2022-06-04

最近読んだ話題の本:同志少女よ、敵を撃て

 先日本屋でNHKラジオのロシア語講座のテキストを買いに行ったときに目に入った話題の本『同志少女よ、敵を撃て』


結構な分量があるし戦争ものなので迷いましたが結局購入。途中、付いて行けない部分もありましたが何とか昨日読み終えました。第二次世界大戦の独ソ戦のソ連軍の女性スナイパーの話です。史実を元にしながらも多分に創作を交えてあり、アニメ化を見据えたエンターテイメントとして読むべきなのか、いやむしろ史実の部分に焦点を当てた教養として読むべきなのかソ連の歴史に詳しくない(し、あまり詳しくなりたくない)私としてはモヤモヤしたまま読了。そもそも戦争もの(しかも他国間の戦争)をエンタメとして描いていいのかという疑問もありますが、そこを一旦飲み込んでいいところを探すと以下の2点。

1.これまで知る機会のなかった独ソ戦の攻防を女性兵士の視点から知ることが出来る。特にノーベル文学賞の対象となったスヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチの作品の他、多くの関連文献を参考にされており勉強になる。

2.ロシアのウクライナ侵攻前に上梓された小説であるが、現在進行中の戦争とリンクする部分もあり戦争の愚かさを再認識させられる。

全体的に作者の熱意が伝わる意欲作であるものの私としては前述の通り史実と創作の線引きがあいまいでなかなか入っていけませんでした。終盤で主人公が幼馴染を狙撃してしまうのですがその理由が女性を守るためっていうのはホントか~なんて突っ込んでしまい少し白けました。その辺はエンタメとして読めばいいのでしょうが、でもマンガじゃないんだからなぁ、いやそんなこと言ったらゴルゴ13に失礼かなんて思ったり。最後にはやはり実際にあった悲惨な戦争を部外者が虚実ない交ぜにして小説として著すのはどうなのかという疑問が残りました。特に戦争当事者であるロシア、ドイツの人達に読まれたらどう思われるかを想定してるのかなあというのは気になりました。

以前にも紹介しましたが、第二次世界大戦前後のソ連に関する小説で私が一番好きなのは米原万里著『オリガ・モリゾウナの反語法』


です。これを機会にまた時間を見つけて読み返してみようと思います。

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