2022-03-27

アマゾンの注文履歴から:Putin's Russia, 暗殺国家ロシア

 ロシアのウクライナ侵攻から1ヵ月経ちました。当初予想したとおりチェチェン紛争のように長期化・泥沼化してきました。ウクライナの方々には是非踏ん張ってもらいたいと思います。微力ながら在日ウクライナ大使館と現地から貴重な最新情報を伝えてくれるボグダン・パルホメンコさんへ募金しました。プーチン大統領の暴挙には国際社会が団結して対抗するしかありません。

プーチン大統領の恐怖政治は2000年代前半から明らかでした。チェチェン紛争以降、反政府系のジャーナリストの暗殺・不審死、北オセチアでのテロ事件、グルジア侵攻などカフカス地方を舞台にした陰惨な事件が続きました。日本ではあまり報じられていなかったのでご存知でない方もいるかもしれませんが、2006年にジャーナリストのアンナ・ポリトコフスカヤさんが白昼に暗殺された事件は衝撃的でした。その彼女の遺作 Putin's Russia: Life in a Failing Democracy


を2007年の夏に購入しましたが、日本で生活に忙しい身としては動機付けに乏しく最後まで読み切れませんでした。今考えるとポリトコフスカヤさんの文字通り身を擲った最後の告発だったのに遠い異国の政治のこととして無関心でいたように感じます。もちろん国際社会には彼女の告発は届いていたとは思いますが、プーチンの強権は増々ひどくなる一方でクリミア侵攻、ドンバス地域への介入を経てとうとう今やウクライナ全土が戦禍の中です。去年、ポリトコフスカヤさんが所属していたノーヴァヤ・ガゼータ誌編集長がノーベル平和賞を受賞されましたが、先月24日になるまでプーチン大統領の危険性・暴力性・反社会性に国際社会が本気で気付くことは無かったように感じます。

2022-03-13

2022年3月 青根から蛭ヶ岳ピストン

 秦野方面から丹沢山、塔ノ岳には登っているので丹沢には行った気になっていましたが、最高峰の蛭ヶ岳が未踏なのでずっと心残りでした。去年末から狙っていたのですが雪が深そうなのでためらっていた所、3月も中旬になりもう大丈夫だろうと判断して決行。中央道相模湖ICから日連アルプス登山口脇の道を南下、ナビに従って青根まで。結構な山道でした。旧青根小学校の無料駐車場を利用しました。近くに公衆トイレもあり便利です。林道が意外に長く良いアップになりました。








2022-03-04

Mathematical Review 110: チャーン・サイモンズ理論における結び目状態の複雑性

最近の場の理論の研究では量子コンピュータの概念(量子もつれや複雑性)との関連のトッピックが流行のようです。私はこの話には疎いので敬遠していましたが、レビューが回ってきたので読んでみました。(対象論文はこちら、レビューはこちら。)チャーン・サイモンズ理論の結び目状態の複雑性についての話です。複雑性といっても場の理論ではその定義からしてまだ決まっていないので色々な提案があるのですが、今回の論文はその提案の一つです。アーベル型の場合レベル$k$ チャーン・サイモンズ理論の結び目状態(あるいはリンク補空間状態)の複雑性はガウスの絡み数 (mod $k$) の差で定義できるとのことです。また、非アーベル型の$SU(2)_k$チャーン・サイモンズ理論の場合はジョーンズ多項式の情報と1つの結び目状態の複雑性から計算できるとのこと。非アーベル型の簡単な場合については数値計算も行われていました。

アーベル型の場合、結局は結び目の複雑性を計算しているので絡み数で表されるのは自然というか、それ以外の適当な指標が思いつきません。非アーベル型の場合はより複雑になりますが結び目理論との関係からジョーンズ多項式が出てくるのは納得できます。ただ、この「複雑性」というのが量子コンピュータでは(計算効率の観点から)重要な量であるのは何となく分かるのですが、ゲージ場の理論の物理量としてどう利用できるのかよく分からないままでした。今後もこのような研究が増えるのでしょうか?学部の時に色々迷ったあげく物理学科から情報科学科に移った友達(高木将通くん)のことをふと思い出しました。