前回のnote14の続きです。今回の内容は前半の電荷に関する部分がナイアの教科書(基礎編)
の10章、後半の閉じ込めについては教科書(発展編)
の19章に詳しい解説があります。ここで紹介するノートはメモ程度のものなので詳細を知りたい方は教科書を参考にして下さい。
ゲージ理論の電荷演算子
ただし、$F_{\mu\nu } = -i t^a F_{\mu\nu}^{a} $であり、$SU(3)$の生成子$t^a$は$\Tr ( t^a t^b) = \hf$を満たす。この作用の変分は
\[ \begin{eqnarray} \del S &=& \hf \int \Tr \left[ F_{\mu\nu} D_\mu (\del A_\nu) \right] 4 d^4 x \\&=& 2 \oint \Tr \left( F_{\mu\nu} \del A_\nu \right) d \Si^\mu + (\mbox{運動方程式}) \tag{2}\end{eqnarray}\]
となる。無限小ゲージ変換では$\del A_\mu = D_\mu \th$とおける。ただし、$\th$は無限小のゲージパラメータ。式(2)より空間表面上での変分は
\[ \del_\th S = 2 \int \tr \left( F_{0i } D_i \th \right) d^3 x \tag{3} \]
となる。このゲージ変換のもとで状態$| \Psi \ket $は
\[ | \Psi \ket_\th = e^{i2 \int \tr (F_{0i} D_i \th ) d^3 x} | \Psi \ket \tag{4} \]
と変換する。ただし、
\[ F_{0i} D_i \th = D_i ( F_{0i} \th ) - \th D_i F_{0i} ~, ~~~~~ F_{0i} = E_{i} \]
である。物理的な状態はガウス則$(D \cdot E = 0)$を満たすので
\[ \tr \th ( D \cdot E ) | \Psi \ket = 0 \tag{5} \]
よって、物理状態は
\[ | \Psi \ket_\th = e^{-i2 \oint_{|\vec{x}| \rightarrow \infty} \tr \th E_i d s^i } | \Psi \ket \]
と変換する。表面積分は無限遠での2次元球面上で評価される。無限小ゲージ変換$\del A_\mu = D_\mu \th$はネーター対称性として作用するので対応する電荷演算子$Q^a$は
\[ | \Psi \ket_\th = e^{i Q^a \th^a} | \Psi \ket \]
と定義できる。よって、$E_i = - i t^a E_i^a$, $\th = t^a \th^a$とすると
\[ Q^a = i \oint_{|\vec{x}| \rightarrow \infty} E_i^a ds^i \tag{6} \]
を得る。ガウス則が自動的に満たされると考えると(4)から直接
\[ Q (\th ) = 2 \int \tr (E_i D_i \th ) d^3 x \tag{7} \]
ともおける。これは2次元面ではなく3次元空間全体での積分として評価される。
4次元時空の表面上で一定となる$\th (x) \ne 0$のもとで状態はグローバルな$SU(3)_C$群の表現として変換する。そのような状態は摂動計算で用いられるグルーオンの近似的な漸近状態に対応する。このグローバルな$SU(3)_C$群は電荷(7)の代数
\[ [ Q (\th ) , Q (\th' ) ] = Q ([\th , \th' ]) \tag{8} \]
として記述できる。
閉じ込め
全ての物理状態は電荷演算子の代数(8)の表現の一重項で与えられる。これは$SU(2)$格子ゲージ理論で示されているがそれ以外の理論ではまだ不明である。閉じ込めを議論するオーダーパラメータとしてよく用いられるのはウィルソン・ループ演算子
\[ W (C) = \tr {\rm P} \exp \left[ i \oint_C A_\mu^a t^a d x^\mu \right] \tag{9} \]
である。$W (C)$の平均値は
\[ \bra W (C) \ket = \frac{\int W (C) e^{-S[A]} d \mu (A, C )}{\int e^{-S[A]} d \mu (A, C )} \]
で与えられる。$K$を正の定数、$A(C)$を経路$C$で囲まれた表面積として、充分大きな$C$に対して$\bra W (C) \ket \sim \exp [ - K A(C) ]$となる場合、理論に「閉じ込め」があるという。アーベル型ゲージ理論の場合は
\[\begin{eqnarray} W (C) &=& \tr \exp \left[ i \int A_\mu J^\mu d^4 x \right] \\ J_\mu &=& \frac{d x^\mu}{d \tau} \del^{(4)} (x - x (\tau ) ) \\ \bra W (C) \ket &\simeq& \exp \left[ -\hf \int J_\mu D_{\mu\nu} J_\nu \right] \end{eqnarray}\]
となるので、$\bra W (C) \ket \sim \exp [ - K A(C) ]$となる場合は古典的な点粒子の相互作用は$V(R) \sim R$の形のポテンシャルを持つ。ただし、$R$は点粒子間距離を表す。
(ウィルソン・ループの面積則についてはCheng and Liの332ページを参考にしました。)
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