前回のエントリー「グラスマン多様体上の超幾何関数2: Gr(2,n) の場合」の続きで、このシリーズの最終回です。今回は Gr(2,4) 上の超幾何関数が通常のガウス超幾何関数になることを丁寧に復習します。とくに青本流の手法による超幾何関数の積分表示から、超幾何関数の満たす1階のFuchs型微分方程式を系統的に導出しました。これらの1階微分方程式はすべて通常の2階のガウス超幾何微分方程式に変形できます。このような1階微分方程式の一部はすでに文献で知られていましたが、今回は新しい結果も含めてツイスト・コホモロジー、ホモロジーを用いて系統的に求められることを示しました。これらの1階微分方程式には CP1 上の正則関数がもつ広域共形対称性である SL(2,C)対称性が自然に現れることが見て取れますが、実際の算出においてはツイスト・コホモロジーの同値性(あるいはアーベル型ゲージ不変性)を考慮する必要があり、これらの微分方程式を具体的に求めるのは自明ではありません。詳しくは下記の 3.4, 3.5 節を参照してください。今回のエントリーでは式が大量(合計80個)でてくるので読み進めるのは大変かもしれませんが、話の流れは上記の通りなので結果だけ知りたい人は細部にこだわらずに読み進めてください。なお、引用される式番号 (1-xx) は一つ目のエントリー、(2-xx) は二つ目のエントリーにでてくる式番号に対応しているので、気になる人はそちらのページも参照してください。それでは、どうぞ!
まずガウスの超幾何関数の基本的な事柄を復習しよう。級数展開での定義は
F(a,b,c;z)=∞∑n=1(a)n(b)n(c)nn!zn
と書ける。ただし、|z|<1, c∉Z≤0,
(a)n={1 (n=1)a(a+1)(a+2)⋯(a+n−1) (n≥1)
である。F(a,b,c;z) は超幾何微分方程式
[d2dz2+(cz+a+b+1−cz−1)ddz+abz(z−1)]F(a,b,c;z)=0
を満たす。F(a,b,c;z) に対するオイラーの積分公式は
F(a,b,c;z)=Γ(c)Γ(a)Γ(c−a)∫10ta−1(1−t)c−a−1(1−zt)−bdt
と表せる。ただし、|z|<1, 0<ℜ(a)<ℜ(c) である。(この条件は積分 (3-4) によく知られているポッホハマーの経路を使えば、a∉Z, c−a∉Z と緩めることができる。)Γ(a) はガンマ関数
Γ(a)=∫∞0e−tta−1dt (ℜ(a)>0)
を表す。2階の微分方程式 (3-3) は z=0,1,∞ に確定特異点を持つ。各特異点のまわりに2つの独立な解があり、それらは
z=0 :{f1(z)=F(a,b,c;z)f2(z)=z1−cF(a−c+1,b−c+1,2−c;z)z=1 :{f3(z)=F(a,b,a+b−c+1;1−z)f4(z)=(1−z)c−a−bF(c−a,c−a,c−a−b+1;1−z)z=∞ :{f5(z)=z−aF(a,a−c+1,a−b+1;1/z)f6(z)=z−bF(b−c+1,b,b−a+1;1z)
と表せる。ただし、z=0, z=1, z=∞ の特異点においてそれぞれ、c∉Z, a+b−c∉Z, a−b∉Z を仮定した。
積分表示 (3-4) から関連する 2×4 行列は
Z=(101101−1−z)
という形で書けることが分かる。従って、(1-2)-(1-4) の関係式は次のように書き下せる:
(∂00+∂02+∂03)F=−F(∂11−∂12+z∂z)F=−F(∂10+∂12−∂z)F=0(∂01+∂02−∂03)F=0∂00F=α0F∂11F=α1F(∂02−∂12)F=α2F(∂03+z∂z)F=α3F−∂z∂02F=∂12∂03F
ただし、∂ij=∂∂zij, ∂13=−∂∂z=−∂z である。最後の式(3-18) は (2-4) から得られるが、ここでは非自明なもので ∂z に関するものを書き出した。(3-10) と (3-11) の和は (3-14) から (3-17) の和と等しいので、α0+⋯+α3=−2 が簡単にわかる。よって、(2-5) が確認できる。これらより2階の方程式 (3-18) は
−∂z(α1+α2+1+z∂z)F=(α1+1+z∂z)(α3−z∂z)F
と書ける。これを変形すると
[z(1−z)∂2z+(c−(a+b+1)z)∂z−ab]F=0
となる。ただし、
a=α1+1b=−α3c=α1+α2+2
である。(3-20) が超幾何微分方程式 (3-3) と同じであることは容易に確認できる。
(2-1) で見たように n>3 の場合は複数の複素変数が存在する。これらの場合についても原理的には定義式 (2-2)-(2-4) を書き下すことができるが、残念ながら n=3 の場合ほどうまくはいかない。
このエントリーでは青本の一般化された超幾何関数の最も簡単な場合としてツイスト・コホモロジーを用いて、ガウスの超幾何方程式を1階の微分方程式で表現する系統的な導出を行った。一般に、この1階微分方程式は
\frac{d}{d z} \left( \begin{array}{c} f_{01} \\ f_{pq} \\ \end{array} \right) = \left( \frac{A^{(pq)}_{0}}{z} + \frac{A^{(pq)}_{1}}{z-1} \right) \left( \begin{array}{c} f_{01} \\ f_{pq} \\ \end{array} \right) = \, A^{(pq) }_{01} \left( \begin{array}{c} f_{01} \\ f_{pq} \\ \end{array} \right) \tag{3-73}
と表せる。ただし、(pq) は \Phi = t^a (1-t)^{c-a} (1-zt)^{-b} の4つの分岐点 \{ 0, 1 , 1/z , \infty \} のうちの2つのペアを示す。このエントリーで得られた (2 \times 2) 行列 A^{(pq)}_{01} のリストは以下の通りである。
\begin{eqnarray} A_{01}^{( \infty 0)} &=& \left( \begin{array}{cc} \frac{c-a-b}{z-1} & \frac{b-c}{z-1} \\ \frac{c-a}{z} & - \frac{c}{z} \\ \end{array} \right) \tag{3-74} \\ A_{01}^{(1 \frac{1}{z})} &=& \left( \begin{array}{cc} 0 & \frac{b}{z-1} \\ - \frac{a}{z} & - \frac{c}{z} + \frac{c-a-b}{z-1} \\ \end{array} \right) \tag{3-75} \\ \widetilde{A}_{01}^{(1 \frac{1}{z})} &=& \left( \begin{array}{cc} 0 & \frac{b}{z} \\ - \frac{a}{z-1} & - \frac{c-1}{z} + \frac{c-a-b-1}{z-1} \\ \end{array} \right) \tag{3-76} \\ A_{01}^{(1 \infty )} &=& \left( \begin{array}{cc} -\frac{a}{z-1} & \frac{c-b}{z-1} \\ \frac{a}{z} - \frac{a}{z-1} & - \frac{c}{z} + \frac{c-b}{z-1} \\ \end{array} \right) \tag{3-77} \\ A_{01}^{( \frac{1}{z} \infty )} &=& \left( \begin{array}{cc} - \frac{1}{z-1} \frac{ab}{c} & - \frac{1}{z-1} \frac{b}{c} (b-c) \\ \frac{1}{z-1} \frac{a}{c} (a-c) & - \frac{c}{z} + \frac{1}{z-1} \frac{1}{c}(b-c) (a-c) \\ \end{array} \right) \tag{3-78} \\ A_{01}^{( 0 \frac{1}{z})} & =& \left( \begin{array}{cc} - \frac{b}{z-1} & \frac{b}{z-1} \\ \frac{c-a}{z} - \frac{c-a}{z-1} & - \frac{c-1}{z} + \frac{c-a}{z-1} \\ \end{array} \right) \tag{3-79} \end{eqnarray}
ただし、\widetilde{A}_{01}^{(1 \frac{1}{z})} は青本・喜多の表示 [1] である。 (3-74) と (3-76) を除くこれらの結果は筆者の知る限りでは、ガウスの超幾何微分方程式の変形として新しいものである。これらの行列は共通して同じ行列式
\det A^{(pq)}_{01} \, = \, \frac{ab}{z(z-1)} \tag{3-80}
をもつ。1階微分方程式 (3-73) において、このことはコホモロジー群 H^1 ( X , {\cal L} ) の基底要素に対応するベクトル \left( \begin{array}{c} f_{01} \\ f_{pq} \\ \end{array} \right) への微分作用が SL(2, \C) 代数の要素で表されることを意味する。言い換えると、コホモロジー群の基底の変換は SL(2, \C) 対称性をもつ。この SL(2, \C)不変性は \cp^1 上の正則関数がもつ広域共形対称性に対応している。今の場合、我々の議論は X = \cp^1 - \{ 0 , 1, 1/z , \infty \} 上で定義される (3-24)式の多価関数\Phiから始めた。したがって、(3-80) の結果はコンセプトとしては自然なことであるが、実際の計算上は自明ではない。というのも、(3-33) の同値条件 d \log \Phi \equiv 0 が関係式 (3-74)-(3-79) に暗に組み込まれているからである。
1. 青本和彦, 喜多通武,『超幾何関数論』シュプリンガー・フェアラーク東京, 1994.
3. ガウスの超幾何関数への還元
3.1 基本事項
まずガウスの超幾何関数の基本的な事柄を復習しよう。級数展開での定義は
F(a,b,c;z)=∞∑n=1(a)n(b)n(c)nn!zn
と書ける。ただし、|z|<1, c∉Z≤0,
(a)n={1 (n=1)a(a+1)(a+2)⋯(a+n−1) (n≥1)
である。F(a,b,c;z) は超幾何微分方程式
[d2dz2+(cz+a+b+1−cz−1)ddz+abz(z−1)]F(a,b,c;z)=0
を満たす。F(a,b,c;z) に対するオイラーの積分公式は
F(a,b,c;z)=Γ(c)Γ(a)Γ(c−a)∫10ta−1(1−t)c−a−1(1−zt)−bdt
と表せる。ただし、|z|<1, 0<ℜ(a)<ℜ(c) である。(この条件は積分 (3-4) によく知られているポッホハマーの経路を使えば、a∉Z, c−a∉Z と緩めることができる。)Γ(a) はガンマ関数
Γ(a)=∫∞0e−tta−1dt (ℜ(a)>0)
を表す。2階の微分方程式 (3-3) は z=0,1,∞ に確定特異点を持つ。各特異点のまわりに2つの独立な解があり、それらは
z=0 :{f1(z)=F(a,b,c;z)f2(z)=z1−cF(a−c+1,b−c+1,2−c;z)z=1 :{f3(z)=F(a,b,a+b−c+1;1−z)f4(z)=(1−z)c−a−bF(c−a,c−a,c−a−b+1;1−z)z=∞ :{f5(z)=z−aF(a,a−c+1,a−b+1;1/z)f6(z)=z−bF(b−c+1,b,b−a+1;1z)
と表せる。ただし、z=0, z=1, z=∞ の特異点においてそれぞれ、c∉Z, a+b−c∉Z, a−b∉Z を仮定した。
3.2 ガウスの超幾何関数への還元1: 定義式から
Z=(101101−1−z)
という形で書けることが分かる。従って、(1-2)-(1-4) の関係式は次のように書き下せる:
(∂00+∂02+∂03)F=−F(∂11−∂12+z∂z)F=−F(∂10+∂12−∂z)F=0(∂01+∂02−∂03)F=0∂00F=α0F∂11F=α1F(∂02−∂12)F=α2F(∂03+z∂z)F=α3F−∂z∂02F=∂12∂03F
ただし、∂ij=∂∂zij, ∂13=−∂∂z=−∂z である。最後の式(3-18) は (2-4) から得られるが、ここでは非自明なもので ∂z に関するものを書き出した。(3-10) と (3-11) の和は (3-14) から (3-17) の和と等しいので、α0+⋯+α3=−2 が簡単にわかる。よって、(2-5) が確認できる。これらより2階の方程式 (3-18) は
−∂z(α1+α2+1+z∂z)F=(α1+1+z∂z)(α3−z∂z)F
と書ける。これを変形すると
[z(1−z)∂2z+(c−(a+b+1)z)∂z−ab]F=0
となる。ただし、
a=α1+1b=−α3c=α1+α2+2
である。(3-20) が超幾何微分方程式 (3-3) と同じであることは容易に確認できる。
(2-1) で見たように n>3 の場合は複数の複素変数が存在する。これらの場合についても原理的には定義式 (2-2)-(2-4) を書き下すことができるが、残念ながら n=3 の場合ほどうまくはいかない。
3.3 ガウスの超幾何関数への還元2: ツイスト・コホモロジーを用いて
超幾何方程式 (3-3) は2階の微分方程式である。f1=F, f2=zbddzF とおくと (3-3) は1階のFuchs型微分方程式の形に表せる [1]:
ddz(f1f2)=(A0z+A1z−1)(f1f2)
ただし、
A0=(0b01−c), A1=(00−ac−a−b−1)
である。以下ではツイスト・コホモロジーから得た (2-3)-(2-9) の結果を用いて、1階の超幾何微分方程式がどのように導かれるか見てみよう。
まず、非射影化された多価関数
Φ=ta(1−t)c−a(1−zt)−b
から始めよう。ここで、
a,c−a,−b∉Z
である。Φ は X=CP1−{0,1,1/z,∞} 上で定義される。これらより X 上のランク1局所系 L とその双対 L∨ がきまる。すると、(3-7) からコホモロジー群 H1(X,L) の基底として
φ∞0=dttφ01=dtt(1−t)φ11z=(z−1)dt(1−t)(1−zt)
が得られる。同様に、(3-8) からホモロジー群 H1(X,L∨) の基底は
{Δ∞0,Δ01,Δ11z}
で与えられる。これらを用いるとガウスの超幾何関数は
f01(Z)=∫Δ01Φφ01=∫10ta−1(1−t)c−a−1(1−zt)−bdt:=f01(z)
と表せる。
f01(Z)=f01(z) の z-微分は
ddzf01(z)=ddz∫Δ01Φφ01=∫Δ01Φ∇zφ01
と書ける。ただし、
∇z=∂z+∂zlogΦ=∂z+bt1−zt
である。したがって、z-微分は ∇zφ01 の計算に帰着される。ここで、ツイスト・サイクル Δ の選択は微分に関する限り無関係であることに注意されたい。(3-31)式を積分として解釈するには、∇zφ01∈H1(X,L) を要請する必要がある。つまり、∇zφ01 は (3-26)-(3-28) の線形結合として表されなければならない。しかしながら、ここで注意しなければならないのは (1-13) と (1-14) でみたように H1(X,L) の要素は同値類を成す。今の場合 (k=1)、(1-13) の α は 0-形式つまり定数なので、∇zφ01 の計算において関係式
dlogΦ=adtt−(c−a)dt1−t+bzdt1−zt≡0
を要請できる。このため、基底要素の数は3から2に減少する。つまり、H1(X,L) の要素は条件 (3-33) のもとで (3-26)-(3-28) の任意の2つのペアによってあらわすことができる。これにより (1-50) と (2-7) のが図の不一致が説明できる。また、前回のエントリーで紹介したコホモロジー群の次元についての一般的な結果 (n−1k)=(21)=2 とも矛盾しない。
そこで、具体的に (φ01,φ∞0) のペアをとると、
∇zφ∞0=bdt1−zt≡1z(−adtt+(c−a)dt1−t)=c−azφ01−czφ∞0∇zφ01=∇z(φ∞0+dt1−t)=∇zφ∞0+b1−z(dt1−t−dt1−zt)=zz−1∇zφ∞0−bz−1(φ01−φ∞0)≡c−a−bz−1φ01+b−cz−1φ∞0
が得られる。ここで記号 ≡ は条件 (3-33) を用いたことを示す。よって、(3-31)式を使うと1階の微分方程式
ddz(f01f∞0)=(A(∞0)0z+A(∞0)1z−1)(f01f∞0)
が得られる。ただし、
A(∞0)0=(00c−a−c), A(∞0)1=(c−a−bb−c00)
である。これを f01 について解くと、(3-36) がガウスの超幾何微分方程式 (3-3) を導くことが簡単に確認できる。
同様に、(φ01,φ11z) のペアについては、
∇zφ01=bz−1φ11z∇zφ11z≡∇z(−abz−1zφ01+c−abz−1zdt(1−t)2)≡−azφ01+(−c+1z+c−a−b+1z−1)φ11z
となることが分かる。φ01 と φ11z には共通因子(1−t)−1 があるが、この因子は (3-24) の Φ の定義に吸収できる。つまり、微分公式 (3-31) を適用する際に、c を c−1 に置き換えればよい。これより、上と同様に1階の微分方程式
ddz(f01f11z)=(A(11z)0z+A(11z)1z−1)(f01f11z)
が得られる。ただし、
A(11z)0=(00−a−c), A(11z)1=(0b0c−a−b)
である。f01 について解くと (3-40) もガウスの超幾何微分方程式 (3-3) となることが確認できる。
(3-23) と (3-37) の表示はそれぞれ青本・喜多 [1] と原岡 [2] によって得られた。最後のもの (3-41) は筆者が知る限り文献にはない。ツイスト・コホモロジーを使った上の議論を流用するとこの青本・喜多の結果 (3-23) も次のように得られる。まず、新しい 1-形式
˜φ11z=zz−1φ11z=zdt(1−t)(1−zt)
を導入しよう。対応する超幾何関数は ˜f11z=∫Δ01Φ˜φ11z で与えられる。(3-38) から ∇zφ01=bz˜φ11z となることがすぐに分かる。これは (3-22) でみた条件 f1=F, f2=zbddzF に沿うものである。z は z≠0,1 として定義されているので、bz˜φ11z と bz−1φ11z はともに問題なく定義された 1-形式である。よって、コホモロジー群の基底として (φ01,˜φ11z) のペアを選ぶことができる。したがって、(共変)微分 ∇zφ01, ∇z˜φ11z は
∇zφ01=bz˜φ11z∇z˜φ11z≡∇z(−abφ01+c−abdt(1−t)2)≡−az−1φ01+(−cz+c−a−bz−1)˜φ11z
と計算できる。ただし、ここでの導出では関係式
tdt(1−zt)(1−t)=1z−1(dt1−zt−dt1−t)dt(1−t)2≡1c−a(aφ01+b˜φ11z)
を用いた。以前同様、φ01 と ˜φ11z は共通因子 (1−t)−1 をもつ。よって、c を c−1 で置き換えると、1階の微分方程式
ddz(f01˜f11z)=(˜A(11z)0z+˜A(11z)1z−1)(f01˜f11z)
を得る。ただし、˜f11z=∫Δ01Φ˜φ11z および
˜A(11z)0=(0b01−c), ˜A(11z)1=(00−ac−a−b−1)
である。したがって、青本・喜多の表示 (3-22), (3-23) を1階超幾何微分方程式の系統的な構成法により再導出できた。
最後に φ∞0=dtt と φ01=dtt(1−t) は共通因子 t−1 をもつが、この因子は Φ に吸収できないことに注意しよう。(3-7) で議論したように H1(X,L) の基底要素は一般に dloglj+1lj の形で与えられるので、この意味で dt を H1(X,L) の基底要素と取れないことからも分かる。
ddz(f1f2)=(A0z+A1z−1)(f1f2)
ただし、
A0=(0b01−c), A1=(00−ac−a−b−1)
である。以下ではツイスト・コホモロジーから得た (2-3)-(2-9) の結果を用いて、1階の超幾何微分方程式がどのように導かれるか見てみよう。
まず、非射影化された多価関数
Φ=ta(1−t)c−a(1−zt)−b
から始めよう。ここで、
a,c−a,−b∉Z
である。Φ は X=CP1−{0,1,1/z,∞} 上で定義される。これらより X 上のランク1局所系 L とその双対 L∨ がきまる。すると、(3-7) からコホモロジー群 H1(X,L) の基底として
φ∞0=dttφ01=dtt(1−t)φ11z=(z−1)dt(1−t)(1−zt)
が得られる。同様に、(3-8) からホモロジー群 H1(X,L∨) の基底は
{Δ∞0,Δ01,Δ11z}
で与えられる。これらを用いるとガウスの超幾何関数は
f01(Z)=∫Δ01Φφ01=∫10ta−1(1−t)c−a−1(1−zt)−bdt:=f01(z)
と表せる。
f01(Z)=f01(z) の z-微分は
ddzf01(z)=ddz∫Δ01Φφ01=∫Δ01Φ∇zφ01
と書ける。ただし、
∇z=∂z+∂zlogΦ=∂z+bt1−zt
である。したがって、z-微分は ∇zφ01 の計算に帰着される。ここで、ツイスト・サイクル Δ の選択は微分に関する限り無関係であることに注意されたい。(3-31)式を積分として解釈するには、∇zφ01∈H1(X,L) を要請する必要がある。つまり、∇zφ01 は (3-26)-(3-28) の線形結合として表されなければならない。しかしながら、ここで注意しなければならないのは (1-13) と (1-14) でみたように H1(X,L) の要素は同値類を成す。今の場合 (k=1)、(1-13) の α は 0-形式つまり定数なので、∇zφ01 の計算において関係式
dlogΦ=adtt−(c−a)dt1−t+bzdt1−zt≡0
を要請できる。このため、基底要素の数は3から2に減少する。つまり、H1(X,L) の要素は条件 (3-33) のもとで (3-26)-(3-28) の任意の2つのペアによってあらわすことができる。これにより (1-50) と (2-7) のが図の不一致が説明できる。また、前回のエントリーで紹介したコホモロジー群の次元についての一般的な結果 (n−1k)=(21)=2 とも矛盾しない。
そこで、具体的に (φ01,φ∞0) のペアをとると、
∇zφ∞0=bdt1−zt≡1z(−adtt+(c−a)dt1−t)=c−azφ01−czφ∞0∇zφ01=∇z(φ∞0+dt1−t)=∇zφ∞0+b1−z(dt1−t−dt1−zt)=zz−1∇zφ∞0−bz−1(φ01−φ∞0)≡c−a−bz−1φ01+b−cz−1φ∞0
が得られる。ここで記号 ≡ は条件 (3-33) を用いたことを示す。よって、(3-31)式を使うと1階の微分方程式
ddz(f01f∞0)=(A(∞0)0z+A(∞0)1z−1)(f01f∞0)
が得られる。ただし、
A(∞0)0=(00c−a−c), A(∞0)1=(c−a−bb−c00)
である。これを f01 について解くと、(3-36) がガウスの超幾何微分方程式 (3-3) を導くことが簡単に確認できる。
同様に、(φ01,φ11z) のペアについては、
∇zφ01=bz−1φ11z∇zφ11z≡∇z(−abz−1zφ01+c−abz−1zdt(1−t)2)≡−azφ01+(−c+1z+c−a−b+1z−1)φ11z
となることが分かる。φ01 と φ11z には共通因子(1−t)−1 があるが、この因子は (3-24) の Φ の定義に吸収できる。つまり、微分公式 (3-31) を適用する際に、c を c−1 に置き換えればよい。これより、上と同様に1階の微分方程式
ddz(f01f11z)=(A(11z)0z+A(11z)1z−1)(f01f11z)
が得られる。ただし、
A(11z)0=(00−a−c), A(11z)1=(0b0c−a−b)
である。f01 について解くと (3-40) もガウスの超幾何微分方程式 (3-3) となることが確認できる。
(3-23) と (3-37) の表示はそれぞれ青本・喜多 [1] と原岡 [2] によって得られた。最後のもの (3-41) は筆者が知る限り文献にはない。ツイスト・コホモロジーを使った上の議論を流用するとこの青本・喜多の結果 (3-23) も次のように得られる。まず、新しい 1-形式
˜φ11z=zz−1φ11z=zdt(1−t)(1−zt)
を導入しよう。対応する超幾何関数は ˜f11z=∫Δ01Φ˜φ11z で与えられる。(3-38) から ∇zφ01=bz˜φ11z となることがすぐに分かる。これは (3-22) でみた条件 f1=F, f2=zbddzF に沿うものである。z は z≠0,1 として定義されているので、bz˜φ11z と bz−1φ11z はともに問題なく定義された 1-形式である。よって、コホモロジー群の基底として (φ01,˜φ11z) のペアを選ぶことができる。したがって、(共変)微分 ∇zφ01, ∇z˜φ11z は
∇zφ01=bz˜φ11z∇z˜φ11z≡∇z(−abφ01+c−abdt(1−t)2)≡−az−1φ01+(−cz+c−a−bz−1)˜φ11z
と計算できる。ただし、ここでの導出では関係式
tdt(1−zt)(1−t)=1z−1(dt1−zt−dt1−t)dt(1−t)2≡1c−a(aφ01+b˜φ11z)
を用いた。以前同様、φ01 と ˜φ11z は共通因子 (1−t)−1 をもつ。よって、c を c−1 で置き換えると、1階の微分方程式
ddz(f01˜f11z)=(˜A(11z)0z+˜A(11z)1z−1)(f01˜f11z)
を得る。ただし、˜f11z=∫Δ01Φ˜φ11z および
˜A(11z)0=(0b01−c), ˜A(11z)1=(00−ac−a−b−1)
である。したがって、青本・喜多の表示 (3-22), (3-23) を1階超幾何微分方程式の系統的な構成法により再導出できた。
最後に φ∞0=dtt と φ01=dtt(1−t) は共通因子 t−1 をもつが、この因子は Φ に吸収できないことに注意しよう。(3-7) で議論したように H1(X,L) の基底要素は一般に dloglj+1lj の形で与えられるので、この意味で dt を H1(X,L) の基底要素と取れないことからも分かる。
3.4 ガウスの超幾何関数への還元3: 順列不変性から
前節では1階のFuchs型微分方程式を導出においてどのようにツイスト・サイクル Δ を選択するかは関与しないことを見た。したがって、超幾何関数は (3-30) よりもさらに一般的な積分の形、つまり
f(Δpq)01(z)=∫ΔpqΦφ01=∫qpta−1(1−t)c−a−1(1−zt)−bdt
として表現できる。ただし、(p,q) は4つの分岐点のうちの任意の2つのペア p,q∈{0,1,1/z,∞} を表す。これは分岐点について順列不変性を課せることを意味する。よって、Δpq はツイスト・サイクルの集合
Δpq={Δ∞0,Δ01,Δ11z,Δ1∞,Δ1z∞,Δ01z}
で与えられ、要素の数は(42)=6となる。これに対応してコホモロジー群の基底要素は (3-26)-(3-28) に加えて
φ1∞=dt1−tφ1z∞=zdt1−ztφ01z=dtt(1−zt)
が含まれる。f(Δpq)01(z) は (3-6)-(3-8) の局所解 fi(z) (i=1,2,⋯,6) と次のように関係づけられることが知られている。
f(Δ01)01(z)=B(a,c−a)f1(z)f(Δ1z∞)01(z)=eiπ(a+b−c+1)B(b−c+1,1−b)f2(z)f(Δ∞0)01(z)=eiπ(1−a)B(a,b−c+1)f3(z)f(Δ11z)01(z)=eiπ(a−c+1)B(c−a,1−b)f4(z)f(Δ11z)01(z)=B(a,1−b)f5(z)f(Δ1∞)01(z)=e−iπ(a+b−c+1)B(b−c+1,c−a)f6(z)
ただし、B(a,b) はベータ関数
B(a,b)=Γ(a)Γ(b)Γ(a+b)=∫10ta−1(1−t)b−1dt (ℜ(a)>0,ℜ(b)>0)
である。(これらの関係式についてその導出と詳細は [2] を参照されたい。)
このとき行列 Z で表される配位空間は Gr(2,4)/S4 で与えられる。ここで、S4 はランク4の対称群である。順列不変性は φ01 と (3-51)-(3-53) のうちのどれか1つを選んで、1階の微分方程式の組を導くことによっても確認できるはずである。以下ではこの確認を行う。
(φ01,φ1∞) のペアを選択した場合、
∇zφ1∞=bt1−ztdt(1−t)≡−az(z−1)φ01+(cz(z−1)−bz−1)φ1∞∇zφ01=∇zdtt+∇zφ1∞≡−az−1φ01+c−bz−1φ1∞
となる。よって、対応する微分方程式は
ddz(f01f1∞)=(A(1∞)0z+A(1∞)1z−1)(f01f1∞)
と書ける。ただし、
A(1∞)0=(00a−c), A(1∞)1=(−ac−b−ac−b)
である。f01 について解くと、(3-63) は確かにガウスの超幾何微分方程式 (3-3) となることが確認できる。
同様に、(φ01,φ1z∞) の場合
∇zφ01=bdt(1−zt)(1−t)≡−1z−1abcφ01−1z−1bc(b−c)φ1z∞∇zφ1z∞≡∇z(−abφ01+cbdt1−t)≡1z−1ac(a−c)φ01+(1z−11c(b−c)(a−c)−cz)φ1z∞
となる。よって、1階の微分方程式は
ddz(f01f1z∞)=(A(1z∞)0z+A(1z∞)1z−1)(f01f1z∞)
と表せる。ただし、
A(1z∞)0=(000−c), A(1z∞)1=(−abc−bc(b−c)ac(a−c)1c(b−c)(a−c))
であり、(3-67) は f01 についての超幾何微分方程式となることがチェックできる。
最後に、(φ01,φ01z) の場合は
∇zφ01=bdt(1−zt)(1−t)=−bz−1(φ01−φ01z)∇zφ01z≡bdt(1−zt)2≡−c−az(z−1)φ01+c−azz(z−1)φ01z
となり、対応する1階微分方程式は
ddz(f01f01z)=(A(01z)0z+A(01z)1z−1)(f01f01z)
と表せる。ただし、
A(01z)0=(00c−a−c), A(01z)1=(−bb−c+ac−a)
である。(3-71) も f01 についての超幾何関数になることがチェックできる。
(3-42) の場合のように ˜φ1z∞=z−1zφ1z∞=(z−1)dt1−zt と考えたくなるが、\varphi_{01} と \widetilde{\varphi}_{ \frac{1}{z} \infty} のペアだと (3-67) のような超幾何微分方程式に帰着する1階の微分方程式で表すことができない。これは、\nabla_{\! z} \varphi_{01} と \nabla_{\! z} \widetilde{\varphi}_{ \frac{1}{z} \infty} をそれぞれ \varphi_{01} と \widetilde{\varphi}_{ \frac{1}{z} \infty} で展開すると、その z-依存性が \frac{1}{z} あるいは \frac{1}{z-1} の形で書けないためである。
f(Δpq)01(z)=∫ΔpqΦφ01=∫qpta−1(1−t)c−a−1(1−zt)−bdt
として表現できる。ただし、(p,q) は4つの分岐点のうちの任意の2つのペア p,q∈{0,1,1/z,∞} を表す。これは分岐点について順列不変性を課せることを意味する。よって、Δpq はツイスト・サイクルの集合
Δpq={Δ∞0,Δ01,Δ11z,Δ1∞,Δ1z∞,Δ01z}
で与えられ、要素の数は(42)=6となる。これに対応してコホモロジー群の基底要素は (3-26)-(3-28) に加えて
φ1∞=dt1−tφ1z∞=zdt1−ztφ01z=dtt(1−zt)
が含まれる。f(Δpq)01(z) は (3-6)-(3-8) の局所解 fi(z) (i=1,2,⋯,6) と次のように関係づけられることが知られている。
f(Δ01)01(z)=B(a,c−a)f1(z)f(Δ1z∞)01(z)=eiπ(a+b−c+1)B(b−c+1,1−b)f2(z)f(Δ∞0)01(z)=eiπ(1−a)B(a,b−c+1)f3(z)f(Δ11z)01(z)=eiπ(a−c+1)B(c−a,1−b)f4(z)f(Δ11z)01(z)=B(a,1−b)f5(z)f(Δ1∞)01(z)=e−iπ(a+b−c+1)B(b−c+1,c−a)f6(z)
ただし、B(a,b) はベータ関数
B(a,b)=Γ(a)Γ(b)Γ(a+b)=∫10ta−1(1−t)b−1dt (ℜ(a)>0,ℜ(b)>0)
である。(これらの関係式についてその導出と詳細は [2] を参照されたい。)
このとき行列 Z で表される配位空間は Gr(2,4)/S4 で与えられる。ここで、S4 はランク4の対称群である。順列不変性は φ01 と (3-51)-(3-53) のうちのどれか1つを選んで、1階の微分方程式の組を導くことによっても確認できるはずである。以下ではこの確認を行う。
(φ01,φ1∞) のペアを選択した場合、
∇zφ1∞=bt1−ztdt(1−t)≡−az(z−1)φ01+(cz(z−1)−bz−1)φ1∞∇zφ01=∇zdtt+∇zφ1∞≡−az−1φ01+c−bz−1φ1∞
となる。よって、対応する微分方程式は
ddz(f01f1∞)=(A(1∞)0z+A(1∞)1z−1)(f01f1∞)
と書ける。ただし、
A(1∞)0=(00a−c), A(1∞)1=(−ac−b−ac−b)
である。f01 について解くと、(3-63) は確かにガウスの超幾何微分方程式 (3-3) となることが確認できる。
同様に、(φ01,φ1z∞) の場合
∇zφ01=bdt(1−zt)(1−t)≡−1z−1abcφ01−1z−1bc(b−c)φ1z∞∇zφ1z∞≡∇z(−abφ01+cbdt1−t)≡1z−1ac(a−c)φ01+(1z−11c(b−c)(a−c)−cz)φ1z∞
となる。よって、1階の微分方程式は
ddz(f01f1z∞)=(A(1z∞)0z+A(1z∞)1z−1)(f01f1z∞)
と表せる。ただし、
A(1z∞)0=(000−c), A(1z∞)1=(−abc−bc(b−c)ac(a−c)1c(b−c)(a−c))
であり、(3-67) は f01 についての超幾何微分方程式となることがチェックできる。
最後に、(φ01,φ01z) の場合は
∇zφ01=bdt(1−zt)(1−t)=−bz−1(φ01−φ01z)∇zφ01z≡bdt(1−zt)2≡−c−az(z−1)φ01+c−azz(z−1)φ01z
となり、対応する1階微分方程式は
ddz(f01f01z)=(A(01z)0z+A(01z)1z−1)(f01f01z)
と表せる。ただし、
A(01z)0=(00c−a−c), A(01z)1=(−bb−c+ac−a)
である。(3-71) も f01 についての超幾何関数になることがチェックできる。
(3-42) の場合のように ˜φ1z∞=z−1zφ1z∞=(z−1)dt1−zt と考えたくなるが、\varphi_{01} と \widetilde{\varphi}_{ \frac{1}{z} \infty} のペアだと (3-67) のような超幾何微分方程式に帰着する1階の微分方程式で表すことができない。これは、\nabla_{\! z} \varphi_{01} と \nabla_{\! z} \widetilde{\varphi}_{ \frac{1}{z} \infty} をそれぞれ \varphi_{01} と \widetilde{\varphi}_{ \frac{1}{z} \infty} で展開すると、その z-依存性が \frac{1}{z} あるいは \frac{1}{z-1} の形で書けないためである。
3.4 まとめ
このエントリーでは青本の一般化された超幾何関数の最も簡単な場合としてツイスト・コホモロジーを用いて、ガウスの超幾何方程式を1階の微分方程式で表現する系統的な導出を行った。一般に、この1階微分方程式は
\frac{d}{d z} \left( \begin{array}{c} f_{01} \\ f_{pq} \\ \end{array} \right) = \left( \frac{A^{(pq)}_{0}}{z} + \frac{A^{(pq)}_{1}}{z-1} \right) \left( \begin{array}{c} f_{01} \\ f_{pq} \\ \end{array} \right) = \, A^{(pq) }_{01} \left( \begin{array}{c} f_{01} \\ f_{pq} \\ \end{array} \right) \tag{3-73}
と表せる。ただし、(pq) は \Phi = t^a (1-t)^{c-a} (1-zt)^{-b} の4つの分岐点 \{ 0, 1 , 1/z , \infty \} のうちの2つのペアを示す。このエントリーで得られた (2 \times 2) 行列 A^{(pq)}_{01} のリストは以下の通りである。
\begin{eqnarray} A_{01}^{( \infty 0)} &=& \left( \begin{array}{cc} \frac{c-a-b}{z-1} & \frac{b-c}{z-1} \\ \frac{c-a}{z} & - \frac{c}{z} \\ \end{array} \right) \tag{3-74} \\ A_{01}^{(1 \frac{1}{z})} &=& \left( \begin{array}{cc} 0 & \frac{b}{z-1} \\ - \frac{a}{z} & - \frac{c}{z} + \frac{c-a-b}{z-1} \\ \end{array} \right) \tag{3-75} \\ \widetilde{A}_{01}^{(1 \frac{1}{z})} &=& \left( \begin{array}{cc} 0 & \frac{b}{z} \\ - \frac{a}{z-1} & - \frac{c-1}{z} + \frac{c-a-b-1}{z-1} \\ \end{array} \right) \tag{3-76} \\ A_{01}^{(1 \infty )} &=& \left( \begin{array}{cc} -\frac{a}{z-1} & \frac{c-b}{z-1} \\ \frac{a}{z} - \frac{a}{z-1} & - \frac{c}{z} + \frac{c-b}{z-1} \\ \end{array} \right) \tag{3-77} \\ A_{01}^{( \frac{1}{z} \infty )} &=& \left( \begin{array}{cc} - \frac{1}{z-1} \frac{ab}{c} & - \frac{1}{z-1} \frac{b}{c} (b-c) \\ \frac{1}{z-1} \frac{a}{c} (a-c) & - \frac{c}{z} + \frac{1}{z-1} \frac{1}{c}(b-c) (a-c) \\ \end{array} \right) \tag{3-78} \\ A_{01}^{( 0 \frac{1}{z})} & =& \left( \begin{array}{cc} - \frac{b}{z-1} & \frac{b}{z-1} \\ \frac{c-a}{z} - \frac{c-a}{z-1} & - \frac{c-1}{z} + \frac{c-a}{z-1} \\ \end{array} \right) \tag{3-79} \end{eqnarray}
ただし、\widetilde{A}_{01}^{(1 \frac{1}{z})} は青本・喜多の表示 [1] である。 (3-74) と (3-76) を除くこれらの結果は筆者の知る限りでは、ガウスの超幾何微分方程式の変形として新しいものである。これらの行列は共通して同じ行列式
\det A^{(pq)}_{01} \, = \, \frac{ab}{z(z-1)} \tag{3-80}
をもつ。1階微分方程式 (3-73) において、このことはコホモロジー群 H^1 ( X , {\cal L} ) の基底要素に対応するベクトル \left( \begin{array}{c} f_{01} \\ f_{pq} \\ \end{array} \right) への微分作用が SL(2, \C) 代数の要素で表されることを意味する。言い換えると、コホモロジー群の基底の変換は SL(2, \C) 対称性をもつ。この SL(2, \C)不変性は \cp^1 上の正則関数がもつ広域共形対称性に対応している。今の場合、我々の議論は X = \cp^1 - \{ 0 , 1, 1/z , \infty \} 上で定義される (3-24)式の多価関数\Phiから始めた。したがって、(3-80) の結果はコンセプトとしては自然なことであるが、実際の計算上は自明ではない。というのも、(3-33) の同値条件 d \log \Phi \equiv 0 が関係式 (3-74)-(3-79) に暗に組み込まれているからである。
参考文献
1. 青本和彦, 喜多通武,『超幾何関数論』シュプリンガー・フェアラーク東京, 1994.
2. 原岡喜重, 『超幾何関数』(すうがくの風景)朝倉書店, 2002.
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