確立し,誠意を持って他国との関係を構築していくことが求められているのではないかと思います。
天皇として即位して以来今日(こんにち)まで,日々国の安寧と人々の幸せを祈り,象徴としていかにあるべきかを考えつつ過ごしてきました。しかし憲法で定められた象徴としての天皇像を模索する道は果てしなく遠く,これから先,私を継いでいく人たちが,次の時代,更に次の時代と象徴のあるべき姿を求め,先立つこの時代の象徴像を補い続けていってくれることを願っています。
天皇としてのこれまでの務めを,人々の助けを得て行うことができたことは幸せなことでした。これまでの私の全ての仕事は,国の組織の同意と支持のもと,初めて行い得たものであり,私がこれまで果たすべき務めを果たしてこられたのは,その統合の象徴であることに,誇りと喜びを持つことのできるこの国の人々の存在と,過去から今に至る長い年月に,日本人がつくり上げてきた,この国の持つ民度のお陰でした。災害の相次いだこの30年を通し,不幸にも被災の地で多くの悲しみに遭遇しながらも,健気(けなげ)に耐え抜いてきた人々,そして被災地の哀(かな)しみを我が事とし,様々な形で寄り添い続けてきた全国の人々の姿は,私の在位中の忘れ難い記憶の一つです。
今日この機会に,日本が苦しみと悲しみのさ中にあった時,少なからぬ関心を寄せられた諸外国の方々にも,お礼の気持ちを述べたく思います。数知れぬ多くの国や国際機関,また地域が,心のこもった援助を与えてくださいました。心より深く感謝いたします。
平成が始まって間もなく,皇后は感慨のこもった一首の歌を記しています。

  ともどもに平(たひ)らけき代(よ)を築かむと諸人(もろひと)のことば国うちに充(み)つ

平成は昭和天皇の崩御と共に,深い悲しみに沈む諒闇(りょうあん)の中に歩みを始めました。そのような時でしたから,この歌にある「言葉」は,決して声高に語られたものではありませんでした。
しかしこの頃,全国各地より寄せられた「私たちも皇室と共に平和な日本をつくっていく」という静かな中にも決意に満ちた言葉を,私どもは今も大切に心にとどめています。
在位三十年に当たり,今日(こんにち)このような式典を催してくださった皆様に厚く感謝の意を表し,ここに改めて,我が国と世界の人々の安寧と幸せを祈ります。

フリガナは括弧で表示しています。宮内庁では読点を「、」ではなく「,」としているのは意外でした。もちろん横書きの場合は後者の方が妥当なのですが。天皇陛下の思慮深いお言葉に接して、背筋が伸びました。「諒闇」(りょうあん)という言葉を直接耳にすることはこのような機会をおいてはまずないでしょう。(宮内庁のページでも当初は「涼闇」となっていて、おかしいなと思っていましたがすぐに修正されたようです。)天皇皇后両陛下の災害被災者へ寄り添う優しさ、戦争で犠牲となり今なお基地問題に揺れている沖縄の方々への温かい眼差しを私たちは忘れることは無いでしょう。

私の勝手な想像ですが、魚類研究者としても多くの論文を発表されている天皇陛下は、自由で開かれた科学者としてのマインドも存分に持ち合わされていらっしゃると思います。陛下の論文リストはこちらを参照ください。知らない方もいるかもしれませんが、陛下はあのScienceにも寄稿されています。

Akihito, "Early cultivators of science in Japan" (October 1992) Science 258 (5082): 578-80. doi:10.1126/science.1411568.

陛下はまたテニス愛好家でいらっしゃったり、ドライブ好きであることなど私は常に(勝手に)親近感を抱いてきました。天皇という立場上、個人的な自由が制限され、優秀な方々に見守られながらも失敗の許されない生活はとても不自由だったと思います。長年にわたる御公務本当におつかれさまでした。上記のお言葉の中で陛下が誠実にも述べられた以下のメッセージがとても印象的でした。

「天皇として即位して以来今日(こんにち)まで,日々国の安寧と人々の幸せを祈り,象徴としていかにあるべきかを考えつつ過ごしてきました。しかし憲法で定められた象徴としての天皇像を模索する道は果てしなく遠く,これから先,私を継いでいく人たちが,次の時代,更に次の時代と象徴のあるべき姿を求め,先立つこの時代の象徴像を補い続けていってくれることを願っています。」

このお言葉に私たちは今後どのように対応していけば良いのでしょうか。内閣やその意向を受けた特別な専門委員会で決めるような事柄ではないはずです。国民の総意を問う形で解決してもらいたいです。

式典の最後に安倍首相の音頭で万歳三唱がありましたが、私はこれには違和感を覚えました。このような翼賛的な祝意の表現は両陛下は望まれないだろうなあと個人的には感じました。もちろん賢明な両陛下はその様な態度は一切見せずにいましたので、あくまで私の個人的な感想です。両陛下がご退席になるときに(花束を贈呈して)拍手でお見送りするだけでも祝意と感謝の気持ちは充分に伝わるのではないでしょうか。

最後に祝日について。当然ながら今年から12月の天皇誕生日はなくなり来年から2/23が天皇誕生日となります(来年は2/23が日曜なので2/24が振替休日)。また、即位礼正殿の儀が10/22(火)に行われ祝日となります。関連してこのブログのカレンダーで設定している祝日を変更しました。更新スクリプトは以下の通りです。

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