以前のエントリーでILC誘致に向けての「今後の流れ」をまとめましたが、その中で
9月15日の産経新聞、論説委員・中本哲也さんの記事は
もう一つ気になった関連情報として日刊サイゾーによる山下特任教授へのインタビュー記事があります。最後の質問とその答えは以下の通り。
と書きましたがその10月が迫ってきました。ILC誘致について最近は全くフォローしていなかったので最新情報をこちらで確認しました。今年10月に学術会議がマスタープランの候補プロジェクトの選定を行う。(そこでILCが候補に入らなければ誘致は断念せざるを得ないでしょう。)
9月15日の産経新聞、論説委員・中本哲也さんの記事は
と結ばれています。私もおおむね賛成ですが、政府(文科省)のギリギリまでの折衝努力をもう少し評価してあげてもいいのではと感じました。せっかく柴山大臣が頑張ってくれていたのに大臣が代わってしまい引き継ぎは大丈夫なのか少し心配です。萩生田大臣の座右の銘は"One for all, All for one"だそうなのでその精神でILC誘致へ向けリーダーシップを発揮してもらいたいです。約50カ国の物理学者らが、東北の北上山地への建設を目指す次世代加速器「国際リニアコライダー(ILC)」は、暗黒物質の正体に迫る実験施設だ。素粒子物理と宇宙物理の距離をさらに縮め、「新しい物理学」の扉を開く可能性がある。日本と欧米だけでなくロシア、中国などの参加も見込まれる広範な国際協力プロジェクトでもある。政府は誘致の判断を先送りにしてきた。国際社会から日本への期待と信頼を損なう「遅延行為」に等しい。30年後の日本が国際社会から必要とされ、尊敬される国であるために、政府は早急にILC誘致を表明すべきである。(なかもと てつや)
もう一つ気になった関連情報として日刊サイゾーによる山下特任教授へのインタビュー記事があります。最後の質問とその答えは以下の通り。
若者向けの(ゴシップ)雑誌にILC誘致の話題が取り上げられるとは意外でした。山下先生も堅苦しい表現は避け、若者にも分かり易くILC誘致の意義を説かれているようで概ね共感しました。WWWやニューラルネットワークについては以前から誇大広告のように感じていましたが、サイゾー向けなら仕方ないでしょう。それよりも「何万年もかかる核廃棄物の処理も、超電導加速器を使って100年単位に短くなる可能性がある」との言葉に原発処理の問題も誘致の交渉カードとして使っているのではと勘ぐってしまいました。もちろん東北に誘致するのだからILCの科学的な役目が充分に果たされた遠い将来には原発の廃炉処理や核廃棄物の処理へ転用されうることは理解できますが、もしそうする可能性があるのなら、誘致の段階から情報公開しておいて欲しいです。ーーでは、山下さんはILCがつくられることによって、どんな未来が待っていると思いますか?山下:世界の人が集まれる知のフロンティアができることがまず第一。きっと人類の歴史に残る大発見がある。そして技術の波及と国際的な人材の宝庫になることが2つ目。何万年もかかる核廃棄物の処理も、超電導加速器を使って100年単位に短くなる可能性があるし、原子核を変えて新しい物質を作り出すことで、がん治療などにも効果を発揮することが期待されます。また、インターネットを普及させた基盤技術WWW(ワールド・ワイド・ウェブ)も、粒子線がん治療もPET診断も、もともとは素粒子物理学の分野から生み出されたもの。ディープラーニングの前のニューラルネットワークも20年以上前から使ってきたし、超電導の大規模施設の初めての実用も米国の加速器施設です。新しいものを開発することだけしかできない研究者が何千人も集まることによって、副次的にもさまざまな先端技術が生み出されていきます。それに、ILCの建設は、技術的な面だけでなく、日本人の心理的な面にも大きな影響を及ぼすでしょう。世界でも最先端の施設が生み出されることによって、新しいことにチャレンジしていくマインドが生まれます。科学技術は何よりも、人の気持ちを変えるもの。ILCによって「日本はすごい!」という自信を持つことができ、「これもできるんじゃないか?」と未来への希望を生み出すことができれば、日本人のメンタリティは大きく変わっていくはず。ILCを通じて、日本人を、どんどんチャレンジをしていくメンタルに変えていきたいですね。