作家の大江健三郎さんがが亡くなられたそうです。大江健三郎と聞いて最初に思い出すのは大学1年の秋、早朝の井の頭線の車内で向かい側に座っていた乗客が開いたスポーツ紙の一面に飾られた「大江健三郎、ノーベル文学賞!」のインパクト。それまでスポーツ紙に学術的な話が載るとは思っていなかったので、ノーベル賞受賞が「阪神優勝!」と同列に扱われることに戸惑った記憶があります。それだけ国民的な関心が高いニュースだったのでしょう。私はそれまで大江健三郎の本を読んだことがなかったので、さすがに一度読んでみようと手にしたのが文庫版の『人生の親戚』
でした。ちょうどスペイン語を第二外国語で勉強していてラテンアメリカ文学にも興味を持ち始めたのでタイトルがスペイン語の Parientes de vida の直訳でメキシコで慣用的に使われている「人生についてまわる不幸」のこと指していると知り興味を持ちました。まだ二十歳そこそこで人生経験も浅かったけどもじわ~~とくる内容でとても感動した覚えがあります。最初に読んだ大江の作品がこれでよかったです。