最近の場の理論の研究では量子コンピュータの概念(量子もつれや複雑性)との関連のトッピックが流行のようです。私はこの話には疎いので敬遠していましたが、レビューが回ってきたので読んでみました。(対象論文はこちら、レビューはこちら。)チャーン・サイモンズ理論の結び目状態の複雑性についての話です。複雑性といっても場の理論ではその定義からしてまだ決まっていないので色々な提案があるのですが、今回の論文はその提案の一つです。アーベル型の場合レベル$k$ チャーン・サイモンズ理論の結び目状態(あるいはリンク補空間状態)の複雑性はガウスの絡み数 (mod $k$) の差で定義できるとのことです。また、非アーベル型の$SU(2)_k$チャーン・サイモンズ理論の場合はジョーンズ多項式の情報と1つの結び目状態の複雑性から計算できるとのこと。非アーベル型の簡単な場合については数値計算も行われていました。
アーベル型の場合、結局は結び目の複雑性を計算しているので絡み数で表されるのは自然というか、それ以外の適当な指標が思いつきません。非アーベル型の場合はより複雑になりますが結び目理論との関係からジョーンズ多項式が出てくるのは納得できます。ただ、この「複雑性」というのが量子コンピュータでは(計算効率の観点から)重要な量であるのは何となく分かるのですが、ゲージ場の理論の物理量としてどう利用できるのかよく分からないままでした。今後もこのような研究が増えるのでしょうか?学部の時に色々迷ったあげく物理学科から情報科学科に移った友達(高木将通くん)のことをふと思い出しました。
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