2020-05-12

Weight-2 dim-1 modular forms with prime levels up to 100

重さ2、次元1でレベルが100までの素数で与えられる保型(モジュラー)形式を調べました。LMFDB計算結果をこちらにまとめておきます。保型形式を$q$-展開したときの係数 $a_p$(ヘッケ固有値)のリストです。この係数は素数の係数だけからすべて求まるので $p$ として100までの素数を選んでいます。保型形式のレベル $N$ も100までの素数に限定しています。なので $p \ne N$ のとき $gcd(p, N)=1$ です。重さ2の保型形式の場合、解析的ランク(analytic rank)は0か1で与えられ、0と1の場合それぞれについてリストを作成しました。ただし、ここで解析的ランクとは保型形式の$L$-関数の解析的ランクのことで、詳しくはこちらを参照ください。

List of $q$-expansion coefficients $a_p$ for weight-2 dim-1 modular forms with analytic rank 0

$p$ \ $N$11171937677389
2-2-100211
3-10-21-202
51-23022-2
7-24-1-1-202
111033-4-2-4
134-2-4-42-62
17-21-36326
190-41278-2
23-1406942
290666-52-6
3174-4-4-10-26
373-221-1-610
41-8-6-6-906-6
43-64-18-2-22
4780-33-1612
53-6612-31010-6
595-12-6129-6-10
6112-10-18-2-14-6
67-74-4-41812
71-3-46-15004
734-6-711-7110
79-10128-10-8-4-12
83-6-41294-14-6
891510-1267-61
97-72880-10-18

$gcd(m,n)=1$のとき $a_m a_n = a_{mn}$ なので $a_N = 1$ から一般に $a_n$ には$N$倍についてのスケール不変性があることがわかる。$N=11$の場合は、$a_5 = 1$ でもあるため $mod ~ 5$ の性質もあることがわかる。実際、こちらのサイトによると$N=11$の場合は $a_p \equiv p + 1 ~ (mod ~5)$(ただし、$p \ne 11$)となることが Ramanujan によって証明されているそうです。同様にして、$N=37$の場合は $a_p \equiv p + 1 ~ (mod ~3)$(ただし、$p \ne 37$)、$N=73, 89$の場合は$a_p$ $(p \ne N)$ が偶数となることが分かる。また、$N = 17$の時も $a_2 = -1 \equiv 1 ~ (mod ~2)$ なので $a_p$ $(p \ne 2, 17)$ が偶数となる。

なお、これらの係数は $| a_p | \le 2 \sqrt{p}$ を満たすことが知られているが(一般の重さ $k$ の場合は $| a_p | \le 2 p^{\frac{k-1}{2}}$ )、上のリストもすべてこの条件を満たしていることがわかる。例えば、$|a_p|$が比較的大きい $N=37 , ~ p=71$ の場合も $|a_{71} | = 15 < 2 \sqrt{71} = 16.85  \cdots $ となっている。

次に analytic rank 1 の場合は以下の通り。

List of $q$-expansion coefficients $a_p$ for weight-2 dim-1 modular forms with analytic rank 1

$p$ \ $N$374361798389
2-2-2-1-1-1-1
3-3-2-2-1-1-1
5-2-4-3-3-2-1
7-101-1-3-4
11-53-5-23-2
13-2-513-62
170-34-653
190-2-442-5
232-1-92-42
296-6-6-6-70
31-4-10-105-9
37-108-2-11-2
41-955-10-20
432-1-84-8-7
47-94470-12
5315-5686-3
598-129-354
61-82-1-456
678-3-78-212
7192-8152-10
73-12-11207
794-83-114-6
83-15154-6-112
894-4-4-70-1
9747-14-19-8-18

この時は $a_N = -1$ となるため、係数に$mod ~ N$の性質が陽に表れることがないと予想できる。ただし、$N=61$のときは $a_{7} = a_{13} =1$ なので他の場合よりも係数の規則性(巡回性)があり、扱いやすいはずである。とはいえ、解析的ランク0の場合もよく分かっていないので、まずはそちらの理解を深めたいと思います。

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