2024-01-22

1. 調和振動子と$SU(N)$代数 vol.4

1.5 高次元調和振動子


前節までの解析を3次元調和振動子に拡張するのは比較的容易である。3次元振動子のハミルトニアンは
\[    H = \om \left(     a^\dagger_{1} a_1 + a^\dagger_{2} a_2 + a^\dagger_{3} a_3 + \frac{3}{2}    \right)    = \om \left(    a^\dagger_{i} a_i + \frac{3}{2}    \right)    \tag{1.47}\]
で与えられる。ただし、$i = 1,2,3$ である。数演算子の和は $n = n_1 + n_2 + n_3 = a^\dagger_{i} a_i$ で表される。$n$ を定数とすると、縮退度は ${1\over 2} (n+1)(n+2)$ となる。縮退状態をつなぐ演算子には下の図で示された $a^\dagger_2 a_1$, $a^\dagger_3 a_1$, $a^\dagger_3 a_2$ とこれらに共役な $a^\dagger_1 a_2$, $a^\dagger_1 a_3$, $a^\dagger_2 a_3$ が含まれる。


 演算子による閉じた代数をつくるにはこれら6つの演算子にさらに他の演算子を追加する必要がある。6つのうち2つの演算子の交換関係を計算すると
\[\begin{eqnarray}    [ a^\dagger_1 a_2 , a^\dagger_2 a_1 ] &=& a^\dagger_1 [ a_2 , a^\dagger_2 a_1 ] +    [ a^\dagger_1 , a^\dagger_2 a_1 ] a_2 \nonumber \\    &=& a^\dagger_1 a_1  - a^\dagger_2 a_2 \nonumber \\    &=& n_1  -  n_2     \tag{1.48}\end{eqnarray}\]
となる。よって、演算子のリストに $n_1 - n_2$ を含めなければならない。同様に $( n_2 - n_3 )$ と $( n_3 - n_1 )$ も必要になる。2つ目の演算子は $( n_3 - n_1 ) = -( n_1 - n_2 ) - ( n_2 - n_3 )$ と表せるので、閉じた演算子代数をつくるには2つの演算子を追加する必要がある。i以下では、計8個のこれらの演算子が成す代数は $SU(3)$ 代数となることを見ていく。


SU(3)の表現

 $SU(2)$ の場合と同様に、$SU(3)$ 群の要素は $g = e^{i t}$ とパラメータ表示される。ただし、$t$ はトレースがゼロの $(3 \times 3)$ エルミート行列である。$3\times 3$ 行列は9つの独立な行列要素をもつがトレースゼロとなる条件があるので、8つの独立パラメータで$SU(3)$の要素を表せると予測できる。よって、行列 $t$ は $t = t^a \th^a $ ($a=1,2, \cdots , 8)$ とパラメータ表示できる。ただし、$t^a$ はトレースゼロのエルミート行列の基底を表し、$\th^a$ は実パラメータである。(また、演算子 $a^\dagger_i a_j$ $(i\neq j)$ のパラメータとして3つの複素数、対角成分の生成子に対応するパラメータとして2つの実数が必要となるのでこれらを用いて $t$ をパラメータ表示することもできる。)慣例として、この基底 $t^a$ は以下で与えられるゲルマン行列 $\la^a$ を用いて $t^a = \frac{\la^a}{2}$ と表される。
\[\begin{eqnarray}    &&    \la^1 =    \left(      \begin{array}{ccc}        0 & 1 & 0 \\        1 & 0 & 0 \\        0 & 0 & 0 \\      \end{array}    \right)~~~    \la^2 =    \left(      \begin{array}{ccc}        0 & -i & 0 \\        i & 0 & 0 \\        0 & 0 & 0 \\      \end{array}    \right)~~~    \la^3 =    \left(      \begin{array}{ccc}        1 & 0 & 0 \\        0 & -1 & 0 \\        0 & 0 & 0 \\      \end{array}    \right)    \nonumber \\    &&    \la^4 =    \left(      \begin{array}{ccc}        0 & 0 & 1 \\        0 & 0 & 0 \\        1 & 0 & 0 \\      \end{array}    \right)~~~    \la^5 =    \left(      \begin{array}{ccc}        0 & 0 & -i \\        0 & 0 & 0 \\        i & 0 & 0 \\      \end{array}    \right)~~~    \la^6 =    \left(      \begin{array}{ccc}        0 & 0 & 0 \\        0 & 0 & 1 \\        0 & 1 & 0 \\      \end{array}    \right)    \nonumber \\    &&    \la^7 =    \left(      \begin{array}{ccc}        0 & 0 & 0 \\        0 & 0 & -i \\        0 & i & 0 \\      \end{array}    \right)~~~    \la^8 = \frac{1}{\sqrt{3}}    \left(      \begin{array}{ccc}        1 & 0 & 0 \\        0 & 1 & 0 \\        0 & 0 & -2 \\      \end{array}    \right)    \tag{1.49} \end{eqnarray} \]
基底 $t^a = \frac{\la^a}{2}$は$\Tr (t^a t^b ) = \hf \del^{ab}$ と規格化されている。交換子 $[ t^a , t^b ]$ は反エルミートである。よって、交換子は $i \times \mbox{(エルミート行列)}$ で表せる。交換子もトレースゼロとなるので $t^a$ で展開することができ、次のように書ける。
\[    [ t^a , t^b ] = i f^{abc} t^c     \tag{1.50} \]
$f^{abc}$ は構造定数と呼ばれる。構造定数は定数の集合であり、その具体的な値は今のところ必要ない。(詳しくは13.3.2小節を参照のこと。) 交換関係(1.50)は $SU(3)$ のリー代数をなす。

 ここで、演算子
\[    \hat{T}^a = a^\dagger_i t_{ij}^{a} a_j  = a^\dagger t^{a} a    \tag{1.51}\]
を考えよう。ただし、$t_{ij}^{a}$ は $( 3\times 3)$ 行列 $t^a$ $(i,j = 1,2,3; a= 1,2,\cdots , 8)$ の行列成分を表す。以下では、これらの演算子が3次元調和振動子の縮退状態をつなぐ演算子に対応していることを見ていく。まず、$\hat{T}^a$ はエルミートである。これは関係式
\[\begin{eqnarray}    ( \hat{T}^a )^\dagger &= & a^\dagger_j \left( t^a \right)_{ij}^{*} a_i    \nonumber \\    & = & a^\dagger_j  t^{a}_{ji} a_i = \hat{T}^a    \tag{1.52}\end{eqnarray}\]
から分かる。ただし、$t^a$ のエルミート性 $\left( t^a \right)_{ij}^{*} = t^{a}_{ji}$ を用いた。つぎに、$\hat{T}^a$ は $SU(3)$ 代数に従う。実際に
\[\begin{eqnarray}    [ \hat{T}^a , \hat{T}^b ] &=& [ a^\dagger_i t^{a}_{ij} a_j , a^\dagger_k t_{kl}^{b} a_l ]    \nonumber \\    &=& a^\dagger_i t_{ij}^{a} [ a_j ,  a^\dagger_k t_{kl}^{b} a_l ] +    [ a^\dagger_i  , a^\dagger_k t_{kl}^{b} a_l ] t^{a}_{ij} a_j    \nonumber \\    &=& a^\dagger_i t_{ij}^{a} \del_{jk} t_{kl}^{b} a_l  - \del_{il} a^\dagger_k t_{kl}^{b} t^{a}_{ij} a_j    \nonumber \\    &=& a^\dagger_i t_{ij}^{a} t_{jl}^{b} a_l -  a^\dagger_k t_{ki}^{b} t^{a}_{ij} a_j    \nonumber \\    &=& a^\dagger_i \left(  t_{ij}^{a} t_{jl}^{b} - t_{ij}^{b} t^{a}_{jl} \right) a_l    \nonumber \\    &=& a^\dagger [ t^a , t^b ] a = i f^{abc} a^\dagger t^c a = i f^{abc} \hat{T}^c     \tag{1.53}\end{eqnarray}\]
と確認できる。最後に、$[ \hat{T}^a , a^\dagger_i a_i ]$ はゼロとなる。
\[    [ \hat{T}^a , a^\dagger {\bf 1} a ] = a^\dagger [ t^a , {\bf 1} ] a = 0    \tag{1.54}\]
ただし、${\bf 1}$ は $(3 \times 3)$ 単位行列を表す。式(1.54)より明らかに $[ \hat{T}^a  , H ] = 0$ となる。これは総数 $n = n_1 + n_2 + n_3 = a^\dagger_i a_i$ は $\hat{T}^a$ の作用のもとで不変であることを意味する。言い換えると、演算子 $\hat{T}^a$ の作用によって物理系が縮退状態の外部に持ち出されることはない。

 これらの議論から、3次元等方調和振動子の縮退状態は$SU(3)$表現を成すことが分かった。この縮退状態を $| \al \ket$ で表示する。ただし、$\al = 1, 2, \cdots , N={1\over 2}(n+1)(n+2)$ である。$| \al \ket$ の一般形は
\[{(a^\dagger_1 )^{n_1}\over \sqrt{n_1!}}\,{(a^\dagger_2 )^{n_2}\over \sqrt{n_2!}}\, {(a^\dagger_3 )^{n_3}\over \sqrt{n_3!}}~ | 0 \ket, \hskip .3in n_1 + n_2 + n_3 = n \tag{1.55}\]
と書けることに注意しよう。これより、$(N \times N)$ 行列 $\bra \al | \hat{T}^a | \bt \ket$ を考えることができ、これらは $SU(3)$ 代数に従う。よって、$\bra \al | \hat{T}^a | \bt \ket$ は $SU(3)$ 代数の具体的な行列表現を与える。

 この章で紹介した形式化はより一般に $SU(N)$ 代数にもそのまま適用できる。その構成の概略は以下の通り。まず、$T^{a} = a^\dagger t^{a} a$ の形の演算子を考える。ここで、$t^a$ ($a = 1,2, \cdots , N^2 -1$) はトレースがゼロの $(N \times N )$ エルミート行列の基底を成す。また、$a^\dagger_i$ と $a_i$ ($i = 1,2, \cdots N$) は $N$ 次元調和振動子の生成・消滅演算子にあたる。$N$ 次元調和振動子における縮退状態の遷移は演算子 $T^{a} = a^\dagger t^{a} a$ によって記述され、これらの演算子は $SU(N)$ 代数に従う。

 最後に、この形式化によって $SU(N)$ ($N \ge 3$) のすべてのユニタリー既約表現が得られる訳ではないことに留意する必要がある。縮退状態の構成からすぐに分かるように、ここで得られる表現は対称表現にすぎない。$SU(2)$ の場合は、すべての表現が対称表現であるので調和振動子の解析により $SU(2)$ 代数のすべてのユニタリー既約表現を求めることができるが、これはどちらかといえば例外的なケースである。$N \ge 3$ の場合、この手法によって構成できるのは $SU(N)$ 代数の対称表現だけである。5.3節12.3節でみるように反対称表現を含むすべてのユニタリ既約表現を求めるにはテンソル解析の手法が有用である。

2024-01-20

1. 調和振動子と$SU(N)$代数 vol.3

1.4 対称性についての定理


ここでは対称性と保存則に関する一般的な定理と状態の縮退について定式化することで、前節の内容をもう少し系統的に議論する。ハミルトニアン $H$ をもつ一般的な量子系を考える。$H$ のユニタリー変換 $U$ を連続的なパラメータ $\theta$ を用いて $U = \exp (i \theta \, G)$ と定義する。ただし、$G$ はあるエルミート演算子である。($G$ は変換の生成子である。)ユニタリー変換で得られる新しいハミルトニアンは $H' = U^\dagger \, H \, U$ となる。$\theta$ は連続的なパラメータなので $\theta$ が微小な場合を考えることもできる。この場合、
\[    H' = e^{-i \theta G} \, H \, e^{i \theta G}    \approx (1 - i \theta G) \, H \, ( 1+ i \theta G )    = H -i \theta \, [ G, H]   \tag{1.42}\]
と書ける。よって、ハミルトニアンの変化量は $\delta H = - i \theta \, [ G, H]$ で与えられる。$\delta H = 0$ すなわち $[ G, H] =0$ のとき「$U$ は対称性である」あるいは「$G$ は対称性を生成する」と言及される。

 つぎに、ハイゼンベルクの運動方程式から任意の演算子$G$に対して
\[    i {\partial G \over \partial t} = [G, H ] \tag{1.43}\]
が成り立つことが分かる。これより、$G$ が連続な対称性を生成するなら($[G,H] =0$であるので)$G$ は保存される。対称性が複数ある場合、対応する連続バラメータ $\theta_i$ と生成子 $G_i$ を考えればよいだけなので、明らかにこの結果は対称性の数に関係なく拡張できる。これはネーターの定理である。

定理1.2 (ネーターの定理) 量子系の連続対称性の各々について保存された観測量が存在し、その保存観測量は対称性変換の生成子に相当する。

この主張の逆は「もし保存量子数があるならばそれは量子系の対称性を生成する」となるが、これはある程度正しい。例外はトポロジカルな理由によりある量が保存される時であり、その場合、対称性は必ずしも得られるとは限らない。物理においてそのような保存量は実際に存在する。この問題については後にソリトンについて議論する際に再考する。

 対称性の解析を進めるにあたり、固有値 $E_\alpha$ をもつハミルトニアンの固有状態 $\vert \alpha \ket$ を考える。つまり、$H \, \vert \alpha \ket = E_\alpha \, \vert \alpha \ket$ とおく。連続・非連続に関わらず $U$ が対称性変換を表すなら $U^\dagger \, H \, U = H$ あるいは $ H\, U = U\, H$ と書ける。したがって、
\[H \, ( U \, \vert \alpha \ket ) = U\, H \, \vert \alpha \ket = E_\alpha \, (U \, \vert \alpha \ket )\tag{1.44}\]
となる。これより、$U \, \vert \alpha \ket$ もハミルトニアンの固有状態であり同じエネルギーを持つことが分かる。よって、対称性変換によって互いに関係するすべての状態は同じエネルギーをもつ。言い換えると、それらは状態の縮退多重項を成す。そのような状態はいくつあるのか? それは変換に依存する。状態 $U \, \vert \alpha \ket$ は始状態 $\vert \alpha \ket$ と異なるかもしれないし、同じかもしれない。例えば、連続的な対称性の場合、パラメータ $\theta$ の一つ一つに対応する $U$ があるので、このような $U$ は複数存在する。ある状態から始めて異なる状態だけを数え上げながら始状態と対称性変換により結び付けられるすべての状態を得ることを考えよう。このとき求まる状態の集合 $\{ \vert \alpha_i\ket \}$ は次の特性をもつ。まず、これら全ての状態は縮退しており $H$ に対して同じ固有値をもつ。さらに、この集合の中の任意の状態にいかなる$U$を作用させてもその結果は同じ集合内の状態の線形結合で表せる。よって、この集合は $U$ の作用のもとで閉じている。この状態集合に作用する $U$ を行列表示すると $\bra \alpha_i \vert U \vert \alpha_j \ket$ となる。以上をまとめると、縮退状態の集合は対称性変換の既約表現を与えることが分かる。$U$ が連続的な場合、この結果を対称性の生成子(つまり $G$)を用いて表すこともできる。

定理1.3 量子系ハミルトニアンの固有状態は対称性変換の既約表現に分類される。それぞれの既約表現に含まれる(複数の)状態は縮退している。

同じ既約表現が多くのコピーを持つ場合もあることに留意されたい。この場合、縮退多重項は考えている対称性とは異なる何か別の量子数によって区別される。また、異なる2つの既約表現に含まれる状態が偶然に(上の定理とは無関係に)縮退している場合もある。一般に、そのような偶発的な縮退 (accidental degeneracy) は何かしら隠れている非自明な対称性に由来している。

2024-01-19

1. 調和振動子と$SU(N)$代数 vol.2

1.3 二次元調和振動子


前節と同様の解析を2次元振動子に応用する。この時、例えば $x$, $y$ 方向に対応する添え字 $i=1,2$ が演算子 $p$, $q$, $a$, $a^\dagger$ にラベルされる。ここでは等方な振動子を考えるので角振動数は両方向で等しい ($\om \equiv \om_1 = \om_2$) とする。$a_i$ と $a^\dagger_j$ の代数は
\[    [ a_i , a^\dagger_j ] \, = \, \del_{ij} \, , \hskip .2in    [ a_i, a_j ] \, =\, 0 \, , \hskip .2in [ a^\dagger_i, a^\dagger_j ] \, =\, 0    \tag{1.18} \]
と表せる。これはハイゼンベルク代数(1.5)の2つのコピーと解釈できる。振動子のハミルトニアンは
\[\begin{eqnarray}    H &=& \om ( a^\dagger_1 a_1 + a^\dagger_2 a_2 + 1 ) \nonumber \\    & = & \om ( n_1 + n_2 + 1 )    \tag{1.19} \end{eqnarray}\]
で与えられる。ただし、$n_i$ は数演算子 $n_i = a^\dagger_i a_i$ ($i = 1,2$) である。基底状態 $| 0 \ket$ は
\[    a_1 | 0 \ket = a_2 | 0 \ket = 0     \tag{1.20}\]
と定義される。よって、第一励起状態は $a^\dagger_1 | 0 \ket$ あるいは $a^\dagger_2 | 0 \ket$ で与えられる。異なる方向の演算子は互いに可換であることを用いると、$n = n_1 + n_2$を$a^\dagger_i | 0 \ket$ に作用させると $ 1 \cdot | 0 \ket$ になることが分かる。これは第一励起状態がエネルギー $ \om$ の縮退状態(縮退度2)であることを意味する。数演算子 $n_1$, $n_2$ の固有状態を $| n_1, n_2 \ket$ で表すとこれらの状態は $| 1, 0\ket$, $|0, 1\ket$ と表記できる。高次の励起状態も類似的に構成することができる。$n = n_1 + n_2 > 1$ の場合、縮退状態は、正規化を除くと、次のように書きだせる。
\[    ( a^\dagger_1 )^n | 0 \ket \, , ~ ( a^\dagger_1 )^{n-1} a^\dagger_2 | 0 \ket \, , ~ \cdots    \, , ~ ( a^\dagger_2 )^n | 0 \ket     \tag{1.21} \]
これらの状態はすべて同じエネルギーをもつので縮退度は $n+1$ となる。これらの状態は一般に
\[    | n_1, n_2 \ket = \frac{(a^\dagger_{1} )^{n_1}}{\sqrt{n_1!}} \frac{(a^\dagger_{2} )^{n_2}}{\sqrt{n_2!}}\, | 0 \ket    \tag{1.22} \]
と表記される。これらのエネルギー固有値は $E_{n_1, n_2}  = \om (n_1 + n_2 + 1) = \om (n + 1)$ で与えられる。

 基本的な(生成・消滅)演算子 $a_i$, $a^\dagger_i$ をこれらの状態に作用させると
\[ \begin{eqnarray}   a_1 ~ \vert n_1, \,n_2 \ket &=& \sqrt{n_1}~\vert n_1 -1, \, n_2\ket \, ,   \\    a_2 ~ \vert n_1, \,n_2 \ket &=& \sqrt{n_2}~\vert n_1, \, n_2 -1\ket \, ,    \\    a^\dagger_1 ~ \vert n_1, \,n_2 \ket &=& \sqrt{n_1+1}~\vert n_1 +1, \, n_2\ket \, ,   \\    a^\dagger_2 ~ \vert n_1, \,n_2 \ket &=& \sqrt{n_2+1}~\vert n_1, \, n_2 +1\ket    \end{eqnarray} \tag{1.23} \]
となる。よって、ベクトル $\vert n_1, \, n_2\ket$ で張られるベクトル空間上の2次元ハイゼンベルク代数の表現が得られた。

 状態についての議論に戻ると、(1.21)の縮退状態のうち2つ目の状態に注目するとこれは最初の状態がら一つの $a^\dagger_1$ を $a^\dagger_2$ で置き換えたものになっている。つまり、最初の状態に演算子 $a^\dagger_2 a_1$ を施せばよい。より一般に、$n = n_1+ n_2$ を固定した縮退状態 $\vert n_1 , n_2 \ket$ 同士を結ぶ演算子は
\[    K_{-} = a^\dagger_2 a_1 \, , ~~ K_{+} = a^\dagger_1 a_2   \tag{1.24}\]
で与えられる。これらの演算子による作用を明示すると次のようになる。
\[\begin{eqnarray} & \xrightarrow{a^\dagger_2 a_1} & & \xrightarrow{a^\dagger_2 a_1} & & \xrightarrow{a^\dagger_2 a_1} & \nonumber \\  ( a^\dagger_{1} )^{n} | 0 \ket &  &  ( a^\dagger_{1} )^{n-1} a^\dagger_{2} | 0 \ket &  &  ( a^\dagger_{1} )^{n-2} ( a^\dagger_2 )^{2} | 0 \ket &  &  \cdots   \nonumber \\  & \xleftarrow[a^\dagger_1 a_2]{} & & \xleftarrow[a^\dagger_1 a_2]{} & &  \xleftarrow[a^\dagger_1 a_2]{} & \nonumber \end{eqnarray}\]
また、$K_+$ と $K_-$ の交換関係を計算すると
\[    [ K_+ , K_- ] = a^\dagger_1 a_1 - a^\dagger_2 a_2 \equiv 2 K_3 \tag{1.25} \]
を得る。ただし、$K_3 = {1\over 2} (n_1 - n_2)$ と定義した。$K_3$ が次の交換関係を満たすことはすぐに確認できる。
\[    [ K_3 , K_+ ] = K_+  ~ ,~~ [ K_3 , K_- ] = - K_-     \tag{1.26} \]
縮退状態を表すのに必要な演算子は $K_\pm$ と $K_3$ だけである。これらの演算子が成す代数は3次元角運動量代数あるいは $O(3)$ 代数と呼ばれる。ここでは2次元振動子を考えているので角運動量の物理的な描像は現れていないことに注意されたい。複数の縮退状態を連結させる代数から同じ数学的な構造が浮かび上がってきただけである。後述するようにこの角運動量代数は $SU(2)$ 代数と同じ(数学的には同型)である。縮退状態のうち $K_3 = {1\over 2}( a^\dagger_1 a_1 - a^\dagger_2 a_2 ) $ の最大値は $ n / 2 \equiv j$ で与えられる。角運動量の理論を思い出すと $K_\pm$, $K_3$ と可換なカシミール演算子 $ K^2 = K_{3}^{2} + \hf ( K_+ K_-  +  K_- K_+ ) $ が存在することが分かる。$j$ を使うとこの2次のカシミール演算子は
\[    K^2 = K_{3}^{2} + \hf ( K_+ K_-  +  K_- K_+ ) = j(j+1)    \tag{1.27}\]
と表せる。$K_{\pm}$ はエルミート演算子ではないが、互いにエルミート共役であることに注意しよう。エルミートな組み合わせは
\[    K_1 = \frac{K_+ + K_- }{2} \, , ~~~ K_2 = \frac{K_+ - K_- }{2 i} \tag{1.28}\]
とすると得られる。$K_{i}$ $(i = 1,2,3)$ を用いると代数はより知られた形
\[    [ K_i , K_j ] = i \ep_{ijk} K_k \ \tag{1.29} \]
で書ける。

 次に角運動量代数(1.29)の行列表現を考えよう。最も簡単な縮退状態は $n = 1$ 縮退度2の時である。対応する2状態は $ a^\dagger_1 | 0 \ket \equiv |1 \ket$, $ a^\dagger_2 | 0 \ket \equiv |2 \ket$ とラベルできる。これらを使うと演算子 $K_+ = a^\dagger_1 a_2$ の行列要素は
\[    \left(      \begin{array}{cc}        \bra 1 | K_+  | 1 \ket  & \bra 1 | K_+  | 2 \ket \\        \bra 2 | K_+  | 1 \ket & \bra 2 | K_+  | 2 \ket \\      \end{array}   \right)     =    \left(      \begin{array}{cc}        0  & \bra 1 | 1 \ket \\        0 & \bra 2 | 1 \ket \\      \end{array}    \right)     =    \left(      \begin{array}{cc}        0  & 1 \\        0 & 0 \\      \end{array}    \right)     = K_+     \tag{1.30}\]
と表せる。ただし、関係式
\[\begin{eqnarray}    K_+ | 1 \ket \! &=& \! a^\dagger_1 a_2 a^\dagger_1 | 0 \ket = 0 \, , \nonumber \\   K_+ | 2 \ket \! &=& \! a^\dagger_1 a_2 a^\dagger_2 | 0 \ket = a^\dagger_1 | 0 \ket = | 1 \ket    \tag{1.31} \end{eqnarray}\]
と2状態の直交性 $\bra 1 | 2 \ket = \bra 2 | 1 \ket = 0$ を用いた。同様に
\[    K_- \, = \,    \left(      \begin{array}{cc}        0  & 0 \\        1 & 0 \\      \end{array}    \right) ~ , ~~    K_3 \, = \,    \left(      \begin{array}{cc}        \hf  & 0 \\        0 & -\hf \\      \end{array}    \right)     \tag{1.32}\]
が得られる。これより $n = 1$ の場合、$K_i$ ($i = 1,2,3$) の行列表現は本質的にパウリ行列 $\si_i$ で与えられることが分かる。つまり、$K_i = \frac{1}{2} {\si_i}$ は代数(1.29)に従う。

 次に $n = 2$ の場合は3つの縮退状態がありそれらは
\[    | 1 \ket \equiv \frac{( a^\dagger_1 )^2}{\sqrt{2}} | 0 \ket  , ~~    | 2 \ket \equiv a^\dagger_1 a^\dagger_2 | 0 \ket  , ~~    | 3 \ket \equiv \frac{( a^\dagger_2 )^2}{\sqrt{2}} | 0 \ket     \tag{1.33}\]
で与えられる。これらの状態を用いると $n =1$ の場合と同様に $K_i$ を $3 \times 3$ 行列として計算できる。結果は
\[    K_+ =    \left(      \begin{array}{ccc}        0 & \sqrt{2} & 0 \\        0 & 0 & \sqrt{2} \\        0 & 0 & 0 \\      \end{array}    \right) ,  \, ~    K_- =    \left(      \begin{array}{ccc}        0 & 0 & 0 \\        \sqrt{2} & 0 & 0 \\        0 & \sqrt{2} & 0 \\      \end{array}    \right) , \, ~    K_3 =    \left(      \begin{array}{ccc}        1 & 0 & 0 \\        0 & 0 & 0 \\        0 & 0 & -1 \\      \end{array}    \right)    \tag{1.34}\]
となる。よく知られているように、これらは角運動量代数の $3 \times 3$ 行列表現となっている。

より一般に $n$ 番目の準位の2次元等方振動子は $n+1$ の縮退度を持ち、この場合$K_i$ は角運動量代数
\[    [ K_{i} , K_{j} ] =  i \ep_{ijk} K_k     \tag{1.35}\]
を満たす $(n+1) \times (n+1)$ 行列で表せる。あるいは代数(1.35)から始めるとする。これを抽象的な代数 ${\cal A}$ とみなすと $K_i$ は必ずしも行列である必要はない。この代数 ${\cal A}$ は多くの行列表示を持ち、その次元は $(n+1)$ ($n = 0, 1, 2, \ldots$) で与えられる。$K_i$ は $(n+1) \times (n+1)$ 行列であった。よって、$K_i$ により生成される変換は $\exp (i K_i \theta^i )$ の形で与えられこれらはユニタリー行列である。したがって、上で得られた行列表現は代数 ${\cal A}$ のユニタリー表現であると言える。

以上をまとめると、2次元調和振動子の縮退状態は角運動量代数のユニタリー表現を成すことが分かる。言い換えると、これらの縮退状態は代数(1.35)のユニタリー表現を与えることが分かった。

2024-01-17

1. 調和振動子と$SU(N)$代数 vol.1

1.1 量子論における代数的手法の概要


前半部では代数的に解ける問題について考える。この手法においてカギとなるのはあらゆる物理系の量子論は観測量のなす代数のユニタリー既約表現とみなせるという考察である。以下では様々な例を通してこのユニタリー性と既約性の意味について調べ解明していく。ここではある特定の場合から始めてより一般的な理解を目指すというボトムアップ的なアプローチを採用するが、その前に全般的な考察をいくつか行うことも有用であろう。観測量の演算子のなす代数はどのような代数でも良いという訳ではない。代数の演算子あるいは要素(元)を実験室で観測できる実数と結びつける必要がある。したがって、代数のノルム(長さ)という概念が必要となる。また、演算子にエルミート性を与えるためには共役の概念も必要である。よって最低限の要件として観測量を$C^*$-代数で特徴付けなければならない。(ポアンカレ不変性などその他の要件は相対論的に不変な場の理論の文脈で必要となる。)

 ここで議論を補完するために $C^*$-代数の定義について簡単に触れる。まず、代数 ${\cal A}$ は線形ベクトル空間とみなせることを思い出そう。これは体の係数を用いて代数の要素を追加できるという意味であった。ただし、我々に興味のある体は複素数である。したがって、$A, \, B\in {\cal A}$ であれば $\lambda_1 \, A + \lambda_2 \, B \in {\cal A}$  $( \lambda_1, \, \lambda_2 \in {\mathbb C} )$ となる。 さらに、代数要素のノルム $\vert\vert A \vert\vert$ の存在が必要があり、このノルムに関して完全性を課すことを考える。また、代数要素に積の結合則を要請するとシュワルツ不等式 $\vert \vert A\, B \vert \vert \leq \vert \vert A \vert \vert \, \vert \vert B \vert \vert $ が成り立ち、このとき ${\cal A}$ はバナッハ代数となる。最後に ${\cal A}$ をバナッハ $*$-代数とするために $*$-演算を定義する必要がある。これは以下の条件を満たす。
\[ \begin{eqnarray}(A + B)^* &=& A^* + B^* \\(\lambda A)^* &=& {\bar \lambda} \, A^* \\ (A \,B )^* &=& B^* \, A^* \\ (A^*)^* &=& A \end{eqnarray} \]
ただし、$A, \, B\in {\cal A}$, $\lambda \in {\mathbb C}$ である。(行列の随伴作用はこの $*$-演算の一例である。)

 バナッハ $*$-代数に条件 $\vert\vert A^*\, A \vert \vert = \vert \vert A \vert \vert^2$ を課すと $C^*$-代数になる。ゲルファント-ナイマルクの定理より $C^*$-代数はヒルベルト空間上の随伴をもつ演算子からなるバナッハ代数と等しいことが知られている。

 以上、代数について一般的な事柄を述べたが以下ではこれらについてあまり触れることはない。代数的に可解なモデルの具体例をとりあげて一般的な枠組みについての理解を深めることを目指す。まずは非常に初歩的な例である量子力学の調和振動子から始めよう。

1.2 一次元調和振動子


初めに角振動数 $\om$ で表せる1次元調和振動子を取り上げる。この振動子のハミルトニアンは
\[    H = \frac{1}{2} \left(    \hat{p}^2 + \om^2 \hat{q}^2    \right)    \tag{1.1} \]
で与えられる。演算子は位置(あるいは座標)$\hat{q}$ と運動量 $\hat{p}$ に対応し、よく知られているハイゼンベルク代数
\[     [ \hat{q}, \hat{p} ] =  i    \tag{1.2} \]
を満たす。(ここでは $\hbar = 1$ となる単位系を使用する。)これらの演算子を変数変換し次のようにパラメータ表示する。
\[    \hat{q} = \sqrt{\frac{1}{2\om}} (a^\dagger + a) \, , ~~~ \hat{p} = i \sqrt{\frac{\om}{2}} (a^\dagger - a)     \tag{1.3} \]
新しい演算子 $a^\dagger$, $a$ はそれぞれ生成演算子、消滅演算子として知られている。上の関係式から $a^\dagger$ と $a$ は
\[    a = \sqrt{\frac{\om}{2}} q + i \frac{p}{\sqrt{2 \om}} \, , ~~~ a^\dagger = \sqrt{\frac{\om}{2}} q - i \frac{p}{\sqrt{2 \om}}     \tag{1.4} \]
と表せる。これ以降、上に倣って演算子を表すハットは省略する。交換関係(1.2)より
\[    [a , a^\dagger ] = 1  \tag{1.5} \]
が分かる。これはハイゼンベルク代数の別の表現とみなせる。式(1.4)より直ちに
\[ \begin{eqnarray}    a^\dagger a &=& \frac{\om}{2} q^2 + \frac{p^2}{2 \om} - \hf \, ,    \tag{1.6} \\    H &=& \om \left( a^{\dagger} a  + \hf \right)   \tag{1.7} \end{eqnarray}\]
が得られる。演算子 $a^\dagger a$ が正であることは関係式
\[   \bra \al | a^\dagger a | \al \ket = \sum_{\la} \bra \al | a^\dagger | \la \ket   \bra \la | a | \al \ket   = \sum_\lambda \vert C_{\lambda \alpha}\vert^2 \ge 0    \tag{1.8} \]
から分かる。ただし、$| \al \ket$と$| \la \ket$ は任意の状態を表し、$C_{\lambda \alpha} = \bra \la | a | \al \ket$, $C^*_{\lambda \alpha} = \bra \al | a^\dagger | \la \ket$ である。また、完全性の関係式 $\sum_\lambda | \la \ket \bra \la | = {\mathbb 1}$ を用いた。基底状態は $a^\dagger a$ の期待値を最小化することで得られる。式(1.8)から可能な最小値はゼロとなるので任意の $|\la \ket$ に対して $C_{\lambda 0} = \bra \la | a | 0\ket = 0$ が必要となる。したがって、次のように指定することで基底状態 $| 0 \ket$ を定義できる。
\[    a | 0 \ket = 0 \, , ~~~ H | 0 \ket = \frac{\om}{2} | 0 \ket   \tag{1.9} \]
このような状態が存在することを以下に示す。$x$-対角化された基底ではこの方程式は $\bra x | a | 0\ket = 0$ と書ける。式(1.4)の $a$ の表現を使うと、この式は
\[   \left( \sqrt{\frac{\om}{2}} x +  \frac{1}{\sqrt{2 \om}} \frac{\d}{\d x} \right)    \bra x | 0 \ket = 0    \tag{1.10} \]
と書ける。この式の解は
\[ \bra x | 0 \ket = C \exp \left( - \om \,\frac{x^2}{2} \right) \tag{1.11} \]
で与えられる。ここで、$C$ は規格化定数である。基底状態について規格化可能な波動関数が得られたので、基底状態 $| 0 \ket$ が存在することが保証された。

2024-01-16

MathJaxではtabularが使えない、表作成はarrayで

LaTeXのtabular機能をWeb表示することが出来なくて困っていましたが、こちらを見てすんなり解決。数式表示にバグが出ているものとばかり思っていたのでなかなか気付きませんでした。

2024-01-05

アマゾンアソシエイトの画像が表示されなくなった件

ブログで表示されていたアマゾン商品の画像が見られなくなったので調べたところ今年から画像リンクが廃止されたとのこと。(2023年11月10日付けで発表されていたらしい。)これまで本の紹介などで多用していたので困りました。どうしようもないので商品画像のURLを取得して復旧することにしました。URLがない場合はテキストリンクに変更します。参考にしたサイトはこちら。量が多いので気長にやるか~。

2024-01-02

2023年末 伊勢、熊野

 下の子がお伊勢参りに行きたいというので冬休みを利用して母と3人で伊勢神宮へ。外宮参拝後に伊勢うどんで腹ごしらえしてから内宮へ。

2023-12-22

最近読んだ本:ゲノムでだどる古代の日本列島

DNA解析により考古学も科学として扱われてきたことは2022年のノーベル賞(医学・生理学賞、ペーボ博士)のニュースで知っていました。日本の研究はどうなのか気になり第一人者の斎藤成也先生の最新刊を購入。 


いざ手に取ってみると読みたかった斎藤先生の話は最初(第0章)だけで残りは関連分野のほかの研究者の話でした。DNA解析で日本人の特徴としてインドのアンダマン諸島やチベットの人たちと共通した成分があるとの話は聞いていたのですがそのあたりの分析はありませんでした。0章では縄文・弥生時代に3段階にわたり渡来人が流入してきたことと日本列島内でDNA分布の二重構造があることが説明されていました。都道府県別のDNA成分分析は初めて見たので興味深かったです。兵庫、群馬、埼玉、栃木、大阪に類似性があることに驚きました。徳島、島根、鳥取、高知、福井の異質性も古代史と関連付けると興味深い。読者それぞれゆかりのある地域の分布がどうなっているか見てみるだけでも楽しいと思います。

そのほかの章は飛ばし読みでしたがDNA解析がどのように考古学や人類学の研究に用いられているのかを垣間見ることができました。今後も考古学、古代史についての科学的な結果・証拠が多く発表されることを期待します。

2023-12-21

最近読んだ本:中東問題再考

残念ながらパレスチナのテロ組織ハマスとイスラエルとの戦闘状態が続いています。パレスチナ問題について私はロシア・ウクライナ問題以上に無知なので、何かないかと探して手に取ったのが飯山陽著『中東問題再考』


電子書籍で読みました。現地での生活経験もあり長年イスラム世界について研究されているだけあり貴重な情報が得られました。私の限られた海外経験からなんとなくそうかなあと思っていたこと(例えば、イスラム教は寛容性に乏しいとかイスラム世界では女性が自立しづらいとか)がいくつか実例も含めて説明されていました。

以前、ランチの際にイスラエル人の物性理論の先生がパレスチナ問題について熱く話していたのでそもそも西側がサイクス・ピコ協定とか勝手に結んだのが原因ですよねみたいな教科書的なコメントをしたら、何故か烈火のごとくまくし立てられてこの問題に他人が口を挟むなみたいな感じで圧倒されました。それ以来、中東問題について余計なことは言わないようにしています。『中東問題再考』を読んでみてやはり中東については関わらないほうが賢明だと再認識しました。最近大活躍中の飯山さんには今後も精力的に忌憚なく活動してもらいたいと思います。

2023-12-20

最近読んだ本:地図と拳

妻が友達から借りたという小川哲著『地図と拳』


久しぶりにハードカバーで読みました。かさばるけどデジタルより読みやすいし、誰かにあげることもできるのでやはり紙はいいですね。内容は日露戦争から第二次世界大戦までおよそ半世紀にわたる満州のある都市の興亡についてでした。満州については以前こちらで紹介した『五色の虹』
 

を読んだのでその時の話を思い出しながら読み進めました。タイトルに「地図」が入っているものの話のメインとなる都市の地図が全く出てこないので不親切だなあと思いましたが途中でこれはわざと載せないということか、読者の想像にゆだねているのだなと理解しました。地図といえばロシア語で都市地図のことをプラン・ゴーラダ (план города、直訳すると計画都市) と言うんだよな、なんて気になりながら読み進めていると最後に少し関連する記述があり個人的には楽しめました。