2018-08-08

最近読んだ本:宇宙、梅棹、神戸、田中一村

最近本屋に行くことはほとんどありません、2ヵ月に1回程度でしょうか。行ってもあまり買いませんね。皆さんそうでしょうが本はアマゾンで買います。私は貧乏性なので買った本は一応最後まで目を通して、専門書や数学の本以外は大抵ブックオフに売りに行きます。すでに手元に無いものもあるので、最近気になったものをまとめておきます。


吉田伸夫先生の新刊はできるだけ読むようにしています。いつもしっかり調べられていて勉強になります。最新刊の『科学はなぜわかりにくいのか』は今読みかけています。




初めは現実逃避、その後はハーフマラソンとテニスのトレーニングとしてピークハント気味だった登山ですが、いろいろ行っているうちに楽しくなり山の本を読むことにしました。高校生の時に『世界言語紀行』を読んで感銘を受けた梅棹忠夫先生の山に関する文章がまとめられている『山をたのしむ』。戦前の学生登山勃興期のようすが分かり興味深かったです。


きっかけは本屋で故高畑勲監督のインタビュー集を立ち読みしたことでした。大昔にテレビで映画『火垂るの墓』を見たけど途中で悲しくなって見続けられませんでした。小説なら最後まで読めるかなと手に取りましたが途中から涙止まりませんでした。もう一度読めと言われてもムリだと思います。『火垂るの墓』以外の短編、特に『アメリカひじき』と『焼土層』も良かったです。『火垂るの墓』冒頭の舞台は私の育った神戸で、主人公(野坂昭如本人)が通っていたという成徳小学校はとなりの小学校でした。一王山(いちのうさん)とか地元の人しか分からない地名もあり懐かしかったです。登場人物の言葉づかいも自然で心の奥にまですうっと入ってきました。30年以上前のことですが私は小学校卒業後、父の転勤で泣く泣く東京に引っ越しました。あの頃の阪急六甲やまだ国鉄だった六甲道周辺の雰囲気を小説から感じられ、昔にタイムスリップした気分でした。そういえば同じような気持ちになった小説にドリアン助川こと明川哲也の『星の降る町』があります。


ドリアン助川は『あん』がよかったですが、個人的には『オバケの英語』と『メキシコ人はなぜハゲないし、死なないのか』も面白かったです。いま手元にないのが残念です。

最近読んだ中で一番よかったのが『日本のゴーギャン 田中一村伝』です。


私は絵のことは分かりませんが、田中一村の生き方そのものに感動しました。よく見ると作品も傑作ばかりです。一家に一冊『田中一村作品集』があるといいですね。


亡くなってから有名になった方なのであまり本はありません。興味ある方はこちらも参考になります。


絵というのは画家がどのように世界を見ているかを示す芸術作品なので、その画家の哲学や精神が表現される怖いものです。だからこそ美しくもあり人の心を打つのでしょう。若いうちは流行の描き方を真似ることもあるでしょうが、大家と言われる画家たちはそれぞれ見ただけで分かるスタイルを確立しています。理論物理の研究も昔はそのような感じだったかもしれませんが、いまではそのような芸術的側面は薄れています。私の印象でははやりの流派に染まった絵ばかりです。はやりに乗らないとポストに就けないので仕方ありませんが。このような絵画と研究の類似性に気付づかされたのは、2012年に偶然テレビでNHK日曜美術館を見たときでした。いま調べるとその時の番組タイトルは『沈黙の風景 ~松本竣介 ひとりぼっちの闘い~』で、戦時中に独自のスタイルで黙々と作品を描いていた画家を特集したものでした。その番組を見ながら自然と泣けてきて、自分も研究頑張ろうと思いました。

0 件のコメント: