の2本です。『父』は作家の小林恭二が亡くなったお父様のことについて調査・インタビューした内容をまとめた小説というよりエッセイで、とくに後半の体験談を交えたエピソードの連続からは著者の書きたいという思いが伝わりとても印象深い作品でした。例外的な人物でしょうが戦前のエリートの実像・虚像を知ることのできる貴重な本です。このような人には実際に会う機会がないとホントに居るのか実感がわかないし、読んだだけではなかなか頭で理解できないと思います。その意味でこの作品を小説と考えるのは妥当でしょう。ただ、私も著者と同様に小学校から大学まで神戸と東京で育ったので、神戸だったらこういう人いただろうなとなんとなく想像がつき興味深く読みました。
三浦綾子の『母』は3回ほど読み直しています。一度、家族にも聞いてもらいたくて全編音読したことがありますが迷惑だったかも。私は三浦綾子のあまり熱心な読者ではありませんが『道ありき(青春編)』
は独身の時いまの妻に薦められて読んだのですが衝撃的でした。その後、『道ありき』の続編や『塩狩峠』など読みましたがこのままいくと入信しないといけなくなると思いやめてしまいました。でも、個人的には女性作家の中では一番好きな作家です。2017年の夏に北海道へ家族旅行した時、旭岳からの帰りに子供たちが2日連続して旭山動物園に行きたいというので2日目は妻に任せて私は単独で旭川市内の
三浦綾子記念文学館を閉館まで堪能してきました。翌日、男性作家で一番好きな
井上靖の記念館にも訪問し、その足で(というか車で)『母』の舞台となった小樽まで行き、
水族館で迫力のあるトドのショーを見たのは良い思い出です。
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