2026-01-08
2025-08-25
Mathematical Review 129: 重力子散乱振幅 Amplituhedron-like 構成の試み
久しぶりに重力散乱振幅についての論文のレビュー依頼が来ました。前回のレビューはこちら。あまり進展してないなぁとの印象。それより、数ある重力子の MHV (maximally-helicity-violating) 振幅のうち何故に Hodges の式を使うのか良く分かりませんでした。が、そんなこと突っ込んでも仕方ないので著者の意向をくみ取ってレビューしました。こちらの通り。内容には踏み込まず背景知識の整理が大半を占めるというヒストリカルなレビューになってしまいました。数学の方にも是非、散乱振幅研究の歴史的な側面を知ってもらえればと思います。Amplituhedron では重力子散乱は上手くいかないというのは知りませんでした。私としては Amplituhedron でなくツイスター空間上のホロノミー形式による散乱振幅の研究を進めなきゃなあ。なんて思いながら実際最近は何も出来ていないことに慚愧の念が堪えません。
2025-06-13
Mathematical Review 124: トポロジカル欠陥がある場合の拡張された対称性について
背景となる相空間が単連結でない場合(一般にトポロジカル欠陥がある場合)ハイゼンベルク代数のユニタリー表現を唯一に決めることができない。(ストーン-フォンノイマンの定理) 物性理論ではこれは分数量子ホール効果に現れる。つまり、2次元空間が単連結でない場合、波動関数(ラフリン波動関数)を一意に決めることができず、物理系はある有限群の対称性をもつ。高次元空間での分数量子ホール効果についての研究も数多くなされており、特に興味深い結果は最近 Agarwal-Karabali-Nair の論文で示された。この論文では、高次元の Chern-Simons 理論にアノマリー相殺の概念を適用することで高次元分数量子ホール効果の有効作用が構成された。
このように、トポロジカル欠陥がある場合の物理現象を解析するにはトポロジカル・ゲージ理論を用いるのが場の理論としては自然なアプローチである。しかし、より直接的に上述の有限群の対称性を組み込んだ拡張された対称性を考えて、トポロジカル欠陥のある物理現象を理解しようとするアプローチが近年盛んに研究されている。この対称性はフロベニウス代数と呼ばれる代数によって記述される。4次元時空において物理的に重要となるカイラル対称性もフロベニウス代数を用いて拡張されることが知られており、例えば、こちらで示唆されているように、このようなアプローチからフェルミ粒子質量の起源が分かるのではないかと期待されている。トポロジカルな場の理論の知識がなくても(代数的な性質だけから)物理量を予測できるという興味深い手法であり、今後の発展に期待したい。
2024-04-04
Mathematical Review 122: チャーン-サイモン理論と量子群
2024-03-14
Mathematical Review 121: 高階スピン自己双対ヤン-ミルズ理論
質量ゼロの高いスピンを持つ粒子をツイスター空間上で記述する話題は以前にこちらでレビューしました。今回はより具体的に、最近提案された高階スピン自己双対ヤン-ミルズ理論の作用からMHV散乱振幅を計算し、さらに自己双対ヤン-ミルズ理論の可積分性から一般の高階スピン・ヤン-ミルズ理論のMHV散乱振幅も古典レベルで導出できるという話でした。レビューはこちら。自己双対ヤン-ミルズ理論はインスタントンとの関連で長年研究されている分野です。1990年には自己双対ヤン-ミルズ理論をトポロジカルなゲージ理論として構成できるというモデルがナイアによって提唱されました。これはケーラー-チャーン-サイモン理論あるいはドナルドソン-ナイア-シッフ理論として知られています。高階スピンへの拡張もこの文脈で考えるとツイスター空間への埋め込みも自然に理解できるはずです。というか、MHV散乱振幅をWZW模型の相関関数として理解する方向から高階スピン理論へ拡張すればいいのになんて思いました。それにしても高階スピンのゲージ理論の話が私に回ってくるのはどういうことでしょう?特に興味ないのに。高階スピン理論の祖バシリエフ先生の学生さんが皆エネルギッシュで論文量産するので仕方ないか。
2024-02-29
Mathematical Review 120: 重力子散乱振幅 最近の話題
ツイスター空間を使ったゲージ粒子や重力子の散乱振幅の計算についての研究は以前ほどではありませんが今でもホットなトピックです。先日、関連論文のレビュー依頼が来たので久しぶりに重力子散乱について見直してみました。論文ではツイスター空間での解析がしやすい状況で曲がった空間の効果がどうなるかを調べていましたが、背景知識がかなり要求されるのでモチベーションがないと読み進めるのが大変です。(最近の高エネルギー理論の論文は大抵そうですが。)詳細は追っていませんが当然ながら背景場の曲率の寄与が無視できなくなりいわゆるテイル効果(重力子と曲率の相互作用による効果)が出てくるとのことでした。
論文を読んでいて自分が昔書いた話は全く知られていないのだなあと少し残念に思いました。あの時の話、重力子散乱と組紐群の関係やMHVルール(CSWルールともいう)から重力子散乱のS行列を導出できること、あるいはグラスマン多様体との関係などについては特に触れられていなかったので読みながら、そういうのじゃないんだけどなぁなんて何度も詰まってしまいました。なら、考えていたことを自分で書けばいいじゃないかと自問自答しながら昔のノートを引っ張り出したりしてレビューどころでありませんでした。埒が明かないのでやっつけ的にレビュー出しました。なんだかんだで4,5日掛かりました。その間、BCS理論のノートのほうは一時中止。これから再開します。
2023-07-05
Mathematical Review 115: IKKT行列模型、最近の進展
私が大学院に入ったのは1999年でしたが、その頃の素粒子論は弦理論全盛でその中でも特に全てのタイプの超弦理論を統一するという(Witten先生が発見し命名した) ${\cal M}$ 理論が注目されていました。${\cal M}$ 理論がもつ時空の非可換性との関連で ${\cal M}$ 理論が行列模型で表されるというBFSS行列模型が提唱され、またほぼ同時期にあるタイプ(Type IIBと呼ばれる)超弦理論が行列模型として記述できるというIKKT行列模型が提唱されました。当然ながらこれらについて多くの論文が出ました。博士課程の頃、私もこの流れに乗らないとポスドクが見つからないだろうという思いもあり、これらの行列模型について論文を書きました。20年ぐらい昔の話です。
結局、ポスドクは見つからずその後これらの行列模型についてあまりフォローしていなかったのですが、先日、AMS の Mathematical Reviews からIKKT模型についての論文のレビューを依頼されたので少し読んでみました。昔のことを思い出しながら、ざっと見た感じで表面的にレビューしただけですが、とりあえずこちらを寄稿しました。最近、偶然にも長谷部さんからIKKT行列模型についての関連論文を教えてもらっていたので、こちらについても読んでみました。IKKT行列模型から高次元スピンのゲージ理論やゲージ場の散乱振幅を導くという話です。何故そのようなことを考えるのか今の私には良くわかりませんが、20年にわたり同じトピックを深めていくSteinacker氏の研究スタイルには感服します。今後もシミュレーションではない解析的な手法でIKKT行列模型の研究を続けて行ってもらいたいと思います。
2022-03-04
Mathematical Review 110: チャーン・サイモンズ理論における結び目状態の複雑性
最近の場の理論の研究では量子コンピュータの概念(量子もつれや複雑性)との関連のトッピックが流行のようです。私はこの話には疎いので敬遠していましたが、レビューが回ってきたので読んでみました。(対象論文はこちら、レビューはこちら。)チャーン・サイモンズ理論の結び目状態の複雑性についての話です。複雑性といっても場の理論ではその定義からしてまだ決まっていないので色々な提案があるのですが、今回の論文はその提案の一つです。アーベル型の場合レベル$k$ チャーン・サイモンズ理論の結び目状態(あるいはリンク補空間状態)の複雑性はガウスの絡み数 (mod $k$) の差で定義できるとのことです。また、非アーベル型の$SU(2)_k$チャーン・サイモンズ理論の場合はジョーンズ多項式の情報と1つの結び目状態の複雑性から計算できるとのこと。非アーベル型の簡単な場合については数値計算も行われていました。
アーベル型の場合、結局は結び目の複雑性を計算しているので絡み数で表されるのは自然というか、それ以外の適当な指標が思いつきません。非アーベル型の場合はより複雑になりますが結び目理論との関係からジョーンズ多項式が出てくるのは納得できます。ただ、この「複雑性」というのが量子コンピュータでは(計算効率の観点から)重要な量であるのは何となく分かるのですが、ゲージ場の理論の物理量としてどう利用できるのかよく分からないままでした。今後もこのような研究が増えるのでしょうか?学部の時に色々迷ったあげく物理学科から情報科学科に移った友達(高木将通くん)のことをふと思い出しました。
2021-07-18
Mathematical Review 109: 量子群を使った「ファジイ球」
最近、ほとんど連絡の無かった Math Review から依頼を受けました。レビュー内容はこちらから。タイトルに fuzzy sphere と入っていたのでてっきりファジイ空間についての論文かと思いましたが、読んでみると全く違いました。ファジイ球とはいうものの物理で用いられる意味とは異なり、さらにはコンヌの定義した非可換空間とも別の非可換空間を考えているというもので私の知らない世界でした。
物理の文献でファジイ空間と言えば行列によって表現される(コンパクトな)非可換空間を意味するのですが、今回の論文では量子群を使って非可換空間を表すという話なので具体的な行列表示とは関係ありませんでした。そうなら fuzzy sphere なんて紛らわしい用語を(タイトルにまで)使わないでほしいと思いました。査読のときに誰かが指摘して混乱を来すような用語の使用は未然に防いでほしかったです。編集者の方もタイトルにfuzzy shpere とあるからだいぶ昔にファジイ空間の構成についての博士論文を書いた私にわざわざレビューを依頼したのでしょうが、見当違いだったようです。他に適任者が居るはずですが、折角の依頼だったので今回は内容には踏み込まず表面的にレビューしました。
2020-07-29
Mathematical Review 106: gravity spectral action 最近の発展
最近は特に興味ある論文が回ってこなかったので Mathematical Reviews からの依頼を断っていたのですが、さすがに3回立て続けに断るのは良くないということで久しぶりに寄稿しました。詳しくはこちらから。(106番目のレビューです。)非可換幾何学を定義する spectral triple を使って重力モデルを構築するというアラン・コンヌ達が創始した分野の最近の進展についてでした。Spectral triple を用いた物理モデルの作用のことを一般に spectral 作用と呼びます。コンヌ流の厳密な定義に基づくため数学者には扱いやすいのかもしれませんが、場の理論に慣れている物理学者にとってはすこし取っ付きにくい枠組みです。
M理論の行列模型との関連で非可換幾何学は確かに一時流行しましたが、spectral triple を用いて(コンヌの土俵に乗って)モデル構築をする物理学者は私の知る限りほとんどいません。同じ物理モデルを扱っているはずなのですが、spectral作用の発展については数学者任せになっているのが現状です。(個人的な見解です。)参考までにコンヌ流の非可換幾何学についての入門書が日本語で読めるので興味ある方はご覧ください。
今回レビューした論文では典型的な Robertson-Walker 計量をもつ宇宙モデルの spectral 作用が研究対象で、その作用の漸近展開を行うと組合せ論的、代数的に深い構造が見いだせるとのことでした。量子重力の散乱振幅の計算からも重力理論には Yangian 対称性や組み紐構造があることが分かっているので興味深かったです。また、上記の結果をより複雑な宇宙モデルの spectral 作用に応用するとゼータ関数で表される係数や補正項が現れるとのことです。飛ばし読みしただけなので詳細はよく分かりませんでしたが、興味ある方は論文のほうをご覧ください。
M理論の行列模型との関連で非可換幾何学は確かに一時流行しましたが、spectral triple を用いて(コンヌの土俵に乗って)モデル構築をする物理学者は私の知る限りほとんどいません。同じ物理モデルを扱っているはずなのですが、spectral作用の発展については数学者任せになっているのが現状です。(個人的な見解です。)参考までにコンヌ流の非可換幾何学についての入門書が日本語で読めるので興味ある方はご覧ください。
今回レビューした論文では典型的な Robertson-Walker 計量をもつ宇宙モデルの spectral 作用が研究対象で、その作用の漸近展開を行うと組合せ論的、代数的に深い構造が見いだせるとのことでした。量子重力の散乱振幅の計算からも重力理論には Yangian 対称性や組み紐構造があることが分かっているので興味深かったです。また、上記の結果をより複雑な宇宙モデルの spectral 作用に応用するとゼータ関数で表される係数や補正項が現れるとのことです。飛ばし読みしただけなので詳細はよく分かりませんでしたが、興味ある方は論文のほうをご覧ください。
2020-03-27
Mathematical Review 105: BCFW漸化式ほか
先日、久しぶりにMathematical Reviewsに寄稿。詳しくはこちら。今回は講義録としてまとめられた本の1章を割り当てられたためオンラインではなく郵送で記事が送られてきました。事前連絡がなく自宅の郵便受けに投函されていたので驚きました。夏の学校の講義録のため内容は初学者向けの丁寧なものなので、散乱振幅の最近の発展について興味のある大学院生にはちょうどいいと思います。この分野は日本ではあまり人気がないようなので是非若い人に盛り上げてもらいたいです。
2019-11-18
Mathematical Review 104: light-cone quantization 雑感
久しぶりにMathematical Reviewsに寄稿しました。内容はこちら。いまや歴史的な存在の感のある光錐(light-cone)座標についてでした。シンプレクティック構造を用いた量子化(シンプレクティック量子化というらしい)を使って、light-cone座標での量子化を提案するという(モチベーションとしては)素朴なものでしたがこのあたりの基礎論的な内容は少しオールドファッションのようであまり人気はありません。確かに、使う座標が違っても物理的には同じことをしている訳なのだからフォーマルなことにこだわらなければスルーするような内容かもしれません。個人的には複素構造も加味して幾何学的量子化にまで言及してくれた方が話がすっきりしていいのになあという感想を持ちました。
Light-coneと言えば弦理論の量子化が初めて行われた座標ということで有名です。その第一人者の一人であるミチオ・カク先生はニューヨーク市立大学でお世話になりました。カク先生は早くから超弦理論の教科書を執筆されていて、私もその教科書で弦理論をかじっていたので大学院の授業でもてっきりカク先生が教えているのだろうと思っていましたが、実際には先生は執筆活動やテレビ・ラジオでの普及活動に忙しく、大学では学部生向けの天文学の授業しか講義されていませんでした。一度、その天文学の授業のティーチングアシスタント(TA)になって、授業を垣間見たことがあります。ベストセラーになった先生の著書
Light-coneと言えば弦理論の量子化が初めて行われた座標ということで有名です。その第一人者の一人であるミチオ・カク先生はニューヨーク市立大学でお世話になりました。カク先生は早くから超弦理論の教科書を執筆されていて、私もその教科書で弦理論をかじっていたので大学院の授業でもてっきりカク先生が教えているのだろうと思っていましたが、実際には先生は執筆活動やテレビ・ラジオでの普及活動に忙しく、大学では学部生向けの天文学の授業しか講義されていませんでした。一度、その天文学の授業のティーチングアシスタント(TA)になって、授業を垣間見たことがあります。ベストセラーになった先生の著書
が参考図書になっていて充実した内容かつエンターテイメント性もあり学部生への講義のお手本のような授業でした。私がTAをしたころはVISONSをちょうど書き終えた頃でどちらの本も興味深く読みました。どちらも分かり易く書かれていてお勧めです。Hyperspaceのほうは弦理論に関連付けた多次元世界の解説、VISIONSのほうは素粒子理論家による未来予測といった内容だったと記憶しています。
2019-09-05
Mathematical Review 103: higher spin theory 雑感
久しぶりにMathematical Reviewsへ寄稿しました。これまでのレビューリストはこちら。今回の寄稿内容はこちら。これまで話だけは聞いていたスピンの数が大きい粒子(higher spin あるいは infinite spin と呼ばれる粒子、以下では「高階スピン粒子」と呼ぶ)の理論についてです。この論文では質量ゼロの高階スピン粒子をツイスター変数で記述することによって、高階スピン粒子の場の方程式を具体的に書き出し、これらの場が以前から知られている高階スピン粒子の${\cal N}=1$超対称代数の表現を与えることが示されています。
4次元上の質量ゼロの粒子はツイスター空間上で定義されるツイスター変数を用いると2次元のワイル・スピノールで表現できるため、スピン1のグルーオンやスピン2のグラビトン(重力子)の散乱振幅を計算を飛躍的に簡素化できることが知られています。(その背景や詳しいことはこちらを参照ください。)この論文ではそれらの発展に刺激されて無質量の高階スピン粒子のダイナミクスをツイスター変数で記述・解析したものです。高階スピン粒子については全く専門外で良く知りませんでしたが、ツイスター変数を用いた散乱振幅についてはいくつか論文を書いていたため私に寄稿依頼が回ってきたようです。式だけ追っていてはなかなか全体像が分かりませんでしたが、とりあえず関連論文も参照しながらレビューしました。
この論文の結果は数学的には興味深いものですが、そもそもスピンが2より大きい高階スピン粒子は自然界に(これまでの観測では)実在しないので物理的なモチベーションには欠けます。高階スピン粒子の場あるいは波動関数が議論されていますが、個人的にはこれはグルーオンの多粒子系の状態関数と関係づければもう少し面白くなるのではと思いました。グルーオンの多粒子系ではそのような状態関数は(古典レベルでは)共形性をもつので2次元の共形場理論の情報から4次元のゲージ理論を解析できるという面白い関係性がありますが、高階スピン粒子の理論では共形性はどうなっているのでしょうか?高階スピン粒子を定義する拘束式の形からは共形性は見て取れませんでした。調べてみると共形性をとりこんだ高階スピン理論(Conformal higher-spin theories)というのが既にあるそうです。ただ、これも数学的には興味深いでしょうが、物理理論としては抽象的すぎる気がします。
(2024年4月追記) 難解な分野ですが、最近発刊された教科書
に日本語の詳しい解説があるので興味のある方は参考にしてみてはいかがでしょうか。
2019-02-08
久しぶりに Mathematical Reviews へ寄稿、ついに100回到達!
以前の投稿からだいぶ空きましたが、Mathematical Reviews へ久しぶりに寄稿しました。予告通りこれで100回目です。(これまでのリストはこちらから。)最近ちゃんと論文読んでいなかったので時間がかかりました。ある特殊な弦理論の可積分性について Yangian 対称性を使って議論するものでしたが細かいところまではフォローできませんでした。最近は場の理論の数論への応用やグラスマン多様体上の積分を用いたゲージ理論の散乱振幅の計算に興味があったので、弦理論の発展については傍観しています。arXivではランドスケープやらスワンプランドの話が良く出ているようですが全く理解できていません。いまは散乱振幅の計算についての発展やその現象論への応用に興味があるので、面白そうな論文があればこのブログで取り上げていこうと思います。
2018-09-27
Mathematical Reviews への寄稿を振り返って
アメリカ数学会が運営している論文データベース Mathematical Reviews への寄稿依頼を初めて受けたのは2009年6月でした。学位取得してから数年しかたっておらず、研究機関にも属していないフリーの研究者で、数学を専門にしているわけでもない私に依頼が来るとは相当人材難の状況なのだろうと容易に推測できましたが、私にとっては民間就職して学位とは全く関係のないプログラミングに四苦八苦している最中だったので専門知識が活かせる唯一の依頼であったし、ともすると研究から離れがちになる気持ちを繋ぎとめてくれる救いのようなオファーだったので、ありがたく受けることにしました。初めのころは張り切って寄稿していましたが、そのうち一度に複数の論文のレビューを行うことに負担を感じ始め、専門分野と違う論文もちらほら回ってきて苦労しました。それでも当初は、いい勉強の機会だしトレンドに置いておかれまじと出来る範囲で関連論文を読んで対応していましたが、やはり次第に負担になってきて、期限ぎりぎりで書き上げることが多くなってきました。また、無理して書き上げるとどうしてもあまり深く理解しないままヤッツケ仕事のような感じになり自分でも楽しくなくなってきたので、途中から一度の依頼での論文数を1つだけにしてもらうことにして、興味のない分野や自分の専門とかけ離れている論文については積極的に受け付けないことに決めました。それでも、なぜか定期的に論文が回ってくるのでこれまで続けてきました。2011年の震災の直後に数ヵ月依頼が来なかった期間がありましたが、その間は震災後の状況を慮ってくれたようで、もし再開しても大丈夫なら連絡くださいとのメールが編集者の方から来たときには、アメリカ的な気遣いに感謝しました。
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