6.4 転移温度
この節ではBSC理論を用いて超伝導の転移温度を推定する。6.2節では相互作用ハミルトニアンHintを次のように変形した。
Hint=∑kk′Vkk′[αk′βk′(Nk′+˜Nk′−1)+(α2k′B†−k′A†k′−β2k′Ak′B−k′)]×[αkβk(Nk+˜Nk−1)+(α2kAkB−k−β2kB†−kA†k)]≈∑kk′Vkk′αk′βk′αkβk−2∑kk′Vkk′αk′βk′αkβk(Nk+˜Nk)−∑kk′Vkk′αk′βk′(α2k−β2k)(AkB−k+B†−kA†k) + (4次の項)
ここでは、AkB−kとその共役に関わる項の係数として現れる数演算子Nk, ˜Nkを残して、Hintを
Hint=∑kk′Vkk′[αk′βk′(Nk′+˜Nk′−1)(α2kAkB−k−β2kB†−kA†k)]+∑kk′Vkk′[(α2k′B†−k′A†k′−β2k′Ak′B−k′)αkβk(Nk+˜Nk−1)]+⋯
Δ−V02∑kΔ√ϵ2k+Δ2(1−⟨Nk⟩−⟨˜Nk⟩)=0
となる。また、6.3節で導いたBCS理論のハミルトニアン
H = −G0ωD√ω2D+Δ2 + ∑k√ϵ2k+Δ2 (Nk+˜Nk) +⋯
から分かるように、1粒子の励起エネルギーは√ϵ2k+Δ2で与えられる。よって、占有数はフェルミ-ディラック分布から
⟨Nk⟩=⟨˜Nk⟩=1eEk/T+1,Ek=√ϵ2k+Δ2
と表せる。これより、ギャップ方程式は
Δ[1−V0G02∫dϵ1√ϵ2+Δ2tanh(√ϵ2+Δ2/2T)]=0
となる。6.2節と同様に、Δ=0は1つの解である。ギャップがゼロでない非自明な解は
1−V0G02∫dϵ1√ϵ2+Δ2tanh(√ϵ2+Δ2/2T)=0
から得られる。低温ではtanh(√ϵ2+Δ2/2T)≈1と近似できるので、ギャップ方程式は以前に導いた方程式
Δ [1− V0G0sinh−1(ωD/Δ)]=0
に戻る。
絶対零度T=0で非自明なギャップから始めて、温度を上げていくとギャップΔはTがある臨界値に達するとゼロになる。この点で超伝導から常伝導への相転移が起きる。よって、(6.77)でΔをゼロとおくことで、この転移温度Tcを求めることができる。つまり、Tcの満たす方程式は
1V0G0=∫ωD−ωDdϵ2√ϵ2tanh(√ϵ2/2Tc)=log(ωD/2Tc)tanh(ωD/2Tc)−∫ωD/2Tc0ds logscosh2s
となる。通常はωD≫Tcとなるので、2項目の積分はωD/2TC→∞として近似できる。この積分は
∫∞0logxcosh2xdx=logπ4−γ≈−0.81878
1V0G0≈log(ωD/2Tc)+γ−log(π/4)
と求まる。これより、転移温度は
Tc=2eγπωDexp(−1V0G0)=eγπΔ0≈0.5669Δ0
と評価できる。ここで、Δ0=2ωDexp(−1V0G0)は絶対零度T=0でのΔの値である。この公式は転移温度Tcがデバイ振動数ωDに依存することを示しているので、前節で触れたように転移温度にも同位体効果が適用されることが分かる。
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