2021-07-20

jQueryでテーブルの行の生成消滅を行いたい場合はdivタグを使わずtrタグにidを付ける

 古いシステムに jQuery を入れる必要があったのですが、要素の生成消滅をdivタグで行えなかったため詰まってしまいました。よく見ると懸案の要素がテーブルの trタグで挟まれた部分だったので、trにidを付けて display:inline ではなく display:table-row とすると解決しました。参考になったサイトは

https://into-the-program.com/tr-display-block-none/

です。またあるかもしれないので関連部分のスクリプトを残しておきます。Yes/No のラジオボタンでYesを選ぶと日付入力欄が表示されるというものです。デフォルトはNoで、入力欄非表示。

2021-07-18

Mathematical Review 109: 量子群を使った「ファジイ球」

最近、ほとんど連絡の無かった Math Review から依頼を受けました。レビュー内容はこちらから。タイトルに fuzzy sphere と入っていたのでてっきりファジイ空間についての論文かと思いましたが、読んでみると全く違いました。ファジイ球とはいうものの物理で用いられる意味とは異なり、さらにはコンヌの定義した非可換空間とも別の非可換空間を考えているというもので私の知らない世界でした。

物理の文献でファジイ空間と言えば行列によって表現される(コンパクトな)非可換空間を意味するのですが、今回の論文では量子群を使って非可換空間を表すという話なので具体的な行列表示とは関係ありませんでした。そうなら fuzzy sphere なんて紛らわしい用語を(タイトルにまで)使わないでほしいと思いました。査読のときに誰かが指摘して混乱を来すような用語の使用は未然に防いでほしかったです。編集者の方もタイトルにfuzzy shpere とあるからだいぶ昔にファジイ空間の構成についての博士論文を書いた私にわざわざレビューを依頼したのでしょうが、見当違いだったようです。他に適任者が居るはずですが、折角の依頼だったので今回は内容には踏み込まず表面的にレビューしました。

テニスの団体戦 2021

 以前こちらで少し触れましたが、毎年参加している地元のテニス協会の団体戦が今日終了しました。今年は上級者の参加もあり念願の昇格を果たしました。

2021-07-17

Geometric quantization, Narasimhan-Seshadri theorem, and more

こちらのブログで紹介されていた動画


(38分から53分あたりの話)で私が14年前に知りたかったことが丁寧に説明されていたので聴き入りました。

3次元ヤン-ミルズ理論をハミルトニアン形式で考えると2次元の共形場理論であるWZW模型を用いて解析できるという Karabali-Kim-Nair(KKN) による画期的な結果がります。以前に Nair からこの2次元空間が複素構造を持っていれば Narasimhan-Seshadri theorem により同様な解析ができるので、トーラスで考えてみてはどうか、そうすると有限温度を入れた場の理論になるので閉じ込め効果の極限値が推定できるのではないか、と物理的に興味深いテーマを教えてもらったことがあります。このとき、Narasimhan-Seshadri theorem って何??となり、いろいろ文献を調べましたが代数幾何の専門的なもの以外で物理の論文でこの定理を扱っていたものは見当たりませんでした。もちろん上記動画でも説明されているウィッテン先生のフィールズ賞受賞で有名な


も読みましたが、Narasimhan-Seshadri theorem について特に言及は無かったと記憶しています。ただ、動画で詳しく説明されているようにこの論文で明らかになったChern-Simons理論とWZW模型の関係性の数学的な裏付けはChern-Simons理論の幾何学的量子化にNarasimhan-Seshadri定理を適用することで与えられています。ここで、Chern-Simons理論とWZW模型の関係性とは2次元空間$\Sigma$上のWZW模型の共形ブロックの空間が$\Sigma \times {\mathbb R}$上のChern-Simons理論の量子ヒルベルト空間と同一視できるということです(${\mathbb R}$は時間軸)。どういうことかというと、Chern-Simons理論の接続(ゲージポテンシャル)は運動方程式から平坦(曲率ゼロ)であるので量子化されるべきChern-Simons理論の相空間は$\Sigma \times {\mathbb R}$上の平坦接続のモジュライ空間$M$とみなせるが、$\Sigma$が複素構造をもつ場合はNarasimhan-Seshadri定理より$M$は$\Sigma$上の(準安定で)正則な平坦$G$接続のモジュライ空間${\cal M}$となり、この${\cal M}$に対して幾何学的量子化を施すと量子化された${\cal M}$はWZW模型の共形ブロック空間と(偶然)一致するということです。ここで、$G$はChern-Simons理論のゲージ群あるいはWZW模型の対称群を表します。

2021-07-12

2021年7月 赤城山、榛名山再訪

 梅雨の晴れ間を利用して赤城山と榛名山に行きました。どちらも山頂直下のカルデラ湖まで車でアクセスできます。朝3時前に自宅を発ち、先ずは赤城山へ向かいました。ナビでは前橋で下りるとの案内がありましたが、渋川伊香保ICまで高速で行きそこから一般道に入りました。湖畔の登山口までの山道は運転が好きな人は楽しいでしょうが、私は峠を攻める趣味は無いので気の抜けないヘアピンカーブの繰り返しに少し疲れました。駐車場は広く充分スペースがありました。少し歩くと登山口。


いきなり岩場の急登になります。少しすると視界が開けて来て大沼(おの)を見下ろす絶景スポットに到着。朝は晴れの予報だったので早朝に来て正解でした。



2021-07-04

最近読んだ本:楽園のカンヴァス

 最近毎回楽しみにしているYouTube『山田五郎 オトナの教養講座』


で紹介されていた原田マハ著『楽園のカンヴァス』


を電子書籍で購入、一気に読みました。ルソーの傑作と言われる『夢』という作品にまつわる歴史的な背景や専門家でないと知りえない内容を小説・ミステリー形式にして息を継がせぬ展開力で最後まで書き切っていてとても良かったです。序盤に出てくる岡山弁がとても自然なのでそれに引き込まれていると話は一気に1980年代のニューヨーク、バーゼルへと飛び、さらに主人公たちが読まされるという形でルソー・ピカソの時代の話が当事者目線のエッセイとして語られています。このエッセイ部分が著者の一番伝えたいことのように感じられました。史実に即しながらも創造的な部分が多いので、このような小説として表現するのが最適だったのだと思いますが、このような形式の小説はこれまで読んだことがありませんでした。おそらく日本語で書かれた初めてのものではないでしょうか。岡山弁だけでなくエッセイ部分の(野口英世のお母様のような)丁寧で心のこもった独特の表現、心情描写の的確さ、場面展開の軽快さ、どれも秀逸で著者の絵画への造詣(ぞうけい)の深さだけでなく言語感覚の高さにも感心しきりでした。