10.1 共変微分、アイソメトリー、キリング方程式
リーマン多様体上の共変微分
前章でリッチ・スカラーの変分を計算する際に共変微分
DμVν=∂μVν−ΓλμνVλ
(Dμϕ)a=∂μϕa+ωabμϕb
と表せる。ただし、ωabμ はスピン接続である。8章では局所ローレンツ変換 ϕa→ϕ′a=Rabϕb のもとで微分が共変であることの要請 (D′μϕ′)a=Rab(Dμϕ)b からこの共変微分を導出した。
ここで、ϕaをフレーム場で展開する。
ϕa=eaαϕα
すると、(10.1)は
(Dμϕ)a=(∂μeaα+ωabμebα)ϕα+eaα∂μϕα=eaλ(∂μϕλ+Γλμαϕα)
と書ける。ただし、リーマン多様体の基本的な関係式
∂μeaα+ωabμebα=Γλμαeaλ
を用いた。(10.3)から ∂μϕλ+Γlaμαϕα は斉次テンソルであることが分かる。よって、リーマン多様体上の共変微分を
∇μϕα=∂μϕα+Γαμβϕβ
と定義できる。これは前章で定義した共変微分
DμVν=∂μVν+ΓνμαVα
に他ならない。以下では、共変微分をDμではなく∇μで表示する。ここでは微分の反対称化を課していない。そのため、∇μは対称共変微分とも呼べる。
つぎに、ϕαχαとして添え字の縮約を考える。ただし、χαは別のスカラー関数を表す。(10.2)に対応するχαの展開式は
χa=(e−1)αaχα
と表せる。よって、χαの共変微分は
∇μχα=∂μχα−Γβμαχβ
と定義される。これは冒頭の定義式(9.24)に対応する。
一般形のテンソル Tα1α2⋯αpβ1β2⋯βq に対する共変微分は
∇μTα1α2⋯αpβ1β2⋯βq=∂μTα1⋯αpβ1⋯βq+Γα1μαTαα2⋯αpβ1⋯βq+⋯+ΓαpμαTα1⋯αp−1αβ1⋯βq −Γβμβ1Tα1⋯αpββ2⋯βq−⋯−ΓβμβqTα1⋯αpβ1⋯βq−1β
と表せる。特に、計量テンソル gμν の共変微分は
∇αgμν=∂αgμν−Γλμαgνλ−Γλναgμλ=0
で与えられる。ただし、関係式
∂μgαβ=Γλμαgλβ+Γλμβgαλ
を用いた。これは共変微分が計量と互換性を持つことを意味する。つまり、gμνは共変計量テンソルである。
アイソメトリーとキリング方程式
計量 ds2=gμν(x)dxμdxν を不変に保つ座標変換
xμ→xμ+ξμ(x)
をアイソメトリーと呼ぶ。変換(10.9)のもとでds2の変化量は
(ds2)x+ξ−(ds2)x=ξα∂αgμνdxμdxν+gμν∂ξμ∂xαdxαdxν+gμνdxμ∂xν∂xαdxα=[ξα∂αgμν+gαν∂ξα∂xμ+gμα∂ξα∂xν]dxμdxν
と計算できる。よって、条件式
ξα∂αgμν+gαν∂ξα∂xμ+gμα∂ξα∂xν=0
が満たされるとき、ξμ はアイソメトリーである。この条件式はキリング方程式と呼ばれる。また、ベクトル ξμ はキリング・ベクトルと呼ばれる。計量 gμν が与えられると、(10.11)からキリング方程式を書き出すことができ、これを ξα について解くことでアイソメトリーが得られる。すなわち、アイソメトリーはキリング方程式の解である。
∂∂xμ(ξαgαν)+∂∂xν(ξαgμα)−ξα∂μgαν−ξα∂νgμα+ξα∂αgμν=∂μξν+∂νξμ−ξβgαβ(∂μgαν+∂νgμα−∂αgμν)=∂μξν+∂νξμ−2ξβΓβμν=(∂μξν−Γβμνξβ)+(∂νξμ−Γβνμξβ)=0
と変形できる。ただし、8章で出てきた関係式(8.31)、つまり
∂μgαν+∂νgμα−∂αgμν=2Γλμνgαλ
を用いた。これより、(10.6)の共変微分∇μを用いてキリング方程式は
∇μξν+∇νξμ=0
と表せることが分かる。
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