秦野方面から丹沢山、塔ノ岳には登っているので丹沢には行った気になっていましたが、最高峰の蛭ヶ岳が未踏なのでずっと心残りでした。去年末から狙っていたのですが雪が深そうなのでためらっていた所、3月も中旬になりもう大丈夫だろうと判断して決行。中央道相模湖ICから日連アルプス登山口脇の道を南下、ナビに従って青根まで。結構な山道でした。旧青根小学校の無料駐車場を利用しました。近くに公衆トイレもあり便利です。林道が意外に長く良いアップになりました。
往路は古いダムのある沢沿いから登るコースを選びました。尾根に出るまでほとんど残雪はありませんでしたが姫次までの尾根伝いの道はアイゼンが必要でした。チェーンアイゼンを装着したものの夏用の登山靴だったので雪解けの泥濘(ぬかるみ)に入ると防水効果が充分ではありませんでした。都内は春模様だったので冬用の登山靴を用意する機転が回りませんでした。姫次からは一旦下ってから蛭ヶ岳まで登り返しがあります。事前準備不足でこのあたりのアップダウンを頭に入れていませんでした。ただ、道中、富士山を拝むことが出来たのは良かったです。丹沢からの富士はやはり良いですね。
富士山近景 |
下りが終わり蛭ヶ岳へ向け登ろうとした辺りで男女二人組に追い越されました。男性に追い越されることはあっても男女のカップルに追い越されるなんて殆んどないので相当なエキスパートだなあと思い道を譲りました。挨拶もなく黙々と進んでいくので気合入ってるな~なんて思いながらマイペースで歩いていると、女性の方が遅れ始めているようで、私の足音が気になったのか道を譲ってくれました。男性の方はズンズン行くので大丈夫かなあなんて余計な心配をしながら歩いていると男性に追いついてしまいました。普通だったら女性を待つためペースを落とすところなのですが、なんとその男性はまた私を引き離してグングン先に行ってしまいました。どういうこと?何故かカップルに挟まれて黙々と雪道を歩く羽目になりました。とはいえ私も野暮でないなめドリンクタイムをとって女性に先に行ってもらいました。するとまたもや挨拶・会釈無しで行ってしまいました。う~ん、謎です。女性も登り以外はペースが速いのでそのまま2人で仲良く行ってくれればと見守りつつ歩き始めました。するとすぐに又2人が現れたので付かず離れずの微妙な距離感を保ちました。黙々と歩き続ける2人。全く会話がありません。男性は女性のことを気にかけているのかどうなのか、時折止まっているのだけど待っているのか休んでいるのかよく分かりません。果たして2人はカップルなのか?俺はどうすりゃいいんだ?気を使って道を譲らず彼らのようにマイペースで歩き続けるべきだったのだろうか?登山に気遣いなんて必要ないのか?なんて普段は思い至らないようなことで頭がグルグルしながらひたすら木段を昇っていると女性がポーズをとっている男性の写真を下から撮っていました。やっぱカップルだよねと一安心しながらその女性に写真撮りましょうかと声を掛けた所、何も言わずに手で断りのジェスチャーをしました。その時やっと彼らは聾唖者なのだと理解しました。今まで山で聾唖者の方と出会う機会が無かったので全く思いもよりませんでした。私が女性の方に後ろから近づいたとき足音に反応したのだとばかり思っていましたが、どうやって気付いたのでしょうか。僅かな振動が伝わったのでしょうか。2人が黙々と歩くのも当然です。なんと美しいことでしょう。私は驚くと同時に久しぶりに感動しました。
そしてそのまま山頂へ。記念写真を撮っている2人に声を掛けて身振りで写真撮りましょうかと伝えると男性の方がスマホを渡してくれました。縦横2枚撮ってのジェスチャーに応えてスマホを返すと私の分も撮りましょうと言うので縦横2枚撮ってもらいました!スマホを渡してもらったとき男性の手がとても大きくゴツイのが印象的でした。その時、私のこれまでの経験からおそらく彼らは韓国人ではないかと感じましたがそれを聞くすべがありませんでした。その後、山小屋で蛭カレーをいただき、彼らとはそれっきりになってしまいましたが、とても貴重な出会いでした。
午後は曇り予報なので早めに下山。雪道の下りなので細心の注意が必要です。チェーンアイゼンだけでは不安なので実は先日14本歯の長い爪のアイゼンを購入したばかりです。もしかしてあれが必要だったかなあなんて思いながら山頂から500メートルほど下ったところでラフな格好のおじさんに声を掛けてもらいました。「山頂まであとどれぐらいですか、山頂にジュースありますか、南側(丹沢山方面)に行くと雪は少ないですよね。」それに対して「あと500メートルくらいです。山頂にカレーあります。丹沢山の方は私の見た限りではそんなに雪はありませんでしたよ。」と妥当な回答をしたのですが、ふと足元を見るとそのオッサンが履いていたのがなんと「スクール上履き」でした!しかもサイズが小さめで足がパンパンになっていて当然ながら雪でびっしょりでした。14本爪のアイゼンなんて考えていた自分を笑い飛ばすかのような破壊力です。え~、どういうこと?!何かの罰ゲームですか?と思いながらも初対面の方にそのようなことは言えません。「山頂までまだ雪が多いのでその靴だと大変だと思います。お気を付けてください。」と伝えてすれ違うのがやっとでした。別れて暫くしてからそれにしてもすごいなあと笑えてきましたが、途中からそもそもあれで登ってきたのはどういうことなのだろう、大丈夫かなあなんて漸く心配になりました。声を掛けてくれた時に勇気を出して「なんで上履きなんですか!?」って聞くべきだったなぁ、折角しゃべれるのだから。でもそれは美しくないか。いや、元々自分は美しくないのだから断然聞いておくべきだったと後悔しました。一体あのおじさんは何者だったのでしょうか。もう少しちゃんと事情を聴いておくべきでした。
その後、来た道を姫次まで戻り一休み。帰りは八丁坂の頭の分岐から青根に下る予定でしたが姫次を出て少しするとその分岐を探している男女のカップルに出会いました。今度は女性の方が話しかけてくれたので2人とも(当然ながら)日本の方でした。登山用アプリの地図で確認しながら分岐まで案内しました。
その後、私は軽食タイム。再度チェーンアイゼンを装着して下りました。往路より雪が多く滑るので注意が必要でした。雪が消えると後はひたすら下りです。モノレール沿いの登山道なのでしっかり整備されている印象でした。舗装路に出ると得意の後ろ歩きでダウンしながらのんびり駐車場まで。公衆トイレに寄った後、隣の諏訪神社にお参りして、無事の登山を感謝しました。
帰りは413号経由で圏央道相模原ICへ。バイクのツーリングルートと重なっていたみたいです。圏央道まで戻りましたが、やはり青根には中央道の相模湖ICの方が近い気がします。
登山ルートなど詳しくはこちらから。
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