7.3 ヴェス-ズミノ-ウィッテン作用
この節では非アーベル型ボソン化を議論した前節の最後に触れたヴェス-ズミノ-ウィッテン(WZW)作用について紹介し、その運動方程式を導く。WZW作用は
S=k8π∫d2xTr(∂μg∂μg−1)+ΓWZΓWZ=k4π∫10dλ∫d2xTr(g−1∂λgg−1∂μgg−1∂νg)ϵμν
で定義される。ただし、ここではミンコフスキー計量を用いる (μ,ν=0,1)。前節と同様に、g=g(x)はSU(N)群の要素を表し、k∈Nはレベル数である。第2項ΓWZはヴェス-ズミノ(WZ)項と呼ばれる。WZ項において g=g(x) は別の変数 λ∈[0,1] にも依存する。つまり、g=g(x,λ) であり、g(x,λ)は境界条件
g(x,0)=1, g(x,1)=g(x)=eiTαϕα(x)
を満たす。変数λはコンパクトな(2+1)次元時空間の3つ目の座標と解釈することもできる。つまり、λ=x2とおき、(x,λ)→(x0,x1,x2) と変換する。ただし、0≤x2≤1 を課す。本来の(1+1)次元時空間はステレオ射影の手法を用いると3次元球面に対応させることができる。条件(7.99)より、無限遠|→x|→∞ で g=1 となることが保証される。g(x,λ)は S3 から G=SU(N) への写像を与える。つまり、g(x,λ):S3→G となる。このとき、ΓWZは
ΓWZ=k12π∫S3d3xTr(g−1∂λgg−1∂μgg−1∂νg)ϵμνλ=−2πkQ[g]Q[g]=−124π2∫S3d3xTr(g−1∂λgg−1∂μgg−1∂νg)ϵμνλ
と表せる。ただし、添え字は(2+1)次元座標を表す (μ,ν,λ=0,1,2)。Q[g]の積分値は整数をとる。この値は写像 g:S3→G の巻き数 (winding number) として知られている。(この巻き数については第15章で詳しく解説する。)よって、k∈Nを考慮するとΓWZは2πの整数倍で与えられることが分かる。理論は重みexp(−iS)を用いて汎関数積分を構成することで定義できるので、WZW模型は本来の(1+1)次元空間上で問題なく定義される。つまり、境界条件(7.97)が満たされている限り、WZW作用Sはg(x,λ)におけるλの内挿の仕方に依存しない。
運動方程式を求めるためにまずg(x)の変分を考えよう。関係式 g+δg=eiTα(ϕα+δϕα) から
δg=gξ, δg−1=−ξg−1
を得る。ただし、ξ は
ξ=iTαδϕα=g−1δg
で定義される。作用(7.97)第1項の変分は
δS(1)=k8π∫d2xTr[∂μ(gξ)∂μg−1−∂μg∂μ(ξg−1)]=k8π∫d2xTr(∂μξ)[g∂μg−1−∂μgg−1]=k4π∫d2xTrξ∂μ(∂μgg−1)=k4π∫d2xTrξ[∂0(∂0gg−1)−∂1(∂1gg−1)]
と表せる。また、WZ項の変分は
δΓWZ=k4π∫10dλ∫d2xTr∂λ(ξg−1∂μgg−1∂νg)ϵμν=k4π∫d2xTrξ(g−1∂0gg−1∂1g−g−1∂1gg−1∂0g)=k4π∫d2xTrξ[∂0(∂1gg−1)−∂1(∂0gg−1)]
∂0(∂0gg−1+∂1gg−1)−∂1(∂0gg−1+∂1gg−1)=0
となる。これは
∂−(∂+gg−1)=0
とも書ける。ただし、∂±=∂0±∂1 である。ϕαで表すとこれは ∂−∂+ϕα=0 と書ける。よって、(7.107)は自由場の運動方程式を行列表現へ一般化したものと見做せる。(7.107)の一般解は
g(x)=V(x+)U(x−)
で与えられる。ただし、V(x+) と U(x−) はそれぞれ x+=x0+x1 と x−=x0−x1 の任意関数である。アーベル型の場合、g=eiϕ であり、運動方程式(7.107)は ∂−∂+ϕ=0 となる。この一般解は ϕ(x)=ϕ1(x+)+ϕ2(x−) で与えられる。解(7.108)はこの解の非アーベル型の場合に対応している。前節の最後で見たようにフェルミオン・カレントJα−は Jα−(x)=−i√2π∂−gg−1 と定義できる。前節までの構成から、Jα−が非アーベル型カッツ-ムーディ代数
[Jα−(x0,x1),Jβ−(x0,y1)]=ifαβγJγ−(x0,x1)δ(x1−y1)−i2πδαβ∂∂x1δ(x1−y1)
に従うのは明らかであろう。
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