2018-10-14

科研費奨励研究への応募履歴あるいは応募して不採択になり続ける実例3:平成27年度から平成29年度

前回のエントリー「科研費奨励研究への応募履歴あるいは応募して不採択になり続ける実例2:平成24年度から平成26年度」の続きで、このシリーズの最終回です。直前の3年間の審査結果から評価が年々下がっていることは分かりましたが、奨励研究としての適切性や研究経費の妥当性の審査基準が掴めないままでした。そもそも審査委員の方々の専門分野と私の専門分野(素粒子理論、場の量子論)が一致しているのかよく分からないし、自己完結的な研究計画書を読まされる審査委員の方々も大変だろうなと考えるに至りました。この頃にはすでに採択されることはほぼ諦めて、奨励研究への応募の機会を毎年恒例の研究計画書作成のためのいい機会だととらえてやりたいことを好き勝手に書くことを意識しました。前年度(平成26年度)の手抜き申請の反省を込めて平成27年度はこれまでの論文の数学的基礎づけを行うことにしました。計画書の文体もエッセイ風に変えてみましたが、あまり効果なかったようです。採択目指す人にとっては常識かもしれませんがエッセイ風の文体は避けた方が無難でしょう。


平成27年度の応募(2014年作成)


研究課題名:ゲージ粒子・重力子の散乱振幅を導くホロノミー形式の解析的な性質について

 私は米国で理論物理学(素粒子)のPhDを取得後、帰国し民間会社に所属しながら研究を続けています。今年で8年になります。会社では育児のため短時間正社員として雇用され、ソフトウェアの開発、ビックデータの解析などの業務に携わっています。理論物理学の分野は研究職に就くのが難しい分野です。私も学位取得前後からそのことを国内外で見聞していたので、アカデミックな場から離れて自主的に研究してみることにしました。幸い、素粒子理論の論文はウェブ上で日々公開されているので、やる気と時間さえあれば研究を続けることは可能です。私の場合、家族と雇用主の理解がなければ研究を続けることは不可能だったので、家族と会社には非常に感謝しています。
 自主研究を始めた当初は博士課程の時に指導教官から教えてもらった課題に取り組んでいましたが、転機となったのは、一人目の子供が水疱瘡にかかりその看病で家にいるときに着想したアイデアに魅了されたことでした。そのアイデアは、少し専門的になりますが、「2次元共形場理論で定義されるホロノミー演算子をスーパーツイスター空間上で考えることによって、ヤン-ミルズ理論と(量子)重力理論の散乱振幅を導く生成汎関数を統一的に記述することができる」というものです。以来、このアイデアを基に論文を発表しています。詳しくは別記の発表論文を参照してください。
 これらの研究成果は、残念ながら、他の研究者にとって興味あるものではないようです。その理由は私にはよくわかりませんが、論文のインパクト・信用度が低いためではないかと推察しています。そこで、今年度の研究では、一連の論文の基礎となっている2次元共形場理論のホロノミー演算子の解析的な性質について解明しようと考えています。また、補助金を得られた場合は、これまでより積極的に、セミナー・研究会などの場で研究成果の発表を行いたいと思います。
ヤン-ミルズ理論の散乱振幅をグラスマン多様体上の積分として理解できることが最近の研究で示されています。一方、ガウスの超幾何関数の自然な拡張はグラスマン多様体上の積分によって行うことができることは、日本の数学者の研究によって長く知られていました。上記ホロノミー演算子の真空期待値は2次元共形場理論の相関関数の一般解を与えます。4点相関関数は超幾何関数で記述できるので、このとき相関関数をグラスマン多様体上の積分として表せることができます。一般のn点相関関数(n≧3)についてこの関係性は明らかになっていませんが、この場合についてもn=4の場合を深く理解することで理解できるのではないかと期待されます。
これまで、超幾何関数をグラスマン多様体上で表現するという数学側の結果を理解することに努めてきました。今後、数か月のうちに、この一般化及びホロノミー演算子の積分表示との関係について解明したいと考えています。

発表論文
1. Y. Abe, “Holonomies of gauge fields in twistor space 6: Incorporation of massive fermions,” Nucl. Phys. B 880 (2014) pp.321-342, arXiv:1311.2988 [hep-th].
2. Y. Abe, “Holonomies of gauge fields in twistor space 5: Amplitudes of gluons and massive scalars,” Nucl. Phys. B 865 (2012) pp.238-267, arXiv:1205.4827 [hep-th].
3. Y. Abe, “Application of abelian holonomy formalism to the elementary theory of numbers,” J. Math. Phys. 53, 052303, 2012, arXiv:1005.4299 [hep-th].
4. Y. Abe, “Holonomies of gauge fields in twistor space 4: Functional MHV rules and one-loop amplitudes,” Nucl. Phys. B 854 (2012) pp.193-242, arXiv:1105.6146 [hep-th].
5. Y. Abe, “Holonomies of gauge fields in twistor space 3: Gravity as a square of N=4 theory,” Nucl. Phys. B 842 (2011) pp.475-500, arXiv:1008.2800 [hep-th].
6. Y. Abe, “Holonomies of gauge fields in twistor space 2: Hecke algebra, diffeomorphism, and graviton amplitudes,” Nucl. Phys. B 825 (2010) pp.268-302, arXiv:0906.2526 [hep-th].
7. Y. Abe, “Holonomies of gauge fields in twistor space 1: Bialgebra, supersymmetry, and gluon amplitudes,” Nucl. Phys. B 825 (2010) pp.242-267, arXiv:0906.2524 [hep-th].

審査結果
専門分野別 応募件数:39 採択件数:7
採択されなかった研究課題の中でのおおよその順位:B(20%~50%)
〇研究経費の妥当性について
「研究計画の内容から判断し、充足率を低くすることが望ましい」又は「研究経費の内容に問題がある」と評定した審査委員が2名中2名いました。

研究経費については旅費を減額しても妥当性について指摘を受けていたので、元に戻してヨーロッパとアメリカへ行く海外渡航経費を計上しました。東欧でのマイナーな国際会議に毎年のように声をかけてもらっているので一度行ってみたいと思っていましたが、やはり贅沢だったようです。次年度は再度アメリカだけにして金額も30万円以下に減らしました。その為か分かりませんが、とりあえずこれまでのところは研究経費の妥当性について再び疑義を挟まれることにはなっていません。


平成28年度の応募(2015年作成)


研究課題名:ツイスター空間上のホロノミー形式の量子宇宙論への応用

●研究目的
最近の観測的天文学の進展により宇宙には未知の暗黒物質・暗黒エネルギーが大量にあることが明らかになっている。この観測事実は素粒子物理学の標準模型では説明のつかないものであり、これまでの基礎理論に代わる新しい理論体系が待ち望まれている。
 申請者は2009年にトポロジカルな場の理論を用いて、ヤン-ミルズ理論と重力理論の散乱振幅をユニバーサルに理解する枠組みを提唱した(下記の発表論文6,7参照)。これは2次元共形場理論で定義されるホロノミー演算子をスーパーツイスター空間上で適切に定義することによって、無質量ゲージボソンの散乱振幅の生成汎関数を統一的に導くものである。この枠組み(ツイスター空間上のホロノミー形式)に質量をもつフェルミ粒子を組み込むことを平成25年度の研究目標としたが、この研究成果は下記発表論文1に結実した。
 今年度の研究の主な目的は、これらの結果を踏まえて、暗黒物質や暗黒エネルギーの存在を予測するような枠組みを構築することである。発表論文5においてホロノミー形式での暗黒物質・暗黒エネルギーの起源について考察したが、その内容を発展させたいと考えている。特に、暗黒物質・暗黒エネルギーの割合についての理論値を計算して、実際に知られている観測値との比較を行いたい。この割合は時間変化する量なので、その理論的な予測も行いたい。

●計画
現在、ホロノミー形式の数学的な背景を一般化された超幾何関数を用いて理解することを目的とした論文を執筆している。この論文は今年中(2015年12月)には書きあがる予定なので、その後、上記の研究テーマについて研究を本格的に始めたい。具体的には2016年夏までには暗黒物質・暗黒エネルギーの割合を求める理論的な枠組みを構築し、観測値との比較を行いたい。

●方法
研究活動は論文精読、計算、執筆が中心なので、研究設備などは必要ない。補助金を得ることができれば、海外の研究者とも直接交流して今後の研究に生かしたい。また、研究は基本的に一人で行うため、共同研究の形はとらない。研究経費が旅費のみであるのは、その他の費用は研究の遂行には特に必要ないためである。航空券・宿泊費は購入時期によって価格が上下するので概算で見積もった。経費内で収まるよう、必要であればレンタカーやモーテルを利用することも考えている。

発表論文
1. Y. Abe, “Holonomies of gauge fields in twistor space 6: Incorporation of massive fermions,” Nucl. Phys. B 880 (2014) pp.321-342, arXiv:1311.2988 [hep-th].
2. Y. Abe, “Holonomies of gauge fields in twistor space 5: Amplitudes of gluons and massive scalars,” Nucl. Phys. B 865 (2012) pp.238-267, arXiv:1205.4827 [hep-th].
3. Y. Abe, “Application of abelian holonomy formalism to the elementary theory of numbers,” J. Math. Phys. 53, 052303, 2012, arXiv:1005.4299 [hep-th].
4. Y. Abe, “Holonomies of gauge fields in twistor space 4: Functional MHV rules and one-loop amplitudes,” Nucl. Phys. B 854 (2012) pp.193-242, arXiv:1105.6146 [hep-th].
5. Y. Abe, “Holonomies of gauge fields in twistor space 3: Gravity as a square of N=4 theory,” Nucl. Phys. B 842 (2011) pp.475-500, arXiv:1008.2800 [hep-th].
6. Y. Abe, “Holonomies of gauge fields in twistor space 2: Hecke algebra, diffeomorphism, and graviton amplitudes,” Nucl. Phys. B 825 (2010) pp.268-302, arXiv:0906.2526 [hep-th].
7. Y. Abe, “Holonomies of gauge fields in twistor space 1: Bialgebra, supersymmetry, and gluon amplitudes,” Nucl. Phys. B 825 (2010) pp.242-267, arXiv:0906.2524 [hep-th].

審査結果
専門分野別 応募件数:40 採択件数:7
採択されなかった研究課題の中でのおおよその順位:B(20%~50%)
〇奨励研究としての適切性について
「奨励研究としてややふさわしくない点がある」又は「奨励研究としてふさわしくない」と評定した審査委員が2名中1名いました。

研究経費の妥当性についての指摘はありませんでした。前回の反省から「研究方法」の項目を修正して上記のように旅費の使い方に言及したのがよかったのでしょうか?ただ、久しぶりに「奨励研究としてふさわしくない」と指摘されてしまいました。研究課題が挑戦的すぎたのが実現性が低いと判断されたのでしょうか。個人的には出来るのではと思っていましたが、この課題については未だ放置中です。後述の通り平成31年度の研究計画で再び取り上げることにしました。


平成29年度の応募(2016年作成)


研究課題名:トーラス上のアーベル型CS理論とBSD予想について

●研究目的(背景・経緯、問題意識、予想される結果・意義)
 申請者は2009年にヤン-ミルズ理論と重力理論の散乱振幅をユニバーサルに理解する手法を提案した(下記の発表論文7,8参照)。これは2次元共形場理論で定義されるホロノミー演算子を用いてゲージボソンの散乱振幅を統一的に導く枠組みであった。その後、この枠組み(以下、ホロノミー形式と呼ぶ)のもとで、重力理論とヤン-ミルズ理論の関係性(発表論文6)、1ループ量子効果の計算(発表論文5)、質量を持つ粒子の組み込み(発表論文3,2)についての研究を進めてきた。これら散乱振幅の数学的な理解を深めることはゲージ場の理論・量子重力理論の解析的な側面を探る試みであり、近年、高エネルギー物理学理論において注目を集めている先端分野である。
 昨年度の研究ではこういった問題意識からホロノミー形式の数学的な背景を理解するために、一般化された超幾何関数と前述のホロノミー演算子の関係を明らかにした(発表論文1)。その後、発表論文5で考察したホロノミー形式での暗黒物質・暗黒エネルギーの起源についての研究を進める予定であったが、その前にまず発表論文4で考察したアーベル型ホロノミー形式の初等整数論への応用についての問題をさらに研究したいと考え、今回の研究に入ることになった。
 今回の研究では超弦理論および数論で重要な関数である重さ2のモジュラー形式を物理的な視点から理解したいと考えている。具体的には、幾何学的量子化を用いてトーラス上のアーベル型Chern-Simons(CS)理論の波動関数が重さ2のモジュラー形式を与えることを示したい。これにより数論で重要となるヘッケ演算子を物理的に表現することができると予想される。さらに、モジュラー性の定理から重さ2のモジュラー形式に関連するL関数やL関数についての重要なBirchとSwinnerton-Dyerによる予想(BSD予想)になにか言及できればと考えている。
 BSD予想は数論における長年の未解決問題であり、物理的な視点から解決への糸口を見つけられればそれだけでも研究の意義はある。ホロノミー形式との関係では、以前の研究(発表論文4)においてアーベル型ホロノミー演算子がリーマンゼータ関数の量子化と結びつくことを見たので、ゼータ関数のある種の変形であるL関数がアーベル型ホロノミー演算子と関連付けられると予想される。しかし、今のところこの関係性はよく分からない。今回の研究ではこの部分の理解にも踏み込んでいく予定である。

●計画
これまでの研究でトーラス上のアーベル型CS理論の波動関数の内積にモジュラー不変性を要請すると波動関数が重さ2のモジュラー形式とみなせることを明らかにした。現在、モジュラー形式に作用するヘッケ演算子を波動関数に作用する演算子としてどのように理解するかを考えている。すでに数か月経っているがまだ明確な答えが得られていない。できれば2016年内にこの問題を解決して、2017年春までには関連するL関数やBSD予想についての物理的な考察を与え、論文として形にしたい。

発表論文
1. Y. Abe, “A note on generalized hypergeometric functions, KZ solutions, and gluon
amplitudes,” Nucl. Phys. B 907 (2016) pp.107-153, arXiv:1512.06476 [hep-th].
2.  Y. Abe, “Holonomies of gauge fields in twistor space 6: Incorporation of massive fermions,” Nucl. Phys. B 880 (2014) pp.321-342, arXiv:1311.2988 [hep-th].
3.  Y. Abe, “Holonomies of gauge fields in twistor space 5: Amplitudes of gluons and massive scalars,” Nucl. Phys. B 865 (2012) pp.238-267, arXiv:1205.4827 [hep-th].
4.  Y. Abe, “Application of abelian holonomy formalism to the elementary theory of numbers,”
J. Math. Phys. 53, 052303, 2012, arXiv:1005.4299 [hep-th].
5.  Y. Abe, “Holonomies of gauge fields in twistor space 4: Functional MHV rules and one-loop amplitudes,” Nucl. Phys. B 854 (2012) pp.193-242, arXiv:1105.6146 [hep-th].
6.  Y. Abe, “Holonomies of gauge fields in twistor space 3: Gravity as a square of N=4 theory,” Nucl. Phys. B 842 (2011) pp.475-500, arXiv:1008.2800 [hep-th].
7.  Y. Abe, “Holonomies of gauge fields in twistor space 2: Hecke algebra, diffeomorphism, and graviton amplitudes,” Nucl. Phys. B 825 (2010) pp.268-302, arXiv:0906.2526 [hep-th].
8.  Y. Abe, “Holonomies of gauge fields in twistor space 1: Bialgebra, supersymmetry, and gluon amplitudes,” Nucl. Phys. B 825 (2010) pp.242-267, arXiv:0906.2524 [hep-th].

審査結果
専門分野別 応募件数:30 採択件数:5
採択されなかった研究課題の中でのおおよその順位:A(上位20%)

このときはほぼ数学とくに数論の研究を場の理論の立場で行うことを目標にしたので以前の経験から奨励研究としての適切性に疑義を挟まれると予想していましたが、意外にも特に問題ありませんでした。また、研究経費の妥当性についても引き続き指摘されませんでした。(同じ内容で平成26年度の時は引っかかったので基準が変わったのでしょうか?)全体の応募件数が減ったのでA判定を受けたようですが、これも意外でした。


平成30年度の応募(2017年作成せず)


初回のエントリーで説明したとおり電子申請に変更されたことに気づかず応募できませんでした。前年度の研究課題に取り組んでいましたが、リーマン予想の時のように物理的な解釈に達することができず、1年以上粘りましたがダメでした。とりあえず、それまでに分かった結果(arXiv:1711.07122 [hep-th], arXiv:1804.02848 [hep-th])を発表しましたが、以前報告したとおり一つ目の論文はまだ投稿中です。(二つ目の論文はどこにも出していません。)三つ目も書くつもりでしたが保留しています。当面は手を付けずにこれからはツイスター空間上のホロノミー形式の研究に戻って計画倒れになっている課題について考える予定です。そこで平成31年度の応募では平成28年度の研究課題をもう一度取り上げることにしました。また、平成30年度の応募から手続が電子化されたのに伴い審査区分が変更されたようなのでそれに従いました。応募内容は以下の通りです。折角なので審査結果についても分かり次第どこかで報告します。


平成31年度の応募(2018年作成)


審査区分名:物性物理学,プラズマ学,素粒子,原子核,宇宙物理学およびその関連分野

研究課題:ツイスター空間上のホロノミー形式の量子宇宙論への応用

●研究目的
最近の観測的天文学の進展により宇宙には未知の暗黒物質・暗黒エネルギーが大量にあることが明らかになっている。この観測事実は素粒子物理学の標準模型では説明のつかないものであり、これまでの基礎理論に代わる新しい理論体系が待ち望まれている。
 申請者は2009年にトポロジカルな場の理論を用いて、ヤン-ミルズ理論と重力理論の散乱振幅をユニバーサルに理解する枠組みを提唱した(下記の発表論文7,8参照)。これは2次元共形場理論で定義されるホロノミー演算子をスーパーツイスター空間上で適切に定義することによって、無質量ゲージボソンの散乱振幅の生成汎関数を統一的に導くものである。この枠組み(ツイスター空間上のホロノミー形式)に質量をもつフェルミ粒子を組み込むことを平成25年度の研究目標としたが、この研究成果は下記発表論文2に結実した。
 今年度の研究の主な目的は、これらの結果を踏まえて、暗黒物質や暗黒エネルギーの存在を予測するような枠組みを構築することである。発表論文6においてホロノミー形式での暗黒物質・暗黒エネルギーの起源について考察したが、その内容を発展させたいと考えている。特に、暗黒物質・暗黒エネルギーの割合についての理論値を計算して、実際に知られている観測値との比較を行いたい。この割合は時間変化する量なので、その理論的な予測も行いたい。

●計画
ホロノミー形式の数学的な背景については、一般化された超幾何関数を用いて理解できることを発表論文1で示した。その後、別の研究課題に取り組んでいたが(研究結果の論文を現在専門誌に投稿中)、平成31年度は再びホロノミー形式について考察を深める予定である。2018年内にホロノミー形式をつかった電弱モデルについての研究を再考し、その後、上記の研究テーマについての本格的に取り組みたい。具体的には2019年夏までには暗黒物質・暗黒エネルギーの割合を求める理論的な枠組みを構築し、観測値との比較を行いたい。

発表論文
1.  Y. Abe, “A note on generalized hypergeometric functions, KZ solutions, and gluon amplitudes,” Nucl. Phys. B 907 (2016) pp.107-153, arXiv:1512.06476 [hep-th].
2.  Y. Abe, “Holonomies of gauge fields in twistor space 6: Incorporation of massive fermions,” Nucl. Phys. B 880 (2014) pp.321-342, arXiv:1311.2988 [hep-th].
3.  Y. Abe, “Holonomies of gauge fields in twistor space 5: Amplitudes of gluons and massive scalars,” Nucl. Phys. B 865 (2012) pp.238-267, arXiv:1205.4827 [hep-th].
4.  Y. Abe, “Application of abelian holonomy formalism to the elementary theory of numbers,” J. Math. Phys. 53, 052303, 2012, arXiv:1005.4299 [hep-th].
5.  Y. Abe, “Holonomies of gauge fields in twistor space 4: Functional MHV rules and one-loop amplitudes,” Nucl. Phys. B 854 (2012) pp.193-242, arXiv:1105.6146 [hep-th].
6.  Y. Abe, “Holonomies of gauge fields in twistor space 3: Gravity as a square of N=4 theory,” Nucl. Phys. B 842 (2011) pp.475-500, arXiv:1008.2800 [hep-th].
7.  Y. Abe, “Holonomies of gauge fields in twistor space 2: Hecke algebra, diffeomorphism, and graviton amplitudes,” Nucl. Phys. B 825 (2010) pp.268-302, arXiv:0906.2526 [hep-th].
8.  Y. Abe, “Holonomies of gauge fields in twistor space 1: Bialgebra, supersymmetry, and gluon amplitudes,” Nucl. Phys. B 825 (2010) pp.242-267, arXiv:0906.2524 [hep-th].

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