PC関連の作業や現実逃避の読書で後回しになっていましたが、最近とても興味深いプレプリントがいくつか出ています。著者名、タイトルを割愛してリンクだけ紹介すると
https://arxiv.org/abs/1912.03324
https://arxiv.org/abs/1910.13407
https://arxiv.org/abs/1909.10551
https://arxiv.org/abs/1905.11433
https://arxiv.org/abs/1902.07204
です。これらは2017年の論文
https://arxiv.org/abs/1709.04891
https://arxiv.org/abs/1912.03324
https://arxiv.org/abs/1910.13407
https://arxiv.org/abs/1909.10551
https://arxiv.org/abs/1905.11433
https://arxiv.org/abs/1902.07204
https://arxiv.org/abs/1709.04891
に触発される形で、散乱振幅の計算手法の発展を現象論的に興味深い模型(特に、ヒッグス機構を含めた電弱理論)へ応用しようという試みです。最近の散乱振幅計算の発展は以前も触れたように2次元共形場理論の理解と密接に関わっているため対象となる粒子は必然的に質量ゼロのボソンとなります。ただ、現実的には当然、質量のある粒子(ヒッグス粒子やクォーク)を取り扱う必要があります。その為には、散乱振幅の計算で用いられているspinor-helicity形式の質量化(massive deformation)を考えなければなりません。散乱振幅を計算するに当たりファインマン図の内線にあたる仮想粒子(virtual particle)が現れるのでそのような質量化は以前から知られていましたが、2017年の論文では代数的な手法を用いてこの質量化が簡素に表示されることが示され、その表示法のもとでヒッグス機構が記述されました。
2017年当時、私も興味深くフォローしていましたが数値的に予言能力があるのかどうか不明なままでした。その前に、まず以前の reference spinor を用いたspino-helicity形式の質量化とどう関係しているのか明らかにしなければと思いながら、別の研究(の泥沼)にはまり込んでどうしようもなくなっていました。今回、上記2番目の論文 1910.13407 でそのあたりのことがクリアにされているようなので、今度時間を見つけてホロノミー形式の研究に戻りたいと思います。