2021-08-29

QCD 量子色力学 note14: グルーオン伝播関数の1ループ量子補正

前回のnote13の続きです。グルーオンの作用はnote13の式(4):
\[\begin{eqnarray} S_q &=& \int \Big[ \hf A_\mu^a (- \d^2 ) A_\mu^a + \bar{c}^a ( -\d^2 ) c^a + g f^{abc} A_\mu^b A_\nu^c \d_\mu A_\nu^a  \\ && ~~~~~~~~~~~~~~~~~ + \qu g^2 f^{abc}f^{apq}A_\mu^b A_\nu^c  A_\mu^p A_\nu^q - g f^{abc} \d_\mu \bar{c}^a A_\mu^c c^b \Big] d^4 x \tag{1} \end{eqnarray} \]
で与えられる。またフェルミ粒子との相互作用はnote13の式(5)より
\[ S_{int} = \int \bar{q} ( \ga \cdot D + m ) q = \int \Big[ \bar{q} ( \ga \cdot \d + m ) q - ig \bar{q} \ga \cdot A q \Big] \tag{2} \]
と表せる。これよりグルーオン伝播関数の$g^2$オーダーでの補正は下記の(1), (2), (3), (4)のファインマン図で与えられることが分かる。


ただし、(1),(2)はグルーオンのループ補正、(3)はゴースト場のループ補正、(4)はフェルミ粒子によるループ補正を表す。ここでは、例として(4)の1ループ量子補正の計算を行う。
\[ e^{- S_{int} } = 1 - S_{int} + \frac{(-ig)^2}{2!} \bra \bar{q} {A \!\!\! /} \cdot t q ~\bar{q} {A \!\!\! /} \cdot t q \ket + \cdots \]
なので、グルーオン伝播関数の$g^2$オーダーの項は
\[ \begin{eqnarray} I_{1loop} &=& \frac{(-ig)^2}{2!} \int A_\mu^a (x) \bra \bar{q} (x) t^a \ga_\mu q(x) \, \bar{q} (y) t^a \ga_\nu q(y)  \ket A_\nu^b (y) d^4 x d^4 y \\ &=& \frac{g^2}{2} \int A_\mu^a (x) t_{ij}^{a} t_{kl}^{b} \tr \ga_\mu \bra q^j (x) \bar{q}^k (y) \ket \ga_\nu \bra q^l (y) \bar{q}^i (x) \ket A_\nu^b (y) d^4 x d^4 y \\ &=& \frac{g^2}{2} \int A_\mu^a (x) A_\nu^b (y) \tr (t^a t^b ) ~ \tr \int \ga_\mu \frac{e^{p (x- y) }}{i {p \!\!\! / } + m} \frac{d^4 p}{(2 \pi)^4 } \int \ga_\nu \frac{e^{q (y- x) }}{i {q \!\!\! / } + m} \frac{d^4 q}{(2 \pi)^4 } ~ d^4 x d^4 y  \end{eqnarray} \]
ここで、
\[ A_\mu^a (x) = \int \frac{d^4 }{(2 \pi)^4} A_\mu^a (k ) e^{ikx} \]
などの運動量表示$A_\mu^a (k)$を用いると
\[ \begin{eqnarray} I_{1loop} &=& \frac{g^2}{2} \int \tr (t^a t^b ) A_\mu^a (k) A_\nu^b (k') \del ( p-q + k) \del (q-p + k')  \\ && ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ \tr \left( \ga_\mu \frac{1}{i {p \!\!\! / } + m}  \ga_\nu \frac{1}{i {q \!\!\! / } + m} \right) \frac{d^4 p}{(2 \pi)^4 }\frac{d^4 q}{(2 \pi)^4 } \, d^4 k d^4 k' \\&=& \frac{g^2}{2} \int \tr (t^a t^b ) A_\mu^a (k) A_\nu^b (-k) \, \tr \left( \ga_\mu \frac{1}{i {p \!\!\! / } + m} \ga_\nu \frac{1}{i ({p \!\!\! / } + {k \!\!\! / }) + m} \right) \frac{d^4 k}{(2 \pi)^4 }\frac{d^4 p}{(2 \pi)^4 }   \tag{3}\end{eqnarray} \]
ここで一時的にフェルミ粒子の質量を無視すると
\[ \begin{eqnarray} \tr \left( \ga_\mu \frac{-i{p \!\!\! / }}{p^2} \ga_\nu \frac{-i ({p \!\!\! / } + {k \!\!\! / }) }{(p+k)^2} \right) &=& - \frac{\tr \big[ \ga_\mu {p \!\!\! / } \ga_\nu ({p \!\!\! / } + {k \!\!\! / }) \big]}{p^2 (p+k)^2 } \\ &=& - \frac{4 \big[ p_\mu ( p+k )_\nu + p_\nu (p+k)_\mu - \del_{\mu\nu} p \cdot (p + k) \big] }{p^2 (p+k)^2 }  \end{eqnarray} \]
なので
\[ I_{1loop} =  -2 g^2 \int  \frac{d^4 k}{(2 \pi)^4 } \tr (t^a t^b ) A_\mu^a (k) A_\nu^b (-k) ~ I_{\mu\nu} (k) \tag{4}\]
となる。ただし、
\[ \begin{eqnarray} I_{\mu\nu} (k) &=& \int \frac{d^4 p}{(2 \pi)^4 } \frac{ \big[ p_\mu ( p+k )_\nu + p_\nu (p+k)_\mu - \del_{\mu\nu} p \cdot (p + k) \big] }{p^2 (p+k)^2 } \\&=& \int \frac{d^4 p}{(2 \pi)^4 } \int_0^1 dz \frac{ \big[ p_\mu ( p+k )_\nu + p_\nu (p+k)_\mu - \del_{\mu\nu} p \cdot (p + k) \big] }{\big[ p^2 (1-z) + (p+k)^2 z \big]^2} \\&=& \int \frac{d^4 p}{(2 \pi)^4 } \int_0^1 dz \frac{ \big[ p_\mu ( p+k )_\nu + p_\nu (p+k)_\mu - \del_{\mu\nu} p \cdot (p + k) \big] }{\big[ (p+kz)^2+ k^2 z (1- z) \big]^2} \end{eqnarray} \]
ここで、ファインマン積分公式
\[ \frac{1}{AB} = \int_0^1 dz \frac{1}{\big[ A (1-z) + B z \big]^2} \]
を用いた。$p \rightarrow p - kz$と変数変換すると
\[ I_{\mu\nu} (k) = \int_0^1 dz \int \frac{d^4 p}{(2 \pi)^4 } \frac{ 2 p_\mu p_\nu - p^2 \del_{\mu\nu} + z(z-1) \left( 2 k_\mu k_\nu - k^2 \del_{\mu\nu}  \right)}{\big[ p^2+ k^2 z (1- z) \big]^2} \tag{5} \]
となる。分子の計算で$p$の次数が奇数の場合は$p$についての対称積分のため消去されることに注意。つぎに、$d$次元ユークリッド空間での積分
\[ \begin{eqnarray} \int \frac{d^d p}{(2 \pi )^d} \frac{1}{( p^2 + m^2 )^n} &=&  \frac{1}{(4 \pi)^{d/2}}\frac{\Ga (n-\frac{d}{2})}{\Ga (n)} \left( \frac{1}{m^2} \right)^{n - \frac{d}{2}} \\ \int \frac{d^d p}{(2 \pi )^d} \frac{p^2}{( p^2 + m^2 )^n} &=&   \frac{1}{(4 \pi)^{d/2}} \frac{d}{2} \frac{\Ga (n-\frac{d}{2} -1)}{\Ga (n)} \left( \frac{1}{m^2} \right)^{n - \frac{d}{2}-1} \end{eqnarray} \tag{6}\]
を使って式(5)を変形する。

2021-08-27

QCD 量子色力学 note13: 色力学の量子化

古典的な作用は
\[ S = \int \qu F_{\mu\nu}  F_{\mu\nu} \tag{1}\]
で与えられる。前回のノートnote12の式(8)から、
\[ S_q = \int \left[ \qu F^2  + \frac{1}{2 \al} f^2 - \bar{c} \left( \frac{\del f }{\del \La} \right) c \right] \tag{2} \]
を使って摂動論を定義できる。今の場合はゲージ群が$SU(3)$なので8個のゲージパラメータがあり、ゲージ固定に必要な$f$の数も8となる。例えば、$f^a ( A) = \d \cdot A^a$ $(a = 1,2, \cdots, 8)$ とおける。(一般にゲージ群を$G$とすると$a = 1,2, \cdots , {\rm dim} G$となる。)
\[ \begin{eqnarray} \frac{\del f^a}{\del \La^b } &=& \frac{\del}{\del \La^b} (\d_\mu A_\mu^a ) = \frac{\del}{\del \La^b} (\d_\mu D_\mu \La^a ) \\ &=& \frac{\del}{\del \La^b} \d_\mu \left(\d_\mu \La^a + g f^{apq} A_\mu^p \La^q \right) \\ &=& \d_\mu \left( \d_\mu \del^{ab} - g f^{abc} A_\mu^c \right) \del ( x- y) \end{eqnarray} \tag{3} \] 
よって、式(2)のゴースト項は
\[ - \int \bar{c}^a \d_\mu  \left( \d_\mu \del^{ab} - g f^{abc} A_\mu^c \right)  c d^4 x = \int \d_\mu \bar{c}^a \left( \d_\mu c^a -g f^{abc}A_\mu^c c^b \right) d^4 x \]
となる。また、
\[ F_{\mu\nu}^{a} = \d_\mu A_\nu^a - \d_\nu A_\mu^a + g f^{abc}A_\mu^b A_\nu^c \]
なので
\[ \qu F_{\mu\nu}^{a} F_{\mu\nu}^{a} = \hf \left[ \d_\mu A_\nu^a \d_\nu A_\mu^a - (\d \cdot A )^2 \right] + g f^{abc}A_\mu^b A_\nu^c (\d_\mu A_\nu^a ) + \qu g^2 f^{abc}f^{apq}A_\mu^b A_\nu^c  A_\mu^p A_\nu^q \]
以上より、$\al = 1$とすると式(2)は
\[\begin{eqnarray} S_q &=& \int \Big[ \hf A_\mu^a (- \d^2 ) A_\mu^a + \bar{c}^a ( -\d^2 ) c^a + g f^{abc} A_\mu^b A_\nu^c \d_\mu A_\nu^a  \\ && ~~~~~~~~~~~~~~~~ + \qu g^2 f^{abc}f^{apq}A_\mu^b A_\nu^c  A_\mu^p A_\nu^q - g f^{abc} \d_\mu \bar{c}^a A_\mu^c c^b \Big] \tag{4} \end{eqnarray} \]
となる。これより理論に出てくるファインマン図は


2021-08-26

QCD 量子色力学 note12: 汎関数積分表示 QEDの場合

このノートでは量子電磁気学(QED)を例にゲージ理論の汎関数積分表示を考える。汎関数積分の基本についてはナイアの教科書(基礎編)


の第8章を参考にして下さい。自由場のラグランジアンは
\[ \L = -\qu F_{\mu\nu}F_{\mu\nu} \]
で与えられる。スカラー場やフェルミオン場の理論からの類推で$S$行列の生成汎関数として
\[ Z[ J] = \int e^{ -\qu \int F_{\mu\nu} F_{\mu\nu} d^4 x }e^{\int J_\mu A_\mu} [d A_\mu ] \tag{1} \]
を考える。ここで、
\[ \begin{eqnarray} \int \qu F_{\mu\nu} F_{\mu\nu} d^4 x  &=& \int \hf \left[ \d_\mu A_\nu \d_\mu A_\nu - \d_\nu A_\nu \d_\nu A_\mu \right] d^4 x \\ &=& \int \hf \left[ \d_\mu A_\nu \d_\mu A_\nu - ( \d \cdot A )^2 \right] d^4 x \\ &=& \int \hf A_\mu \left[ - \d^2 \del_{\mu \nu} + \d_\mu \d_\nu \right] A_\nu d^4 x \end{eqnarray} \]
なので、
\[ M_{\mu \nu} (x, y) = \left( - \d^2 \del_{\mu \nu} + \d_\mu \d_\nu \right) \del (x- y) \tag{2}\]
とおく。このとき、$M$の逆行列$M^{-1}$は存在しない。というのも$4 \times 4$行列$( - \d^2 \del_{\mu \nu} + \d_\mu \d_\nu )$が特異行列、つまり光子$k^2 = 0$に対して$\det ( - k^2 \del_{\mu\nu} - k_\mu k_\nu ) = 0$となるためである。この問題はゲージ不変性に起因する。それを見るためにゲージ変換 $A_\mu \rightarrow A_\mu + \d_\mu \La$ を考えよう。 $\phi_\mu = \d_\mu \La$の形で表せるモードに対して
\[ \int d^4 y M_{\mu\nu} (x , y) \phi_\nu (y)  = \left( -\d^2 \phi_\mu + \d_\mu ( \d \cdot\phi ) \right) = 0 \tag{3} \]
となる。つまり、$\phi_\mu = \d_\mu \La$は固有値がゼロとなる$\M_{\mu\nu}$の固有ベクトルである。汎関数積分(1)を定義するに当たりそのようなゲージあるいは物理的でない自由度は$A_\mu$から除かれる必要がある。

そこでまず関数空間$\A$を
\[ \A = \{ A_\mu (x) \}= \{ \mbox{すべてのポテンシャルの空間} \} \]
と定義する。$A_\mu (x)$はリー代数の要素でもある。
\[ [dA_\mu ] = \prod_{x, \mu , a} A_\mu^a (x) \]
$\A$はアフィン空間である。
\[ A_\mu (x) = A_{\mu}^{(0)} + \xi_\mu \]
ただし、$\xi_\mu (x)$はリー代数の値をもつベクトル場。理論の物理空間$\A_{phys}$は
\[ \A_{phys}  = \A / {\cal G}_* \]
\[ {\cal G}_* = \{ \La (x) \} = \{ \mbox{$|\vec{x}| \rightarrow 0$のとき$\La (x) \rightarrow 0$}となるすべてのゲージ変換 \} \]
と表せる。${\cal G}_*$の要素は理論の中で非物理的な(重複のある)変数を表す。その意味で${\cal G}_*$は理論の真のゲージ対称性と言える。

$\La = 0$から始めて変換の連続を考えると、ゲージ変換は$\A$においてある流れを生成することが分かる。ゲージ自由度を除外するには、これらの流れのラインを横断するような断面$S$を選ぶ必要がある。$S$上の点は$\A_{phys}$の表現を与える。$S$をどのように選ぶかはポテンシャルに課される条件によって決まる。そのような条件はゲージ固定条件と呼ばれ、例えば、$\d \cdot A = 0$や$f(A)=0$などがある。($f(A)$は$A$の汎関数。)

2021-08-21

2021年8月 那須岳(茶臼岳、朝日岳、三本槍岳)

 久しぶりの晴天を利用して那須岳まで。朝8時過ぎに出発、11時20分にロープウェイ山麓駅に到着。何とか11時半のロープウェイに乗れました。

ロープウェイから山頂駅を見上げる

山頂駅の地図

ネットから印刷した簡単な地図しか持参しなかったため準備不足でしたが、とりあえず茶臼岳、朝日岳、三本槍岳まで行く予定で、弁当の入った手提げを持って登りました。標識案内が充実していたので無事予定通り楽しい登山になりました。


茶臼岳山頂



茶臼岳、朝日岳付近の荒涼とした火山の様子。そして、熊見曽根分岐から三本槍岳までのなだらかな湿原のような草原歩き。少し歩くだけで対照的な景色を楽しめました。山歩き自体も岩場から木道までバリエーション豊かで遠くまで行った甲斐がありました。

朝日岳山頂

朝日岳から



三本槍岳到着

三本槍岳から朝日岳、茶臼岳方面

三本槍岳を振り返る

朝日岳と雲の中の茶臼岳

朝日岳付近からの茶臼岳

ここから駐車場へ下山

帰りはロープウェイ山麓駅まで下山。11時半に出て16時半には車まで戻ることが出来ました。赤トンボが多く飛んでいました、三本槍岳までの道でヘビに2度出会いました。清水平にカラスが居ましたがそれ以外の鳥の鳴き声は聞き取れませんでした。火山からの硫黄ガスのためでしょうか鳥が少ないのかもしれません。高山植物は色々と咲いていました。百名山に登るときは早朝から登り始めて12時までには山頂から下山するよう心掛けているのですが、今回もロープウェイのおかげで形だけですが茶臼岳を12時過ぎに下山できました。八甲田山の時もそうでしたが、日帰り登山ではロープウェイを利用して時間節約するのもいいですね。

ルートなど詳しくはこちらから。

2021-08-17

QCD 量子色力学 note11: 強い相互作用のゲージ理論、フレーバーカイラル対称性の破れの階層性

これまでワインバーグ・サラム理論というタイトルで昔のノートをデジタル化してきましたがnote11からは標準模型のQCD部分を扱っているためタイトルを変更します。
 QCD(量子色力学)は強い相互作用のゲージ理論である。ゲージ群は$SU(3)$で与えられ、クォークとはベクトルのように結合する。3はカラー(色)の数である。

(a) なぜ3つのカラーなのか?
1.ハイペロン(hyperon)のスピン統計から:$\Om^- \sim sss$ スピン$\frac{3}{2}$
2.中性パイオン崩壊$\pi^0 \rightarrow 2 \ga$の振幅は低エネルギー近似でABJアノマリーで計算できるがその振幅の値は実験値よりも3分の1小さい。(詳しくはCheng and Li, Gauge theory of elementary particle physics, pp182 参照のこと。)
3.実験によるカラー数$N_c$予測:$\frac{e^+ e^- \rightarrow q \bar{q}}{e^+ e^- \rightarrow \mu^+ \mu^-} \sim N_c \sum_f Q_f^2$(ただし、$Q_f$はフレーバー$f$のクォークの電荷。取りうる$f$の範囲は観測のエネルギーレベルに依存する。)

(b) クォークの束縛機構として可能なもの
繰り込み可能な相互作用として:スカラー場、ゲージ場によるものが挙げられるが、スカラー場は除外され、$U(1)$ゲージ群も漸近自由性から除外される。

(c) QCDラグランジアン
\[ \L = - \qu F_{\mu\nu}^a F_{\mu\nu}^a  - \sum_i \bar{q}_i \ga \cdot ( \d + g A ) q_i + \sum_i m_i \bar{q}_i q_i \]
質量項を無視するとラグランジアンは$U(N_f )_L \times U(N_f )_R$のカイラル対称性をもつ。ただし、$N_f$はフレーバー(クォークの種類)の数。

このカイラル対称性には階層がある。クォークの質量差を無視できるエネルギースケールでは
\[ U (6)_L \times U (6)_R \]
とみなせるが、$1GeV$のQCDスケールでは$c, b, t$クォーク ($m_c \approx 1.27~ GeV$, $m_b \approx 4.18 ~GeV$, $m_t \approx 173 ~GeV$) によりこの対称性は
\[ U (3)_L \times U (3)_R \]
に自明的に破れる。これはQCDのフレーバーカイラル対称性と呼ばれる。$U(1)_L$, $U(1)_R$対称性はそれぞれ次のように作用する。
\[ \begin{eqnarray} U(1)_L &:& q_L \rightarrow e^{i\th} q_L ~~~~~~~~ q_R \rightarrow q_R \\ U(1)_R &:& q_L \rightarrow  q_L ~~~~~~~~~~~~ q_R \rightarrow e^{i\al} q_R \end{eqnarray} \]
これより次のような$U(1)_V$, $U(1)_A$の組み合わせを取ることが出来る。
\[ \begin{eqnarray} U(1)_V &:& q_L \rightarrow e^{i\varphi} q_L ~~~~~~~~ q_R \rightarrow e^{i\varphi} q_R  \\ U(1)_A &:& q_L \rightarrow e^{i\la} q_L ~~~~~~~~ q_R \rightarrow e^{- i\la} q_R  \end{eqnarray} \]
これらはそれぞれベクトル対称性、軸性ベクトル対称性を与える。よって、QCDのフレーバーカイラル対称性は
\[ SU(3)_L \times SU(3)_L \times U(1)_V \times U(1)_A \]
と表せる。$U(1)_V$はバリオン数を与える。

この対称性は以下のような要因により階層的に破れる。

2021-08-16

ワインバーグ・サラム理論 note10: ヒッグス粒子

2012年7月に質量$m_\et = 125$ GeV をもつヒッグス粒子が観測されました。今回のノート(というよりむしろメモ)はその10年ほど前に書かれたものなので内容的には古いですが、ヒッグス粒子は質量の起源を説明するものであり、その理解は標準模型を超える枠組みを考えるうえでも重要です。
note04の結果からヒッグス粒子に関するラグランジアンは
\[ \L_H = ( D \Phi )^\dagger (D \Phi ) - \la \left( \Phi^\dagger \Phi - \frac{v^2}{2} \right)^2 ~, ~~~~~ \Phi = \begin{pmatrix} 0 \\ \frac{v+\et}{\sqrt{2}} \end{pmatrix}  \tag{1}\] 
となる。粒子の質量は真空期待値$v$を用いて
\[ \begin{eqnarray}  && M_W = \frac{gv}{2}~, ~~ M_Z = \frac{v}{2} \sqrt{g^2 + g^{\prime 2}} = \frac{gv}{2}\frac{\sqrt{g^2 + g^{\prime 2}}}{g} = \frac{M_W}{\cos \th_W} \\ && m_H = \sqrt{2 \la} v ~,~~ m_e = \frac{f_{(e)}}{\sqrt{2}} v ~,~~ m_u = \frac{f_{(u)}}{\sqrt{2}} v ~,~~ m_d = \frac{f_{(d)}}{\sqrt{2}} v   \tag{2}\end{eqnarray} \]
と表せる。

中性ヒッグススカラー粒子$\et = H$についてはまだ分からないことが多い。ここでは、ヒッグス質量についてその上限下限について簡単に議論する。まず、下限についてはポテンシャル
\[ V( \Phi^\dagger \Phi ) = - \la ( \Phi^\dagger \Phi )^2 + \la v^2 ( \Phi^\dagger \Phi ) + \cdots + (\mbox{量子補正項}) \]
に対する1ループ補正の考察から得られる。もし$m_\et$が極端に小さく、量子補正が対称性を保つ真空に優位に働くなら対称性の破れは起きないと予想される。したがって、真空でのヒッグス場のポテンシャルは体操性の破れを引き起こすポテンシャルのエネルギーレベルよりも大きくなる必要がある。1ループ量子補正後のポテンシャル$V( \Phi^\dagger \Phi)$に$\Phi = \begin{pmatrix} 0 \\ \frac{v+\et}{\sqrt{2}} \end{pmatrix} $を代入し$\et$で展開したものを
\[ V = V^{(0)} + V^{(1)} \et + \hf V^{(2)} \et^2 + \cdots \]
と表す。$V^{(0)}(v)$がヒッグスポテンシャル(シャンパンボトルの底)の形をしていることから対称性の破れを引き起こす条件は
\[ V^{(0)}_{v \ne 0} <  V^{(0)}_{v = 0} \]
で与えられる。この条件と$V^{(2)} = m_{\et}^2$から$m_\et$の下限が
\[ m_\et \ge 7.9~ GeV \]
となることが知られている。ただし、この制限はヒッグス粒子が1つの場合に適用され、複数のヒッグス2重項がある理論では一般にこのような下限は存在しない。

次にヒッグス粒子質量の上限について考える。もし$\la$が充分に大きければ摂動論を適用することが出来ない。もし摂動論が正しいと仮定するなら$\la \le 1$の要請から$m_\et = \sqrt{2\la} v \le 350~ GeV$となる。繰り込み群を用いるとモデルの安定性についてより洗練された解析を行うことが出来る。この場合、$m_\et \le 130 ~GeV$の上限が知られている。

2021-08-15

ワインバーグ・サラム理論 note09: $CP$対称性の破れと$K^0$-$ \bar{K}^0$系

 $K^0$-$ \bar{K}^0$系での$CP$対称性の破れについては以前「中性$K$粒子系と弱い相互作用での$CP$対称性の破れ」という一連のエントリー


で解説したのでそちらを参照して下さい。

2021-08-14

ワインバーグ・サラム理論 note08: $\nu_\mu + e \rightarrow \nu_\mu + e$ 散乱など

今回は$\nu_\mu + e \rightarrow \nu_\mu + e$ 散乱過程を考える。これはnote05で議論した中性カレントだけが関与する散乱過程であり、相互作用のラグランジアンは
\[ \begin{eqnarray} - \L_I &=& \frac{g^2}{2 M_W^2} J_\mu J_\mu \\ J_\mu &=& g_L^\nu \bar{\nu}_{L}^{(\mu )} \ga_\mu \nu_{L}^{(\mu )} + g_L^e \bar{e}_L \ga_\mu e_L + g_R^e \bar{e}_R \ga_\mu e_R + \cdots \end{eqnarray}\]
で与えられる。ただし、中性カレントの一般形はnote05の式(11)で表され、$g_L^\nu = \hf $, $g_L^e = -\hf - \sin^2 \th_W$, $g_R^e = - \sin^2 \th_W$である。$\nu_\mu + e \rightarrow \nu_\mu + e$ 散乱に関与する$\L_I$は
\[ \begin{eqnarray} - \L_I &=& \frac{g^2}{2 M_W^2} 2 g_L^\nu \bar{\nu}_L \ga_\mu \nu_L \left( g_L^e \bar{e}_L \ga_\mu e_L + g_R^e \bar{e}_R \ga_\mu e_R \right) \\ &=& 2 \frac{G_F}{\sqrt{2}} g_L^\nu \bar{\nu} \ga_\mu ( 1 - \ga_5 ) \nu \left[ g_L^e \bar{e} \ga_\mu (1 - \ga_5 ) e + g_R^e \bar{e} \ga_\mu (1 + \ga_5 ) e \right] \end{eqnarray} \tag{1}\]
と表せる。ただし、$\frac{g^2}{8 M_W^2} = \frac{G_F}{\sqrt{2}}$である。


これより散乱振幅は
\[ \begin{eqnarray} \M &=&  - \int \L_I d^4 x \\ &=& 2 \frac{G_F}{\sqrt{2}} g_L^\nu \bar{\nu}_{k^\prime} \ga_\mu ( 1 - \ga_5 ) \nu_{k} \left[ g_L^e \bar{e}_{p^\prime \la^\prime} \ga_\mu (1 - \ga_5 ) e_{p \la} \right. \\ && ~~~~~~~~\left. + g_R^e \bar{e}_{p^\prime \la^\prime} \ga_\mu (1 + \ga_5 ) e_{p \la} \right]  (2\pi)^4 \del ( k + p - k^\prime - p^\prime ) \end{eqnarray} \]
となる。この2乗を取ると
\[  \begin{eqnarray} | \M |^2 &=& 4 \left( \frac{G_F}{\sqrt{2}} \right)^2 ( g_L^\nu )^2 \Big[ \bar{\nu}_{k^\prime} \ga_\mu ( 1 - \ga_5 ) \nu_{k} \bar{\nu}_{k} \ga_\al ( 1 - \ga_5 ) \nu_{k^\prime}  \Big] \\ && ~ \times  \Big[ ( g_L^e )^2 \bar{e}_{p^\prime} \ga_\mu (1 - \ga_5 ) e_{p } \bar{e}_{p} \ga_\al (1 - \ga_5 ) e_{p^\prime} + ( g_R^e )^2 \bar{e}_{p^\prime } \ga_\mu (1 + \ga_5 ) e_{p } \bar{e}_{p} \ga_\al (1 + \ga_5 ) e_{p^\prime } \Big] \\ && ~~~~~~~ \times (2 \pi )^4 \del (k + p - k^\prime - p^\prime ) VT \end{eqnarray} \tag{2}\]
ただし、$VT$は時空間体積。また、偏極のラベル$\la, \la^\prime$を省略した。フェルミ粒子の伝播関数は
\[ \bra f (x) \bar{f} (y) \ket =  \int \frac{d^4 p}{(2 \pi)^4} \frac{-i{p \!\!\! /}}{p^2} e^{ip(x-y) }  \]
正の振動数部分は$\frac{{p \!\!\! /}}{2 E_p} \frac{d^3 p}{(2 \pi )^3}$となる。よって、運動量表示では$\bra \nu_k \bar{\nu}_k \ket = {k \!\!\! /} $として相空間因子$\frac{d^3 k}{(2 \pi )^3}\frac{ 1 }{2 E_k } $を付随させればよい。入射電子のスピンについては平均をとる。これより(2)は
\[ \begin{eqnarray} | \M |^2 &=& 2\left( \frac{G_F}{\sqrt{2}} \right)^2 ( g_L^\nu )^2  2 \tr \big[ \ga_\mu {k \!\!\! /} \ga_\al {k \!\!\! /}^\prime ( 1 + \ga_5 )  \big] \\ && ~ \times 2 \Big[ ( g_L^e )^2 \tr \big[ \ga_\mu {p \!\!\! /} \ga_\al  {p \!\!\! /}^\prime (1 + \ga_5 ) \big] + ( g_R^e )^2 \tr \big[ \ga_\mu {p \!\!\! /} \ga_\al  {p \!\!\! /}^\prime (1 - \ga_5 )\big]   \Big] \\ && ~ \times (2 \pi )^4 \del (k + p - k^\prime - p^\prime ) VT   \left[ \frac{d^3 k}{(2 \pi )^3}\frac{ 1 }{2 E_k }  \frac{d^3 p}{(2 \pi )^3}\frac{ 1 }{2 E_p } \right] \left[ \frac{d^3 k^\prime}{(2 \pi )^3}\frac{ 1 }{2 E_{k^\prime} }  \frac{d^3 p^\prime }{(2 \pi )^3}\frac{ 1 }{2 E_{p^\prime} } \right] \end{eqnarray} \tag{3} \]
と書ける。$n^\nu$, $n^e$を整数、$V= L^3$として、$k = \frac{2\pi n^{\nu}}{L}$, $p \frac{2\pi n^{e}}{L}$とおく。$n^\nu$, $n^e$を固定値として入射状態を固定すると
\[ \begin{eqnarray} | \M |^2 &=& 2\left( \frac{G_F}{\sqrt{2}} \right)^2 ( g_L^\nu )^2  2 \tr \big[ \ga_\mu {k \!\!\! /} \ga_\al {k \!\!\! /}^\prime ( 1 + \ga_5 )  \big] \\ && ~ \times 2 \Big[ ( g_L^e )^2 \tr \big[ \ga_\mu {p \!\!\! /} \ga_\al  {p \!\!\! /}^\prime (1 + \ga_5 ) \big] + ( g_R^e )^2 \tr \big[ \ga_\mu {p \!\!\! /} \ga_\al  {p \!\!\! /}^\prime (1 - \ga_5 )\big]   \Big] \\ && ~ \times (2 \pi )^4 \del (k + p - k^\prime - p^\prime ) \frac{T}{V}   \frac{ 1 }{2 E_k }  \frac{ 1 }{2 E_p } \left[ \frac{d^3 k^\prime}{(2 \pi )^3}\frac{ 1 }{2 E_{k^\prime} }  \frac{d^3 p^\prime }{(2 \pi )^3}\frac{ 1 }{2 E_{p^\prime} } \right] \end{eqnarray} \tag{4} \]
散乱断面積$d \si$は散乱確率$\frac{|\M |^2}{T}$をフラックス$\frac{v}{V}$で割ったものである。ここで$v$は$\nu_\mu$と$e$の相対速度である。入射電子の静止系で考えると$v=c$(光速、$c=1$)とおけるので、
\[ d \si = \int \frac{1}{2E_k}\frac{ 1 }{2 E_p } 2\left( \frac{G_F}{\sqrt{2}} \right)^2 ( g_L^\nu )^2  L_{\mu\al} (k, k^\prime ) \Big[  ( g_L^e )^2 L_{\mu\al} (p, p^\prime ) + ( g_R^e )^2 R_{\mu\al} (p, p^\prime ) \Big] d \mbox{(phase)} \tag{5}\]
\[ \begin{eqnarray} L_{\mu\al} (k, k^\prime ) &=&  2 \tr \big[ \ga_\mu {k \!\!\! /} \ga_\al {k \!\!\! /}^\prime ( 1 + \ga_5 )  \big]  = 8 \big[ k_\mu k_\al^\prime + k_\al k_\mu^\prime -(k \cdot k^\prime ) \del_{\mu\al} + \ep_{\mu\nu\al\bt} k_\nu k_\bt^\prime  \big]  \\ R_{\mu\al} (p, p^\prime )  &=&  2 \tr \big[ \ga_\mu {p \!\!\! /} \ga_\al  {p \!\!\! /}^\prime (1 - \ga_5 )\big]  = 8 \big[ p_\mu p_\al^\prime + p_\al p_\mu^\prime -(p \cdot p^\prime ) \del_{\mu\al} - \ep_{\mu\nu\al\bt} p_\nu p_\bt^\prime \big]   \end{eqnarray} \tag{6}\]
ただし、
\[ \begin{eqnarray} \tr \big[ \ga_\mu \ga_\nu \ga_\al \ga_\bt \big] &=& 4 ( \del_{\mu\nu}\del_{\al\bt} - \del_{\mu\al}\del_{\nu\bt} + \del_{\mu\bt}\del_{\nu \al} ) \\ \tr \big[ \ga_\mu \ga_\nu \ga_\al \ga_\bt \ga_5 \big] &=& 4 \ep_{\mu\nu\al\bt}  \end{eqnarray} \]
を用いた。また、(5)の相空間因子は
\[ \begin{eqnarray} \int d \mbox{(phase)}&=& \int (2 \pi )^4 \del^{(4)} (k + p - k^\prime - p^\prime ) \frac{d^3 k^\prime}{(2 \pi )^3}\frac{ 1 }{2 E_{k^\prime} }  \frac{d^3 p^\prime }{(2 \pi )^3}\frac{ 1 }{2 E_{p^\prime} } \end{eqnarray} \]
$\vec{k}^\prime$と$\vec{p}^\prime$の成す角を$\th$とおく。


2021-08-12

ワインバーグ・サラム理論 note07: 量子異常(アノマリー)

今回の内容は(宣伝になりますが)ナイアの教科書


の13章(量子異常Ⅰ)と一部重複しています。教科書の方が解説が丁寧なので興味ある方はそちらも参照して下さい。

場の古典論がある対称性$G$を持ち、$G$は局所的あるいは広域的な対称性どちらも含むものとする。量子論を定義するには、ループ・ダイヤグラムを扱う必要があるが、これは発散する可能性があるため、正則化と共に定義する必要がある。このとき、全ての対称性$G$を保存する正則化が存在しない場合がある。(正則化を選択する過程で生じる)量子補正によって古典論の対称性が破れるとき、この対称性は異常 (anomalous)であると言われる。この異常な対称性に対応するカレントはゼロでない発散をもち、量子異常(アノマリー)と呼ばれる。

アノマリーの例:
1.次元正則化:ローレンツ不変性とベクトル・ゲージ不変性を保つ。しかし$\ga_5$は4次元以外では適切に定義できないのでカイラル対称性は潜在的に量子異常をきたす。
2.パウリ-ヴィラース (Pauli-Villars) 正則化:非物理的なヒルベルト空間にある質量粒子を追加する。質量項$M \bar{q}_L q_R$はカイラルゲージ変換のもとで不変とならない。

アノマリーには広域対称性が異常となる場合とゲージ対称性が異常となる場合の2種類ある。

広域対称性のアノマリー:この場合、対称性は破れるが理論自体は無矛盾である。例としてQEDの軸性$U(1)$対称性が挙げられる。このとき対称性が自発的に破れると古典的にはゴールドストン・ボソンが生成される。量子的には対称性がなくなるためゴールドストン・ボソンは現れない。実際には、量子補正効果により潜在的なゴールドストン・ボソンに質量が与えられる。

ゲージ対称性のアノマリー:理論のゲージ不変性は$S$行列のユニタリー性の証明に欠かせない。もしゲージ不変性が無ければ、ゲージボソンの非物理的なモードが伝搬しユニタリー性は失われる。よって、量子論を矛盾なく構築するにはゲージ対称性のアノマリーをキャンセルしなければならない。

アノマリーの計算

4次元ではアノマリーはフェルミオン1ループ・ダイヤグラムだけに由来する。以下では、そのことを見ていく。$N$種類のフェルミ粒子があるとしてカイラル対称性$U(N)_L \times U_R (N)$を考える。このカイラル対称性がゲージ対称性でもあるとしてベクトルゲージ場$V_\mu =  \hf (L_\mu + R_\mu )$と軸性ゲージ場$A_\mu = \hf (L_\mu -R_\mu )$を定義する。ただし、$L_\mu = it^a L_\mu^a$, $R_\mu = i t^a R_\mu^a$ であり、$t^a$ は$U(N)$群の生成子。このときラグランジアン
\[ \L = - \qu F^2  + \bar{q} \ga \cdot ( \d + V + \ga_5 A ) q \]
を考える。ただし、
\[\begin{eqnarray} F^2 &= &F_L^2 + F_R^2  \\  F_{L \mu\nu}^{a} &=& \d_\mu L_\nu^a - \d_\nu L_\mu^a  + f^{abc} L_\mu^b L_\nu^c \\  F_{R \mu\nu}^{a} &=& \d_\mu R_\nu^a - \d_\nu R_\mu^a  + f^{abc} R_\mu^b R_\nu^c  \end{eqnarray}\]
このとき(1)に次の形の項
\[ F_{L \mu\nu} \frac{\D^2}{M^2} F_{L \mu\nu} + F_{R \mu\nu} \frac{\D^2}{M^2} F_{R \mu\nu} \tag{1} \]
を追加することが出来る。ただし、$\D$は共変微分を表す。この項は高階の微分のを持つのでゲージボソンの伝播関数は 
\[ G \sim \frac{M^2}{k^4 + M^2 k^2} \sim \frac{M^2}{k^4} ~~~~ ( k^2 \rightarrow \infty ) \]
と振る舞う。この項は1ループ・ダイヤグラムを除いて全てのファインマン図をゲージ不変な形で正則化する。よって、潜在的なアノマリーは1ループ・ダイヤグラムから生じる。発散時数の計算から、この1ループ・ダイヤグラムはフェルミ粒子によるものであることが分かる。

これより発散するファインマン図は下の3つの図で表される。


ただし、波線で書かれた外線はベクトルボソン$(V)$あるいは軸性ベクトルボソン$(A)$を表す。2点関数は具体的に計算でき、アノマリーを与えない。以下では、三角ダイヤグラムを考える。フェルミ粒子の荷電共役不変性から$V$が奇数個寄与する三角ダイヤグラムはゼロとなる。これは
\[ \bar{q} \ga \cdot ( \d + V + \ga_5 A ) q = \bar{q}^C \ga \cdot ( \d - V + \ga_5 A ) q^C \]
から分かる。ただし、$q = C \ga_0 (q^{C})^*$を用いた。これより$VVV$, $AAV$タイプの三角ダイヤグラムからの寄与は消える。 $AVV$タイプの三角ダイヤグラム


の有効作用は
\[ \begin{eqnarray} \Ga^{(3) } &=& \int \tr \left[ S(x, y) \ga_5 {A \!\!\!/} (y) S(y,z)  {V \!\!\!\!/} (z) S(z, x) {V \!\!\!\!/} (x) \right] d^4 x d^4 y d^4 z \\ &=& \int {\rm Str} \left[ A_\mu (2q) V_\al (p_1 ) V_\bt (p_2 ) \right] \del^{(2)} (2 q - p_1 - p_2 ) \frac{d^4 (2q)}{(2 \pi)^4 }\frac{d^4 p_1}{(2 \pi)^4 }\frac{d^4 p_2}{(2 \pi)^4 }\\ && ~~~~~~~\times \int \tr \left[ \frac{1}{i ( {k \!\!\!/} -  {q\!\!\!/} )} \ga_5 \ga_\mu   \frac{1}{i ( {k \!\!\!/} +  {q\!\!\!/} )} \ga_\al  \frac{1}{i ( {k \!\!\!/} -  {r \!\!\!/} )} \ga_\bt  \right] \frac{d^4 k}{(2 \pi)^4 }\end{eqnarray} \tag{2}\] 
ただし、${A \!\!\!/} = \ga \cdot A = \ga_\mu A_\mu$, $r =\hf ( p_1 - p_2 )$, $S(x,y)$はフェルミオンの伝播関数である。${\rm Str}$は群の生成子について対称トレースを取ることを意味する。
\[ {\rm Str} [ A VV ] = \frac{1}{3} \tr [ AVV + VAV + VVA ] \] 
ここで、ゲージ変換
\[ V_\al \rightarrow V_\al + \D_\al \La ~ , ~~~~ A_\mu \rightarrow A_\mu + \D_\mu \varphi \]
を考える。運動量空間では
\[ \begin{eqnarray} V_\al ( p_1 ) & \rightarrow & V_\al ( p_1 ) + i p_{1 \al } \La ( p_1 ) + \cdots \\  A_\mu ( q) & \rightarrow & A_\mu ( q ) + i q_{ \mu } \varphi ( q ) + \cdots \end{eqnarray} \]
と表される。ベクトルゲージ、軸性ゲージ場の変換のもとで有効作用$\Ga^{(3) }$の変分はそれぞれ
\[ \begin{eqnarray} \del_\La \Ga^{(3)} &=& - \frac{1}{8 \pi} \int \tr \left( A_\mu \d_\nu \La \d_\al V_\bt \right) \ep_{\mu\nu\al\bt} d^4 x \\ \del_\varphi \Ga^{(3)} &=& - \frac{1}{8 \pi} \int \tr \left( \varphi \d_\mu V_\nu \d_\al V_\bt \right) \ep_{\mu\nu\al\bt} d^4 x  \end{eqnarray} \tag{3} \]
と計算できる。この導出は長くなるのでここでは省略する。興味ある方は上記の教科書を参考にして下さい。

東京オリンピック2020終了

 8/8に終了しました。都民として一度現地で観戦したかったですが、残念ながら無観客での開催でした。途中で観客入れるかなぁなんて期待しましたがダメでした。オリンピックでしか観ることのない競技も多く、週末は山へ行かずにテレビ観戦しました。野球、サッカー、テニス、陸上は経験があるので興味深く見ました。また球技全般が好きなので卓球、バレー、バスケも一部見ました。個人的な感想ですがオリンピックや球技大会と言えばバレーが一番盛り上がるので日本バレーが早く復活してくれると嬉しいです。

今回、テニスでは錦織選手が男子シングルスで3大会連続でベスト8まで勝ち上がるという快挙を成し遂げましたが、あまり報道されていなくて残念でした。またテニスのトップ選手たちの試合もあまりテレビでやっておらず、NHKのビデオでいくつかフォローしました。卓球、バドミントンなど他のラケットスポーツと比較しても今回テニスがあまり取り上げられなかったのには何か理由があったのでしょうか?(有明での松岡修造さんのアツい応援が観たかったです。)それにしても卓球の混合ダブルスの金メダルはすごかった。ドイツ戦の崖っぷちから勝ち上がったのは奇跡的でした!

野球は初戦のドミニカ戦が接戦で危なかったですが、それ以降は所々にバントを入れて短期決戦で負けない野球に徹していたので心強かったです。一度勝ったアメリカとまた決勝で当たるという変則的なトーナメント方式には興醒めでしたが、念願の金メダルを取れたのは素晴らしかったです。今後オリンピックで野球の開催は当分なさそうですが、WBCなどの国際大会で本気のアメリカと対戦する機会が設けられることを期待します。

サッカーはあと少しでメキシコ大会の銅メダルに並ぶところでしたが、残念ががら4位でした。銅メダルの壁を超えるのはいつになるのでしょうか?近いような遠いような。グループリーグは3連勝と完璧な勝ち上がりでしたが、決勝トーナメントに入り守り重視になって点が取れなくなったのが残念でした。ニュージーランドにPK戦で勝ったこともあり、点を取られなければ負けないという意識が強くなりすぎた気がします。準決勝のスペイン戦では0-0なのに1-0で勝っているような試合展開をしていたので、どういうこと!?とテレビにツッコんでしまいました。監督がディフェンス出身ということもあるのでしょうが、あれでは見ている方もやっている方も面白くありません。もっと前からボール取りに行って攻めて欲しかったです。オーバーエイジの3人ともディフェンスの選手だったので守り重視になるのは仕方がないのでしょうが、PK戦狙いなのが見え見えでフォワード出身(といっても学校の体育祭や草サッカーでの話ですが)の私からすると歯がゆくて仕方ありませんでした。もっと前からプレス行けなかったのかな~。フォワード出身のオシム監督だったら違ったのにな~、なんて思いながら観ていました。失点シーンでのディフェンダーのミスが指摘されていますがあれは守備のミスではなく、ゲームプランのミス。前線がプレスに行っていなかったことからくるディフェンダー陣の疲労の蓄積によるものです。むしろ、守備陣はあの時間までよく頑張ったと思います。3位決定戦では先に不運なPKを取られて試合巧者の相手にリズム良くプレーさせてしまったので仕方ありません。三笘選手の得点はさすがでした。ただ、あれほどプレーできるのになぜスペイン戦で三笘選手をベンチにすら置かなかったのか私にはよく理解できませんでした。メダルが掛かっていたので少し批判的になってしましましたが、全体的にはよく健闘したと思います。

2021-08-10

ワインバーグ・サラム理論 note06: 多世代モデル、CKM行列


今回のノートでは後半でCKM(カビボ-小林-益川)行列を解説しました。先月、益川先生が亡くなられたそうです。ワインバーグに続いての訃報で一時代が過ぎ去ってしまった感じですが、標準模型は今後も素粒子物理学の古典として学び継がれるべき分野です。これらのノートが素粒子に興味のある学生あるいは一般の方々に役立てば幸いです。

$\mu$-, $\tau$-世代を追加してモデルを拡張する。これまでとほぼ同様に構築できるが、湯川結合の部分がより複雑になる。これによりクォーク・セクターに混合が起きる。

表記法:
\[ \begin{eqnarray} ( e, \mu , \tau  ) &=& E_i \\  ( \nu_e, \nu_\mu , \nu_\tau ) &=& N_i \\ (u, c ,t)  &=& U_i \\ (d, s ,b)  &=& D_i \\ \end{eqnarray} \]
\[ \begin{pmatrix} N_i \\ E_i \end{pmatrix}_L  \, = \, l_{L  i} ~, ~~~~~~~~~ \begin{pmatrix} U_i \\ D_i \end{pmatrix}_L  \, = \, q_{L  i} \]
ただし、ここでは3世代$(i = 1,2,3)$を考える。1世代モデルの湯川結合と同様に一般に多世代モデルの湯川結合は
\[  \L_{yuk} = f_{ij}^{(e)} \bar{l}_{Li} \Phi E_{Rj} +  f_{ij}^{(u)} \bar{q}_{Li} \widetilde{\Phi} U_{Rj} +  f_{ij}^{(d)} \bar{q}_{Li} \Phi D_{Rj} + h.c. \tag{1}\]
となる。自発的対称性の破れにより質量行列が現れる。まずはクォーク・セクターについて考えてみる。
\[ \L_{mass} = M_{ij}^{(u)} \bar{U}_{Li} U_{Rj} + M_{ij}^{(d)} \bar{D}_{Li} D_{Rj}   + h.c. \tag{2}\]
物理的な粒子は質量の固有状態であるので、質量行列を対角化する必要がある。これには双ユニタリー変換 (biunitary transformations) を用いればよい。これは非対称で非エルミートな行列を対角するためのテクニックである。
\[ M = S^\dagger M_{\diag} T \tag{3} \]
ただし、$S^\dagger$, $T$はユニタリー行列、$M_{\diag}$は対角行列。任意の行列はエルミート行列とユニタリー行列につねに分解できるというのがこの手法で基本となるポイントである。
\[ M = H \, {\cal U} \]
$H$はエルミート行列、${\cal U}$はユニタリー行列。$H$はユニタリー変換$S$によって対角化できる:
\[ SHS^\dagger = M_\diag ~ , ~~~~ H = S^\dagger M_\diag S \]
\[  \rightarrow ~~ M = S^\dagger M_\diag S {\cal U} = S^\dagger M_\diag T \]
ここで、$T= S \cal{U}$ は $T^\dagger T = {\cal U}^\dagger S^\dagger S {\cal U} = 1$ なのでユニタリー行列であることが確認できる。$M$と$M_\diag = m$に双ユニタリー表現を使うと
\[ \L_{mass} =  \bar{U}_{L} S_{(u)}^{\dagger} m_{(u)} T_{(u)} U_{R} + \bar{D}_{L} S_{(d)}^{\dagger} m_{(d)} T_{(d)} D_{R}  + h.c. \tag{4}\]
と書ける。クォーク場を
\[ \begin{eqnarray} U_R \rightarrow  T_{(u)}^{\dagger} U_R  &~ , ~~~ & D_R  \rightarrow  T_{(d)}^{\dagger} D_R \\  \bar{U}_{L}  \rightarrow \bar{U}_{L} S_{(u)} & ~ , ~~~ & \bar{D}_{L} \rightarrow  \bar{D}_{L} S_{(d)} \\ U_L \rightarrow  S_{(u)}^{\dagger} U_L &~ , ~~~ & D_L \rightarrow S_{(d)}^{\dagger} D_L  \end{eqnarray} \tag{5} \]
と再定義すると(4)は
\[ \L_{mass} =  \bar{U}_{L}  m_{(u)}  U_{R} + \bar{D}_{L}  m_{(d)}  D_{R}  + h.c. \]
となる。クォーク場の再定義により$W$ボソンとフェルミ粒子の相互作用項が変わる。クォーク部分の相互作用は前回note05の(5)で見たように
\[ \begin{eqnarray}  J_\mu^+  = \bar{D}_L \ga_\mu U_L  & \longrightarrow & \bar{D}_L  S_{(d)}  \ga_\mu  S_{(u)}^{\dagger} U_L   \\ J_\mu^-  = \bar{U}_L \ga_\mu D_L  & \longrightarrow & \bar{U}_L  S_{(u)}  \ga_\mu  S_{(d)}^{\dagger} D_L  \end{eqnarray} \tag{6} \]
となる。よって、クォークと$W$ボソンの相互作用項は
\[ \L_{q-int} = - \frac{i g}{\sqrt{2}} \left( W_\mu^+ \bar{U}_{Li} \ga_\mu V_{ij} D_{Lj} + W_\mu^- \bar{D}_{Lj} V^{*}_{ij} \ga_\mu U_{Lj}  \right) \tag{7}\]
ただし、
\[ V_{ij} = \left(  S_{(u)} S_{(d)}^{\dagger}  \right)_{ij} \]
はCKM(Cabibbo-Kobayashi-Maskawa)行列と呼ばれる。$V_{ij}^{\dagger} = V_{ji}^{*}$となることに注意。
note05の式(8)より、電磁気カレント(のクォーク部分)は
\[ J_{\mu}^{em} = \frac{2}{3} \left( \bar{U}_{L} \ga_\mu  U_{L} +  \bar{U}_{R} \ga_\mu  U_{R}  \right) - \frac{1}{3} \left( \bar{D}_{L} \ga_\mu  D_{L} + \bar{D}_{R} \ga_\mu  D_{R} \right) \]
明らかにこれは双ユニタリー変換(5)に影響を受けない。同様に、
\[ J_{\mu}^{3} = \hf \left( \bar{U}_{L} \ga_\mu  U_{L} - \bar{D}_{L} \ga_\mu  D_{L} \right) \]
も双ユニタリー変換のもとで不変である。よって、中性カレントは混合項を含まない。これはGIM (Glashow-Iliopoulos-Maiani) 機構のひとつの特徴である。GIM機構では、チャーム・ストレンジクォークで構成される第2の弱いアイソスピン二重項$\begin{pmatrix} c \\ s \end{pmatrix}_L$を追加することで、フレーバーが変化する中性カレントを除外できる。

クォーク・ヒッグス相互作用は(1)から
\[ \L_{q-H} = \frac{1}{v} \bar{U}_L m_{(u)} U_R \et + \frac{1}{v} \bar{D}_L m_{(d)} D_R \et  \tag{8}\]
で与えられる。これは明らかに対角化されている。よって、中性ヒッグス粒子はフレーバーが変化する過程を媒介することはない。

フレーバーが変化する中性散乱過程が抑えられることについての備考

1.中性カレント演算子はアップ・セクターで$\mathbb{1}$に比例し、これはダウン・セクターでも同様である。つまり、
\[ J_\mu^{(0)} = J_\mu^3 - \sin^2  \th_W J_{\mu}^{em} \sim ( I_3 - Q \sin^2 \th_W ) \]
全ての $u$-クォークは同じ電荷とアイソスピンをもち、これは $d$-クォークも同様である。よって、クォークのユニタリー変換によって混合が起こることは無い。

2.クォーク・ヒッグス相互作用は質量行列の対角化によって対角化される。(なぜなら、クォーク・ヒッグス相互作用の結合定数は$m/v$なので。2つのヒッグス場$\Phi_1$, $\Phi_2$があり、$\Phi_1$が$u$-クォークと$\Phi_2$が$d$-クォークと個別に結合する場合にもこの対角化は適用される。しかし、あるクォークと複数のヒッグス場が相互作用する場合はこの適用されない。
\[ \L_{mass} \sim \bar{U} (m_1 + m_2 ) U ~, ~~~ m= m_1 + m_2 \]
\[ \L_{q-H} \sim \bar{U} m_1 U \et_1 + \bar{U} m_2 U \et_2 + h.c. \]
なので、$m=m_1 + m_2$の対角化により$m_1$と$m_2$が同時に対角化されることは無い。 

CKM行列のパラメータ数え上げ

世代数を$n$とするとCKM行列$V_{ij}$は$n\times n$ユニタリー行列である。($V_{ij} = (S_{(u)} S_{(d)}^{\dagger} )_{ij}$ なので $V^\dagger V =  S_{(d)} S_{(u)}^{\dagger} S_{(u)}S_{(d)}^{\dagger} = 1$)行列成分は$n^2$個あるが、これら全てが物理的なパラメータ(角度)ではない。例えば、対角化されたユニタリー行列$S_\diag ( \al, \phi ) = e^{i \al } \diag ( e^{i \phi_1},  e^{i \phi_2}, \cdots ,  e^{i \phi_n})$, $S^\prime_\diag ( \th ) = \diag ( e^{i \th_1},  e^{i \th_2}, \cdots ,  e^{i \th_n})$ を使って
\[ V = S_\diag ( \al, \phi ) \widetilde{V} S^\prime_\diag ( \th ) \]
とおける。ただし、$\sum \phi_i = 0$, $\sum \th_i = 0$ である。というのも、もし $\sum \phi_i \ne 0$, $\sum \th_i \ne 0$ ならこれらの和は $\al $に吸収できるためである。クォーク場を再定義すると$ S_\diag ( \al, \phi )$と$ S^\prime_\diag ( \th )$を除外することができる。双ユニタリー変換(5)から
\[ \bar{U}_L \rightarrow \bar{U}_L S_{\diag}^{\dagger} ( \al, \phi ) ~, ~~~~~ D_L \rightarrow S_{\diag}^{\prime \dagger} ( \th ) D_L \]
とおくと(6)の荷電カレント$J_\mu^\pm$は$\widetilde{V}$にのみ依存する。つまり、このような双ユニタリー変換は $\bar{U}_L \ga_\mu U_L$, $\bar{D}_L \ga_\mu D_L$ に影響を与えない。影響を受ける項は(8)の$\L_{q-H}$にある $\bar{U}_L m_{(u)} U_R$, $\bar{D}_L m_{(d)} D_R$ だけであるが、これらについても
\[ U_R \rightarrow S_\diag (\al, \phi) U_R ~, ~~~~~ D_R \rightarrow S_{\diag}^{\prime \dagger} ( \th ) D_R \]
とすればよい。これで全ての項が以前と同じに×。よって、物理的なパラメータの数は
\[ n (\widetilde{V} ) = 2n^2 - n^2 -2 (n-1) -1 = (n-1)^2 \tag{9} \]
となる。ここで、$2n^2$は行列要素の実数の数、$n^2$はユニタリー条件の数、$2(n-1)$は $\sum \phi_i = \sum \th_i =0$ の条件(クォーク状態の再定義する仕方の数)であり、最後の$1$は$\al$の選択(グローバルな位相回転)を表す。

2世代の場合 $(n= 2)$:
$\widetilde{V}$は1つの物理的パラメータ(角)$\th_c$をもつ。これはカビボ角と呼ばれる。
\[ \widetilde{V} = \begin{pmatrix} \cos \th_c & \sin \th_c \\ - \sin \th_c & \cos \th_c \end{pmatrix} \]
3世代の場合 $(n=3)$:
$\widetilde{V}$は4つの物理的パラメータ(角)をもつ。一方、$3 \times 3$直交行列は3つの角をもつので、1つの角が余り、これが位相となる。つまり、$\widetilde{V}$は実行列では表されないことが分かる。これが$CP$対称性の破れを導く。

2021-08-07

CentOS4.9, Apache2.0, PHP5.1, Smarty2.6 から CentOS7.9, Apache2.4, PHP5.6, Smarty2.6 へシステム移行

 前回の続きの作業記録です。 前回はCentOS7に(対応している一番古いバージョンの)PHP5.6を入れてphpMyAdminも使えるようにしました。この環境にCentOS4.9, PHP5.1, Smarty2.6で動いているシステムを移行したいという依頼だったのですが、PHPバージョンアップに伴うエラーが続出したため、PHP5.1か5.2に入れ替えることを提案したのですが、そのまま5.6で何とかして欲しいということなのでとりあえずトライしました。

PHPのエラーとして

PHP Fatal error:  Call-time pass-by-reference has been removed in ...

というのがあり、これは参照渡しの fatal error とのことです。


を参考にして対応しました。また、

PHP Parse error:  syntax error, unexpected 'goto' (T_GOTO), expecting identifier (T_STRING) in ...

という parse error が出たのですが、PHP5.3以降からは goto という名前の関数は使えないそうです。


Smartyについては新しくインストールせず、そのまま古いファイルをごっそりコピーしました。

PHP Fatal error:  Smarty error: unable to write to $\$$compile_dir '/.../libs/smarty/templates_c'. Be sure $compile_dir is writable by the web server user. in /.../libs/smarty/libs/Smarty.class.php

とエラーが出たので該当ディレクトリのパーミッションを chmod0777 としました。それ以外にも公開画像やファイルが入っているディレクトリのパーミッションを変更しました。Smarty2についてはPHP5.1からPHP5.6にあげてもとりあえずは動いてくれるようです。

ワインバーグ・サラム理論 note05: 低エネルギー近似でのカレント・カレント相互作用

前回のノートでは1世代モデルのラグランジアンを導いた。
\[ \L  = \L_{gauge+Higgs} + \L_{fermion} \tag{1}\]
\[\begin{eqnarray}  \L_{fermion} &=&  \bar{\nu}_L  \ga_\mu \d_\mu \nu_L + \bar{e} \ga_\mu ( \d_\mu + i e A_\mu ) e  + \bar{u} \ga_\mu \left( \d_\mu - i \frac{2}{3}e A_\mu \right) u + \bar{d} \ga_\mu \left( \d_\mu + i \frac{1}{3}e A_\mu \right) d \\ && - i \frac{g}{\sqrt{2}} \left[ \left(\bar{\nu}_L  \ga_\mu e_L + \bar{u}_L \ga_\mu d_L  \right) W_\mu^+  +  \left(  \bar{e}_L  \ga_\mu \nu_L + \bar{d}_L \ga_\mu  u_L  \right) W_\mu^- \right] \\&& - i \frac{g}{\cos \th_W} Z_\mu \left[ \hf \left(\bar{\nu}_L  \ga_\mu  \nu_L - \bar{e}_L  \ga_\mu  e_L + \bar{u}_L \ga_\mu u_L - \bar{d}_L \ga_\mu d_L \right)  \right. \\&& ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ \left. - \sin^2 \th_W \left(  \bar{e} \ga_\mu  e +\frac{2}{3} \bar{u} \ga_\mu u - \frac{1}{3} \bar{d} \ga_\mu d \right) \right]  \\ && - \left( m_e \bar{e} e +  m_u \bar{u} u +  m_d \bar{d} d   \right)  - \frac{1}{v} \left( m_e \bar{e} e \et +  m_u \bar{u} u \et +  m_d \bar{d} d \et \right) \end{eqnarray} \tag{2}\]
\[\begin{eqnarray} \L_{gauge+Higgs} &=& \qu f_{\mu\nu}^{2} ( A ) + \qu f_{\mu\nu}^{2} ( Z) + \hf \left| D_\mu W_\nu^- - D_\nu W_\mu^- \right|^2 \\ && + i \left( e  f_{\mu\nu} ( A ) + g \cos \th_W f_{\mu\nu} ( Z ) \right)   W_\mu^+ W_\nu^- -\frac{g^2}{4} \left(  W_\mu^+ W_\nu^-  - W_\nu^+ W_\mu^-  \right)^2 \\&& + M_W^2 W_\mu^+ W_\mu^-  + \hf M_Z^2 Z_\mu Z_\mu + \hf ( \d_\mu \et )^2 \\ && +  2 \frac{M_W^2}{v} W_\mu^+ W_\mu^- \et + \frac{M_W^2}{v^2} W_\mu^+ W_\mu^-  \et^2  + \frac{M_Z^2}{v} Z_\mu^2 \et  + \frac{M_Z^2}{2 v^2} Z_\mu^2  \et^2 \\ && +   \hf m_H^2 \et^2 + \frac{m_H^2}{2 v} \et^3 + \frac{m_H^2}{8 v^2} \et^4  \end{eqnarray} \tag{3}\]
ただし、
\[ f_{\mu\nu} ( A ) = \d_\mu A_\nu - \d_\nu A_\mu \]
\[ f_{\mu\nu} ( Z ) = \d_\mu Z_\nu - \d_\nu Z_\mu \]
低エネルギー近似ではこのラグランジアンからカレント・カレンを相互作用を再現することができる。$W^-$粒子の運動量を$q_\mu$とすると
\[ W_\mu \sim e^{i qx} W_\mu (q) ~ , ~~~~~ \left( \d_\mu W_\nu^- - \d_\nu W_\mu^- \right)^2 \sim q^2  \]
なので、$q^2 \ll M_W^2$のとき運動項は無視できる。
\[ - \L = M_W^2 W_\mu^+ W_\mu^-  - i \frac{g}{\sqrt{2}} \left( W_\mu^+ J_\mu^- + W_\mu^- J_\mu^+ \right) + \cdots  \tag{4} \]
ただし、
\[ J_\mu^+ = \bar{e}_L \ga_\mu \nu_L + \bar{d}_L \ga_\mu u_L + \cdots  \]
\[ J_\mu^- = \bar{\nu}_L \ga_\mu e_L + \bar{u}_L \ga_\mu d_L + \cdots \tag{5} \]
省略された項はヒッグス場に関わる項を表す。ここで、$W$ボソンはヘリシティが左巻き状態のクォークとレプトンにしか結合しないことに注意しよう。$W$ボソン場の運動方程式は
\[ M_W^2 W_\mu^+ - \frac{ig}{\sqrt{2}} J_\mu^+  = 0 ~, ~~~~~ M_W^2 W_\mu^- - \frac{ig}{\sqrt{2}} J_\mu^-  = 0 \]
これを解いて再度(4)に代入すると
\[ \begin{eqnarray} - \L_{l-W} &=& \frac{g^2}{2 M_W^2} J_\mu^+ J_\mu^- \\ &=& \frac{g^2}{8M_W^2}  \left[ \bar{e} \ga_\mu ( 1 - \ga_5 ) \nu + \bar{d} \ga_\mu ( 1 - \ga_5 ) u \right]  \left[ \bar{\nu} \ga_\mu ( 1 - \ga_5 ) e + \bar{u} \ga_\mu ( 1 - \ga_5 ) d \right]    \tag{6}\end{eqnarray}\]
ここで、$\bar{e}_L \ga_\mu \nu_L = \hf \bar{e} \ga_\mu (1 - \ga_5 ) \nu$などを使った。$\bar{e} \ga_\mu \ga_5 \nu$は擬ベクトル(axial-vector)なので、この相互作用はV-A型カレント・カレント相互作用と呼ばれる。

$M_W = \frac{gv }{2}$より
\[ \frac{g^2}{8M_W^2} = \frac{1}{2 v^2} = \frac{G_F}{\sqrt{2}} \]
ラグランジアン$\L_{l-W}$は媒介ベクトルボソンの低エネルギー現象論を与える。
\[ G_F \simeq  \frac{10^{-5}}{m_p^2} \]
が知られているので真空期待値のパラメータ$v$は
\[ v \simeq 250 ~ GeV \]
と求まる。

2021-08-06

ワインバーグ・サラム理論 note04: 対称性の破れとユニタリーゲージでの粒子スペクトル

前回の続きから。1世代モデルのラグランジアンは
\[ \begin{eqnarray} \L &=& \L_0 + \L_g + \L_q + \L_\Phi + \L_{yuk} \\ &=& -\qu ( F_{\mu\nu}^{a} )^2 -\qu  ( G_{\mu\nu} )^2 - \bar{q}_L \ga_\mu \left( \d_\mu - ig b_\mu^a t^a - i \frac{g^\prime}{6} C_\mu \right) q_L \\ && - \bar{u}_R \ga_\mu \left( \d_\mu - i \frac{2}{3}g^\prime C_\mu \right) u_R - \bar{d}_R \ga_\mu \left( \d_\mu + i \frac{1}{3}g^\prime C_\mu \right) d_R  \\ &&   - \bar{l}_L \ga_\mu \left( \d_\mu - ig b_\mu^a  t^a + i \hf g^\prime C_\mu \right) l_L - \bar{e}_R \ga_\mu \left( \d_\mu + ig^\prime C_\mu \right) e_R \\ && - ( D_\mu \Phi )^\dagger (D_\mu \Phi ) - \la \left( \Phi^\dagger \Phi - \frac{v^2}{2} \right)^2 \\ && + \left[  f_{(e)} \bar{l}_L \Phi e_R +  f_{(u)} \bar{q}_L \widetilde{\Phi} u_R +  f_{(d)} \bar{q}_L \Phi d_R + h.c. \right] \end{eqnarray} \tag{1} \]
となることを見てきたが、このモデルの真空(基底)状態のエネルギーを極小化することを考えたい。$\la > 0$, $v^2 > 0$ のとき、真空状態は期待値$\bra \Phi^\dagger \Phi \ket = \frac{v^2}{2}$となり、対称性の破れを意味する。つまり、
\[ \bra \Phi \ket = \bra 0 | \Phi | 0 \ket = \binom{0}{v/\sqrt{2} }  \]
が要請される。では、残りの対称性はどうなるだろうか?

$U(1)_Y$: $\Phi^\prime = e^{i \al} \Phi $, $\Phi = \binom{\phi^+}{\phi_0}$より$\phi_0^\prime = e^{i \al} \phi_0$ なので $U(1)_Y$は破れる。
$SU(2)_L$:  $\Phi^\prime = g \Phi$なので、3成分はすべて破れる。
$U(1)_{em}$: $Q= \left( I_3 + \frac{Y}{2} \right)$, $\phi_0^\prime = e^{-i \frac{\al}{2} + i \hf \al} \phi_0 = \phi_0$なので$U(1)_{em}$は保存される。これが前回note03で$Y(\Phi ) = +1$とした理由である。

真空からの場の揺らぎを考えよう。これらは摂動論の枠内における粒子に対応する。ヒッグス・スカラー場を次のようにパラメータ表示する。
\[ \Phi (x) = U^{-1} (\zeta ) \begin{pmatrix} 0 \\ \frac{v + \et (x) }{\sqrt{2}} \end{pmatrix} \]
\[ U (\zeta ) = \exp \left[ i \frac{\zeta^a (x) t^a }{v} \right] \]
元々の複素スカラー場$\phi^+ (x)$と$\phi_0 (x)$が4つの実スカラー場$\zeta_i (x)$と$\eta (x)$でパラメータ表示されている($i = 1,2,3$)。これらの揺らぎ場の真空期待値(VEV)はゼロとなる。
\[ \bra \zeta_i \ket  = \bra \eta \ket = 0 ~~ \longrightarrow ~~ \bra \Phi \ket = \begin{pmatrix} 0 \\ \frac{v }{\sqrt{2}} \end{pmatrix} \]
これらを式(1)に代入する。$\bra b_\mu \ket = \bra C_\mu \ket = 0$であり、フェルミ粒子にも同様の関係が成り立つので、これらの揺らぎ場は場そのものと同様に扱える。
\[ \L_\Phi = - \left[ D_\mu \left(  U^{-1} (\zeta ) \begin{pmatrix} 0 \\ \frac{v + \et  }{\sqrt{2}} \end{pmatrix} \right) \right]^\dagger \left[ D_\mu \left(  U^{-1} (\zeta ) \begin{pmatrix} 0 \\ \frac{v + \et }{\sqrt{2}} \end{pmatrix} \right) \right] - \la \left[ \begin{pmatrix} 0 &  \frac{v + \et }{\sqrt{2}} \end{pmatrix} \begin{pmatrix} 0 \\ \frac{v + \et }{\sqrt{2}} \end{pmatrix} -\frac{v^2}{2} \right]^2 \]
ここで、ゲージ場とフェルミ場を次のように再定義する。
\[ \begin{eqnarray} U \d_\mu U^{-1}  - ig U b_\mu^a  t^a   U^{-1}  &=&  - i g b_{\mu}^{\prime a} t^a \\ - i g^\prime C_\mu &=& -i g^\prime C_{\mu}^{\prime} \\ U l_L &=& l_L^\prime \\ U q_L &=& q_L^\prime \\ e_R &=& e_R^\prime \\ u_R &=& u_R^\prime \\ d_R &=& d_R^\prime \end{eqnarray} \]
プライムのついた新しい場は元の場とゲージ変換によって関係づけられており、新しい変数を使うことはあるゲージ固定を行うことと等価である。ここで選択されるゲージは「ユニタリーゲージ」と呼ばれる。このユニタリーゲージを使うとラグランジアン(1)は次のように変形できる。
\[ \begin{eqnarray} \L &=&  -\qu ( F_{\mu\nu}^{a} )^2 -\qu  ( G_{\mu\nu} )^2 - \bar{q}_L \ga \cdot \left( \d - ig b \cdot t - i \frac{g^\prime}{6} C \right) q_L \\ && - \bar{u}_R \ga \cdot \left( \d - i \frac{2}{3}g^\prime C \right) u_R - \bar{d}_R \ga \cdot \left( \d + i \frac{1}{3} g^\prime C \right) d_R  \\ &&   - \bar{l}_L \ga \cdot \left( \d - i g b \cdot  t + i \hf g^\prime C \right) l_L - \bar{e}_R \ga \cdot \left( \d + ig^\prime C \right) e_R \\ && - \left[ D_\mu \begin{pmatrix} 0 \\ \frac{v + \et  }{\sqrt{2}} \end{pmatrix} \right]^\dagger \left[ D_\mu \begin{pmatrix} 0 \\ \frac{v + \et  }{\sqrt{2}} \end{pmatrix}  \right] - \la \left( \frac{(v + \et )^2 }{2} - \frac{v^2}{2} \right)^2 \\ && + \left[  f_{(e)} \bar{l}_L \begin{pmatrix} 0 \\ \frac{v + \et  }{\sqrt{2}} \end{pmatrix} e_R +  f_{(u)} \bar{q}_L \begin{pmatrix} \frac{v + \et }{\sqrt{2}}  \\ 0\end{pmatrix} u_R +  f_{(d)} \bar{q}_L \begin{pmatrix} 0 \\ \frac{v + \et  }{\sqrt{2}} \end{pmatrix} d_R + h.c. \right] \end{eqnarray} \tag{2} \]

ヒッグス・ラグランジアンの変形
\[ - ig b_\mu^a t^a - i \frac{g^\prime}{2} C_\mu = \begin{pmatrix} -ig \frac{b_\mu^3}{2} - i \frac{g^\prime}{2} C_\mu & - ig \frac{b_\mu^1 - i b_\mu^2 }{2} \\ - ig \frac{b_\mu^1 + i b_\mu^2 }{2} & ig \frac{b_\mu^3}{2} - i \frac{g^\prime}{2} C_\mu \end{pmatrix} \]
なので
\[ \frac{b_\mu^1 \pm i b_\mu^2 }{2} = W_{\mu}^{\mp} \]
と定義すると
\[ D_\mu \Phi  = \left( \d_\mu - ig b_\mu^a t^a - i \frac{g^\prime}{2} C_\mu  \right) \begin{pmatrix} 0 \\ \frac{v + \et  }{\sqrt{2}} \end{pmatrix}  = \begin{pmatrix} -i \frac{g}{\sqrt{2}}W_\mu^+ \frac{v + \et}{\sqrt{2}} \\ \frac{1}{\sqrt{2}} \d_\mu \et + \frac{i}{2} ( g b_\mu^3 - g^\prime C_\mu ) \frac{v + \et}{\sqrt{2}} \end{pmatrix} \]
\[ \begin{eqnarray} ( D_\mu \Phi )^\dagger ( D_\mu \Phi )  &=& \frac{g^2}{4} W_\mu^+ W_\mu^- (v + \et )^2 + \hf ( \d_\mu \et )^2 + \frac{( g b_\mu^3 - g^\prime C_\mu )^2 }{4} \frac{(v + \et )^2}{2} \\ &=& \frac{g^2 v^2}{4} W_\mu^+ W_\mu^- + \frac{g^2 v}{2} W_\mu^+ W_\mu^- \et + \frac{g^2 }{4} W_\mu^+ W_\mu^-  \et^2 + \hf ( \d_\mu \et )^2 \\ && + \frac{v^2}{8} \begin{pmatrix} b_\mu^3 &  C_\mu \end{pmatrix}  \begin{pmatrix} g^2 & -g g^\prime \\ -g g^\prime & g^{\prime 2}  \end{pmatrix} \begin{pmatrix} b_\mu^3 \\  C_\mu \end{pmatrix}  + \frac{v}{4} ( g b_\mu^3 - g^\prime C_\mu )^2  \et \\ && +  \frac{1}{8} ( g b_\mu^3 - g^\prime C_\mu )^2  \et^2 \tag{3}\end{eqnarray} \]
質量行列を対角化
\[\begin{eqnarray} \hf M_Z^2 Z_\mu Z_\mu &=&  \frac{v^2}{8} \begin{pmatrix} b_\mu^3 &  C_\mu \end{pmatrix}  \begin{pmatrix} g^2 & -g g^\prime \\ -g g^\prime & g^{\prime 2}  \end{pmatrix} \begin{pmatrix} b_\mu^3 \\  C_\mu \end{pmatrix}  \\ &=& \hf  \begin{pmatrix} Z_\mu &  A_\mu \end{pmatrix}  \begin{pmatrix} M_Z^2 & 0 \\ 0 & 0  \end{pmatrix} \begin{pmatrix} Z_\mu^3 \\  A_\mu \end{pmatrix} \end{eqnarray} \]
ここで質量行列の対角化には次の直交変換を用いた。
\[\begin{eqnarray} Z_\mu &=& \cos \th_W b_\mu^3 - \sin \th_W C_\mu = \frac{g b_\mu^3 - g^\prime C_\mu}{\sqrt{g^2 + g^{\prime 2}}} \\ A_\mu &=& \sin \th_W b_\mu^3 + \cos \th_W C_\mu = \frac{g^\prime b_\mu^3 + g C_\mu}{\sqrt{g^2 + g^{\prime 2}}} \tag{4} \end{eqnarray}\]
\[ \tan \th_W = \frac{g^\prime}{g} ~~~~~ \mbox{$\th_W$: Weinberg angle} \]
\[ M_Z^2 = \frac{v^2}{4} ( g^2 + g^{\prime 2} ) ~~ \longrightarrow ~~ M_{Z^0} = \frac{v}{2} \sqrt{g^2 + g^{\prime 2}} \]
式(3)の第1項は荷電ベクトルボソン$W^\pm$の質量項になる。
\[  \frac{g^2 v^2}{4} W_\mu^+ W_\mu^-  = M_{W^\pm} W_\mu^+ W_\mu^-  ~ , ~~~~~~ W_\mu^+ W_\mu^- = \hf (b_\mu^1 )^2 + \hf (b_\mu^2 )^2 \]
\[ ~~ \longrightarrow ~~~ M_{W^\pm}  = \frac{gv }{2} \]
よって、式(3)は次のように表せる。
\[ \begin{eqnarray} ( D_\mu \Phi )^\dagger ( D_\mu \Phi )  &=& M_W^2 W_\mu^+ W_\mu^-  + \hf M_Z^2 Z_\mu Z_\mu + \hf ( \d_\mu \et )^2 \\ && +  2 \frac{M_W^2}{v} W_\mu^+ W_\mu^- \et + \frac{M_W^2}{v^2} W_\mu^+ W_\mu^-  \et^2  \\ && + \frac{M_Z^2}{v} Z_\mu Z_\mu \et  + \frac{M_Z^2}{2 v^2} Z_\mu Z_\mu   \et^2 \tag{5}\end{eqnarray} \]
さらに式(2)の項を考えていく。
\[\begin{eqnarray} \frac{\la}{4} \left[ (v + \et )^2 - v^2 \right]^2 &=& \frac{\la}{4} ( 2 v \et + \et^2 )^2 = \la v^2 \et^2 + \la v \et^3 + \frac{\la}{4} \et^4 \\ &=& \hf m_H^2 \et^2 + \frac{m_H^2}{2 v} \et^3 + \frac{m_H^2}{8 v^2} \et^4 \tag{6}\end{eqnarray}\]
ただし、\( m_H = \sqrt{2 \la v^2 } \)とした。また、
\[ \begin{eqnarray} f_{(e)} \bar{l}_L \begin{pmatrix} 0 \\ \frac{v + \et  }{\sqrt{2}} \end{pmatrix} e_R + h.c. &=&  f_{(e)} \bar{e}_L \frac{v + \et }{\sqrt{2}} e_R + h.c. \\ &=&   \frac{f_{(e)} v}{\sqrt{2}}  \bar{e} e + \frac{f_{(e)} }{\sqrt{2}}  \bar{e} e \et \end{eqnarray} \]
となる。ここで、$\bar{e}_L e_R + h.c. = \bar{e} e$, $e = e_L + e_R$を用いた。同様に、
\[ \begin{eqnarray} f_{(u)} \bar{q}_L \begin{pmatrix} \frac{v + \et }{\sqrt{2}}  \\ 0\end{pmatrix} u_R + h.c. &=& \frac{f_{(u)} v}{\sqrt{2}}  \bar{u} u + \frac{f_{(u)} }{\sqrt{2}}  \bar{u} u \et  \\ f_{(d)} \bar{q}_L \begin{pmatrix} 0 \\ \frac{v + \et  }{\sqrt{2}}  \end{pmatrix} d_R + h.c. &=& \frac{f_{(d)} v}{\sqrt{2}}  \bar{d} d + \frac{f_{(d)} }{\sqrt{2}}  \bar{d} d \et \end{eqnarray} \]
以上から、次のような質量スペクトルが得られる。
\[ \begin{eqnarray}  && M_W = \frac{gv}{2}~, ~~ M_Z = \frac{v}{2} \sqrt{g^2 + g^{\prime 2}} = \frac{gv}{2}\frac{\sqrt{g^2 + g^{\prime 2}}}{g} = \frac{M_W}{\cos \th_W} \\ && m_H = \sqrt{2 \la} v ~,~~ m_e = \frac{f_{(e)}}{\sqrt{2}} v ~,~~ m_u = \frac{f_{(u)}}{\sqrt{2}} v ~,~~ m_d = \frac{f_{(d)}}{\sqrt{2}} v   \tag{7}\end{eqnarray} \]

2021-08-03

ワインバーグ・サラム理論 note03: 1世代モデル

 前回からの続き。新しいタイプのフェルミ粒子がないとすると、フェルミ粒子の基本構成は
\[\begin{matrix} \nu_e & \nu_\mu & \nu_\tau \\ e & \mu & \tau \\ u & c & t \\ d & s & b \end{matrix} \]
で与えられる。

第1世代 $( \nu_e , e, u, d )$ だけを使って、後知恵ではあるが、数学的に矛盾のないモデルを構成できることが知られている。

備考:
(a) もし新しいフェルミ粒子が導入されると別の可能性がある。例えば、$O(3) \rightarrow U(1)_{em}$となるGeorgi-Glashow模型があるが、これは中性カレントの発見により除外された。
(b) $s$クォークを$u, d$クォークと同様に扱ってみることもできるが、ストレンジネス($s$クォークのこと)が変化する中性カレントが存在しないことからその可能性は排除される。

まず1世代モデルを考えるが、この段階で既に、量子異常の問題を別にすると、レプトン・セクターを個別に扱えることが知られているので、ここでは $\nu_e$ と $e$ を考える。

カイラルな組み合わせ: $\nu_{e_L}= \nu_L $, $e_L$, $e_R$(質量ゼロを仮定して$\nu_R = 0$)
\[ e_L = \frac{1- \ga_5}{2} e , ~~~ e_R = \frac{1+ \ga_5}{2} e \]
自由場のラグランジアン:\( \L_0 =  - [  \bar{e}_L \ga \cdot \d \, e_L  + \bar{e}_R \ga \cdot \d \, e_R + \bar{\nu}_L \ga \cdot \d \, \nu_L] \)  

左巻きのレプトン場を$ l_L = \begin{pmatrix} \nu_L \\ e_L \end{pmatrix} $とまとめると
\[ \L_0 = - \bar{l}_L \ga \cdot \d \, l_L - \bar{e}_R \ga \cdot \d \, e_R \tag{1} \]
となる。ただし、$\bar{l}_L = l^\dagger_L \ga_0$

対称性は$U(2)_L \times U(1)_R$となる。というのも、$U^\dagger U = 1$のとき $l^\prime_L = U l_L$ でラグランジアンは不変となり、$e^\prime_R = (e^{i \al} ) e_R$が$U(1)_R$を定義するため。$U(2)_L \sim SU(2)_L \times U(1)_L$なので対称性は
\[ SU(2)_L \times U(1)_L \times U(1)_R = SU(2)_L \times U(1)_Y \times U(1)_l \tag{2} \]
$U(1)_L \times U(1)_R$の一つの組み合わせがレプトン数$U(1)_l$に対応する。もしレプトン数をゲージ固定すると電弱相互作用の群$G_W$は$SU(2)_L \times U(1)_Y$の形になる。

ここで$U(1)$群は電荷$Q$が$U(1)$生成子と$SU(2)$の$t^3$の線形結合で表されるように選ばれる。
\[ Q \cdot l_L =  \begin{pmatrix} 0&0 \\ 0&-1 \end{pmatrix} \begin{pmatrix} \nu_L \\ e_L \end{pmatrix} = \begin{pmatrix} 0 \\ -1 \end{pmatrix} \]
\[ (Q - t^3) l_L =  \begin{pmatrix} -\hf & 0 \\ 0 & -\hf \end{pmatrix} l_L = -\hf l_L \]
ただし、$SU(2)_L$の生成子は$t^a = \frac{\si^a}{2}$で与えられる。$Y  = 2(Q - t^3) $を弱いハイパーチャージと呼ぶ。上記より$l_L$に施されると$Y_L = -1$となる。また弱いアイソスピン一重項である$e_R$については、$Q e_R = - e_R$なので$Y_R = -2$となる。したがって、$U(1)_Y = U(1)_{(L+2R)}$と書ける。

備考:電荷$Q$を$SU(2)_L$に完全に埋め込むことはできない。つまり、余計な$U(1)$部分をゲージ変換させずに$SU(2)_L$に埋め込めない。もしそうなれば$e_R$の電荷がゼロとなってしまうためである。

$SU(2)$の生成子$I^a$について $(a=1,2,3)$:
基本表現: $I^a = t^a = \frac{\si^a}{2}$,  $[t^a ,t^b ] = i \ep^{abc}t^c$
随伴表現: $I^a = (T^a)_{kl} = -i (\ep^a )_{kl}$

まとめるとレプトン数を別にすると利用可能なゲージ群は$SU(2)_L \times U(1)_Y$となる。

それぞれの群について次のようにゲージ場を導入する。

$SU(2)_L$: ゲージ場 $b_\mu^a$  結合定数 $g$
$U(1)_Y$:   ゲージ場 $c_\mu$  結合定数 $g^\prime$

共変微分は
\[ D_\mu \Psi  = \left( \d_\mu -i g b_\mu^a t^a - i g^\prime C_\mu \frac{Y}{2} \right) \Psi \]
となる。$\Psi$はフェルミオン場であり、具体的には
\[ D_\mu l_L  = \left( \d_\mu -i g \frac{\si^a}{2} b_\mu^a  + i \hf g^\prime C_\mu \right) l_L \]
\[ D_\mu e_R = \left( \d_\mu + i g^\prime C_\mu \right) e_R \]
レプトン・セクターの自由場ラグランジアンは
\[ \L_0 = - \bar{l}_L \ga \cdot \left( \d - ig b \cdot t + i \hf g^\prime C \right) l_L - \bar{e}_R \ga \cdot \left( \d + ig^\prime C \right) e_R \]
と表せる。

次に$b_\mu^a$と$C_\mu$の運動項を導入する。それぞれについて場の強さテンソルは
\[ F_{\mu\nu}^{a} (b)  = \d_\mu b_\nu^a -\d_\nu b_\mu^a + g \ep^{abc}b_\mu^b  b_\nu^c \]
\[ G_{\mu\nu}^{a} (C) = \d_\mu C_\nu^a -\d_\nu C_\mu^a \]
となる。ゲージ場の運動項は
\[ \L_{g} = \qu F_{\mu\nu}^{a} (b) F_{\mu\nu}^{a} (b) - \qu G_{\mu\nu}^{a} (C) G_{\mu\nu}^{a} (C) \]

2021-08-02

2021年夏の家族旅行2:白神山地、平泉

 前回の続きです。国道102号で十和田湖から弘前まで。山道を抜けると後は走りやすい道でした。眼前に雄大な岩木山を仰ぎながらのドライブです。弘前市内を抜けて白神山地ビジターセンターへ。途中でガソリンスタンドのお兄ちゃんがビジターセンターの隣の道の駅「ビーチにしめや」のソフトクリームが美味しいと教えてくれたので、寄ってみました。確かにおいしかったです!山なのにビーチってと思いましたが、beechって「ブナ」のことなのね。隣のビジターセンターで英語の冊子みて分かりました。ビジターセンターのシアターで「南極の恐竜」というビデオが上映されるというので、子供が観たがりましたが40分もあるというので諦めさせるのが大変でした。白神山地についての上映なら観たのですが。生憎タイミングが合いませんでした。

道の駅ビーチにしめや

道の駅から岩木山方面

2021年夏の家族旅行1:八甲田山登山、奥入瀬

今回は東北に行きました。青森の八甲田山と白神山地のトレッキングがメインです。7/29の14時過ぎに出発。花巻に着いたのは21時前でした。夏の東北道は大雨が降るイメージがありますが今回も所々で雨天走行となりました。花巻のルートインに宿泊。翌日は朝食を取らずに6時過ぎに出発しました。

ホテルの部屋から

花巻IC近くのコンビニで朝食&昼食購入

津軽SA

さくらVPS CentOS7 に PHP5.6, phpMyAdminインストール

さくらVPS CentOS7.9 に PHP5.6(CentOS7に対応する一番古いバージョン)と対応する phpMyAdmin をインストールしたので記録しておきます。CentOSのバージョンは

# cat /etc/redhat-release
CentOS Linux release 7.9.2009 (Core)

●apache install

公式サイトの解説を参考にしました。

# yum update
Complete!
# yum install httpd
Complete!

# systemctl start httpd
OKもNGも何も出てきませんが、これでhttpdが起動できたそうです。

# firewall-cmd --add-service=http --zone=public --permanent
FirewallD is not running
# systemctl start firewalld
# firewall-cmd --add-service=http --zone=public --permanent
success
# firewall-cmd --add-service=https --zone=public --permanent
success
# systemctl restart firewalld

としましたが、ブラウザでapache確認できませんでした。上記解説URLを良く見るとパケットフィルタの設定をしていなかったことが原因でした。パケットフィルタの設定で「Web(80/443)」を許可すると、無事表示されました!

# systemctl start httpd.service
# httpd -v
Server version: Apache/2.4.6 (CentOS)
Server built:   Nov 16 2020 16:18:20

ついでにパケットフィルターでFTP,mailも許可しておきました。

●PHP5.6インストール


を参考にしました。

# yum install epel-release
Nothing to do
# rpm -Uvh http://rpms.famillecollet.com/enterprise/remi-release-7.rpm
# yum install --enablerepo=remi,remi-php56 php php-devel php-mbstring php-pdo php-gd php-xml php-mcrypt
Complete!

# php -v
PHP 5.6.40 (cli) (built: Jun 28 2021 14:40:12)
Copyright (c) 1997-2016 The PHP Group
Zend Engine v2.6.0, Copyright (c) 1998-2016 Zend Technologies

php.ini 編集
# cd /etc
# cp php.ini php.ini.old
# vim php.ini

post_max_size = 128M
...
upload_max_filesize = 128M

と変更して再起動。

# systemctl restart httpd

# echo "<?php phpinfo(); ?>" > /var/www/html/info.php

http://160.xx.xxx.xxx/info.php
OK!!

ワインバーグ・サラム理論 note02: $SU(2) \times U(1)$ゲージ理論

歴史的なモチベーション:
(a) V-A型カレント・カレント相互作用は繰り込み可能でない

(b) カレント・カレント相互作用は 300GeVのエネルギー・スケールでユニタリー性が破れる

ただし、V-A型カレント・カレント相互作用はベクトル・ボソン$W^{\pm}_{\mu}$の低エネルギー現象論(のラグランジアン)を与える。詳しくはnote05の式(6)を参照のこと。

ユニタリー性の概要: 

相互作用 $\bar{\mu}_e + e \rightarrow \bar{\mu}_e + e$ を考えると、そのカレント・カレント相互作用のラグランジアンは $\L_I = \frac{G}{\sqrt{2}} J^{+}_{\mu} J^{-}_{\mu} $の形になるので、次元解析から全散乱断面積は$ \si_{tot} \sim G^2 s $ となる。不変な散乱振幅は一つの部分波のみを持つ。(質量を無視、運動方向の角運動量は1となる。)このときユニタリー性から $\im F(s, 0) = 24 \pi \frac{\om}{k}f_1 \le \frac{24 \pi \om}{k}$と書ける。光学定理より $\si = \frac{1}{2k \sqrt{s}} \im F \le \frac{48 \pi}{s}$ $(\om = \sqrt{s} \approx 2k )$ よって、カレント・カレント相互作用は $G^2 s \sim \frac{48 \pi }{s}$ のエネルギーレベルでユニタリー性を破る。最も強い制限は $\bar{\mu}_\mu + e \rightarrow \bar{\mu}_e + \mu$ に由来する。

ユニタリー性と繰り込み可能性の問題は互いに関係している。質量のある$W^{\pm}_{\mu}$ボソンをつかったベクトル・ボソンによる手法はカレント・カレント相互作用の現象を再現することが出来ることが示されている。また、質量のあるベクトル・ボソンを導入する場合、繰り込み可能なものは自発的対称性の破れのあるゲージ理論だけであることが知られている。したがって、ある電弱相互作用の群 $G_W (= SU(2) \times U(1))$ にもとづいたゲージ理論を構築したい。ただし、$G_W$の特徴は以下の通り。
(1) $W^{\pm}_{\mu}$は荷電粒子で相互作用するので、$G_W$は$U(1)_{em}$を含む必要がある。

(2) $W^{\pm}_{\mu}$に質量を持たせ、$G_W$の対称性を破って$U(1)_{em}$を得るために、ヒッグス粒子を導入する必要がある。 

次回以降はシンプルな1世代モデルから始めて、具体的にどのような理論が構築されるのかを見て行く。

ワインバーグ・サラム理論 note01: ユークリッド計量、参考書など

先日、Steven Weinberg が亡くなられたそうです。


素粒子物理学の黄金時代を牽引した大御所の一人。場の量子論、宇宙論の教科書だけでなく一般向けの教養書でも有名でとても影響力のある理論物理学者でした。ノーベル賞受賞対象となった標準電弱理論(電弱統一理論あるいはワインバーグ・サラム理論とも呼ばれる)のキッカケとなったアイデア(ヒッグス機構)は公園に連れて行った娘さんがブランコをしている際に思いついたという話をどこかで読んだ記憶があります。

ワインバーグの業績やエピソードについては上記のブログを参考にして下さい。ここでは私が大学院の時にまとめたワインバーグ・サラム理論のノートを復習もかねてデジタル化しようと思います。このノートは指導教官のナイアにもらったノートを基にして作成したものです。

参考文献は以下の通り。

T-P Chen and L-F Li, Gauge theory of elementary particle physics
(Oxford 1984)

C. Quigg, Gauge theories of the strong, weak, and electromagnetic interactions (Benjamin 1983)

Peskin and Schroeder, An Introduction to Quantum Field Theory
(Perseus 1995)

H. Fritzsch and P. Minkowski, Flavordynamics of quarks and leptons
Phys. Rep. 73C 67 (1981)


Greiner and Müller, Gauge Theory of Weak Interactions
(Springer 1996)

Aitchison and Hey, Gauge Theories in Particle Physics, 2nd Ed.
(Adam Hilger 1989)