2018-09-27

Mathematical Reviews への寄稿を振り返って

アメリカ数学会が運営している論文データベース Mathematical Reviews への寄稿依頼を初めて受けたのは2009年6月でした。学位取得してから数年しかたっておらず、研究機関にも属していないフリーの研究者で、数学を専門にしているわけでもない私に依頼が来るとは相当人材難の状況なのだろうと容易に推測できましたが、私にとっては民間就職して学位とは全く関係のないプログラミングに四苦八苦している最中だったので専門知識が活かせる唯一の依頼であったし、ともすると研究から離れがちになる気持ちを繋ぎとめてくれる救いのようなオファーだったので、ありがたく受けることにしました。初めのころは張り切って寄稿していましたが、そのうち一度に複数の論文のレビューを行うことに負担を感じ始め、専門分野と違う論文もちらほら回ってきて苦労しました。それでも当初は、いい勉強の機会だしトレンドに置いておかれまじと出来る範囲で関連論文を読んで対応していましたが、やはり次第に負担になってきて、期限ぎりぎりで書き上げることが多くなってきました。また、無理して書き上げるとどうしてもあまり深く理解しないままヤッツケ仕事のような感じになり自分でも楽しくなくなってきたので、途中から一度の依頼での論文数を1つだけにしてもらうことにして、興味のない分野や自分の専門とかけ離れている論文については積極的に受け付けないことに決めました。それでも、なぜか定期的に論文が回ってくるのでこれまで続けてきました。2011年の震災の直後に数ヵ月依頼が来なかった期間がありましたが、その間は震災後の状況を慮ってくれたようで、もし再開しても大丈夫なら連絡くださいとのメールが編集者の方から来たときには、アメリカ的な気遣いに感謝しました。

そんなレビューも積もり積もって今日でとうとう99回目を終えました。これまでのレビューリストはこちらを参照ください。論文だけでなく教科書のレビューも2度行いました。1度はすでに購入済みのものだったので送ってもらいませんでしたが、今考えるともう一冊コピーとして送ってもらえばよかったです。次回は100回目の大台にのります。100回終わったらいい区切りなので、ブログで数式表示もできるようになったことだし定期的に気になる arXiv をレビューしていこうかなとも考えていますが、そんなことを宣言すると負担にもなるし、Mathematical Reviews を辞めたらやめたで(研究)生活がこれ以上怠惰になりそうなのでもう少し続けてみます。INSPIREによると自分の論文の中にもレビューされているもの(AMS MathSciNet へのリンクがあるもの)があるようなので一度どのように評価されているか知りたいですが、研究機関のIPアドレスからでないとアクセスできないためまだ閲覧できていません。ガッカリするようなことが書いてありそうでドキドキですが、機会があったらいつか見てみたいです!

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