2025-08-25

Mathematical Review 129: 重力子散乱振幅 Amplituhedron-like 構成の試み

久しぶりに重力散乱振幅についての論文のレビュー依頼が来ました。前回のレビューはこちら。あまり進展してないなぁとの印象。それより、数ある重力子の MHV (maximally-helicity-violating) 振幅のうち何故に Hodges の式を使うのか良く分かりませんでした。が、そんなこと突っ込んでも仕方ないので著者の意向をくみ取ってレビューしました。こちらの通り。内容には踏み込まず背景知識の整理が大半を占めるというヒストリカルなレビューになってしまいました。数学の方にも是非、散乱振幅研究の歴史的な側面を知ってもらえればと思います。Amplituhedron では重力子散乱は上手くいかないというのは知りませんでした。私としては Amplituhedron でなくツイスター空間上のホロノミー形式による散乱振幅の研究を進めなきゃなあ。なんて思いながら実際最近は何も出来ていないことに慚愧の念が堪えません。

2025-08-15

13. ウィグナーの $\D$ 関数とその応用 vol.10

13.3.3 Case-Gasiorowicz-Weinberg-Witten の定理


ケイス-ガシオロウィッツ-ワインバーグ-ウィッテン (Case-Gasiorowicz-Weinberg-Witten) の定理(ワインバーグ-ウィッテンの定理と呼ばれることが多い)はつぎの2つの主張から成る。
  1. スピンが $> \hf$ となる質量ゼロの荷電粒子は存在しない。
  2. スピンが $> 1$ となる質量ゼロの粒子のうち保存エネルギー・運動量テンソルを持つものは存在しない。
この Case-Gasiorowicz-Weinberg-Witten (CGWW) の定理は元々1960年代にケイスとガシオロウィッツによって示され、1980年代にワインバーグとウィッテンによって改めて示された。以下では、この定理を行列要素の選択則として簡単に証明する。


質量ゼロ1粒子状態とその規格化

 質量ゼロの粒子の4元運動量を $p^\mu = ( \om , \vec{p} )$ をとする。ただし、$p^0  = \om$ は $\om = |\vec{p}|$ の値をとる。また、4元電流密度 (4元カレント) を $J^\mu  = ( J^0 , \vec{J})$ とおく。ただし、$J^\mu$ は電荷の保存則 $\d_\mu J^\mu = 0$ を満たす。以下では、1粒子状態 $| p \ket$ と $| p^\prime \ket$ で挟まれた $J^\mu$ の行列要素 $\bra p^\prime | J^\mu | p \ket$ に注目する。そこで、まずこれらの1粒子状態について考える。$p$-積分のローレンツ不変な積分測度は
\[    d \mu (p ) \, = \, \frac{d^3 p}{( 2 \pi )^3 } \frac{1}{2 \om}     \tag{13.180} \]
と表せるので、状態 $| p \ket$ の完全性は
\[     \int | p \ket  \frac{d^3 p}{(2 \pi )^3} \frac{1}{2 \om} \bra p | \, = \, 1    \tag{13.181} \]
と書ける。このとき、状態の正規直交性は条件式
\[    \bra p^\prime | p \ket \, = \, (2 \pi )^3 \, 2 \om \, \del^{(3)} ( \vec{p}^{\, \prime}  - \vec{p} )    \tag{13.182} \]
と表せる。粒子が空間体積 $V= L^3$ の立方体の中にあるとみなし、計算の最終段階で$V \rightarrow \infty$ の極限をとるものとする。このとき、 空間座標の周期的境界条件から $\vec{p}$ は
\[    \vec{p} = \frac{2\pi \vec{n}}{L}    \tag{13.183}\]
と表せる。ただし、$\vec{n} = ( n_1 , n_2 , n_3 )$ であり、各成分 $n_i$ $(i=1,2,3)$ は整数の値をとる。これらの成分を用いて $p$ と $p^\prime$ のクロネッカーのデルタは
\[    \del_{p, p^\prime } \, = \, \del_{n_1 , n_1^\prime } \del_{n_2 , n_2^\prime } \del_{n_3 , n_3^\prime }     \tag{13.184} \]
と定義できる。デルタ関数 $\del^{(3)}( \vec{p} - \vec{p}^{\, \prime} )$ を用いると(最終的に $V \rightarrow \infty$ の極限をとるとの理解のもと)$\del_{p, p^\prime }$ は
\[    \del_{p, p^\prime } \, = \,  \frac{(2 \pi)^3}{V} \del^{(3)}( \vec{p} - \vec{p}^{\, \prime} )    \tag{13.185} \]
と表せる。よって、直交性(13.182)より1粒子状態を
\[    | \widetilde{p} \ket  \, = \, \frac{| p \ket}{\sqrt{2\om V}}    \tag{13.186} \]
と規格化すると正規直交条件は $\bra \widetilde{p } | \widetilde{p}^{\prime } \ket  \, = \, \del_{p, p^\prime}$ と表せることが分かる。以下では簡単のため規格化された1粒子状態 $| \widetilde{p} \ket$ を $|p \ket$ と再定義する。すなわち、以下の議論では正規直交条件として
\[    \bra p  | p^{\prime } \ket  \, = \, \del_{p, p^\prime}    \tag{13.187} \]
を用いることにする。

行列要素の計算

 つぎに、正規直交条件(13.187)を用いて行列要素 $\bra p^\prime | J^\mu |  p \ket$ を計算する。$J^0$ は電荷密度を表すので粒子の電荷演算子は
\[    \widehat{Q} \, = \, \int d^3 x \, J^0      \tag{13.188} \]
で与えられる。1粒子状態 $| p \ket$ に作用する演算子 $\widehat{Q}$ の固有値が粒子の電荷 $Q$ である。
\[ \widehat{Q} \, | p \ket \, = \, Q \, | p \ket  \tag{13.189} \]
これより、$| p^\prime \ket \rightarrow | p \ket $ の極限における行列要素 $\bra p^\prime | \widehat{Q} | p \ket$ として電荷 $Q$ を定義できる。
\[ \lim_{p^\prime \rightarrow p} \bra p^\prime | \widehat{Q} | p \ket  \, = \,  \lim_{p^\prime \rightarrow p} \int \! d^3 x \, \bra p^\prime | J^0 | p \ket   \, = \,  V  \frac{Q}{V}  \, = \, Q \tag{13.190} \]
よって、$| p^\prime \ket \rightarrow | p \ket $ の極限で行列要素 $\bra p^\prime | J^0 | p \ket$ は
\[    \lim_{p^\prime \rightarrow p}    \bra p^\prime | J^0 | p \ket    \, = \, \frac{Q}{V}    \tag{13.191} \]
で与えられる。$V$ は空間体積なのでこれは確かに電荷密度を与えることが分かる。4元カレント $J^\mu$ はローレンツ共変であり $\d_\mu J^\mu = 0$ を満たすので、$J^\mu$ の行列要素は
\[ \lim_{p^\prime \rightarrow p} \bra p^\prime | J^\mu | p \ket  \, = \, Q \frac{p^\mu}{ \om V}  \tag{13.192} \]
と表せる。$p^\mu$ と $p^{\prime \mu}$ は質量ゼロ粒子の4元運動量なので、$p \cdot p = p^\prime \cdot p^\prime = 0$ であり、
\[    ( p + p^\prime )^2 \, = \, 2 p \cdot p^\prime \, = \,    2 \om \om^\prime (1 - \cos \th ) > 0    \tag{13.193} \]
を満たす。ただし、$\th$ は $\vec{p}$ と $\vec{p}^\prime$ の間の角度である。上式は $( p + p^\prime )^\mu $ が time-like ベクトルであること、つまり、計量 $(+---)$ のもとで時間成分が空間成分より優勢になることを意味する。よって、$\vec{p} + \vec{p}^\prime = 0$ となるフレームを選ぶことができる。(これは $\cos \th = -1$ に対応する。) すなわち、中心運動量フレーム
\[    p^{\mu} = ( \om ,  \vec{p} ) \, , ~~~    p^{\prime \, \mu} = ( \om , - \vec{p} )     \tag{13.194} \]
を採用できる。このとき、行列要素 $\bra p^\prime | J^\mu | p \ket $ は $\bra \! -  \vec{p} |  J^\mu  | \, \vec{p} \ket$ と表せる。

 ここで、$\vec{p}$ 方向の角運動量演算子を $L_{\hat{p}}$ とすると、定義から
\[    e^{ i L_{\hat{p}} \phi} | \, \vec{p} \ket     \, = \, e^{i s \phi} | \, \vec{p} \ket \, , ~~~    e^{ i L_{\hat{p}} \phi} | \!\! - \!  \vec{p} \ket     \, = \, e^{- i s \phi} | \!\! - \!  \vec{p} \ket    \tag{13.195} \]
と書ける。ただし、$s$ は質量ゼロ粒子のスピン (ヘリシティとも言う) であり、$\phi$ は $\vec{p}$ を軸にした回転量 (ゼロでない角度) を表す。上式から行列要素 $\bra \! -  \vec{p} |  J^\mu  | \, \vec{p} \ket$ は
\[\begin{eqnarray}    \bra  \! -  \vec{p} | \, J^\mu \, | \, \vec{p} \ket    & = &    \bra \! -  \vec{p} |    ~ e^{-i L_{\hat{p}} \phi } \,    e^{i L_{\hat{p}} \phi }    \, J^\mu    \, e^{-i L_{\hat{p}} \phi }    e^{i L_{\hat{p}} \phi }~    | \, \vec{p} \ket    \nonumber \\    &=&    e^{i 2 s \phi }   \, \bra \! -  \vec{p} | ~    e^{i L_{\hat{p}} \phi }    \, J^\mu    \, e^{-i L_{\hat{p}} \phi } ~    |  \, \vec{p}  \ket    \nonumber \\    &=&    e^{i 2 s \phi } \,  \D^{\mu \nu}  \! ( e^{i \phi} )  \,    \bra  \! -  \vec{p} | \, J^\nu \, | \, \vec{p}  \ket    \tag{13.196} \end{eqnarray}\]
と表せることが分かる。ただし、$\D$ 関数  $\D^{\mu \nu}  \! ( e^{i \phi} )$ は
\[ e^{i L_{\hat{p}} \phi }    \, J^\mu    \, e^{-i L_{\hat{p}} \phi }    \, = \,    \D^{\mu \nu}  \! ( e^{i \phi} )  \,    J^\nu   \tag{13.197} \]
と定義される。これは、13.2節で解説したように ウィグナーの $\D$ 関数が一般に
\[    U^{-1} (\th ) \, Q^{A} \, U  (\th )    \, = \,    \D^{(R)}_{AB} ( g ) \, Q^B    \tag{13.70} \]
と定義されることからも分かる。(13.197)の $\D^{\mu \nu}  \! ( e^{i \phi} )$ は回転群 $SO(3)$ のスピン1表現 $(l = 1)$ で与えられる。その具体的な形は13.2節
\[    \D^{ab} ( g) \, = \, \exp \left[ i ( T^c )^{ab} \th^{c} \right]     \tag{13.63} \]
\[    \D^{m^\prime m} ( g ) \, = \,  \D_{m^\prime m}^{(l = 1)} ( g )      \tag{13.67} \]
の通りである。ただし、$g$ は $SO(3)$ 群の要素であり、$( T^c )^{ab} = - i \ep^{abc}$ は $SO(3)$ 群の構造定数を表す。添え字 $a$, $b$ は空間座標 $(1,2,3)$を表し、$m$, $m^\prime$ は球面基底
\[    x^{\pm } = \frac{1}{\sqrt{2}} ( \mp x^1 - i x^2 ) \, , ~~ x^3     \tag{13.65} \]
の座標 $(\pm , 3 )$ を表す。いまの場合、$\vec{p}$ を $x^3$ 方向に指定できるので(13.197)の $\D^{\mu \nu}  \! ( e^{i \phi} )$ は
\[ \D^{ m m^\prime} \! ( e^{i \phi} ) \, = \, \exp \left[ \ep^{m m^\prime 3 } \phi \right] \tag{13.198} \]
と書ける。ただし、時間成分は空間回転に関与しないので添え字 $\mu$, $\nu$ を 球面基底座標 $m$, $m^\prime$ に置き換えた。$\ep^{+-3} = i$, $\ep^{-+3} = -i$, $\ep^{++3} = \ep^{--3} = 0$ に注意すると、$\D^{ m m^\prime} \! ( e^{i \phi} )$ の値は
\[ \D^{ m m^\prime} \! ( e^{i \phi} ) \, \in \, \{ e^{\pm i \phi} , \, 1  \} \tag{13.199} \]
に限られることが分かる。

 関係式(13.196)から $e^{i2 s \phi }  \, \D^{\mu \nu}  \! ( e^{i \phi} ) = 1$ となる場合がなければ、行列要素 $\bra \! -  \vec{p} | J^\mu | \, \vec{p} \ket$ はゼロとなる。一方、(13.192)から
\[ \lim_{| \! - \! \vec{p} \ket  \rightarrow | \, \vec{p} \ket } \int \! d^3 x \,  \bra \! -  \vec{p} | J^\mu | \, \vec{p} \ket  \, = \, Q  \, \hat{n}^\mu  \tag{13.200} \]
と表せる。ただし、$\hat{n}^\mu = ( 1, 0,0,1 )$ である。よって、荷電粒子 $( Q \ne 0 )$ に対して行列要素 $\bra  - \! \vec{p} | J^\mu | \, \vec{p} \ket $ は ($| \! - \! \vec{p} \ket  \rightarrow | \, \vec{p} \ket$ の極限で) ゼロとならない。したがって、質量ゼロの荷電粒子が存在するためには少なくともある$(\mu , \nu )$ の組み合わせに対して
\[    e^{2 i s \phi } \, \D^{\mu \nu}  \! ( e^{i \phi} ) \, = \, 1  \tag{13.201} \]
が成り立つ必要がある。(13.199)を用いるとこの条件式(13.201)はスピンが $2s \le 1$ の場合にのみ満たされることが分かる。よって、CGWW 定理の一つ目の主張が示された。

 CGWW 定理の2つ目の主張についても同様にエネルギー・運動量テンソル $T^{\mu \nu}$ の行列要素 $\bra p^\prime | T^{\mu \nu} | p \ket$ を用いて示すことができる。ただし、$T^{\mu \nu}$ はエネルギー保存則 $\d_\mu T^{\mu\nu} = 0$ を満たす。$T^{\mu \nu}$ はランク2の対称テンソルなので(13.197)に対応する $\D$ 関数は回転群 $SO(3)$ のスピン2表現 $(l = 2)$ で与えられる。13.2節
\[    T^m \, = \, r^2 \, Y_2^m ( \vartheta , \varphi) \, \longrightarrow \,    T^{m^\prime  } \,= \, r^2 \, \D_{m^\prime m}^{(l = 2)} ( g ) \,  Y_2^m ( \vartheta , \varphi )    \tag{13.69} \]
で紹介したようにこの $\D$ 関数は $ \D_{ m m^\prime}^{(l=2)} ( g ) $ で表せる。ただし、$m$, $m^\prime$ は $(0, \pm 1 , \pm 2 )$ の値をとる。よって、行列要素 $\bra \! - \! \vec{p} | T^{\mu \nu} | \, \vec{p} \ket$ の計算に現れる $\D$ 関数は $\D_{ m m^\prime}^{(l=2)} ( e^{i \phi} )$ で与えられる。スピン1表現の場合と同様に、これは
\[ \D_{ m m^\prime}^{(l=2)} ( e^{i \phi} ) \, \in \, \{ e^{\pm i 2 \phi} , \,  e^{\pm i \phi} , \, 1  \} \tag{13.202} \]
と計算できる。ただし、$m, m^\prime = (0, \pm 1 , \pm 2 )$ である。したがって、条件式(13.201)を適用すると、保存エネルギー・運動量テンソルをもつ質量ゼロの粒子はスピン $s$ が $s \le 1$ の場合にのみ存在することが分かる。これより、CGWW 定理の2つ目の主張が示された。

 以上の証明では行列要素を評価するに当たりウィグナーの $\D$ 関数を利用した。この手法は13.2節で紹介したウィグナー-エッカルトの定理の導出と類似している。(例えば、13.2節の(13.70)を参照のこと。)この意味で CGWW 定理の証明はウィグナー-エッカルト型の応用例の1つであると見做せる。

2025-08-04

13. ウィグナーの $\D$ 関数とその応用 vol.9

8重項メソンと8重項バリオンの相互作用

ハドロン・スペクトルに関する最後のトピックとして、8重項メソンと8重項バリオンの相互作用を考える。ここでは、2-1散乱過程 $B + M \rightarrow {\bar B}$ に注目する。ただし、$B$, $M$ は8重項バリオンと8重項メソンをそれぞれ表す。


\[    \M_{bc} \, \equiv \,    \bra  {\bf 8}, b | M |  {\bf 8}, c \ket  \, = \,    M_0 \, \del_{bc} \, +    \bra  {\bf 8}, b | M^8 |  {\bf 8}, c \ket    \tag{13.122} \]
\[    \bra  {\bf 8}, b | M^8 |  {\bf 8}, c \ket \, = \,    {C_{8cb}^{\bf 888}}^* \, \bra {\bf 8} || M^{\bf 8} || {\bf 8} \ket    \tag{13.123} \]
\[    \M_{bc} \, = \, M_0 \, \del_{bc} \, + \, i A \, f_{bc}^{~~8} \, + \, B \, d_{bc}^{~~8}    \tag{13.142} \]
を用いると、散乱振幅 $\bra  B | M | B \ket$ は行列要素 $\bra {\bf 8}, b | M^a | {\bf 8}, c \ket$ で記述され、この行列要素は
\[\begin{eqnarray}    \bra {\bf 8}, b | M^a | {\bf 8}, c \ket    &=& C^{\bf 888}_{acb} \bra {\bf 8} || M^{\bf 8} || {\bf 8} \ket    \nonumber \\    & = & C^{\bf 888}_{acb} \, \al + C^{\bf 888}_{cab} \, \bt    \nonumber \\    &=& i \la_1 \, f_{abc} + \la_2 \, d_{abc}    \tag{13.169} \end{eqnarray}\]
とパラメータ表示できることが分かる。ただし、$a, b, c$ は8重項の添え字である。また、以前と同じく $( \al ,\bt )$ と $(\la_1 , \la_2 )$ は定数の組を表す。これより、相互作用のラグランジアンは
\[    \L_{\rm int} = i \la_1 \overline{B}^b \ga_5 B^c  M^a \, f_{abc} \, +    \la_2 \overline{B}^b \ga_5  B^c  M^a \, d_{abc}     \tag{13.170} \]
と書ける。ただし、$\gamma_5$ はディラックの $\gamma_5$ 行列である。5.4節の後半で議論したように $\gamma_5$ が必要となるのは、8重項メソンが擬スカラーであり、強い相互作用はパリティを保存するためである。5.4節ではフレーバー $SU(3)$ 対称性に基づいて8重項メソンと8重項バリオンの相互作用項を行列表示を用いて
\[    \L_{int} =  g_1 \Tr ( {\mathbf {\bar B}}\,\gamma_5\, {\mathbf B} \, {\mathbf M})    + g_2 \Tr ( {\mathbf {\bar B}}\,\gamma_5\,  {\mathbf M}\, {\mathbf B})  \tag{5.55} \]
と表した。($ {\mathbf {\bar B}}$, ${\mathbf M}$, ${\mathbf B}$ の具体的な行列表示は5.4節を参照にされたい。)

 $\overline{B}BM$ 相互作用は無数(原理的には $8^3 = 512$ 通り)存在するが、上記の相互作用(13.170)は2つのパラメータ $(\la_1 , \la_2 )$ とゼロとならない $f_{abc}$, $d_{abc}$ で表示できる。例えば、$(\bar{B}^b , B^c ) = ( \bar{p} , p )$ となる相互作用項のうちゼロとならないものは
\[\begin{eqnarray}    \L_{\bar{p} p \pi^0 } &=& - \frac{1}{2} ( \la_1  - \la_2 ) \bar{p} \ga_5 p \, \pi^0    \tag{13.171} \\    \L_{\bar{p} p \eta } &=& - \frac{\sqrt{3}}{2} \left( \la_1  + \frac{1}{3} \la_2 \right) \bar{p} \ga_5 p \, \eta    \tag{13.172} \end{eqnarray}\]
で与えられる。ただし、ゼロとならない $f_{\bar{p} p a}$, $d_{\bar{p} p a}$ を求めるに際し下表を用いた。
\begin{array}{|ccc|ccccc|}        \hline        ijk &  f_{ijk} &~& ijk &  d_{ijk} &~& ijk &  d_{ijk} \\ \hline        123 & 1 &~& 118 & \frac{1}{\sqrt{3}} &~& 355 & \frac{1}{2} \\        147 & \frac{1}{2} &~& 146 & \frac{1}{2} &~& 366 & - \frac{1}{2} \\        156 & - \frac{1}{2} &~& 157 & \frac{1}{2} &~& 377 & - \frac{1}{2} \\        246 & \frac{1}{2} &~& 228 & \frac{1}{\sqrt{3}} &~& 448 & - \frac{1}{2\sqrt{3}} \\        257 & \frac{1}{2} &~& 247 & - \frac{1}{2} &~& 558 & - \frac{1}{2\sqrt{3}} \\        345 & \frac{1}{2} &~& 256 & \frac{1}{2} &~& 668 & - \frac{1}{2\sqrt{3}} \\        367 & - \frac{1}{2} &~& 338 & \frac{1}{\sqrt{3}} &~& 778 & - \frac{1}{2\sqrt{3}} \\        458 & \frac{\sqrt{3}}{2} &~& 344 & \frac{1}{2} &~& 888 & - \frac{1}{\sqrt{3}} \\        678 & \frac{\sqrt{3}}{2} &~&  &  &~& &  \\        \hline    \end{array}
\begin{array}{|ccc|cc|}        \hline        \overline{B}^a  & B^a & M^a & \psi^a & SU(3) \, 随伴表現~  {\bf 8}  \\ \hline       \overline{\Si^-} & \Si^+ & \pi^+ &  \frac{1}{\sqrt{2}}(\psi^1 + i \psi^2 ) & (12) \\       \overline{\Xi^-} & p & K^+ &  \frac{1}{\sqrt{2}}(\psi^4 + i \psi^5 ) & (13) \\        \overline{\Si^+} & \Si^- & \pi^- & \frac{1}{\sqrt{2}} (\psi^1 - i \psi^2 ) & (21) \\        \overline{\Xi^0} & n & K^0 & \frac{1}{\sqrt{2}} (\psi^6 + i \psi^7 ) & (23) \\     \bar{p} & \Xi^- & K^- & \frac{1}{\sqrt{2}} (\psi^4 - i \psi^5 ) & (31) \\   \bar{n} & \Xi^0 & \overline{K}^0 & \frac{1}{\sqrt{2}} (\psi^6 - i \psi^7 ) & (32) \\   \overline{\Si^0} & \Si^0 & \pi^0 & \psi^3 & \frac{1}{\sqrt{2}}(11) -\frac{1}{\sqrt{2}}(22) \\    \overline{\La} & \La & \eta & \psi^8 & \frac{1}{\sqrt{6}}(11) + \frac{1}{\sqrt{6}}(22) -  \frac{2}{\sqrt{6}}(33) \\ \hline    \end{array}

2025-07-28

2025年夏 秋田遠征 & 野球部同期会

 

3月の高校野球部同期会で話題になった秋田遠征に行ってきました。秋田単身赴任中のメンバー(エース)との飲み会に遥々関東から5人集まりました。内1人(キャプテン)が午前中の秋田駒ヶ岳登山にも付き合ってくれました。

自分は前々日に車で北上、西吾妻山と鳥海山に登りました。どちらも良かったです。特に鳥海山には感動しました。噂に聞いていたけどまさかこれほどいいとは思いませんでした。翌日の駒ヶ岳は涼しかったので連日登山で熱中症気味の体にはありがたかったです。

2025-06-14

遠征登山: 大山から荒島岳


梅雨前の晴れ間を利用して都内から伯耆大山までロングドライブ。静岡、土山、桂川、宝塚北、勝央、蒜山高原のサービスエリア利用。勝央、蒜山高原で仮眠を取りました。子供のころ神戸から松江まで親によく連れてかれましたが、あの頃は中国道から先は一般道というか山道で、道路沿いに「鳥取県」と縦に書かれたポールが並んでいたのが印象的でした。今は米子まで高速で行けるなんて、隔世の感です。小学校の時にキャンプをした蒜山高原も気になりましたが、今回の目的は大山登山。夏山開きの前日だったためか登山道もしっかり整備されていてとても登り易かったです。

2025-06-13

Mathematical Review 124: トポロジカル欠陥がある場合の拡張された対称性について

ほぼ1年ぶりのレビュー。対象論文はこちら。投稿内容はこちら。だいぶ理解力が落ちて最近の話題にも付いていけなくなっているので時間をかけて理解に努めました。(ボケないうちにブラシュアップしなきゃなあ。)

 背景となる相空間が単連結でない場合(一般にトポロジカル欠陥がある場合)ハイゼンベルク代数のユニタリー表現を唯一に決めることができない。(ストーン-フォンノイマンの定理) 物性理論ではこれは分数量子ホール効果に現れる。つまり、2次元空間が単連結でない場合、波動関数(ラフリン波動関数)を一意に決めることができず、物理系はある有限群の対称性をもつ。高次元空間での分数量子ホール効果についての研究も数多くなされており、特に興味深い結果は最近 Agarwal-Karabali-Nair の論文で示された。この論文では、高次元の Chern-Simons 理論にアノマリー相殺の概念を適用することで高次元分数量子ホール効果の有効作用が構成された。

 このように、トポロジカル欠陥がある場合の物理現象を解析するにはトポロジカル・ゲージ理論を用いるのが場の理論としては自然なアプローチである。しかし、より直接的に上述の有限群の対称性を組み込んだ拡張された対称性を考えて、トポロジカル欠陥のある物理現象を理解しようとするアプローチが近年盛んに研究されている。この対称性はフロベニウス代数と呼ばれる代数によって記述される。4次元時空において物理的に重要となるカイラル対称性もフロベニウス代数を用いて拡張されることが知られており、例えば、こちらで示唆されているように、このようなアプローチからフェルミ粒子質量の起源が分かるのではないかと期待されている。トポロジカルな場の理論の知識がなくても(代数的な性質だけから)物理量を予測できるという興味深い手法であり、今後の発展に期待したい。

2025-06-04

シジュウカラがいつの間にか巣立っていました

久しぶりにシジュウカラが来てくれました。去年は来なかったので2年振り。


先月、晴れた日の朝に様子を見てみるといつの間にか巣立っていました。シジュウカラと言えば、シジュウカラ語がだいぶ解明されているみたいです。


こちらでいろいろと新発見が紹介されていて勉強になりました! 

巣箱の穴を補強しないと来年は来てくれないかもしれないので、秋になったらホームセンター行くか。直径27ミリの穴開けてもらえるかな~。

2025-05-30

三浦半島 岩礁のみち 途中から

前回途中まで行った岩礁のみち。先日、母の日に、母と次女の親子3代でコンプリートしてきました。江奈湾の駐車場に止めて剣崎経由で松輪バス停まで。

2025-05-04

雪山入門 蝶ヶ岳・常念岳


テニス仲間に誘われて4人で蝶ヶ岳ヒュッテに1泊して常念岳まで行ってきました。山小屋には以前に家族で尾瀬ケ原の東電小屋に泊まりましたが、山頂にある山小屋は初めて。山頂がゴールなんでありがたい!上高地を挟んで穂高連峰・槍ヶ岳が手の届くような所からの夕焼け・朝焼けを満喫できました。

2025-04-24

13. ウィグナーの $\D$ 関数とその応用 vol.8

10重項バリオンの質量公式

 前回はウィグナー-エッカルトの定理の応用例の1つとして8重項バリオンの質量公式を導いた。今回は同様にして10重項バリオンの質量公式を導出する。まず、10重項バリオンは関係式
\[    {\bf 3} \otimes {\bf 3} \otimes {\bf 3} \, = \,    {\bf 1} \oplus {\bf 8} \oplus {\bf 8} \oplus {\bf 10}  \tag{13.118} \]
のうちの ${\bf 10}$ 表現に属する。$SU(3)$ 群の ${\bf 10}$ 表現 $\Psi_{ijk}$ あるいは $(ijk)$ と10重項バリオン場の演算子 $\psi_{ijk}$ を用いると、10重項バリオンは下表のようにラベルできる。
\begin{array}{|c|cc|}        \hline        10重項バリオン \, (b) & \psi_{ijk} &  SU(3) \, 群の\, {\bf 10} \, 表現  \\ \hline        \Delta^{++}  & \psi_{111} & (111) \\        \Delta^{+}  & \sqrt{3} \, \psi_{112} & (112) \\        \Delta^{0}  & \sqrt{3} \, \psi_{122} & (122) \\        \Delta^{-}  & \psi_{222} & (222) \\        \Si^{*+}  & \sqrt{3} \, \psi_{113} & (113) \\        \Si^{*0}  & \sqrt{6} \, \psi_{123} & (123) \\        \Si^{*-}  & \sqrt{3} \, \psi_{223} & (223) \\        \Xi^{*0}  & \sqrt{3} \, \psi_{133} & (133) \\        \Xi^{*-}  & \sqrt{3} \, \psi_{233} & (233) \\        \Omega^{-}  & \psi_{333} & (333) \\        \hline    \end{array}

 場の演算子 $\psi_{ijk}$ を具体的に書き下すと
\[    \psi_{ijk} = B_{(ijk)} = \frac{1}{6} ( B_{ijk} + B_{ikj} + B_{jik} + B_{jki} + B_{kij} + B_{kji} )     \tag{13.149} \]
と表せる。場の演算子の規格化は、例えば、
\[    \frac{1}{\sqrt{3}} (\psi_{112} + \psi_{121} + \psi_{211} ) \, = \, \sqrt{3} \, \psi_{112}    \tag{13.150} \]
で与えられる。ただし、$\psi_{ijk}$ の完全対称な添え字に条件 $i \le j \le k$ を課した。

 ここで、10重項バリオンの質量行列 $\M_{bc} \sim (\bar{B} B)_{bc}$ を考える。8重項バリオンの場合(3.120)と同様に、${\bf 8}$ 表現あるいは恒等表現 ${\bf 1}$ に属する因子に注目する。表現 ${\bf 10}$ とその共役表現 ${\bf 10}^*$ の合成は
\[    {\bf 10} \otimes {\bf 10}^*  \, = \, {\bf 64} \oplus {\bf 27} \oplus  {\bf 8} \oplus {\bf 1}     \tag{13.151} \]
と分解できるので、質量行列は
\[    \M_{bc} \, =  \, M_0 \, \del_{bc} \, + \, C_{bca}^{{\bf 10}^* {\bf 10} \, {\bf 8}} \, M^a    \tag{13.152} \]
とパラメータ表示できる。ただし、$M^a$ は ${\bf 8}$ 表現に属し、$C_{bca}^{{\bf 10}^* {\bf 10} \, {\bf 8}}$ は分解 ${\bf 10}^* \otimes {\bf 10} \rightarrow {\bf 8}$ に関わるクレブシュ-ゴルダン係数を表す。関係式 $C_{bca}^{{\bf 10}^* {\bf 10} \, {\bf 8}} \sim C_{cba}^{{\bf 10} \, {\bf 10}^* {\bf 8}}$ から、10重項バリオンの質量は
\[\begin{eqnarray}    M_b & = & \M_{bb} \, = \, M_0  \, + \, \Delta M_b     \tag{13.153} \\    \Delta M_b &=& C_{bb8}^{{\bf 10} \, {\bf 10}^* {\bf 8}} \, \al    \tag{13.154} \end{eqnarray}\]
とパラメータ表示できることが分かる。ここで、$\al$ はゼロでない定数であり、$SU(3)$ 対称性を破る質量項に対応する。

 つぎに、テンソル解析の手法でクレブシュ-ゴルダン係数 $C_{bb8}^{{\bf 10} \, {\bf 10}^*  {\bf 8}}$ を計算する。テンソル $\Psi_{ijk} \Phi^{lmn} = V_{(ijk)}^{(lmn)}$ を用いると展開式(13.151)は
\[    V_{(ijk)}^{(lmn)} \, = \, T_{(ijk)}^{(lmn)}    + \frac{1}{3} \del_{(i}^{(l} T_{jk)}^{mn)} + \frac{1}{9} \del_{(i}^{(l} \del_{j}^{m} T_{k)}^{n)}    +  \frac{1}{27} \del_{(i}^{(l} \del_{j}^{m} \del_{k)}^{n)} {\bf 1}    \tag{13.155} \]
と表せる。ただし、$T_{(ijk)}^{(lmn)}$ は $V_{(ijk)}^{(lmn)}$ のうちトレース・ゼロの成分を表す。13.1節で求めた直積 ${\bf 8} \otimes {\bf 8}$ の展開式(13.25)との類似性に注意しよう。これより、$C_{(ijk)(lmn)(rs)}^{{\bf 10} \, {\bf 10}^*  {\bf 8}}$ は
\[\begin{eqnarray}    C_{(ijk)(lmn)(rs)}^{{\bf 10} \, {\bf 10}^* \, {\bf 8}} \! &=& \!    \frac{1}{9} \, \del_{(i}^{(l} \del_{j}^{m} \del_{k)}^{\check{r}} \del_{s}^{n )}    \nonumber \\    &=& \! \frac{1}{54} \left(    \del_{i}^{(l} \del_{j}^{m} \del_{s}^{n )} \del_{k}^{r} + \del_{i}^{(l} \del_{k}^{m} \del_{s}^{n )} \del_{j}^{r}    + \del_{j}^{(l} \del_{i}^{m} \del_{s}^{n )} \del_{k}^{r}    \right.    \nonumber \\    && ~~~~     \left.    \del_{j}^{(l} \del_{k}^{m} \del_{s}^{n )} \del_{i}^{r} + \del_{k}^{(l} \del_{i}^{m} \del_{s}^{n )} \del_{j}^{r}    + \del_{k}^{(l} \del_{j}^{m} \del_{s}^{n )} \del_{i}^{r}    \right)    \tag{13.156} \end{eqnarray}\]
で与えられることが分かる。ただし、$\check{r}$ は $r$ が添え字の対称性から除かれることを意味する。前回導出した8重項バリオンの添え字を用いると $C_{bb8}^{{\bf 10} \, {\bf 10}^*  {\bf 8}}$ は
\[    C_{bb8}^{{\bf 10} \, {\bf 10}^*  {\bf 8}} \, = \, C_{bb\La}^{{\bf 10} \, {\bf 10}^*  {\bf 8}}    \ = \,  \frac{1}{\sqrt{6}} C_{bb(11)}^{{\bf 10} \, {\bf 10}^*  {\bf 8}}    +\frac{1}{\sqrt{6}} C_{bb(22)}^{{\bf 10} \, {\bf 10}^*  {\bf 8}}    - \frac{2}{\sqrt{6}} C_{bb(33)}^{{\bf 10} \, {\bf 10}^*  {\bf 8}}    \tag{13.157} \]
と表せる。また、式(13.156)から関係式
\[\begin{eqnarray}    C_{(ijk)(ijk)(rr)}^{{\bf 10} \, {\bf 10}^* \, {\bf 8}} \! &=& \!    \frac{1}{2 \cdot 3^4} \biggl[ \, {}^{k}_{r} + {}^{j}_{r} + {}^{i}_{r} + {}^{ik}_{jr} +  {}^{ij}_{kr} +  {}^{ij}_{rk}    \nonumber \\    && ~~~~ + 2 \left( {}^{kjr}_{jrk} + {}^{kir}_{irk} + {}^{ijr}_{jri}    + {}^{ijkr}_{jkri} + {}^{kijr}_{ijrk} + {}^{kijr}_{jkri} \right) \biggr]    \tag{13.158} \end{eqnarray}\]
が得られる。ただし、諸々の記号は ${}^{k}_{r} = {\del}^{k}_{r}$, ${}^{ik}_{jr} = {\del}^{i}_{j} \del^{k}_{r}$, ${}^{kjr}_{jrk} = {\del}^{k}_{j} {\del}^{j}_{r} {\del}^{r}_{k}$, ${}^{ijkr}_{jkri} = {\del}^{i}_{j} {\del}^{j}_{k}{\del}^{k}_{r}{\del}^{r}_{i}$ などで定義される。以上、10重項バリオンと ${\bf 10}$ 表現の対応表と(13.157), (13.158)から、(13.154)の $\Delta M_b$ は関係式
\[\begin{eqnarray}    \Delta M_{\Delta^{++}} \, = \, \Delta M_{\Delta^{+}} \, = \, \Delta M_{\Delta^{0}}    \, = \, \Delta M_{\Delta^{-}} &=& \frac{1}{9 \sqrt{6}} \al    \tag{13.159}\\    \Delta M_{\Si^{*+}} \, = \, \Delta M_{\Si^{*0}} \, = \,\Delta M_{\Si^{*-}}  &=& 0    \tag{13.160}\\    \Delta M_{\Xi^{*-}} \, = \, \Delta M_{\Xi^{*0}}   &=& -\frac{1}{9 \sqrt{6}} \al    \tag{13.161} \\    \Delta M_{\Om^{-}}   &=& -\frac{2}{9 \sqrt{6}} \al    \tag{13.162} \end{eqnarray}\]
で与えられる。10重項バリオンの質量(13.153)を用いると、これらは
\[    M_{\Om^{-}} - M_{\Xi^{*0}} \, = \, M_{\Xi^{*0}} - M_{\Si^{*0}} \, = \, M_{\Si^{*0}} - M_{\Delta^{0}}    \tag{13.163} \]
と表せる。これらの関係式は5.4節で導出した10重項バリオンの質量公式(5.49)と同じである。

2025-04-22

13. ウィグナーの $\D$ 関数とその応用 vol.7

前回の準備を踏まえて今回は軽クォークで構成される8重項バリオンの質量公式がウィグナー-エッカルトの定理を適用して導出できることを見ていく。

8重項バリオンの質量公式

    相互作用のエネルギー・レベルの階層性
\[    \mbox{$\rm{I}.$ 強い相互作用} ~ \gg ~    \underbrace{\mbox{$\rm{I}\hspace{-1pt}\rm{I}.$ 質量効果} ~ \gg ~    \mbox{$\rm{I}\hspace{-1pt}\rm{I}\hspace{-1pt}\rm{I}.$ $\, W_\pm , Z, A$} との相互作用}_{ \mbox{電弱相互作用} }    \tag{13.117} \]
において、エネルギー・レベルⅡにおける軽クォークの質量効果を考える。5.4節で議論したように、クォークの質量行列は
\[    \bra q | m | q \ket \, = \, \diag (m_u , m_d , m_s ) \, \approx \, \diag ( m_u , m_u , m_u + \Delta )    \tag{13.119} \]
と表せる。ただし、$|q \ket = (u , d , s )^{T}$ であり、関係式 $m_u \approx m_d \ll m_s$, $\Delta = m_s - m_u$ を用いた。一般に、エネルギー・レベルⅡにおいて8重項メソンあるいは8重項バリオンの質量演算子 $M$ は
\[    M \, = \, M_0 {\bf 1} + M^a    \tag{13.120} \]
と表せる。ただし、$M^a$ $(a = 1,2, \cdots, 8)$ は  $SU(3)$ 代数の生成子として変換する。1.5節で紹介したゲルマン行列
\[\begin{eqnarray}    &&    \la^1 =    \left(      \begin{array}{ccc}        0 & 1 & 0 \\        1 & 0 & 0 \\        0 & 0 & 0 \\      \end{array}    \right)~~~    \la^2 =    \left(      \begin{array}{ccc}        0 & -i & 0 \\        i & 0 & 0 \\        0 & 0 & 0 \\      \end{array}    \right)~~~    \la^3 =    \left(      \begin{array}{ccc}        1 & 0 & 0 \\        0 & -1 & 0 \\        0 & 0 & 0 \\      \end{array}    \right)    \nonumber \\    &&    \la^4 =    \left(      \begin{array}{ccc}        0 & 0 & 1 \\        0 & 0 & 0 \\        1 & 0 & 0 \\      \end{array}    \right)~~~    \la^5 =    \left(      \begin{array}{ccc}        0 & 0 & -i \\        0 & 0 & 0 \\        i & 0 & 0 \\      \end{array}    \right)~~~    \la^6 =    \left(      \begin{array}{ccc}        0 & 0 & 0 \\        0 & 0 & 1 \\        0 & 1 & 0 \\      \end{array}    \right)    \nonumber \\    &&    \la^7 =    \left(      \begin{array}{ccc}        0 & 0 & 0 \\        0 & 0 & -i \\        0 & i & 0 \\      \end{array}    \right)~~~    \la^8 = \frac{1}{\sqrt{3}}    \left(      \begin{array}{ccc}        1 & 0 & 0 \\        0 & 1 & 0 \\        0 & 0 & -2 \\      \end{array}    \right)   \end{eqnarray} \tag{1.49} \]
を用いると、$c {\bf 1} - \sqrt{3} c \, \la^8 = \diag (0,0,3c)$ とおける。ただし、$c$ は定数であり ${\bf 1}$ は $3 \times 3$ の恒等行列を表す。これより、質量演算子 $M$ において $M^a$ の添え字 $a$ は $a = 8$ と特定できることが分かる。

 つぎに、ウィグナー-エッカルト型の応用例として8重項バリオンの質量行列を考える。5.4節で示したように、8重項バリオンの行列表示は
\[ {\bf B} = \left( \begin{array}{ccc} \frac{\Si^0}{\sqrt{2}} + \frac{\La}{\sqrt{6}} & \Si^{+} & p \\ \Si^{-} & - \frac{\Si^0}{\sqrt{2}} + \frac{\La}{\sqrt{6}} & n \\ \Xi^{-} & \Xi^{0} & - \sqrt{\frac{2}{3}} \La \end{array} \right) = \sum_{a = 1}^{8} \psi^{a} \frac{\la^a}{\sqrt{2}} \tag{13.121} \]
で与えられる。ただし、$\psi^a$ は8重項バリオン場の演算子を表す。$SU(3)$ の随伴表現 $\Psi_i^j$ あるいは $(ij)$ と場の演算子 $\phi^a$ との対応関係は下表のようになる。
\begin{array}{|c|cc|}        \hline        8重項バリオン (b) &  \psi^a & SU(3) \, 随伴表現~  {\bf 8}  \\ \hline       \Si^+ &  \frac{1}{\sqrt{2}}(\psi^1 + i \psi^2 ) & (12) \\       p &  \frac{1}{\sqrt{2}}(\psi^4 + i \psi^5 ) & (13) \\        \Si^- & \frac{1}{\sqrt{2}} (\psi^1 - i \psi^2 ) & (21) \\        n & \frac{1}{\sqrt{2}} (\psi^6 + i \psi^7 ) & (23) \\     \Xi^- & \frac{1}{\sqrt{2}} (\psi^4 - i \psi^5 ) & (31) \\   \Xi^0 & \frac{1}{\sqrt{2}} (\psi^6 - i \psi^7 ) & (32) \\   \Si^0 & \psi^3 & \frac{1}{\sqrt{2}}(11) -\frac{1}{\sqrt{2}}(22) \\        \La & \psi^8 & \frac{1}{\sqrt{6}}(11) + \frac{1}{\sqrt{6}}(22) -  \frac{2}{\sqrt{6}}(33) \\ \hline    \end{array}

 質量演算子(13.120)より、8重項バリオンの質量行列は
\[    \M_{bc} \, \equiv \,    \bra  {\bf 8}, b | M |  {\bf 8}, c \ket  \, = \,    M_0 \, \del_{bc} \, +    \bra  {\bf 8}, b | M^8 |  {\bf 8}, c \ket    \tag{13.122} \]
と定義できる。ただし、$b, \, c$ は上表の8重項バリオンをラベルする添え字である。13.2節
で求めたウィグナー-エッカルトの定理
\[\begin{eqnarray}    && \bra R^\prime , \al | Q^A | R , m \ket \nonumber \\    &=&    \sum_{\bt , n} \sum_{\widetilde{R}, \la, \si}    {C^{R^{\prime\prime} R \widetilde{R}}_{A m \si}}^*    C^{R^{\prime\prime}R \widetilde{R}}_{Bn \la}    \frac{ \del_{\al \si} \del_{\bt \la} \del^{R^\prime \widetilde{R}} }{ ( {\rm dim} R^\prime ) ( \mbox{$G$ の体積}) }    \bra R^\prime , \bt | Q^B | R , n \ket    \nonumber \\    &=&    {C^{R^{\prime\prime} R R^{\prime}}_{A m \al}}^*    \left[      \sum_{\bt , n} \frac{C^{R^{\prime\prime}R R^{\prime}}_{Bn \bt} \, \bra R^\prime , \bt | Q^B | R , n \ket }    {  ( {\rm dim} R^\prime ) ( \mbox{$G$ の体積}) }    \right]    \nonumber \\    & \equiv &    {C^{R^{\prime\prime} R R^{\prime}}_{A m \al}}^* \, \bra R^\prime || Q^{R^{\prime\prime}} || R \ket    \tag{13.77} \end{eqnarray}\]
を適用すると $SU(3)$ 対称性を破る行列要素は
\[    \bra  {\bf 8}, b | M^8 |  {\bf 8}, c \ket \, = \,    {C_{8cb}^{\bf 888}}^* \, \bra {\bf 8} || M^{\bf 8} || {\bf 8} \ket    \tag{13.123} \]
と表せる。ただし、${C_{8cb}^{\bf 888}}^*$ と $\bra {\bf 8} || M^{\bf 8} || {\bf 8} \ket$ はそれぞれクレブシュ-ゴルダン係数と還元行列要素である。随伴表現 ${\bf 8}$ は ${\bf 8}^*  = {\bf 8}$ を満たすことに注意しよう。13.1節の(13.29)-(13.35)で示したように、このクレブシュ-ゴルダン係数は展開式
\[\begin{eqnarray}    | {\bf 8}, ij \ket \otimes | {\bf 8} , kl \ket &=&    C_{(ij)(kl)(mnrs)}^{{\bf 88} \, {\bf 27}} | {\bf 27} , mnrs \ket \oplus    C_{(ij)(kl)(mrs)}^{{\bf 88} \, {\bf 10}} | {\bf 10} , mrs \ket    \nonumber \\    && \oplus \,    C_{(ij)(kl)(mrs)}^{{\bf 88} \, {\bf 10}^* } | {\bf 10}^* , mrs \ket  \oplus    C_{(ij)(kl)(mn)}^{{\bf 888} } | {\bf 8} , mn \ket    \nonumber \\    && \oplus \,    C_{(kl)(ij)(mn)}^{{\bf 888} } | {\bf 8} , mn \ket  \oplus    C_{(kl)(ij)(mm)}^{{\bf 881} } | {\bf 1} , mm \ket    \tag{13.124} \end{eqnarray}\]
から求まる。ただし、添え字はテンソル解析による $SU(3)$ 表現を表す。随伴表現 ${\bf 8}$ への分解に関わるクレブシュ-ゴルダン係数には $C_{(ij)(kl)(mn)}^{{\bf 888} }$ と $C_{(kl)(ij)(mn)}^{{\bf 888} }$ の2つのタイプがあることに注意する。13.1節で計算したように、これらは
\[\begin{eqnarray}    C_{(ij)(kl)(mn)}^{{\bf 888}} &=& \frac{1}{4} \left( \frac{1}{2} \ep^{jlm} \ep_{ikn} +    \frac{1}{3} \del_i^l \del_k^m \del_n^j  \right)    \tag{13.125} \\    C_{(kl)(ij)(mn)}^{{\bf 888} } &=& \frac{1}{4} \left( \frac{1}{2} \ep^{ljm} \ep_{kin} +    \frac{1}{3} \del_k^j \del_i^m \del_n^l  \right)     \tag{13.126} \end{eqnarray}\]
で与えられる。これらの係数は実数であるので  ${C_{8cb}^{\bf 888}}^* =C_{8cb}^{{\bf 888}} $ であり、8重項バリオン $b$ の質量は
\[\begin{eqnarray}    M_b & = & {\cal M}_{bb} \, = \, M_0  \, + \, \Delta M_b     \tag{13.127} \\    \Delta M_b &=& C_{\La bb}^{{\bf 888}} \, \al \, + \, C_{b \La b}^{{\bf 888}} \, \bt    \tag{13.128} \end{eqnarray}\]
とパラメータ表示できる。ただし、$\al$, $\bt$ は対応するクレブシュ-ゴルダン係数の還元行列要素に比例するパラメータである。上表の対応関係から
\[\begin{eqnarray}    C_{\La bb}^{{\bf 888}} &=& \frac{1}{\sqrt{6}}C_{(11) bb}^{{\bf 888}} +    \frac{1}{\sqrt{6}}C_{(22) bb}^{{\bf 888}} - \frac{2}{\sqrt{6}}C_{(33) bb}^{{\bf 888}}      \tag{13.129} \\    C_{b\La b}^{{\bf 888}} &=& \frac{1}{\sqrt{6}}C_{b(11) b}^{{\bf 888}} +    \frac{1}{\sqrt{6}}C_{ b(22)b}^{{\bf 888}} - \frac{2}{\sqrt{6}}C_{b(33) b}^{{\bf 888}}     \tag{13.130} \end{eqnarray}\]
と計算できる。よって、8重項バリオンそれぞれの質量差 $\Delta M_b$ は
\[\begin{eqnarray}    \Delta M_p \, = \, \Delta M_n &=& - \frac{1}{24 \sqrt{6}} (7 \al + \bt )    \tag{13.131} \\    \Delta M_{\Xi^-} \, = \, \Delta M_{\Xi^0} &=& - \frac{1}{24 \sqrt{6}} ( \al + 7 \bt )    \tag{13.132} \\    \Delta M_{\Si^\pm } \, = \, \Delta M_{\Si^0}  &=& \frac{1}{3 \sqrt{6}} ( \al +  \bt )    \tag{13.133} \\    \Delta M_{\La } &=& -  \frac{1}{3 \sqrt{6}} ( \al +  \bt )    \tag{13.134} \end{eqnarray}\]
と求まる。これらより、8重項バリオンの質量公式
\[    2 \left(  M_p +  M_{\Xi^0} \right) \, = \, 3  M_\La + M_{\Si^0}      \tag{13.135} \]
を簡単に導ける。これは5.4節で導出した質量公式(5.47)と同じである。

2025-04-21

13. ウィグナーの $\D$ 関数とその応用 vol.6

13.3.2 ハドロン・スペクトル


ハドロン・スペクトルについては既に第5章で議論した。ここではウィグナー-エッカルトの定理の応用例の1つとしてハドロン・スペクトルを再考する。特に、軽クォークで構成される8重項バリオンと10重項バリオンに関する質量公式を $SU(3)$ 既約表現のクレブシュ-ゴルダン係数から直接導出できることを示す。

 ハドロンは強い相互作用で結合している粒子であり、これらはメソンとバリオンに分類される。ハドロンを支配する動力学は量子色力学 (QCD) であり、これは主に理論の摂動領域で計算可能である。低エネルギーのメソンとバリオンは3つの軽クォーク $(u, d, s)$ で構成される。ここでは群論を用いて低エネルギー・ハドロンの多重項、質量、相互作用について解析する。

 まず、相互作用の強度には次のような階層性があることに注目しよう。
\[    \mbox{$\rm{I}.$ 強い相互作用} ~ \gg ~    \underbrace{\mbox{$\rm{I}\hspace{-1pt}\rm{I}.$ 質量効果} ~ \gg ~    \mbox{$\rm{I}\hspace{-1pt}\rm{I}\hspace{-1pt}\rm{I}.$ $\, W_\pm , Z, A$} との相互作用}_{ \mbox{電弱相互作用} }    \tag{13.117} \]
ここで、$W_\pm , Z$ は弱い相互作用の $(W_\pm , Z)$-ボソン、$A$ は光子を表す。QCDの対称性は強度レベルⅠでは保存され、レベルⅡである程度破られ、レベルⅢではさらに破られる。レベルⅠでは強い力は3つ全ての軽クォーク $(u, d, s)$ に対して等しく働く。これは、$(u, d, s)$ の状態間にユニタリー変換 $(u^\prime ,d^\prime , s^\prime )^{T} = g (u, d, s)^{T}$ が存在することを意味する。ただし、$g$ は $U(3)$ 群の $3 \times 3$ 行列要素を表す。これらの行列要素は $g = e^{i \th} \tilde{g}$ とパラメータ表示できる。ここで、$\det \tilde{g} = 1$ であり、位相因子 $e^{i \th}$ は $U(3) = U(1) \times SU(3)$ の $U(1)$ 因子に対応する。よって、状態  $|q \ket = (u, d, s)^{T}$ は $SU(3)$ 群の ${\bf 3}$ 表現として変換する。($SU(3)$ 群の既約表現については5.3節, 12.3節も参照されたい。)言い換えると、メソンとバリオンは SU(3) 群の既約表現である縮退多重項に分類される。この $SU(3)$ 群はフレーバー対称性と呼ばれる。エネルギー・レベルⅡでは、QCDの詳細が不明であっても、この理論のフレーバー対称性からハドロンのスペクトルを解析できる。

メソンとバリオンの多重項

 メソンはクォークと反クォークのペアで構成される。よって、13.1節で導いた関係式
\[ {\bf 3} \otimes {\bf 3}^*  \, =  \, {\bf 1} \oplus {\bf 8} \, , \tag{13.16} \]
から8重項メソンと1重項メソンが存在することが分かる。これらの多重項の典型的な例は5.4節で紹介した通り下表で与えられる。

スピン-0とスピン-1の最軽量メソンの一覧
\[ \begin{array}{|c | c | c|  c|  c|  c |} \hline &\mbox{スピン-0}&\mbox{質量}& \mbox{スピン-1}& \mbox{質量} & \mbox{クォーク構成}\\ && \mbox{(MeV)} && \mbox{(MeV)} &\\ \hline \mbox{1重項}& \eta^\prime & 958& \omega &783&  (u {\bar u} + d {\bar d} + s {\bar s})/\sqrt{3} \\ \hline & \pi^0 & 135& \rho^0 &775& (u {\bar u} - d {\bar d} )/\sqrt{2} \\ & \pi^+ &140& \rho^+ &775& u {\bar d} \\ & \pi^- &140& \rho^- &775& d {\bar u} \\ \mbox{8重項} & K^+ &494& K^{*+} &892& u {\bar s} \\ & K^- &494& K^{*-} &892& s {\bar u} \\ & K^0 &498& K^{*0} &896& d {\bar s} \\ & {\bar K}^0 &498& {\bar K}^{*0} &896& s {\bar d} \\ & \eta &548& \varphi &1019& ( u {\bar u} + d {\bar d} - 2 \,s {\bar s})/\sqrt{6} \\ \hline \end{array} \]

2025-04-19

最近読んだ本:星新一著『明治・父・アメリカ』ほか

長女が入学早々大学から渡された本がこれ。


創立者・星一(はじめ)の半生記。手に取ってみると、稀代のストーリーテラーであり長男の星新一が著しているだけあって、興味深い内容ばかりで一気に読み進めました。出身地である福島勿来(なこそ)近くの明治維新前後の様子から始まり、当時の開放感や東京の描写は歴史的資料の価値あり。明治の初期に単身サンフランシスコに渡り、ユダヤ人家庭に住み込みで働きながらお金をため小学校で英語を学び、向上心を持ってニューヨークに渡り、行商・住み込みをしながらコロンビア大学で統計学の修士を取得されたという苦学しながらの立身出世物語にはただただ頭が下がり、背筋が伸びる思いでした。手帳など個人的な資料を基にしていることもあり、主人公の内面も丁寧に描写されているのでその気持ちがありありと想像でき、共感しながら読み進めました。私も時代も状況も全く違いますが、アメリカに一人で飛び込んでアリゾナ、ニューヨークに住んで苦学した経験があるので明治時代(いやエジソン・フォードの時代)の自由なアメリカの様子も知ることができ興味深かったです。星一は卒業後、なんとニューヨークで新聞社を立ち上げ、セントルイスの万博に参画したり、ヨーロッパを視察したりまさに外交官のような働きをします。実際、伊藤博文、後藤新平、野口英世など当時の偉人たちとの深い交流があったようです。

その後、帰国し製薬会社を興し、時流に乗って大成功。社員教育のための勉強会施設が今の星薬科大学の前身となったそうです。全く知りませんでした。さすがショートショートの第一人者だけあり、伝記物でありながら史実の羅列にならず、感情移入してしまうほどに引き込まれて読み終えました。

2025-04-18

雪山入門 恵那山・安達太良山


前回に引き続き残雪期の雪山に挑戦してきました。久しぶりの百名山、恵那山。前日夜に出発して高速の駒ヶ岳SAで仮眠をとりました。

2025-04-17

高校の野球部同期会

2月のOBOG会を切っ掛けに先日、同期の仲間とも久しぶりに再会しました。卒業以来のメンバーもいて本当に久しぶりでしたが、会ってすぐに高校時代にタイムスリップできるのは不思議でした。 


2025-03-23

雪山入門 入笠山・日向山


これまで雪山はチェーンスパイクで登れる山・時期にしか行きませんでしたが、最近、テニスきっかけで知り合った登山仲間に刺激されて雪山に行ってみたくなりました。携帯するには重すぎたため使わずじまいだった12本爪のアイゼンを引っ張り出して、先日、雪山初心者におススメの入笠山に行ってきました。

2025-03-16

長女の大学受験終了!

先月末には終わっていたのですが報告遅れました。私大の薬学部に行くことになりました。おつかれさまでした!

私は理系だったら国立目指すのが当然だと思っていましたが、女子高の先生からは受験科目が多いと負担になるので、減らしで私大目指した方が(経験上)安心とのご指導があり、本人の意向も尊重して私は見守るだけでした。ダメなら浪人すればいいなんて考えは今は古いみたいです(反省)。

2025-03-03

三浦半島 岩礁のみち 途中まで


後期高齢者の母を連れ出して岩礁の道の途中まで散策。宮川港の駐車場から出発、剣崎小学校バス停まで。一か所、ヒヤッとする場所がありましたが、バリエーションに富んだトレッキング・ルートを楽しめました。マラソン大会のため交通規制があることを知らず帰りのバスが遅くなったので松輪の地魚レストランで遅めの昼食をとって帰宅。三崎口の大型スーパー・ベイシア三浦店に寄って三浦大根ほかお土産購入。次回は松輪から劒崎まで行って岩礁の道コンプリートを目指したい。潮見表で潮位を事前チェックしないと。

2025-02-25

道志みちから大室山ピストン


野原吊橋から大室山まで。これまで3回トライして時間切れ、冬装備忘れなどで撤退していたので今回はチャンと準備してチャンと登頂しました! 行きは黙々と登り通しでしたが、帰りは山頂で出会った牛久の藤田さんと会話しながら下山できたので楽しかったです。懸案だった大室山に登頂できたのでこれで一安心。いろいろ勉強させてもらいました。ルートなど詳しくはこちらから。

2025-02-23

テニス:2024年度の活動報告

地元の市民大会の話ですが、団体戦は1部残留、個人戦はシニアで単複準優勝。シニアのカテゴリだけど漸くシングルスで結果が出ました。来年度は団体戦で勝てるよう頑張ります!

2025-02-22

高校の野球部OBOG会に参加

昨年末に2年上の先輩から案内があり、先週、本当に久しぶりに同期の仲間と再会、懐かしい先輩方とも歓談できました!


これを機会にンッ十年振りに連絡が取れた同期のメンバーもいるので久しぶりに同期会しようということになりました。もうみんないい年なので少しは落ち着いてきたかな。

2025-02-19

13. ウィグナーの $\D$ 関数とその応用 vol.5

前回に引き続き原子内電子の光吸収・発光過程の選択則について考える。選択則は放射過程の行列要素
\[    \bra \al | H_{int} | \bt \ket \, = \,   \frac{e}{m} \bra  \al | \vec{A} \cdot \vec{p} | \bt \ket   \, = \,  \frac{i \, e}{\hbar}   \bra  \al | \vec{A} \cdot ( H_0 \vec{x} - \vec{x} H_0 ) | \bt \ket    \tag{13.85} \]
にウィグナー-エッカルトの定理を適用して導出できる。前回はゼロ次近似から電気双極子遷移の選択則を求めたが、今回は1次近似から磁気双極子遷移と電気四重極子遷移の選択則を求める。

磁気双極子遷移と電気四重極子遷移の選択則

  微小因子 $\vec{k} \cdot \vec{x}$ について1次までのオーダーで行列要素(13.85)を表すと
\[\begin{eqnarray}    \bra  \al | H_{int} | \bt \ket &=& \frac{e}{m} \bra  \al | \vec{A} \cdot \vec{p} | \bt \ket    \nonumber \\    & \approx &  e \bra \al | (1 + i \vec{k} \cdot \vec{x} )  A_\om  \, \vec{\hat{e}} \cdot \dot{\vec{x}} | \bt \ket    \nonumber \\    &=&    \bra  \al | H_{int}^{(0)} | \bt \ket \, + \, \bra  \al | H_{int}^{(1)} | \bt \ket    \tag{13.96} \end{eqnarray}\]
と書ける。ただし、$\bra  \al | H_{int}^{(0)} | \bt \ket $ は前回求めたゼロ次のオーダーの項
\[\begin{eqnarray}     \bra  \al | H_{int}^{(0)} | \bt \ket   &=& \frac{i \, e}{\hbar}\hat{e}^a \, A_\om ( E_\al - E_\bt ) \bra \al | x^a | \bt \ket    \nonumber \\    & = &  e \dot{\vec{A}} \cdot \bra \al |  \vec{x} | \bt \ket    \nonumber \\    & = & e \vec{E} \cdot \bra \al |  \vec{x} | \bt \ket    \tag{13.90} \end{eqnarray}\]
である。ただし、$\vec{E} = \frac{\d}{\d t} \vec{A} = \dot{\vec{A}}$ は外部電場を表す。ベクトル・ポテンシャル $ \vec{A}$ は
\[    \vec{A} \, = \, \vec{\hat{e}} \, A \, e^{-i ( \om t - \vec{k} \cdot \vec{x} ) }    \, = \, \vec{\hat{e}}\, A_\om \, e^{i \vec{k} \cdot \vec{x} }    \tag{13.86} \]
とパラメータ表示される。ただし、$A_\om = A  e^{-i  \om t}$ であり、角運動量 $\om$ はエネルギー保存則から
\[    \om \, = \, \frac{E_\al - E_\bt }{\hbar} \, = \, \om_\al - \om_\bt     \tag{13.87} \]
と決まる。ここでは、放射ゲージを
\[    \phi \, = \, 0 \, , ~~~~ \nabla \cdot \vec{A} \, = \, 0     \tag{13.81} \]
採用していることに注意しよう。1次のオーダーの行列要素は
\[\begin{eqnarray}    \bra  \al | H_{int}^{(1)} | \bt \ket  &=& i e k^a \hat{e}^b A_\om    \bra \al | x^a \dot{x}^b | \bt \ket    \nonumber \\    &=& i \frac{e}{m} k^a \hat{e}^b A_\om   \bra \al | x^a p^b | \bt \ket    \nonumber \\    &=& i \frac{e}{2m} k^a \hat{e}^b  A_\om   \bra \al | ( x^a p^b + p^b x^a )  | \bt \ket    \tag{13.97} \end{eqnarray}\]
と表せる。ただし、$x^a p^b$ を反対称成分と対称成分に
\[\begin{eqnarray}    x^a p^b &=& \frac{1}{2} ( x^a p^b - p^b x^a ) + \frac{1}{2} ( x^a p^b + p^b x^a )    \nonumber \\    &=& \frac{i \hbar}{2} \del^{ab} + \frac{1}{2} ( x^a p^b + p^b x^a )    \tag{13.98} \end{eqnarray}\]
と分離して、関係式 $k^a \hat{e}^b \del^{ab} = 0$ を用いた。対称成分はハイゼンベルク方程式
\[    \frac{1}{m} \vec{p} \, = \,  \, \dot{\vec{x}} \, = \,  \frac{i}{\hbar} \, [ H_0 , \vec{x} ]    \tag{13.84} \]
を用いて
\[\begin{eqnarray}     x^a p^b + p^b x^a  &=& \frac{m}{2} ( x^a \dot{x}^b + \dot{x}^b x^a )  \nonumber \\    &=&     \frac{im}{2 \hbar} x^a ( H_0  x^b - x^b H_0 ) + \frac{m}{2} \dot{x}^b x^a     \nonumber \\    &=& \frac{im}{2 \hbar} (H_0 x^a x^b - x^a x^b H_0 ) - \frac{m}{2} ( \dot{x}^a x^b - \dot{x}^b x^a )      \tag{13.99} \end{eqnarray}\]
と計算できる。よって、1次のオーダーの行列要素(13.97)は
\[    \bra  \al | H_{int}^{(1)} | \bt \ket  =    - \frac{e}{2\hbar} k^a \hat{e}^b  A_\om  \bra \al | [H_0 ,  x^a x^b ]  | \bt \ket    - i \frac{e}{2m}  k^a \hat{e}^b  A_\om  \bra \al | ( p^a x^b - p^b x^a )  | \bt \ket    \tag{13.100} \]
と書ける。電気双極子近似(13.90)の場合と同様に、右辺の第1項は
\[\begin{eqnarray}    - \frac{e}{2\hbar} k^a \hat{e}^b  A_\om  \bra \al | [H_0 ,  x^a x^b ]  | \bt \ket    &=& - \frac{e}{2\hbar} k^a \hat{e}^b  A_\om ( E_\al - E_\bt )   \bra \al | x^a x^b   | \bt \ket    \nonumber \\    &=& - \frac{e}{2} k^a \dot{A}^b  \bra \al | x^a x^b   | \bt \ket    \nonumber \\    &=& i \frac{e}{2} \nabla^a E^b \bra \al | x^a x^b | \bt \ket    \nonumber \\    &=& i \frac{e}{2} \nabla^a E^b \bra \al | T^{ab} | \bt \ket    \tag{13.101} \end{eqnarray}\]
と変形できる。ただし、$T^{ab}$ は13.2節で定義した階数2の対称テンソル
\[    T^{ab} = x^a x^b - \frac{1}{3} \del^{ab} x^2     \tag{13.68} \]
である。外部電場に対して $\nabla^a E^b \del^{ab} = \nabla \cdot \vec{E} = 0$ が成り立つことに注意しよう。式(13.100)右辺の第2項は
\[\begin{eqnarray}    - i \frac{e}{2m}  k^a \hat{e}^b  A_\om  \bra \al | ( p^a x^b - p^b x^a )  | \bt \ket    &=&  - i \frac{e}{2m}  k^a \hat{e}^b  A_\om  \bra \al | \ep^{abc} \ep_{klc} p^k x^l   | \bt \ket    \nonumber \\    &=& i \frac{e}{2m} \ep^{abc} k^a \hat{e}^b  A_\om  \bra \al | L_c   | \bt \ket    \nonumber \\    &=& \frac{e}{2m} \ep^{abc} \nabla^a A^b  \bra \al | L_c   | \bt \ket    \nonumber \\    &=& \frac{e}{2m} \vec{B} \cdot  \bra \al | \vec{L}  | \bt \ket    \tag{13.102} \end{eqnarray}\]
と変形できる。ただし、関係式 $\vec{B} = \nabla \times \vec{A}$ と $\vec{L} = \vec{x} \times \vec{p}$ を用いた。

 以上、まとめると
\[    \bra  \al | H_{int}^{(1)} | \bt \ket  =    i \frac{e}{2} \nabla^a E^b \bra \al | T^{ab} | \bt \ket +    \frac{e}{2m} \vec{B} \cdot  \bra \al | \vec{L}  | \bt \ket     \tag{13.103} \]
と求まる。右辺の第1項、第2項はそれぞれ電気四重極子遷移、磁気双極子遷移を記述する。電気双極子遷移の場合と同様に、第2項の選択則はクレブシュ-ゴルダン係数 $C^{1 l l^{\prime *}}_{a m m^\prime}$ で決定される。ただし、磁気双極子遷移の場合は状態のパリティが保存される。つまり、$\Delta l = l^\prime - l$ に対して、$(-1)^{\Delta l }=1$ が課される。言い換えると、磁気双極子遷移の選択則は
\[\begin{eqnarray}    \Delta l & = & 0    \nonumber \\    \Delta j &=& 0 , \pm 1 ~~~~\mbox{ただし $(j, j^\prime ) \ne (0, 0)$}    \tag{13.104} \\    \Delta m &=& 0 , \pm 1    ~~~~\mbox{ただし $\Delta j = 0$ の場合は $(m, m^\prime ) \ne (0, 0)$}    \nonumber \end{eqnarray}\]
で与えられる。

 同様に、ウィグナー-エッカルトの定理を適用すると電気四重極子遷移の選択則はクレブシュ-ゴルダン係数
\[\begin{eqnarray}    C^{2 l l^{\prime *}}_{A m m^\prime}    & = & \bra 2 A \, l m | l^\prime m^\prime \ket    \nonumber \\    &=& (-1)^{l^\prime - l -2 } \bra l m \, 2 A | l^\prime m^\prime \ket    \nonumber \\    &=& \del_{m^\prime , m + A} \,(-1)^{l^\prime - l -2 } \bra l m \, 2 A | l^\prime m^\prime \ket    \tag{13.105} \end{eqnarray}\]
から導ける。ただし、$A = 0 , \pm 1 , \pm2$ である。上式より磁気量子数 $m$ に関する選択則は $\Delta m = 0, \pm 1, \pm 2$ であることが簡単に分かる。磁気双極子遷移の場合と同じく、始状態と終状態のパリティは同じである。よって、軌道角運動量量子数 $l$ に関する選択則は例外的な場合を除いて $\Delta l = 0, \pm 2$ と書ける。例外となる場合は下表で示すクレブシュ-ゴルダン係数 $\bra l m \, 2 A | l^\prime  m + A \ket$ の具体的な形から判別できる。
\begin{array}{|c|cc|}    \hline    l^\prime & A=2 & A=1 \\ \hline    l+2 & \sqrt{\frac{(l+m+1)(l+m+2)(l+m+3)(l+m+4)}{(2l+1)(2l+2)(2l+3)(2l+4)}} & \sqrt{\frac{(l+m+1)(l+m+2)(l+m+3)(l-m+1)}{(l+1)(l+2)(2l+1)(2l+3)}} \\    l+1 & - \sqrt{\frac{(l+m+1)(l+m+2)(l+m+3)(l-m)}{l(l+1)(2l+1)(2l+4)}} & - (l-2m) \sqrt{\frac{(l+m+1)(l+m+2)}{l(l+1)(2l+1)(2l+4)}} \\    l & \sqrt{\frac{3(l+m+1)(l+m+2)(l-m-1)(l-m)}{2l(l+1)(2l-1)(2l+3)}} & - (2m+1) \sqrt{\frac{3(l+m+1)(l-m)}{2l(l+1)(2l-1)(2l+3)}} \\    l-1 & - \sqrt{\frac{(l+m+1)(l-m-2)(l-m-1)(l-m)}{(l-1)l(2l+1)(2l+2)}} & (l+2m+1) \sqrt{\frac{(l-m-1)(l-m)}{(l-1)l(2l+1)(2l+2)}}  \\    l-2 & \sqrt{\frac{(l-m-3)(l-m-2)(l-m-1)(l-m)}{(2l-2)(2l-1)2l(2l+1)}} & - \sqrt{\frac{(l+m)(l-m-2)(l-m-1)(l-m)}{(l-1)l(2l-1)(2l+1)}} \\  \hline \end{array}
\begin{array}{|c|c|}    \hline   l^\prime & A=0 \\ \hline    l+2  & \sqrt{\frac{3(l+m+1)(l+m+2)(l-m+1)(l-m+2)}{(l+1)(2l+1)(2l+3)(2l+4)}} \\    l+1 &  m \sqrt{\frac{3(l+m+1)(l-m+1)}{l(l+1)(l+2)(2l+1)}} \\    l  &  \frac{3m^2 - l(l+1)}{\sqrt{l(l+1)(2l-1)(2l+3)}} \\    l-1 &  - m \sqrt{\frac{3(l+m)(l-m)}{(l-1)l(l+1)(2l+1)}} \\    l-2  & \sqrt{\frac{3(l+m-1)(l+m)(l-m-1)(l-m)}{l(2l-2)(2l-1)(2l+1)}} \\  \hline \end{array}
\begin{array}{|c|cc|}    \hline    l^\prime & A=-1 & A=-2  \\ \hline    l+2 & \sqrt{\frac{(l-m+1)(l-m+2)(l-m+3)(l+m+1)}{(l+1)(l+2)(2l+1)(2l+3)}} & \sqrt{\frac{(l-m+1)(l-m+2)(l-m+3)(l-m+4)}{(2l+1)(2l+2)(2l+3)(2l+4)}} \\    l+1 & (l+2m) \sqrt{\frac{(l-m+1)(l-m+2)}{l(l+1)(2l+1)(2l+4)}} & \sqrt{\frac{(l-m+1)(l-m+2)(l-m+3)(l+m)}{l(l+1)(2l+1)(2l+4)}} \\    l & (2m -1) \sqrt{\frac{3(l-m+1)(l+m)}{2l(l+1)(2l-1)(2l+3)}} &  \sqrt{\frac{3(l-m+1)(l-m+2)(l+m-1)(l+m)}{2l(l+1)(2l-1)(2l+3)}}  \\    l-1 & -(l-2m+1) \sqrt{\frac{(l+m-1)(l+m)}{(l-1)l(2l+1)(2l+2)}}  & \sqrt{\frac{(l-m+1)(l+m-2)(l+m-1)(l+m)}{(l-1)l(2l+1)(2l+2)}} \\    l-2 & - \sqrt{\frac{(l-m)(l+m-2)(l+m-1)(l+m)}{(l-1)l(2l-1)(2l+1)}} & \sqrt{\frac{(l+m-3)(l+m-2)(l+m-1)(l+m)}{(2l-2)(2l-1)2l(2l+1)}} \\  \hline \end{array}
これらの値はクレブシュ-ゴルダン係数の一般形 (Racah 公式) 
\[\begin{eqnarray}    &&    \bra j_1 m_1 \, j_2 m_2 | J M \ket    \nonumber \\    &=& \del_{M, m_1 + m_2}  \sqrt{\frac{(2J+1)\, (J+j_1 - j_2 )! \, (J - j_1 + j_2 )! \,( j_1 + j_2 -J )! }{(j_1 + j_2 + J + 1 )!}}    \nonumber \\    && \times \sqrt{(J+M)! \, (J-M)! \,(j_1 + m_1 )! \, ( j_1 - m_1 )! \, (j_2 + m_2 )! \, ( j_2 - m_2 )!}    \nonumber \\    && \times \sum_k \left( \frac{(-1)^{k} }{k! \,(j_1 + j_2 -J - k )! \,(j_1 - m_1 - k )! \,( j_2 + m_2 - k )! } \right.    \nonumber \\    && \hspace{4cm} \times \left. \frac{1}{ ( J- j_2 + m_1 + k )! \,( J- j_1 - m_2 + k )! } \right)    \tag{13.106}\end{eqnarray}\]
から求めた。ただし、整数 $k$ の和は階乗をとる数がすべて非負である $k$ だけに限られる。この公式は $M \ge 0$ かつ $j_1 \ge j_2$ の場合に適用されるが、それ以外の場合は関係式
\[\begin{eqnarray}    \bra j_1  - \! m_1 \, j_2  - \! m_2 | J \, - \!M \ket &=& (-1)^{J-j_1 -j_2 } \bra j_1 m_1 \, j_2 m_2 | J M \ket      \tag{13.107} \\    \bra j_2  m_2  \, j_1  m_1 | J \, M \ket &=& (-1)^{J-j_1 -j_2 } \bra j_1 m_1 \, j_2 m_2 | J M \ket     \tag{13.108} \end{eqnarray}\]
から求まる。

2025-02-18

ウッドデッキ塗装5

去年はサボってしまったウッドデッキ塗装を久しぶりに行いました。寒いけど雨の少ない冬にやるのもアリですね。

塗装前

ほうきで掃いて水拭き

塗装後

相変わらず水性ペンキで塗っています。刷毛の再利用もできるし当分これでいいかな。

2025-02-17

13. ウィグナーの $\D$ 関数とその応用 vol.4

13.3 ウィグナー-エッカルト型の応用例


前節ではウィグナー $\D$ 関数を用いてコンパクトなリー群に関するウィグナー-エッカルトの定理
\[ \bra R^\prime , \al | Q^A | R , m \ket  \, = \,    {C^{R^{\prime\prime} R R^{\prime}}_{A m \al}}^* \, \bra R^\prime || Q^{R^{\prime\prime}} || R \ket    \tag{13.77} \]
を示した。ただし、還元行列要素 $\bra R^\prime || Q^{R^{\prime\prime}} || R \ket  $ は
\[     \bra R^\prime || Q^{R^{\prime\prime}} || R \ket \, = \,      \sum_{\bt , n} \frac{C^{R^{\prime\prime}R R^{\prime}}_{Bn \bt} \, \bra R^\prime , \bt | Q^B | R , n \ket }    {  ( {\rm dim} R^\prime ) ( \mbox{$G$ の体積}) }     \tag{13.78} \]
で定義される。今節ではウィグナー-エッカルトの定理の応用例として次の3つを取り上げる。
  1.  光子の吸収・放出についての選択則
  2.  ハドロン・スペクトル
  3.  ケイス-ガシオロウィッツ-ワインバーグ-ウィッテン (Case-Gasiorowicz-Weinberg-Witten) の定理

13.3.1 光子の吸収・放出の選択則


2.1節で解説したように、水素原子のハミルトニアンは
\[    H_0 \, = \, \frac{\vec{p}^{\, 2}}{2m} - \frac{e^2}{r}     \tag{13.79} \]
で近似できる。ここで、$\vec{p}$ と $m$ は電子の運動量と質量、$r$ は原子核からの距離を表す。$H_0$ は球対称なので
\[    \left[ L^a , H_0 \right] \,= \, 0    \tag{13.80} \]
を満たす。ただし、$L^a$ $(a = 1,2,3)$ は角運動量演算子である。固有状態 $| \al \ket$ のエネルギー固有値を $E_\al$ とする。つまり、$H_0 | \al \ket = E_\al | \al \ket$ とおく。(13.80)から $L^a H_0 | \al \ket = H_0 L^a | \al \ket = E_\al L^a | \al \ket$ が分かる。これは、$L^a | \al \ket$ が $| \al \ket$ と同じエネルギーを持つことを意味する。同様に、任意の状態の回転 $e^{i L^a \th^a } | \al \ket $ も同じエネルギーを持つことが分かる。すなわち、エネルギー準位は角運動量の表現を成す多重項に分類できる。

 ある規約表現 $R$ に属す状態 $| \al \ket$ を考える。あるパラメータ $\th$ を用いて別の状態 $| \bt \ket = e^{i L \cdot \th} | \al \ket$ を定義する。状態 $| \bt \ket $ は表現 $R$ の外に出ることはないので、特定の $\th$ に対して$\bra \bt | e^{i L \cdot \th} | \al \ket \ne 0$ となる。例えば、状態を適当に規格化すると $\bra \bt | e^{i L \cdot \th} | \al \ket = \bra \al | e^{- i L \cdot \th} e^{i L \cdot \th} | \al \ket = 1$ が満たされる。もし $| \bt \ket \not\in R$ であれば、群の要素の合成が成り立たず、$\bra \bt | e^{i L \cdot \th} | \al \ket = 0$ となる。よって、縮退状態は回転群の既約表現で与えられることが分かる。$SU(2)$ 群の既約表現と縮退状態について詳しくは1.3節も参照されたい。

 ここで、ハミルトニアン $H_0$ に相互作用項を導入する。放射ゲージを導入すると外部電磁場のスカラー・ポテンシャル $\phi$ とベクトル・ポテンシャル $\vec{A}$ はゲージ条件
\[    \phi \, = \, 0 \, , ~~~~ \nabla \cdot \vec{A} \, = \, 0     \tag{13.81} \]
に従う。このとき、相互作用項を含むハミルトニアンは
\[    H \, = \, \frac{(\vec{p} + e \vec{A})^2}{2m} - \frac{e^2}{r^2}    \, = \, H_0 + \frac{e}{2m} ( \vec{p} \cdot \vec{A} + \vec{A} \cdot \vec{p} ) + \frac{e^2}{2m} \vec{A}^{\, 2}     \tag{13.82} \]
と書ける。原子核内の電子に働くクーロン力に比べて外部電磁場の影響は小さいので $\vec{A}^{\, 2}$ の項を無視すると、相互作用項は
\[    H_{int} | \Psi \ket  \, = \, \frac{e}{2m} ( \vec{p} \cdot \vec{A} + \vec{A} \cdot \vec{p} ) | \Psi \ket    \, = \, \frac{e}{m}  \vec{A} \cdot \vec{p}  \, | \Psi \ket    \tag{13.83} \]
と表せる。ただし、ゲージ条件 $\nabla \cdot \vec{A}  = 0$ を用いた。電子の運動量のみ考慮すると電流密度は $\vec{J} = - \frac{e}{m} \vec{p}$ とおけるので、上式から相互作用項 $H_{int}$ は基本的に $H_{int} = \frac{e}{m}  \vec{A} \cdot \vec{p} = - \vec{A} \cdot \vec{J}$ で与えられることが分かる。ハイゼンベルク方程式を用いると、演算子 $\frac{1}{m} \vec{p}$ は
\[    \frac{1}{m} \vec{p} \, = \,  \, \dot{\vec{x}} \, = \,  \frac{i}{\hbar} \, [ H_0 , \vec{x} ]    \tag{13.84} \]
と書ける。よって、$H_{int}$ の行列要素は
\[    \bra \al | H_{int} | \bt \ket \, = \,    \frac{i \, e}{\hbar}   \bra  \al | \vec{A} \cdot ( H_0 \vec{x} - \vec{x} H_0 ) | \bt \ket    \tag{13.85} \]
で与えられる。ただし、$| \al \ket$, $| \bt \ket$ は放射現象の終状態と始状態を表す。上式でベクトル・ポテンシャル $\vec{A}$ は
\[    \vec{A} \, = \, \vec{\hat{e}} \, A \, e^{-i ( \om t - \vec{k} \cdot \vec{x} ) }    \, = \, \vec{\hat{e}}\, A_\om \, e^{i \vec{k} \cdot \vec{x} }    \tag{13.86} \]
とパラメータ表示される。ここで、$A_\om = A  e^{-i  \om t}$ であり、角運動量 $\om$ はエネルギー保存則から
\[    \om \, = \, \frac{E_\al - E_\bt }{\hbar} \, = \, \om_\al - \om_\bt     \tag{13.87} \]
と決まる。放射ゲージ条件(13.81)より、偏光ベクトル $\vec{\hat{e}}$ は関係式
\[    \vec{\hat{e}} \cdot \vec{k} \, = \, 0     \tag{13.88} \]
を満たす。放射現象において光の波長は $\la \sim 10^{-5}$ ${\rm cm}$ のオーダーであり、これは原子のサイズ $r \sim 10^{-8}$ ${\rm cm}$ に比べて十分大きい。つまり、$ \vec{k} \cdot \vec{x} \sim \frac{2\pi}{\la} r \sim 10^{-3} \ll 1$ と見積もることができる。微小因子 $\vec{k} \cdot \vec{x}$ の1次近似でベクトル・ポテンシャルは
\[     \vec{A} \, = \, \vec{\hat{e}} \, A_\om     \, ( 1 + i \vec{k} \cdot \vec{x} ) + {\cal O} \left( ( \vec{k} \cdot \vec{x} )^2 \right)     \tag{13.89} \]
と表せる。ゼロ次近似 $e^{i \vec{k} \cdot \vec{x}} \approx 1$ で行列要素(13.85)は
\[\begin{eqnarray}    \bra  \al | H_{int} | \bt \ket & \approx &    \bra  \al | H_{int}^{(0)} | \bt \ket \nonumber \\    &=& \frac{i \, e}{\hbar}\hat{e}^a \, A_\om ( E_\al - E_\bt ) \bra \al | x^a | \bt \ket    \nonumber \\    & = &  e \dot{\vec{A}} \cdot \bra \al |  \vec{x} | \bt \ket    ~ = ~ e \vec{E} \cdot \bra \al |  \vec{x} | \bt \ket    \tag{13.90} \end{eqnarray}\]
と表せる。ただし、$\vec{E} = \dot{\vec{A}}$ は電場を表す。このゼロ次近似は古典電気力学での電気双極子近似に対応する。

 水素原子の物理状態は $SO(3)$ 群のユニタリー既約表現で記述される。前節で見たように、これらは $| l , m \ket$ でラベルされる。ただし、$l$ は軌道角運動量量子数、$m$ は磁気量子数を表す。ウィグナー-エッカルトの定理(13.77)を適用すると、行列要素(13.90)は
\[    e E^a \, \bra l^\prime , m^\prime  | x^a |   l,m \ket    \, = \,    e E^a \, C^{1 l l^{\prime *}}_{a m m^\prime}     \bra l^\prime || x^{(1)} || l \ket    \tag{13.91} \]
と表せる。ただし、$x^{(1)}$ は $x^a$ ($a = 0, \pm 1$) が $l=1$ テンソル(13.65)として変換することを表す。これは放射現象の選択則がクレブシュ-ゴルダン係数 $C^{1 l l^{\prime *}}_{a m m^\prime} $ で評価されることを意味する。クレブシュ-ゴルダン係数の慣習的な表示法 $\bra j_1 m_1 \, j_2 m_2 | J M \ket$ を用いると $C^{1 l l^{\prime *}}_{a m m^\prime} $ は
\[\begin{eqnarray}    C^{1 l l^{\prime *}}_{a m m^\prime}    & = & \bra 1 a \, l m | l^\prime m^\prime \ket    \nonumber \\    &=& (-1)^{l^\prime - l -1 } \bra l m \, 1 a | l^\prime m^\prime \ket    \nonumber \\    &=& \del_{m^\prime , m + a} \,(-1)^{l^\prime - l -1 } \bra l m \, 1 a | l^\prime m^\prime \ket     \tag{13.92} \end{eqnarray}\]
と関係付けられる。これより、明らかに磁気量子数 $m$ の選択則は
\[    \Delta m \, =  \, 0, \pm 1    \tag{13.93} \]
となることが分かる。ただし、$\Delta m = m - m^\prime$ である。より厳密には、ゼロとならないクレブシュ-ゴルダン係数 $\bra l m \, 1 a | l^\prime m + a \ket$ は以下の表で与えられる。
\begin{array}{|c|ccc|} \hline   l^\prime & a=1 & a=0 & a=-1 \\ \hline   l+1 & \sqrt{\frac{(l+m+1)(l+m+2)}{(2l+1)(2l+2)}} & \sqrt{\frac{(l+m+1)(l-m+1)}{(2l+1)(l+1)}} & \sqrt{\frac{(l-m+1)(l-m+2)}{(2l+1)(2l+2)}} \\   l & - \sqrt{\frac{(l+m+1)(l-m)}{2l(l+1)}} &  m \sqrt{\frac{1}{l(l+1)}} & \sqrt{\frac{(l+m)(l-m+1)}{2l(l+1)}} \\   l-1 & \sqrt{\frac{(l-m-1)(l-m)}{2l(2l+1)}} & - \sqrt{\frac{(l+m)(l-m)}{l(2l+1)}} & \sqrt{\frac{(l+m-1)(l+m)}{2l(2l+1)}} \\ \hline \end{array}

2025-02-16

夏と冬のパノラマ台

去年の夏と今年の1月に精進湖畔からパノラマ台に行ったので記録しておきます。夏はアメリカから一時帰国中の妹家族と1泊2日の旅行の際に寄りました。





夏は陽が昇ると雲が湧いてくるので早朝登山がおススメです。

 先月にテニス仲間と登ったときは冬らしく富士山くっきり見えました。






4年前に黒岳、御坂山を登ったときに出会った方に教えてもらったパノラマ台。湖畔の駐車場からアクセスもいいのでビギナーにもおすすめです!

2025-02-15

22年振り?! ハーレムのアパートでお世話になったTさんと再会

メールボックスの迷惑フォルダに紛れていたメッセージから久しぶりに懐かしい知人と先日再会しました。1999年に私が単身NYに乗り込んだ時にお世話になったアパートの大家さんです。京都出身のエネルギッシュな方で、すぐに意気投合して、2人で近くの公園でよくサッカーやりました。公園にいた多国籍メンバーと草サッカーやって削りあったりしましたね~。その他、イチローの試合見に行ったり、郊外のバザーに連れて行ってもらったり色々お世話になりました。マンハッタン・ハーレムのど真ん中のアパートで、夜に発砲音があったり、うるさすぎて勉強に集中できなかったので少しして私はクィーンズに引っ越しましたが、その後もたまにチャイナタウンでランチしたりしました。9.11のあと少ししてTさんがタイに行くと言って突然居なくなったのには驚きました。その際、車譲ろうかとおっしゃってもらったのですが、残念ながらあの時私には車を持つ余裕がありませんでした。
 
 その後、ぱったり音信不通になりましたが今年1月末にメッセージを受け取りました。タイ語をマスターして現地で運転手付きの生活をされていたそうですが、クーデターの内乱でどうにもならず、その後、中国の雲南大学で勉強されたそうです。で、今はロスで奥様と子供3人とのセミリタイア生活。今年還暦になるのに6,9,12歳の子供がいらっしゃるとのこと、相変わらずエネルギッシュですね!もちろん大谷のワールドシリーズも現地観戦したそうです。アメリカ、タイ、中国の話以外にもサッカーの話などで盛り上がって楽しい時間を過ごせました。年に一度チケットの安い時期に帰国するそうなのでまた来年会いましょう!

2025-02-14

電気四重極子遷移の選択則に関わるクレブシュ-ゴルダン係数

原子内電子の放射現象に関する選択則は例えばこちらにまとめられているが、その導出にはよく知られているようにウィグナー-エッカルトの定理が適用される。この定理の詳細はここでは割愛するが、結論としては電気双極子遷移あるいは磁気双極子遷移の選択則は、任意の角運動量固有状態 $| l, m \ket$ と $l=1$ の角運動量固有状態 $|1, a \ket $ ($a = 0, \pm 1$) との合成で定義されるクレブシュ-ゴルダン係数 $\bra lm \, 1 a | l^\prime m \!+\! a \ket$ の有無によって決定できる。ただし、軌道角運動量量子数$l$ はゼロ以上の整数であり、磁気量子数 $m$ は $m=-l, -  l \! +\! 1, \cdots , l\! -\! 1, l$ の値をとる。ただし、電子のスピンを含めると $l$ は 半奇数を含む全角運動量量子数 $j$ に置き換えれられる。ゼロとならない $\bra lm \, 1 a | l^\prime m \!+\! a \ket$ は下表で与えられる。
\begin{array}{|c|ccc|} \hline   l^\prime & a=1 & a=0 & a=-1 \\ \hline   l+1 & \sqrt{\frac{(l+m+1)(l+m+2)}{(2l+1)(2l+2)}} & \sqrt{\frac{(l+m+1)(l-m+1)}{(2l+1)(l+1)}} & \sqrt{\frac{(l-m+1)(l-m+2)}{(2l+1)(2l+2)}} \\   l & - \sqrt{\frac{(l+m+1)(l-m)}{2l(l+1)}} &  m \sqrt{\frac{1}{l(l+1)}} & \sqrt{\frac{(l+m)(l-m+1)}{2l(l+1)}} \\   l-1 & \sqrt{\frac{(l-m-1)(l-m)}{2l(2l+1)}} & - \sqrt{\frac{(l+m)(l-m)}{l(2l+1)}} & \sqrt{\frac{(l+m-1)(l+m)}{2l(2l+1)}} \\ \hline \end{array}
この表は例えば


に掲載されている。上の表で $l=m=0$ (あるいは $|a| < 1$ かつ $|l^\prime - l | < 1$) の場合に係数が例外的にゼロとなることに注意しよう。

 一方、電気四重極子遷移の選択則は任意の角運動量固有状態 $| l, m \ket$ と $l =2$ の角運動量固有状態 $| 2, a \ket $ ($a = 0, \pm 1 , \pm 2$) との合成で定義されるクレブシュ-ゴルダン係数 $\bra lm \, 2 a | l^\prime m \!+\! a \ket$ の有無によって決定できる。よって、上と同様の表があれば簡単に電気四重極子遷移の選択則を確認できるのだが、分かる範囲では見つからなかった。そこで、以下のクレブシュ-ゴルダン係数の一般形 (Racah 公式) からこれらの係数を求めることにした。
\[\begin{eqnarray}    &&    \bra j_1 m_1 \, j_2 m_2 | J M \ket    \nonumber \\    &=& \del_{M, m_1 + m_2}  \sqrt{\frac{(2J+1)\, (J+j_1 - j_2 )! \, (J - j_1 + j_2 )! \,( j_1 + j_2 -J )! }{(j_1 + j_2 + J + 1 )!}}    \nonumber \\    && \times \sqrt{(J+M)! \, (J-M)! \,(j_1 + m_1 )! \, ( j_1 - m_1 )! \, (j_2 + m_2 )! \, ( j_2 - m_2 )!}    \nonumber \\    && \times \sum_k \left( \frac{(-1)^{k} }{k! \,(j_1 + j_2 -J - k )! \,(j_1 - m_1 - k )! \,( j_2 + m_2 - k )! } \right.    \nonumber \\    && \hspace{4cm} \times \left. \frac{1}{ ( J- j_2 + m_1 + k )! \,( J- j_1 - m_2 + k )! } \right)    \tag{1}\end{eqnarray}\]
ただし、整数 $k$ の和は階乗をとる数がすべて非負である $k$ だけに限られる。この公式は $M \ge 0$ かつ $j_1 \ge j_2$ の場合に適用されるが、それ以外の場合は関係式
\[\begin{eqnarray}    \bra j_1  - \! m_1 \, j_2  - \! m_2 | J \, - \!M \ket &=& (-1)^{J-j_1 -j_2 } \bra j_1 m_1 \, j_2 m_2 | J M \ket      \tag{2} \\    \bra j_2  m_2  \, j_1  m_1 | J \, M \ket &=& (-1)^{J-j_1 -j_2 } \bra j_1 m_1 \, j_2 m_2 | J M \ket     \tag{3} \end{eqnarray}\]

2025-02-13

放射現象における磁気双極子遷移と電気四重極子遷移の導出

古典電磁気学の1つの重要なトピックとして電気四重極子あるいは多重極子の導出がある。
静電場の場合はスカラー・ポテンシャルの球面調和関数展開あるいはテイラー展開に相当するので自然に理解できるが、磁場を含める場合はベクトル・ポテンシャルを導入して電気双極子近似(ゼロ次近似)より高次の近似を考える必要がある。このとき1次のオーダーの項から磁気双極子と電気四重極子が出てくるが、これらはぞれぞれ電流ベクトルと位置ベクトルの積の非対称成分と対称成分に相当する。この話は例えばジャクソン電磁気学の第9章




に出ていて一応、大学の古典電磁気学で学習する内容となっている。ただし、このような近似が成立するのは基本的に原子・分子・結晶内などミクロな世界の話なので当然ながら量子電磁気学の領域であり、量子力学的な取り扱いが必要となる。

 一方、量子力学の教科書では大抵、ゼロ次近似での電気双極子相互作用の導出までが紹介され、磁気双極子・電気四重極子は古典電磁気学でやったから大丈夫だよね、という感じで学生もあぁあれね、という感じでそのままになってそれぞれ専門分野に進んで行くことが多い(個人的印象)。最近までそんな記憶もすっかり忘れていたが、久しぶりに原子内電子と外部電磁場の相互作用を考える機会があったので磁気双極子相互作用と電気四重極子相互作用を量子力学的に導出できるか手元の参考書・教科書で調べてみた。




しかしながら、分かる範囲では何処にも載っていなかったので自力で導出してみた。詳細は以下の通り。

2025-01-03

2024年末 伊勢志摩、那智、潮岬、和歌山

去年に引き続きお伊勢参りに母と次女で行ってきました。去年は伊勢に2泊して熊野本宮大社に寄ったのですが、今年は伊勢のルートインが1日しか予約取れなかったので2日目は和歌山の海南に泊まることにしました。1日目は鎌倉から志摩まで行き、以前から気になっていた伊勢神宮別宮の伊雑宮(いざわのみや)に初めて参拝。


伊勢に戻る途中の「天の岩戸」にも興味あったのですが日没が早いのでスキップして内宮へ。