2020-11-20

電動髭剃りの蓄電池交換

20年以上使っている電動髭剃り ナショナル充電式シェーバー(ES8068)

の蓄電池がすぐに切れるようになったので交換することにしました。最近あまり切れ味が良くないのでこれまでと同様に替刃

を購入して対応していたのですが、さすがに蓄電池がダメになっていることに気付き調べてみるとドンピシャのサイト

https://ar75ts.exblog.jp/19061122/

があったのでこちらを参考にして蓄電池を購入しました。

https://store.shopping.yahoo.co.jp/up-b/es8068l2507n.html?sc_i=shp_pc_search_itemlist_shsrg_title

先日配送されたので早速入れ替えて充電してみると新品に戻ったように動いてくれました。これで髭剃りの時間がだいぶ短縮されます。古い蓄電池は近くのコジマ電気でリサイクル廃棄してもらいました。

シジュウカラの巣箱掃除2020 vol.2

 先週シジュウカラの巣箱を掃除しました。夏に掃除したのとは別の巣箱です。



ヒナは全員巣立ってくれたようです。底板が外れそうになっていたので補強しました。


中を洗って天日干し。


乾いてから以前の場所に取り付けました。


来年も巣作りしてくれるいいのですが、どうでしょう。

2020-11-02

マイナカード更新、マイナポイント申請・取得

 9月にマイナカードを更新しました。5年前に作成してから初めての更新です。運転免許書と同様に誕生日の1ヵ月前に案内が送付され市役所で更新手続きをしました。次回も5年後の更新で、電子証明書の更新も兼ねるとの説明を受けました。さて以前6月に書いたマイナポイントの申請ですが、9月に三井住友カードのVポイント

https://www.smbc-card.com/mem/cardinfo/cardinfo9002196.jsp

というのに申し込みましたが、ようやく10月末に5000ポイント加算されているのを確認しました。どうせならポイントではなく現金で口座に振り込んでくれたほうが良かったのに。マイナカードの普及を促すのであれば、その方が効果があると思うのですが何か問題あるのでしょうか?

LIXIL/INAX シャワートイレ交換

 9月のことになりますが在宅中にブレーカーが落ちることが続いて、配電盤にあるスイッチをいじって原因を探りましたが、浴室・洗面所(洗濯乾燥機あり)・トイレのどこかの配電に問題があることはわかったものの何が原因なのか自力では特定できず、このままでは生活に支障があるため久しぶりに動揺しました。幸い午前中で自宅には私しかいなかったので、とにかく緊急事態なのでネットで業者さんを呼ぶことにしました。「三鷹 ブレーカー」で検索を掛けると

https://localplace.jp/t100214193/

が出てきたのでとにかく電気が落ちるとネットも使えなくなるので案内された 0120-966-047 に電話しました。すると当初2,3時間後に来るとの話でしたが、昼前に来てもらうことになりました。瑞穂町の電気工事屋さんがちょうど移動中だったので寄ってくれたそうです。検査前に料金の説明をしてくれました。どうやら2万円はかかりそうでしたが、このような状況なので言い値でやってもらうしかありません。初めてのことで相場もよく分からないので吹っかけられるのは覚悟で調べてもらうと、なんとトイレのウォシュレット否シャワートイレの電気系統に問題があるとのこと、2階のシャワートイレのコンセントを抜くと正常値になったので、2階のシャワートイレの中の回路がショートしているようでした。そんなことでブレーカーが落ちるのかと疑問でしたが、コンセント自体には問題が無いので機械を交換すれば問題ないとのことでした。

このシャワートイレは引っ越してきたときからあるものでおそらく12年は経っています。1階にも同じものがあるのですがそちらは大丈夫でした。確かに2階のトイレはシャワーが出るまでに異常に時間が掛かることがありおかしいなあと思っていましたが、まさかここまで大事になるとは思いませんでした。洗濯乾燥機あるいは浴室の乾燥機に問題があるのかと予想していたので意外でした。電気屋さんによると家屋の配線に異常がなくてよかったとのこと。その場合は壁を剥がしたりして工事が大変になるそうです。とりあえず原因が特定できて一安心でしたが、料金は3万円プラス消費税33,000円で、手持ちが無かったのでカード払いをお願いすると34,650円になりました!う~~ん、言い値だからしょうがない!??ちょっと値切ろうかと思ったけど辞めておきました。

シャワートイレの型番を調べると INAX CW-H22 BN8(オフホワイト)でした。引っ越す前の借家で妻が2人目の子を妊娠した際にパナソニックのウォシュレットを購入・取り付けたことがあったので、早速近所の電気屋(コジマ電気)に行ってINAXの後継機を探しに行きましたが、グレード高めのものが1点だけしかなかったのでネットで購入することにしました。調べてみると LIXIL/INAX シャワートイレ RGシリーズ オフホワイト CW-RG2/BN8


というのが2万円以下だったので、これにしました。取り付け案内のサイト


もありとても参考になりました。

取り付け自体は後日になりましたが、事の次第を帰宅後の妻に話したところ漏電チェックにそんなにとられるのはおかしい、実家の義母が言うには東京ガスで電気料金払っている場合は電気トラブルのサービスを無料で受けられるはずとのことでした。電気を東京ガスに切り替えたのは我が家の方が早かったのですがその時はそんなサービスあるなんて聞いていませんでした。しかし、調べてみると確かにありました!


ブレーカーが落ちるなどの電気トラブルについて60分以内の一次対応原因調査費が無料になるとのことです。何それ~、聞いてないよ~~!あの34,650円はもしかして払わずに済んだのでしょうか。とんだ判断ミスでした。これからは電気トラブルの際はとりあえず東京ガスの専用ナビダイヤル0570-002-009(24時間365日受付)に掛けることにします!読者の皆さんも万一の電気トラブルの際は焦らずに電気供給会社に先ず問い合わせてみてはいかがでしょうか。

2020-11-01

シングルス市民大会 2020

 今年のシングルス市民大会が終了しました。結果は一勝一敗で2回戦敗退でした。先月からシングルスの練習を週2回ぐらい続けてきたので少しは成果が出ましたが、二回戦の相手は以前にも対戦したことのある上級者だったため今思い返しても単純に実力負けでした。1セットマッチで一回戦は6-3、二回戦は2-6でした。一回戦はサーブを2ゲーム落として危なかったですが、いいサーブを打つことよりも確実にファーストサーブから入れていくことを意識してから力みが無くなりリズムが出てきたのでよかったです。二回戦は相手のサーブが良すぎでリターンミスしたり、返球が短くなったところをすかさず決められる展開(いわゆる3球目攻撃)でなかなかストローク戦に持ち込めなかったのが主な敗因です。結局サーブを2回キープすることしかできませんでした。相手のサーブゲームで全くプレッシャーを掛けられずズルズルと相手のペースになってしまいました。リターンを深めに返すことを意識してからもストロークの中で甘い返球をことごとくコースに打ち込まれてどうにもなりませんでした。ネットプレーでのミスも重なり流れを変えられず結局力負けでした。反省点としては、もう少し気合をいれて気持ちを前面に出していけばよかったなということです。4ゲーム終了時でこのままでは負けるなと感じて、そのまま納得してしまったような気がします。確かに全てで劣っていたかもしれませんが、メンタルだけは負けないようにすればもう少し粘れたのではないか。相手も油断してミスしてくれるかもしれないし、試合は終わるまで分からないのだから諦めるのが早かった。1ポイント1ポイントもっと集中して自分のできる限りのショットを打つように意識しないと強い相手にはいつまでも勝てません。これからは最後まであきらめないことを課題にしたいと思います。

2020-10-30

首都高湾岸線 本牧埠頭から幸浦までの制限速度を100km/hに上げてくれませんか!

芸能人が交通事故を起こしてニュースになっています。千駄ヶ谷でUターンしたときに二人乗りのバイクに衝突したとのことですが、私も最近バイクで都心に行くこともあるので二人乗りで衝突されたら怖いなあ、いや死ぬかもしれないなあと思いました。先日、三鷹から甲州街道経由で新宿に入った際に警察にとめられて、もしかしてスピード違反で捕まったかとドキドキしながら誘導に従ったところなんとバイク事故が多いので注意喚起のためティッシュを渡しているとのことでドッと緊張が解けたことがありました。というのも、その数週間前に車で鎌倉の両親の所に行った際、首都高湾岸線の幸浦の手前でスピード違反で捕まり、15000円の罰金を払ったばっかりだったからです。制限速度80km/hのところ103km/hで捕まりました。

私は以前にも同じ場所でスピード違反で捕まっていますが、その時は114km/hでした。(警察に捕まったのはそれ以来、まさか同じ場所でやるとは!)その時は2015年夏の北海道旅行から帰ったばかりで北海道の道路と同じ感覚で運転していたのが良くありませんでした。ただ、本牧ふ頭を越えてから幸浦までは交通量もぐっと減り、片側3車線なので100km/h前後で走っても安全性には充分に余裕があるはずです。あの区間を80km/hに制限する理由が全く分かりません。とはいえルールなので5年前からはこの区間を走る際には注意していました。今回は3車線の真ん中を走っていたのですが幸浦に近づいたのでもう大丈夫だろうと追い越し車線からトラックとセダンを追い越したところそのセダンが覆面車両でした!といっても80km/hから100km/hに上げただけだし、追い越し車線でで速度が上がるのは仕方がないはずなので、警察の方に言い訳したところ、追い越した後もスピード落ちませんでしたよねと言われてしまいました。普通そんな直ぐスピード落とすか~、運動エネルギー勿体ないじゃんと少し思いましたが子供じみているので止めにして、以前から疑問に思っていること、そもそもこの区間が制限速度80km/hというのがおかしいんではないでしょうか?とストレートに聞いたところ、首都高全体で80km/h以上で走ってはいけないと昔から決まっているのでとのことでした。

https://www.totokyo.or.jp/safety/topics/file/anzensoukousienguid/p24_25-syutokoseigensokudozu.pdf

確かにそうですけど、現状に即していないですよね。ベイブリッジ付近では80km/hの制限速度を守っている車両はほとんど無いように見受けられます。むしろ車の流れに沿って100km/h前後で運転する方が流れの滞留を生まずにすみます。道路構造も車両も進化しています。また、道路交通の国際化を考慮しても、昔からの慣例だからと交通ルールを変更しないのは行政の怠慢ではないでしょうか?現状に即したルール変更をお願いします!

2020-10-13

日本学術会議改革でILC誘致へ前進か?(10兆円規模の研究基金創設、政府主導のILC誘致へ期待)

 菅(すが)首相による推薦候補者の任命拒否をきっかけに最近話題沸騰中の日本学術会議ですが、このブログではILC(国際リニアコライダー)誘致の意思決定にかかわる日本学術会議の動向に注目してきました。今年2月のエントリー「ILC誘致は内閣主導で!(もはや学術界の意見集約は困難)」で紹介したように、ILC誘致に行政・民間が推進に向け力強いメッセージを発している中、学術界の取りまとめ(学者の国会?!)である日本学術会議がILC誘致に否定的な声明を発表したのはとても残念でした。以前のエントリーを引用すると、

学術会議としてはILCは強くは推薦できないという従来の提言を踏襲したものとなっています。結局、政財界からの後押しがあったのに学術界が一枚岩になってILC推進に動けなかったというとても残念な結果になりました。今後ものらりくらりと時間だけが過ぎていくのでしょうか?

との印象は未だ変わりません。ただ、今回の騒動で学術会議のあり方に様々な意見が出たこと及び学術会議の会長にニュートリノ質量の発見でノーベル賞を受賞した梶田先生が選ばれたことから、素粒子実験の大型プロジェクトであるILCの誘致が一気に加速するのではないかと期待しています。東京オリンピックの開催もまだ不透明な中、ILC誘致を次の国家プロジェクトとして官民学が連携して取り組んでもらえればと思います。これまで同様、学術界の意見集約が難しいようであれば行政改革を推進する内閣主導でILC誘致に向けて動き出してもらえないでしょうか。国際理解・平和貢献・科学技術立国といったキーワードでILC誘致を丁寧に説明すれば国民はみんな納得すると思います!

追記:既に研究支援のための10兆円規模のファンド創設が閣議決定されているそうです。例えば、こちらこちら。年間で数千億円の支援ができるそうなのでILC建設費用の約8千億円もこのファンドがあれば問題ないでしょう。つまり学術会議が懸念している予算問題も解決するのでILC誘致に向けた日本政府による公式な意思表明が来年にも発表されると思います。

2020-10-11

2020年ノーベル物理学賞にペンローズと他2名

他の2名がオマケみたいなタイトルになってしましましたが、個人的な印象なのですみません。他の2名は我々の天の川銀河の中心にブラックホールがあることを観測的に実証した Reinhard Genzel, Andrea Ghez 両博士です。

銀河の中心にブラックホールがあるということは最近の観測成果として聞き及んでいましたが実際には誰の仕事なのか知らなかったのでこの機会に知ることが出来てよかったです。おめでとうございます!

さて、ペンローズについて初めて知ったのは大学に入って読書家の友人が『皇帝の新しい心』を薦めてくれた時です。頑張って原文のペーパーバックを購入して読み進めたのですが途中で忙しくなって止めてしまいました。表紙にデジタル表示された(多足のICチップを王冠に見立てて被っている)皇帝が描かれており今でも記憶に残っていますが、さすがにそのバージョンはもう売っていないようです。


今では電子書籍で読めます。

ペンローズの名前は一般相対性理論や宇宙論を勉強したときに何度も目にしました。今回の授賞理由になったペンローズ・ホーキングの特異点定理やペンローズ・ダイヤグラムなど一般相対論やブラックホールの物理学を扱う教科書には必ず出てきます。個人的にはペンローズと言えばやはりツイスター空間の提唱者としてなじみ深く、その教科書



は今でも手元に置いています。ツイスター空間の真髄は複素構造を持たない4次元時空を$\cp^3$すなわち4次元球面$S^4$上の$S^2$束(バンドル)を用いて表現するという手法で、これにより4次元時空に正則性を導入できるというのがミソです。つまりツイスター空間を使うと4次元の物理量を2次元スピノールの組み合わせで表すことができ、2次元の物理、特に弦理論との関連で発展が著しい2次元共形場理論の知識を適用することが出来ます。私の指導教官だったナイアが1988年にツイスター空間を用いるとある種のグルーオン散乱振幅が簡単に求まることを示しました。2003年の暮にウィッテンがこの結果を発展させる論文を発表してからツイスター空間を用いた散乱振幅の計算に飛躍的な進歩がみられました。このあたりの話についてはこちらで解説したので参照してください。

この発展を受けて2005年の年始にオックスフォードで Twistor string theory workshop というのが開催されました。ナイアが発表するというので私も参加させてもらいましたが、その時、直接ペンローズの講演を聞けたのはいい思い出です。末席からではありますが一流の学者たちの歓談の様子に触れることができ、感激したことを覚えています。感激の記念にと当時出版されたばかりのペンローズの新著 The Road to Reality をハードカバー(30ポンド)で購入しました。


1000ページ以上もある大著でかさばってしょうがなかったけどオックスフォードからニューヨークまで持ち帰りました。折角なので飛ばし読みしましたがさすがにフォローしきれませんでした。後日、ナイアにこの本の話をしたら参加者の間でもこの本が話題になっていたそうで素粒子の標準理論の章で一部不適当な記述があるとのことでした。確認したところ確かにカビボ角を中性$K$中間子系の解析の中で説明するというおかしな記述がありました(手元にある初版では25.7章の650項)。以前、一連のエントリーで紹介したとおり中性$K$中間子系の話はクォークが3世代の場合に弱い相互作用での$CP$対称性の破れることを示すのにもちいられるもので、2世代モデルのカビボ角とは関係ないはずです。素粒子物理の現象論のややこしい話はさすがのペンローズでも混乱したのかなと当時思ったものです。おそらく改訂版では修正されていると思いますが、まだ確認していません。今では電子書籍


もあるのでスマホひとつでペンローズの大著を読めるようになりました。15年前とは隔世の感がありますね。ペンローズの研究の集大成のような本なので興味ある方は是非電子書籍で購入されてみてはいかがでしょうか。2820円であの分量は安いと思います。私はペンローズは数学者・数理物理学者でノーベル物理学賞には縁が無いのかなと思っていたので、今回の受賞には驚くとともに嬉しかったです。ペンローズ博士、おめでとうございます!将来おそらくツイスター空間の提唱でもう一度受賞できるはずなのでそれまで長生きしてください。

2020-09-25

最近のarXivから:2008.11261

前回の続きです。ナイアの最近の論文 "Matter-gravity coupling for fuzzy geometry and the Landau-Hall problem"

https://arxiv.org/abs/2008.11261

をフォローします。前回は Jackiw-Nair-Pi-Polychronakos 流体モデルの発展に関するものでしたが、今回はファジィ空間における物質場(ファジィ空間で表される物理系と結合する自由度)についての考察です。そのような物質場の有効理論はある種のチャーン・サイモンズ作用で与えられるというのが結論ですが、そのチャーン・サイモンズ項が一般にディラック指数密度で特徴づけられるとのことです。そこで、ディラック指数密度(Dirac index density)って何?ということになりますが、これはドルボー指数密度(Dolbeault index density)から複素構造を除いたもののようです。物質場の無い場合、ファジィ空間の背景場の揺らぎの有効理論はこのドルボー指数密度と関連したチャーン・サイモンズ項を用いて記述できることが、Karabali-Nair によって指摘されていました。

https://arxiv.org/abs/1604.00722

今回の論文は、同様な物理系において物質場と重力の相互作用がどのように現れるかを複素構造を持たないより一般的な場合にも拡張して調査したものであり、先行研究について知識が無いと読み進めるのに苦労すると思います。私も参考文献を読み返したりしているうちにいつの間にか一週間経ってしまいました。さすがにこれ以上放っておいても埒が明かないので強引にまとめてみます。

まず、なぜドルボー指数が出てくるかというと、論文(10頁)でさらっと触れていますが、ファジィ空間上での物理系における正則偏極(holomorphic polarization)条件から、系の状態数が反正則微分の核(カーネル)の次元に対応しているため、この状態数はドルボー作用素の指数定理からドルボー指数で表されるからです。具体的にファジィ$S^2$, $\cp^2$空間の場合についてドルボー指数密度が書き下されています。ただし、物理系の時空間は$\M_F \times \R$($\M_F$がファジイ空間、$\R$が時刻)で表される。これらのドルボー指数密度は$U(1)$ゲージ背景場$A$の場の強さ$F=dA$と背景場の曲率$R=d \om$($\om$はスピン接続)で記述され、これらに対応するチャーン・サイモンズ作用は$A$, $\om$の関数として与えられる。この時、問題となる物質場の動力学はチャーン・サイモンズ作用の$A$を物理系のラグランジアン密度分だけシフトさせることで得られるというのが、この論文の要旨である。ただし、論文では量子ホール系との関連からハミルトニアンを使ってポアンカレ・カルタン形式(Poincare-Cartan form)という用語が出てくるが、これは物理系のラグランジアン密度と解釈するほうがすっきりする。

さらに、ドルボー指数密度に替えて、ディラック指数密度を用いるとより一般化された背景場についても同様の議論を行うことができる。これらの結果から対象となる物理系において物質場のダイナミックスは$S_{eff} = \int \rho (A, \om) \L$という有効理論で記述できることが分かる。ただし、$\rho$は指数密度で与えられ、$\L$は系のラグランジアン密度である。$S_{eff}$の具体的な形から、状態数が大きいとき(つまり可換極限では)物質場の有効作用において$U(1)$ゲージ場による項($F$で表される項)が優勢であるが、その次に優勢な項として曲率に依存した項($R$で表される項)が存在することが分かる。このような曲率依存項の存在は暗黒物質の問題と関連して興味深い研究対象となっている。

今回の論文では重力理論と量子ホール系さらにその背後にある数学的トピック(非可換幾何学、幾何学的量子化、指数定理)などが織り交ざり、これまでのナイアの研究の豊かさとその奥深さを垣間見た気がします。導出されたチャーン・サイモンズ項は重力理論と有限温度の場の理論でもある thermofield dynamics との関連

https://arxiv.org/abs/hep-th/0605007

からも理解できるとのことです。同じ日に流体力学についてのプレプリントも投稿されているしどんだけ守備範囲が広いのかと浅学の私はクラクラしてきました。今後もできる範囲で先生の論文をフォローしたいと思います。

2020-09-17

最近のarXivから:2008.11260

遅くなりましたが、先月末にナイアがプレプリントを連投していたのでフォローします。先ずは、"Topological Terms and Diffeomorphism Anomalies in Fluid Dynamics and Sigma Models"

https://arxiv.org/abs/2008.11260

から。毎度のことですがナイアの論文を読んでいると学生に戻った気分になり身が引き締まる思いです。今回の論文では、まずターゲット空間が$\cp^2$となる(2+1)-次元シグマ模型にトポロジカル項がある場合、エネルギー・運動量テンソルの交換関係にはそのトポロジカル項で表される異常項が現れること、そしてそれはターゲット空間の座標変換不変性に起因することが詳説されています。このシグマ模型との類推で、非アーベル型に拡張できる流体モデルにトポロジカル項を追加することを考えるというのがこの論文のメインテーマです。

ここで非アーベル型流体モデルというのは Jackiw-Nair-Pi-Polychronakos によって開発された手法です。私がナイアの学生だった頃にナイアがJackiw達と精力的に研究していたテーマで、私より一つ上の学生の研究課題でもありました。Brookhaven National Laboratory (BNL) でのクォーク・グルーオンプラズマの物理現象を解析することがモチベーションの一つだったと記憶しています。この手法では(流体)速度のクレブシュ表示 (Clebsch parametrization)をもちいて完全流体のラグランジアンを書き下すことにより理論の非アーベル化や量子化、また磁気ヘリシティや渦と言った物理量に関連する項についての考察が可能となります。非アーベル化について詳しくはこちらを参照ください。

さて、論文2008.11260ではこの(非アーベル化されていない)流体モデルにどのようなトポロジカル項が追加できるかを前出のシグマ模型との類推で考察したものです。具体的に3つのトポロジカル項が構成され、その一つは(2+1)次元の流体において知られている渦のダイナミクスを記述する有効理論を導くことが示されています。さらに(3+1)次元に拡張するとこのトポロジカル項が渦糸の流体力学を記述すること、また別のトポロジカル項をもちいると渦糸で表される結び目や絡み目の流体力学が記述できることが予想されています。ここでは、さらっと結果だけまとめましたが当然ながら実際にはそれぞれの場合について具体的にエネルギー・運動量テンソルの交換関係が計算されその物理的な意味が議論されています。