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2024-03-26

7. ボソン化とカッツ-ムーディ代数 vol.3

前回に引き続いてアーベル型ボソン化の話を進めよう。

ボソン場とフェルミオン場の一対一対応

前回導いた関係式
J(x)=ψ1(x)ψ1(x)=12π(x0x1)ϕ(x)
はフェルミオン・カレントJ(x)がボソンのスカラー場ϕ(x)の関数として表せることを示している。フェルミオン場ψ1(x)についても同様にψ1(x)をボソン場ϕ(x)の関数として表せるだろうか?アーベル型の場合、これは可能であり、マンデルスタムによる次の関係式が知られている。
ψ1(x)=Aexp(iϕ(x)+iπx1˙ϕ(x0,˜x1)d˜x1)eiΦ1(x)
ただし、Aは規格化定数。上式を用いるとψ1(x)ψ1(y)の反交換関係を次のように確認できる。
ψ1(x)ψ1(y)=A2eiΨ1(x)eiΦ1(y)=A2eiΦ1(x)+iΦ1(y)e12[Φ1(x),Φ1(y)]=ψ1(y)ψ1(x)
ただし、ϕの交換関係
[ϕ(x0,x1),˙ϕ(x0,y1)]=iδ(x1y1)
を用いた。また、演算子A, Bについて
eAeB=eA+Be12[A,B]
が成り立つことを用いた。ここで、[A,B]c数である。因子exp(iπx1˙ϕ(x0,˜x1)d˜x1)はクライン変換(7.8)で現れた因子exp(iπk<iNk)と類似した働きをすることに注意しよう。

 反交換関係(7.57)の導出は関係式(7.56)を
ψ1(x)=Aexp(iπϕ(x)+iπx1˙ϕ(x0,˜x1)d˜x1)
と置き換えても変わらない。また、スピノールのカイラリティからもう一方のスピノールψ2(x)
ψ2(x)=Aexp(iπϕ(x)+iπx1˙ϕ(x0,˜x1)d˜x1)
と定義できる。規格化因子Aは、例えば
ψ1(x+ϵ)ψ1(yϵ)=i2π1(x1+ϵ)(y1ϵ)i2π12ϵ    (x1y1)
から決定でき、A=12π(2ϵ)となることが分かる。これより、ψ1(x+ϵ)ψ1(xϵ) を計算すると
ψ1(x+ϵ)ψ1(xϵ)=12π12ϵeiΦ1(x+ϵ)eiΦ1(xϵ)=i2π12ϵei(Φ1(x+ϵ)Φ2(xϵ))=i2π12ϵ+12πx1Φ1(x0,x1)+O(ϵ)=i2π12ϵ12J(x)+O(ϵ)
と求まる。ここで、Φ1(x)
Φ1(x)=πϕ(x)+πx1˙ϕ(x0,˜x1)d˜x1
で与えられる。また、関係式(7.54)から
x1Φ1=π(x1ϕx0ϕ)=2πJ(x)
であることを用いた。同様に、関係式
ψ1(x+ϵ)ψ1(xϵ)=i2π12ϵ+12ψ1(x+ϵ)ψ1(xϵ)+O(ϵ)
が得られる。これは、前回紹介した同時刻における関係式
ψ1(x)ψ1(y)=i2π1x1y1+f(x1y1)O
の具体的な表現である。(つまり、ψ1を(7.59)で定義すると真空期待値がゼロとなる演算子Oは具体的にψ1ψ1と求まる。)

モード展開

 つぎに、(7.49)と同様にボソン場Φ1(x)のモード展開を考える。
Φ1(x)=k112k0L(akeik0x0ik1x1+akeik0x0+ik1x1)
ただし、ここではユークリッド計量を用いた。質量がゼロの場合(m=0)k0=k21+m2=|k1| であり、Φ1はスケール不変な演算子となる。このとき、Φ1(x)
Φ1(x)=12Lk11k(akeik(x0+x1)+akeik(x0+x1))
と書ける。ここで、空間方向を円周上にコンパクト化 0x12π (L=2π) して、Φ1(x)に周期性を課すと、モード展開は一般に整数 nZ で展開できるので、
Φ1(x)=14πn<01|n|(anein(x0+x1)+anein(x0+x1)) +14πn>01n(anein(x0+x1)+anein(x0+x1))+ϕ0=1πn>01n(anein(x0+x1)+anein(x0+x1))+ϕ0
となる。ただし、am=am, am=am (m>0) を用いた。また、自由ボソン場Φ1のゼロモードϕ0も含めた。ゼロモードϕ0の正準共役は π0=˙ϕ0 で与えられ、正準交換関係
[ϕ0,π0]=i
を満たす。ゼロモードの時間発展は ϕ0+π0x0 で与えられる。以前議論したようにψ1(x)
ψ1x0ψ1x1=0
を満たすので、ψ1(x)(x0+x1)の関数である。よって、関係式 ψ1(x)=ψ1(x0+x1)exp(iΦ1(x0+x1)) からΦ1(x)(x0+x1)の関数である。このことに注意すると、 上式でのゼロモードによる寄与は正しくは ϕ0+π0(x0+x1) で与えられることが分かる。Φ1のようにカイラル・フェルミオンと関係するボソンはカイラル・ボソンと呼ばれる。以上より、Φ1のモード展開は
Φ1(x0+x1)=n>01n(anein(x0+x1)+anein(x0+x1))+ϕ0+π0(x0+x1)
と再定義できる。

 前回言及したようにフェルミオン伝播関数0|ψ1ψ1|0はモード展開を利用して計算することもできる。ここでは上式を用いて伝播関数を計算する。通常用いられる手法は、上述の通り空間方向がコンパクト化されているとして複素変数
z=ei(x0+x1)
を導入して、zについての場の理論を考えることである。(1+1)次元でのこのような手法は動径量子化と呼ばれる。このとき、モード展開は
Φ1(z)=n>01n(anzn+anzn)+ϕ0iπ0logz
と表せる。(7.59)からψ1(z)ψ1(z)=exp(iΦ1(z)) と定義できる。ただし、規格化定数はΦ1に吸収した。よって、ψ1(z)|0を計算すると
ψ1(z)|0=exp(in11n(anzn+anzn))eiϕ0π0logz|0=exp(in1anznn)exp(12n11n)eiϕ0z12|0
となる。ただし、関係式(7.1), (7.58), (7.68)と真空状態の定義 an|0=π0|0=0 を用いた。因子n11nは明らかに発散する。真空期待値として有限な物理量をψ1(z)から得るには、eiΦ1(z)の正規順序積を用いてψ1(z)を再定義する必要がある。つまり、
ψ1(z)=:eiΦ1(z):exp(in1anznn)exp(in1anznn)eiϕ0eπ0logz
と定義し直す。この演算子は2次元共形場理論におけるカイラル・ボソンの頂点演算子に対応している。これより、伝播関数0|ψ1ψ1|0の計算は次のように実行できる。
0|ψ1(z)ψ1(w)|0=0|exp(in1anznn)exp(im1amzwm)eπ0logzeiϕ0|0=0|exp(n,mznwmnm[an,am])ei[π0,ϕ0]logz|0=exp(n11n(wz)n)z1=elog(1wz)z1=1zw
ただし、関係式
eAeB=eBeAe[A,B]
を用いた。z=ei(x0+x1)w=ei(y0+y1) を代入すると
1zw=1ei(x0+x1)ei(y0+y1)1(x0y0)+(x1y1)    (zw)
となる。これは以前に導いた伝播関数
S(x,y)=i2π1(x0y0)+(x1y1)
の結果と一致する。

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