2019-01-19

ヒトミオンザの法則とドナルド・トランプ

前回のエントリーで英語の話が出たので、少しだけ英語の話をしたいと思います。英語表現で我々日本人に悩ましいのは前置詞と冠詞の使い方です。ゲルマン系・ラテン系の言葉を母国語にするヨーロッパの人たちは同じ品詞を使っているのでこのあたりは何も考えずにできるでしょうが、東アジアの私たちにとっては概念としてわかっていても口をついて出てくるまでには訓練が必要です。前置詞と冠詞の組み合わせは慣用句として決まっているので、適当に使うとおかしな顔をされてしまいます。(つまり、話す相手にもよりますが、この人教養がないなと思われて損をしてしまいます。逆に、ちゃんと使えていれば仲間として受け入れてくれます、すこし大げさですが。)例えば、in a moment, for the moment とは言いますが、in the moment, for a moment とはネイティブは(私の知る限り)言いません。このような表現は語彙力とは関係ないので中学高校で習っていると思いますが、いざ話したり書いたりする際にはあやふやになりがちです。少なくとも私はそうでした。小さいときから英語に慣れ親しんでいたり、英語のセンスのある人は問題ないでしょうが中学校から英語を習う一般の日本人はどうすればいいのでしょうか?

英語漬けの日々を送って自然に身に付けることができれば理想なのですが、そうでなければ、こういった表現は逐一覚えて行くしかない気がします。1つ覚えてしまえばあとは応用で何とかなります。例えば、私が中学3年生の時に通っていた塾(SAPIX)の中山先生に教えてもらって今でもよく覚えているのに「ヒトミオンザの法則」というのがあります。つまり He hit me on the head. などの慣用句を "hit me on the" でひとまとめに覚えてしまおうというやり方です。同様な法則に「プルミパイザ」(pull me by the arm) や「コトミバイザ」(caught me by the arm)、「キスミオンザ」(kiss me on the cheek) というのがありました。これらは知っていてもやはりなかなか使えません。私は7年半もアメリカに住んでいましたが結局実践で使ったことはありませんでした。いつも例えば He hit my head. などと言っていました。前置詞を使わずに通じるならそれでいいやと無意識に考えていました。数年前にドナルド・トランプが大統領選に出たときに話題になった grab them by the p***y という中学生のおバカ男子が大喜びしそうな表現を耳にしましたが、その時 grab もやっぱり「ヒトミオンザ」の応用だな、ネイティブはやっぱりそう表現するのが自然なんだよなぁと妙に納得しました。それにしても野郎同士の猥談中とはいえ、この表現にはビビりました。アメリカ恐るべし!?

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