今年は長女が中学に入って一年目の夏なので家に居ることが多く、私も在宅の折は例年よりも熱心に甲子園をテレビ観戦しました。下の子が夏風邪をこじらせて家で看ないといけなかったこともあり、おそらくこれまでで最も多くの試合を観戦しました。
春の選抜準決勝を見に行ったときの印象から習志野が決勝まで行くのではないかと予想していましたが、なんと2回戦で山形の鶴岡東に負けてしまいました。鶴岡東の試合は1回戦の高松商業戦から観ていたのですが、思いがけない(失礼!)チーム力の高さに親子ともどもファンになってしまいました。残念ながら3回戦の関東一高戦で敗退しましたが、その試合は今大会のベストゲームのうちの1つでした。鶴岡東だけでなく、ベスト8に入った八戸光星、仙台育英といった東北勢の体格の良さには驚きました。相当ウェイトトレーニングをしているのでしょう。東北勢の優勝も時間の問題のような気がします。
子供と観戦していてファンになったもう一つのチームは富山の高岡商業です。1・2回戦では私はこれまでの先入観から対戦相手の私立の強豪校の方が有利だと予想していましたが、高岡商業の打者一人一人がこれまたガタイが良く振りがシャープなのには驚きました。準優勝校の星稜は言うに及ばず、福井の敦賀気比も含めて北陸の選手たちも総じて筋力トレーニングを充分に積んできた体格をしていました。一方、これまで野球王国とされてきた四国九州のチームや東京のチームには昔ながらの細身でセンスのあるタイプの選手が比較的多かった気がします。金属バットの高校野球ではやはり筋力をつけた方が有利なのでしょう。往年の徳島池田高校・やまびこ打線を思い出します。今ではネットの普及で野球技術向上のための情報収集に地域格差がなくなり、全国どこからでも甲子園優勝を狙えるチームが出てきていますね。
さて、今年は一回戦から注目して観戦しましたが、初戦から広島対岡山という隣県対決や関東勢同士の対戦などがあるのは興醒めでした。対戦する選手もやりにくいはずです。折角の全国大会なのだから初戦は同じ地域同士で当たらないようにするのは当然の配慮だと思います。101回も開催されているのにこのようなことが起きるのは不思議でなりません。主催者にとっては毎年の行事かもしれませんが選手にとっては一生に一度のことなので最大限の配慮をしてもらいたいです。
私が応援していた明石商業は見事にベスト4まで勝ち上がりました。
選抜大会の時に指摘したバントのミスがなくなり、そつのない野球をする素晴らしいチームでした。大会を見ていて感じたのは勝ち上がるチームはパワフルな打撃力があるだけでなく、しっかりセオリー通りにバントでミスなく送れるチームだということです。連打が出るのは確率的に低いわけだからノーアウトあるいはワンアウト1塁(or 1、2塁)のときは確実にバントで送るのが鉄則です。積極策で打たせてダブルプレーになる確率を考えれば、甲子園のような短期決戦で人生がかかっているような重要な試合では、ダブルプレーを避けてバントで送って次のバッターのタイムリーに賭けるのが得策です。バントをする際にもカウントによってサインを変えるような中途半端なことをせず、ファーストストライクを一発で遂行させることが重要です。その方が攻撃のリズムができ、自然と相手にプレッシャーを与えることができます。いくら積極策で勝ち上がってきたと言っても、甲子園に出てくるようなチームのピッチャーからそう簡単に連打を打てるものではありません。ダブルプレーという最悪の事態をリスクヘッジしつつ、走者を確実に得点圏に進めるバントは甲子園で勝ち上がるには必須の戦術だと思います。優勝した履正社もあれだけの打撃力を誇りながら確実にバントを行っていました。