2021-05-02

バルガス・リョサのこと

午前中、愛車のNMAXで市内の図書館めぐり。

バイク置き場に困らなかったので助かりました。緊急事態宣言下で机は利用不可。南部図書館に併設されているアジア・アフリカ図書館にも寄りました。南部図書館で市内図書館の利用カードを更新してもらい気になった本『水を得た魚―マリオ・バルガス・ジョサ自伝』(寺尾隆吉 訳)


を借りました。二段刷りで500ページもあったので、訳者あとがきだけを立ち読みして済ますつもりでしたが何故か自宅まで持ってきてしまいました。訳者あとがきで『緑の家』


について言及されていましたが、私も大学生の時にこの小説を読んで感激したというか、一大交響曲を鑑賞したような気分になりその余韻に数か月ぐらい浸った記憶があります。その時いつかペルーアマゾン部のイキートスに行ってみたいと思いましたが、結局いまだ行けてません。私も訳者の方同様、大学の第二外国語でスペイン語を選択したのがキッカケでラテンアメリカ文学を知ることになったのですが、マルケスやリョサ、オクタビオ・パスなどそれまで全く知らなかった世界には本当に驚かされました。父の仕事の関係で4歳で大阪に引っ越すまではマドリッドとバルセロナの保育園に通っていたので、全くその記憶はないのですが、大学に入ってからのスペイン語の学習はとても楽しいものでした。英語に比べて発音、リスニングがとても簡単だし、動詞の活用もニュアンスの違いのような感じで自然に頭に入ってきたのは不思議でした。

バルガス・リョサと言えばフジモリ大統領との大統領選に敗北した後、ロンドンで作家活動を再開したと何かで読んだ記憶があります。上記の自伝ではペルーでの政治活動についても詳述されているようです。私は政治的なことには興味ないのですが、ただ、ペルー国民の視点から見ると選挙に負けてヨーロッパに行ってしまうような人は信用に値しないと判断されても仕方がないことでしょう。その後、90年代後半だと思いますが朝日新聞で大江健三郎とバルガス・リョサの往復書簡が発表されていましたが当時の私はこの二人を知識人の鏡だと思って熱心に拝読していました。やはりというか当然なのでしょうけど、2010年にリョサはノーベル文学賞を受賞しました。

2010年といえばワールドカップの南アフリカ大会が開催された年で、日本はベスト16でパラグアイにPK戦で惜敗しました。その日に読了したのが池澤夏樹の『マシアス・ギリの失脚』


でした。ラテンアメリカ文学の要素が散りばめられた日本の小説でとても良かったです。ラテンアメリカと言えばサッカーというかフットボル。リョサの初期の作品にもフットボルの話がでてきますが、その一つの『子犬たち』という中編は傑作だった記憶があります。代表作の『緑の家』、『世界終末戦争』や自伝はさすがに長すぎるので初期の短編・中編からリョサの反権力、個人主義といった側面に触れてみるのもいいと思います。

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