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2024-03-18

7. ボソン化とカッツ-ムーディ代数 vol.2

前回に引き続いてアーベル型のボソン化を考える。(1+1)次元のフェルミオン場 ψ=(ψ1ψ2) はディラック方程式
ψ1x0ψ1x1=0,    ψ2x0+ψ2x1=0
に従う。フェルミオンのカレント J=ˉψγψ
J=ˉψγψ=(ψ1ψ1+ψ2ψ2ψ1ψ1+ψ2ψ2)(J0J1)
と計算できた。ここで、カレントJ±
ψ1ψ1=J0J12  Jψ2ψ2=J0+J12  J+
で定義し、これらのカレントの代数を考える。J
J(x)=ψ1(x+ϵ)ψ1(xϵ)
とおき、特異点の振る舞いに注意して計算の最後に ϵ0 の極限をとることにする。x, x±ϵは複合記号であり、それぞれx=(x0,x1), x±ϵ=(x0,x1±ϵ) を表す。このとき、J(x)の交換関係はフェルミオン場の同時刻反交換関係
ψ(x0,x1)ψ(x0,y1)+ψ(x0,y1)ψ(x0,x1)=0ψ(x0,x1)ψ(x0,y1)+ψ(x0,y1)ψ(x0,x1)=0ψ(x0,x1)ψ(x0,y1)+ψ(x0,y1)ψ(x0,x1)=δ(x1y1)1
を用いると
[J(x),J(x)]=[ψ1(x+ϵ)ψ1(xϵ),ψ1(y+ϵ)ψ1(yϵ)]=ψ1(x+ϵ)ψ1(yϵ)δ(xy2ϵ)    ψ1(y+ϵ)ψ1(xϵ)δ(xy+2ϵ)
と計算きる。ここで、δ(xy±2ϵ)
δ(xy±2ϵ)=δ(xy)±2ϵxδ(xy)+O(ϵ2)
と展開できるので、ϵ0 の極限で(7.25)がゼロとならないためには関係式
ψ1(x+ϵ)ψ1(yϵ)1ϵ    (xy)
を要請する必要がある。

(1+1)次元のフェルミオン伝播関数

上式のψ1(x+ϵ)ψ1(yϵ) を評価するには2通りの方法がある。1つはモード展開を利用するもので、もう1つはフェルミオンの伝播関数を用いるものである。ここでは、後者のアプローチを採用する。フェルミオンψ1の伝播関数は
 S(x,y)=0|ψ1(x0,x1)ψ1(y0,y1)|0θ(x0y0)          0|ψ1(y0,y1)ψ1(x0,x1)|0θ(y0x0) =0|[ψ1(x)ψ1(y)θ(x0y0)ψ1(y)ψ1(x)θ(y0x0)]|0 
と定義される。ここで、θ(x0y0)ヘヴィサイドのステップ関数
θ(x0y0)={ 1 (x0>y0)0  (x0<y0)
である。(7.28)の負号はx0=y0におけるディラック場ψ1の同時刻反交換関係に由来する。(7.17)で示したように、ψ1はディラック方程式
(x0x1)ψ1=0
に従う。つぎに、この方程式を用いてS(x,y)の微分を計算すると
x0S(x,y)=0|[θ(x0y0)ψ1(x)x0ψ1(y)θ(y0x0)ψ1(y)ψ1(x)x0]|0+0|[δ(x0y0)ψ1(x)ψ1(y)+δ(y0x0)ψ1(y)ψ1(x)]|0=δ(x0y0)0|{ψ1(x),ψ1(y)}|0=δ(x0y0)δ(x1y1)x1S(x,y)=0|[θ(x0y0)ψ1(x)x1ψ1(y)θ(y0x0)ψ1(y)ψ1(x)x1]|0
となる。ただし、関係式
x0θ(x0y0)=δ(x0y0)
を用いた。(7.31)と(7.32)から
(x0x1)S(x,y)=δ(x0y0)δ(x1y1)
となることが分かる。この解は
S(x,y)=d2p(2π)2ieip0(x0y0)+ip1(x1y1)p20p21(p0p1)=i(0+1)dp02πdp12πieip0(x0y0)+ip1(x1y1)p20p21G(x,y)
で与えられる。積分G(x,y)は、下図に示すようにp1からpE=ip1への解析接続を行うと、2次元ラプラス方程式のグリーン関数に変形できる。

p1からpEへのウィック回転

G(x,y)=dp02πdpE2πeip0(x0y0)ipE(i(x1y1))p20+p2E=14πlog((x0y0)2(x1y1)2)
ただし、解析接続を適切に行うには被積分関数の分母を (pE+ip0η)(pEip0+η) と理解しなければならない。ここで、ηは正の微小量であり、最終的に η0 の極限をとる。このような実軸から虚軸への回転はウィック回転と呼ばれる。

 (7.35), (7.36)から、S(x,y)
S(x,y)=i2π1(x0y0)+(x1y1)
と求まる。J+=ψ2ψ2 の場合も同様に
S+(x,y)=i2π1(x0y0)(x1y1)
が得られる。係数i2πは次のように確認することもできる。定数cを用いてS(x,y)
S(x,y)=c(x0y0)+(x1y1)=c(x0y0)(x1y1)(x0y0)2(x1y1)2+ϵ2
と表し、伝番関数の満たす方程式(7.34)からcを決定する。(7.34)は (01)S(x,y)=δ(2)(xy) を意味するので、両辺の積分をとると
c(01)dx0dx1x0x1(x0)2(x1)2+ϵ2=1
となる。左辺は次のように計算できる。
2cdx0dx1ϵ2[(x0)2(x1)2+ϵ2]2=i2cdx0dxEϵ2[(x0)2+(xE)2+ϵ2]2=i2c0πdr2ϵ2(r2+ϵ2)2=i2πc
ただし、x1からxE=ix1へのウィック回転を用いた。(7.40), (7.41)から(7.37)の係数i2πが正しいことが確認できる。

 伝播関数S(x,y)を同時刻 x0y0 (x0>y0) で評価すると
0|ψ1(x)ψ1(y)|0=i2π1(x1y1)
を得る。これは冒頭で要請した関係式
ψ1(x+ϵ)ψ1(yϵ)1ϵ    (xy)
に他ならない。

 一般に、同時刻 x0y0 においてψ1(x)ψ1(y)
ψ1(x)ψ1(y)=i2π1x1y1+f(x1y1)O
と表せる。ただし、0|O|0=0 であり、f(x1y1)(x1y1)の関数を表す。f(x1y1)x1y1 の極限で特異点を持たないと主張できる。これは次元解析から分かる。まず、0|ψ1ψ1|01x1 であるので、ψ1(長さ)1/2=L1/2 の次元をもつ。Oは真空期待値がゼロでスピノールの双線形の形を持つので、ψ1ψ1, ψ1ψ1の線形結合で表せる。前者の場合、Oの次元は O(ψ1ψ1)L1 となり、次元解析から f(x1y1)log(x1y1)L0 が分かる。後者の場合は、O(ψ1ψ1)L2 から、f(x1y1)L となる。よって、任意のOに対してf(x1y1)x1y1 の極限で特異点を持たない。

(1+1)次元フェルミオン系の観測量代数

 (7.27)の具体的な形が分かったので、(7.25)の計算を再開しよう。上の結果から、ψ1(x+ϵ)ψ1(yϵ)ψ1(y+ϵ)ψ1(xϵ)x1y1 での値はϵ1のオーダーで
ψ1(x+ϵ)ψ1(yϵ)=i2π1(x1+ϵ)(y1ϵ)i2π12ϵ    (x1y1)ψ1(y+ϵ)ψ1(xϵ)=i2π1(y1+ϵ)(x1ϵ)i2π12ϵ    (x1y1)
と計算できる。したがって、カレントJの代数は
[J(x0,x1),J(x0,y1)]=iπx1δ(x1y1)
となる。(7.23)と同様にカレントJ+J+(x)=ψ2(x+ϵ)ψ2(xϵ) と定義すると、 J+の代数は
[J+(x0,x1),J+(x0,y1)]=iπx1δ(x1y1)
となる。よって、代数(7.46), (7.47)は(1+1)次元フェルミオン系の観測量代数を与える。この代数はアーベル型のカッツ-ムーディ代数に対応する。次節ではこの代数の非アーベル型へ一般化を解説する。

カレントのボソン表示

 つぎに、実変数で表されるボソン場ϕ(x0,x1)を導入して、観測量J(x0,x1)のボソン表示を考える。このボソン場の時間微分 x0ϕ(x0,x1)=˙ϕ(x0,x1) は独立変数であり、次の同時刻交換関係を満たす。
[ϕ(x0,x1),ϕ(x0,y1)]=0[˙ϕ(x0,x1),˙ϕ(x0,y1)]=0[ϕ(x0,x1),˙ϕ(x0,y1)]=iδ(x1y1)
これらの同時刻交換関係はボソン演算子の交換関係
[ak,al]=0,   [ak,al]=δkl,   [ak,al]=0 
と等価である。これは、ボソン場ϕ(x)のモード展開
ϕ(x)=k12k0L(akeikx+akeikx)
を用いれば確認できる。ただし、ikx=ik0x0ik1x1 とし、kの和はL の極限で
kLdk12π
と置き換えられる。

 カレントJのボソン表示は
J=α(ϕx0ϕx1)
で与えられる。ただし、αは定数である。実際にJの交換関係を計算すると
[J(x0,x1),J(x0,y1)]=α2[˙ϕ(x)x1ϕ(x),˙ϕ(y)y1ϕ(y)]=α2y1[˙ϕ(x),ϕ(y)]α2x1[ϕ(x),˙ϕ(y)]=iα2y1δ(y1x1)iα2x1δ(x1y1)=iα2x1(δ(y1x1)+δ(x1y1))=i2α2x1δ(x1y1)
となる。ただし、デルタ関数の定義
δ(x1y1)=dk2πeik(x1y1)
から、x1δ(x1y1)=y1δ(x1y1) となることを用いた。(7.46)と(7.52)を比較すると、定数αα2=12πと決められる。したがって、フェルミオン観測量(カレント)J=ψ1ψ1 のボソン表示の1つは
J(x)=ψ1(x)ψ1(x)=12π(x0x1)ϕ(x)
で与えられる。同様に、J+=ψ2ψ2 のボソン化も
J+(x)=ψ2(x)ψ2(x)=12π(x0+x1)ϕ(x)
と表示できる。

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