『素粒子論研究』創刊75周年の特別号に川合光先生が寄稿されていたので興味深く読みました。
川合先生といえば猪木先生と共著の量子力学の教科書
が有名ですが、私も学部生の時にこの教科書を何度も読みこみました。物理学科出身でこの教科書知らない人はもぐりです。量子力学の入門として必読の書です。
その後、以前こちらで触れたように超弦理論のIKKT行列模型について調べた際にいくつも川合先生の関連論文を読みましたが、IKKTモデルに至る経緯を直接知る機会はありませんでした。今回、先生の回想録を読んで初めて分かったことも多くあの時(20年ほど前)に読みたかったなあなんて感慨深かったです。
川合先生といえば4次元での重力子の散乱振幅を導いたKLT関係式でも有名ですが、その研究経緯についても詳しく述べてあり、さすが弦理論以前から第一線で活躍されていた方は洞察が鋭いなあとうなるばかりでした。その流れで低エネルギーで超対称性がないはずだとの主張がなされていますが、これは私が知る範囲のどんな議論よりも説得力がありました。80年代に既にそのような理解を得ていたとは驚きです。
川合先生は一般向けに超弦理論の入門書
も著されています。以前読んだ記憶では一般向けとはいえ専門家でも勉強になるテクニカルな内容も含まれておりとても読みごたえがありました。この本で飽き足らない方はぜひ今回の回想録もご覧になってみてはいかがでしょうか。学者の中の学者の文章に引き込まれること間違いないでしょう。
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