前回のノートでは1世代モデルのラグランジアンを導いた。
L=Lgauge+Higgs+Lfermion
Lfermion=ˉνLγμ∂μνL+ˉeγμ(∂μ+ieAμ)e+ˉuγμ(∂μ−i23eAμ)u+ˉdγμ(∂μ+i13eAμ)d−ig√2[(ˉνLγμeL+ˉuLγμdL)W+μ+(ˉeLγμνL+ˉdLγμuL)W−μ]−igcosθWZμ[12(ˉνLγμνL−ˉeLγμeL+ˉuLγμuL−ˉdLγμdL) −sin2θW(ˉeγμe+23ˉuγμu−13ˉdγμd)]−(meˉee+muˉuu+mdˉdd)−1v(meˉeeη+muˉuuη+mdˉddη)
Lgauge+Higgs=14f2μν(A)+14f2μν(Z)+12|DμW−ν−DνW−μ|2+i(efμν(A)+gcosθWfμν(Z))W+μW−ν−g24(W+μW−ν−W+νW−μ)2+M2WW+μW−μ+12M2ZZμZμ+12(∂μη)2+2M2WvW+μW−μη+M2Wv2W+μW−μη2+M2ZvZ2μη+M2Z2v2Z2μη2+12m2Hη2+m2H2vη3+m2H8v2η4
ただし、
fμν(A)=∂μAν−∂νAμ
fμν(Z)=∂μZν−∂νZμ
低エネルギー近似ではこのラグランジアンからカレント・カレンを相互作用を再現することができる。W−粒子の運動量をqμとすると
Wμ∼eiqxWμ(q) , (∂μW−ν−∂νW−μ)2∼q2
なので、q2≪M2Wのとき運動項は無視できる。
−L=M2WW+μW−μ−ig√2(W+μJ−μ+W−μJ+μ)+⋯
ただし、
J+μ=ˉeLγμνL+ˉdLγμuL+⋯
J−μ=ˉνLγμeL+ˉuLγμdL+⋯
省略された項はヒッグス場に関わる項を表す。ここで、Wボソンはヘリシティが左巻き状態のクォークとレプトンにしか結合しないことに注意しよう。Wボソン場の運動方程式は
M2WW+μ−ig√2J+μ=0 , M2WW−μ−ig√2J−μ=0
これを解いて再度(4)に代入すると
−Ll−W=g22M2WJ+μJ−μ=g28M2W[ˉeγμ(1−γ5)ν+ˉdγμ(1−γ5)u][ˉνγμ(1−γ5)e+ˉuγμ(1−γ5)d]
ここで、ˉeLγμνL=12ˉeγμ(1−γ5)νなどを使った。ˉeγμγ5νは擬ベクトル(axial-vector)なので、この相互作用はV-A型カレント・カレント相互作用と呼ばれる。
MW=gv2より
g28M2W=12v2=GF√2
ラグランジアンLl−Wは媒介ベクトルボソンの低エネルギー現象論を与える。
GF≃10−5m2p
が知られているので真空期待値のパラメータvは
v≃250 GeV
と求まる。
−L=12M2ZZμZμ−igcosθWZμJ(0)μ+⋯
ここで中性カレントJ(0)μは
J(0)μ=J3μ−sin2θWJemμJ3μ=12(ˉνLγμνL−ˉeLγμeL+ˉuLγμuL−ˉdLγμdL)Jemμ=ˉeγμe+23ˉuγμu−13ˉdγμd
で定義される。ラグランジアン(6)からZμの運動方程式は
M2ZZμ−igcosθWJ(0)μ=0
となる。この解をラグランジアン(6)に代入すると
−Ll−Z=g22M2Zcos2θJ(0)μJ(0)μ=g22M2WJ(0)μJ(0)μ
相互作用にsinθWが入るので、中性カレントが現れる散乱過程、例えば、νee→νee弾性散乱の過程を研究することでこの値を測ることが出来る。実験より
sin2θW≃0.22 , sinθW≃0.47
が得られる。よって、
g=esinθW≃0.64
ただし、ここではℏ=c=1の自然単位系を用いているのでe2=4π137≃0.09となる。
MW±=gv2≃80 GeV , MZ0=MW±cosθW≃91 GeV
放射補正を加えるとこれらの公式は少し修正され、ニュートリノ中性カレント過程から、次のような理論値が得られている。
sin2θW=0.215±0.10±0.004MW=83.0±2.4 GeVMZ=93.8±2.0 GeV
比較対象となる実験値 (CERN UA1 group) は
MW=83.1+1.3−0.8±3 GeVMZ=93.0±1.6±3 GeV
中性カレント
中性カレントは一般にフェルミ場を用いて
J0μ=∑f[gfLˉfLγμfL+gfRˉfRγμfR]
と書き下すことができる。ここで、fは任意のフェルミ粒子を表す。式(7)の中性カレントJ(0)μの場合、係数gfL, gfRは
gνL=12gνR=0geL=−12−sin2θWgeR=−sin2θWguL=12−23sin2θWguR=−23sin2θWgdL=−12+13sin2θWguR=13sin2θW
で与えられる。
フェルミ粒子が1世代だけのモデルであっても、電弱標準理論では7つのフリーパラメータ (e,sinθW,MW,mH,me,mu,md)が含まれる。あるいは、対称性が破れる前の元々のラグランジアンで考えると、これら7つのフリーパラメータは、2つのゲージ結合定数(g,g′)、スカラー場の2つの自己結合定数(λ,v)と3つの湯川結合定数(f(e),f(u),f(d))に対応する。
この意味で電弱相互作用の統一は完全ではない。つまり、これら2つのクラスの相互作用を記述するには(その内部対称性から)2つのゲージ結合定数g, g′をフリーパラメータとして導入する必要がある。
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